矢崎存美のレビュー一覧
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目次
・なんでもない日の食卓
・妖精さん
・誕生日の予定
・通夜の客
出張料理人といっても、それを頼む人にはそれぞれの理由があるわけで、ぶたぶたさんはどんな相手にも最適の対応をしているのが素晴らしいと思う。
頑張りすぎている人に同情するわけでもなく、あくまでビジネスとして、だけど温かいぶたぶたさんの言動。
『通夜の客』以外は、母親が主人公。
まあ、そうだよね、料理人を頼むとしたら。
最初『妖精さん』の主人公は、ひとりでへとへとになるまで仕事をして、倒れるように眠りについていて、家に家族の気配がないのに子どものことなんか考えていたりして、「離婚した?」「死別した?」と不安に駆られる。
コロ -
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アミの会(仮)のアンソロジー。書き下ろしが毎度のことながら嬉しい。
11人の11の話。きっとお好みがあるはず。
私のおすすめは、「猫への遺言」「十年日記」「青い封筒」。
「猫への遺言」は、亡くなった夫からの手紙。
知りたくなかった秘密が明かされて、胸が痛む。
それは妻の側からの痛みだが、一方で夫の心も少しわかる気がする。
夫の方の胸の痛みは、甘やかな痛みと、突き刺さるような痛みの2種類。
生きていれば、そういうこともあろうか、と思ってしまう。
最後に伝えられる愛の言葉は、明かされた秘密への悲しみを癒してくれるだろうか。
それとも、それはそれ、なのだろうか。
わたしは、それも含めて、やっぱり夫 -
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目次
・寝落ちの神様
・ぶたにくざんまい
・助けに来てくれた人
・ぶたぶたのお弁当
・相席の思い出
・さいかいの日
・日曜日の朝
いつも料理を作って、周りの人を幸せにしてきたぶたぶたさんが、今回はお弁当を作ってもらう側。
『ぶたぶたのお弁当』で、その秘密が一応明かされるのだけど、作った方の視点からもう一度語られる『日曜日の朝』がとても良い。
どれもコロナ禍の日常を描いているのだけれど、私は外出自粛で行きたいところに行けないのは残念だったけれど、それほど辛いとか追いつめられたりはしなかったので、世間の人たちはこんなに大変だったんだ…と改めて思った。 -
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フォローしている方のレビューで最近存在を知ったぶたぶたシリーズ。山崎ぶたぶたなる人物が活躍する三十作以上続く人気シリーズらしいのだが、「まずは第一作にあたるこれを読みさえすればあとはまあ適当に」という旨のネット情報に従って第一作を読んでみた。
山崎ぶたぶた氏がどういう存在なのかは、第一作を読み終えてもさっぱりわからないのだが、一つだけ確かなのは、“彼”がピンクのぶたのぬいぐるみであるということだ(どうも中年男性であることも確からしい)。バレーボールくらいの大きさで、黒いビーズの目で、片耳がそっくりかえっていて、とても可愛い、ぬいぐるみ。このぶたぶたさんが、あるときはタクシーの運転手として、 -
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目次
・悪魔の叫び声
・置き去りの子供
・レモンパイの夏
・ぬいぐるみのお医者さん
・女の子の世界
『名探偵ぶたぶた』というタイトルから、殺人事件を解決したり、尾行したり潜入捜査をしたりする探偵かと思ったら違いました。
通常のぶたぶたさんの存在が、名探偵ということ。
確かに悩みの本質を見極める目は、名探偵かもしれません。
どの話も、以前ぶたぶたさんのシリーズに出て来た場所がその舞台。
文壇カフェ、ホテル、海の家、病院、学校。
けれど、ぶたぶたさんに背中を押してもらうというのを基本設定にしてしまったので、どの登場人物たちもうじうじ悩みがち。
もう少し自分の力で一歩踏み出す努力をしたり、誰かに -
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ネタバレ目次
・ワケアリの家
・自分のことは
・行かなかった道
・優しくされたい
・るーちゃん
ぶたぶたさんは料理が上手だから、そうなってしまうのかもしれないけれど、シェアハウスって、共同の台所を使ってそれぞれ自分の食事は自分で作るものだと思っていたので、シェアハウスで食事付きっていうのに少し引いた。
これでは賄い付きの下宿じゃないの?
ただ、母親にがんじがらめに管理され、何も自分でしたことがなかった実里が住むには最適かもしれない。
「依存先を分散させるのが本当の自立だ」
言わんとすることはわかるが、依存先っていうのはどうだろう。
せめて「いざという時の支えをいくつも持っているのが本当の自立だ」 -
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ネタバレ目次
・アフタヌーンティーは庭園で
・知らないケーキ
・幸せでいてほしい
・カラスとキャロットケーキ
・心からの
紅茶は好きですが甘いものをあまり食べられない。
お洒落な場所が苦手。
というわけで、アフタヌーンティーというものを体験したことはありません。
だから基本的なルールをこの本で知ることができてよかったです。
そのうえで、「好きなように召し上がってください」と言ってくれるぶたぶたさんがありがたい。
本当はサンドイッチから食べて、スコーン、スイーツと食べていくものだそうだけど、「ぶたぶたさんなら、どう召し上がるんですか?」って聞かれ、すべてを味見(半分食べる)して、どれで締めