矢崎存美のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・窓辺の人形劇
・妄想の種
・優しい人
・恋かもしれない
・祖母の決断
ちょっと病院の待合室で読むには合わなかった。
初期の癌と言われて頭のなかがグルグルしてしまう中年男性の話(窓辺の人形劇)はまだ、余裕で読めたのだけど、最初の手術後4年経っての再発という話(優しい人)は、身につまされてしまった。
患者だけではなく、新米ナースの心もほぐしてくれるドクターぶたぶたは、名医以外の何物でもない。
だけど、「ぬいぐるみに手術してもらう」ことをどうしても納得できない人がいるのも事実。
患者ってちょっとしたことにも敏感になるからね。
人間の医者にだって、不信感を持つことは多々ある。
合う合わないはどうしようもないのだから、無理と思ったら医者を変える決心は必要。
ぶたぶたさんは大病院に呼ばれて手術の執刀をするけれど、普段は山間の僻地で診療所勤務。
要望があれば巡回医療も行っている。
さらにバルーンアートのボランティアなんかもやっている。
ちょっと過重労働ではないんだろうか。
医療従事者の働き過ぎ、気になります。
一番笑えるのは、ショートショート。(祖母の決断)
これ、祖母の決断というよりも、祖母の野望なんじゃない?
困り顔のぶたぶたさんを想像するとおかしくてしょうがないけど、おばあちゃんには健闘を祈ります。 -
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ネタバレ目次
・お狐さまと私
・夏祭りの一日
・コーヒーを一緒に
・昨日と今日の間
・春のお茶会
もともと大きな事件とは無縁のシリーズだけれど、今回は特に、「何もない」ことが苦しい人の話が多かったように思う。
平凡な毎日が続く苦しさ。
平凡で幸せな毎日を失って身動きできない苦しさ。
実家の両親を愛せない苦しさ。など。
もし今後、ひとり暮らしになるような事態になった時、私はどう暮らしていくだろうと考える。
多分傍目には以前と変わらずに過ごせるような気がするのだけど、内心はどうだろう。
『コーヒーを一緒に』の保高美智子のように、心が空っぽになってしまうのだろうか。
そろそろ現実のこととして覚悟をしなければいけない歳だけど、まだピンと来ないんだよなあ。
ぬいぐるみのぶたぶたさんが、普通に人間と同じように暮らしていること以外は、現実社会と同じ世界観のこのシリーズだけど、『昨日と今日の間』は明らかにファンタジー。
そうでもしないと、親との相性の悪さを自分に納得させられないのかな。
相性が悪いってことは、苦手ってことで、嫌いというわけじゃないよっていうのがちょっと逃げてる気もするし、センシティブな問題なのだろう。 -
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ネタバレ目次
・プロローグ
・誰にも知られず
・重い口
・弱い人
・好奇心
・エピローグ
実際に、命にかかわるようないじめに対して、スクールカウンセリングがどれだけ効果があるのかはわからないけれど、親や学校の先生ではない大人が話を聞いてくれるっていうのは、確かに心の中の緩衝材になると思っている。
だから保健室登校なんていうのもあるのだろうし。
今作の中でいじめに関する話は2つ。
父親が中学生の頃、クラスの女子をいじめていたことを、酔ったうえとはいえ笑い話で話したことにショックを受けた昴。(重い口)
それがきっかけで、最低限の会話しかできなくなった。
だって、自分は父親に似ているんだもの。
無頓着に人を傷つけるくらいなら、最初から人としゃべらないほうがまし。
いや、こんなに繊細な心を持っている子は、いじめをしないよ。
ぶたぶたさんにも、似ているからって同じではないと言われたしね。
ちゃんと父親にも自分の気持ちを伝えたので、あとは時間が解決っていうか、父親が自分の鈍さに気づけばOKだろう。
父親に失望したのであって、嫌いと言ってるわけではないので。
もう一つは、仲が良かったはずの女の子同士が、いつの間にかいじめる側といじめられる側になってしまった(弱い人)。
これは最初からいじめていることの母親に問題があった。
娘が中学生の時、いじめたりお金をまきあげられたりしたけど、その首謀者の子の母親がまさにこんな感じだったなあ。
この作品では、いつも友達の真保と比べられてプレッシャーがきつくて、真保さえいなければこんなことにならないのに!と思いつめたうえでのいじめだったけど、我が家の場合は、「お母さんがわたしは悪くないって言ってるから、悪くないもん」って言ってたので、お父さんの方から指導してもらいましたが。
どう接すればいいのか、ほんと難しいです。
笑っちゃったのが、まだまだ小学生気分のたっぷり残った息子・信が、突然スクールカウンセラーに相談したと聞いて、あわあわしちゃうお母さんの話。(好奇心)
もう、真面目なのかバカなの変わらない息子と、かわいいと思ったりバカなの?って思ったり忙しいお母さんの気持ちが、次男中学生の時と重なって、わかるなんてもんじゃない。
斜め45度上を行く発想に振り回されるしんどさは、時がたてば笑い話になります。 -
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ネタバレ目次
・魔女の目覚まし
・言えない秘密
・「おいしい」の経験値
・ひな祭りの前夜
『魔女の目覚まし』は多分、レシピが先にできてあとからストーリーをつくったのではないかな。
インパクトのある見た目と味は、ちょっと試してみたいかも。
『言えない秘密』は、作者がやりたかったことはわかるけど、マスターの秘密は知りたくなかったな。
『「おいしい」の経験値』は短編にするのがもったいなかった。
もっと深い話にすることはできたはず。
結構この話が刺さる人は多いと思うのだけど。
『ひな祭りの前夜』
ぶたぶたさんをはじめてみた大人の反応は、ちょっと飽きてきたけれど、子どもの反応は新鮮でいい。
「おばあちゃん、さっきニャーニャ見たよ、変なニャーニャ!うんとねー、ピンク色でねー、立って走ってた!」 -
購入済み
色々な人達の美味しい旅
色々な人達の美味しい旅が、いっぱいに詰まっている。ちょっと、えっ?思うような話も有ったけれど、大好きな作家さんの、最後の二つの話が、感動的だったので、星四つ
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ネタバレ目次
・ビビり猫モカ
・春の犬
・トラの家
最初の『ビビり猫モカ』はほのぼのと可笑しかった。
ビビりすぎて人間に慣れない猫。
猫を可愛がりたいのに、毎日ひっかかれたり猫パンチをあびる飼い主一家。
病気を持っているんじゃないか?避妊手術をしなければならないのでは?爪切らないと…。
だけど触ることもできない猫を、病院に連れていくことはできない。
そこで往診に来てくれた獣医さんはピンクのぶたのぬいぐるみだった。
猫はぬいぐるみと楽しく遊んでいるつもりで、触診され、口の中を診察され、爪を切られているわけだ。
すばらしい!
ところが次の『春の犬』は、ネグレストの話だった。
金の不自由はしたことがないけれど、親に面倒を見てもらった記憶のない伊織。
家政婦に身のまわりのことをやってもらった結果、家のことなど何もできない。
でも、こうやって親の金を使ってやることも親孝行なのかな…なんて思っていた時、何の気の迷いか母がチワワを買ってきた。
しかし子供の面倒すら見ない母は、犬の面倒だって見やしない。
中庭を自由に遊ばせることで散歩に替え、エサやトイレの始末は家政夫さん任せ。
あるとき伊織はチワワの様子がおかしいことに気がつくが、母に連絡しても忙しいと言われ、家政婦さんとは連絡がつかず、動物病院に往診に来てもらうことにする。
この母親が、本当に腹立たしい。
子どもに対してもペットに対してもまったく無責任。
命を預かっているということをどう考えているのか。
あげくの果てに「病気の犬なんてペットショップに返して、もっといい犬と交換してもらえ!」とまで言う。
自分の親に失望したくはないが、さすがに伊織もこれにはキレて、慣れない手つきで犬のリハビリを頑張るのだった。
しかしこの母の言動の理由が「更年期だから」というのも納得いかん。
更年期大変な人もいるでしょうが、彼女の場合我が子の育児も人任せだったんだからね。
『トラの家』は老夫婦と老猫の心の交流に胸が温かくなる物語。
本来ならこの作品を読んで、ほっこり温かい気持ちで本を閉じることができるのだろうけれど、そのひとつ前の伊織の母に腹たて過ぎて、感動半減でした。
まったくもう! -
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ネタバレ目次
・森の洋菓子店
・最初にやりたかったこと
・メッセージ
・帰ってきた夏
・たからもの
短編集になっていますが、森の中の洋菓子店「コション」のパティシエ(ご存知ぶたぶたさん)をめぐる話で、最初と最後は高校生対象のスイーツコンペに出場する3人の男子高校生の話です。
なぜパティシエは姿を見せないのか。
それは、パティシエの見た目で人気が出るのではなく、味で勝負したかったから。
だけど、自分の作ったスイーツを「おいしい」と喜んで食べてくれる人の顔、見たいよね。
大好きなスイーツの話を一緒にして盛り上がりたいよね。
そんなタイミングで、「コション」の車を自転車で尾行して、「コション」のアトリエ(キッチンや食材の保管庫など)を見つけた高校3年生に「スイーツ作成の師匠になってくれ」と頼まれます。
少しずつ、少しずつ姿を現わしはじめるぶたぶたさん。
彼を守るために一致団結する店員たち。(過保護だな)
このシリーズはもしかして20~30代の女性をターゲットにしているのかな。
結婚をめぐる話が2つ。
結婚に関わることを相談しても、全て彼女に丸投げの祥一。
彼女が喜ぶことならなんでもかなえてやりたいと思っている。
だから、挙式一週間前に彼女から「考えさせて」と言われて心底驚く。
おれの何が不満なの?「メッセージ」
式場も、ドレスも、料理も、新婚旅行も、新居も、全部彼女のいいようにさせてあげたじゃん!
こーゆー男性、いますね、確かに。
女性は共感し、男性は戸惑う作品かもしれません。
でも今はこーゆー人減っていると思いたいです。
東京で就職して、頑張って出世して、そのせいでいじめにあって職場をやめて実家に戻ってきた倫子。
就職しなくちゃと思うけど、体が言うことを聞かない。
フラッシュバックってやつ?
そんなとき、東京で飲み友達だった到が倫子の田舎に転勤してくる。「帰ってきた夏」
岡目八目と言いましょうか、倫子以外には到の行動の意味などバレバレなわけです。
っていうか、結構あからさまに意思表示しているのに倫子は鈍い。
「メッセージ」の祥一と倫子なら一生結婚できないな。
「たからもの」では、ふしぎちゃんなぶたぶた家次女が大活躍。
どんな人にも活躍の場があるのがこのシリーズのいいところ。
あとがきで札幌のスイーツ店が3件紹介してあったのですが、このうち2件は今は閉店してしまっているようです。
時の流れは厳しいなあ。 -
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「山崎ぶたぶた」という謎の中年男性?で見た目が豚であり、ぬいぐるみの、
何とも不思議な存在がいろいろと絡んでくる人情系な連作短編集。
今作の舞台は、カルチャースクールのエッセイ講座。
ここに集まったは、様々な事象を持つ人たち5人とぶたぶたさん。
ぶたぶたさんは最初のインパクトとは裏腹に、
スクールの仲間たちと解け合うのが上手くて、
いろいろと話を聴いたり手伝ったりして悩みをそれとなく解決してしまう。
今作で初めてぶたぶたシリーズを読んだのですが、
ほっこりする場面やグッとくる場面に、泣くということはないにせよ、感動し、
別の作品も読んでみたいと思いました、というか読むでしょう。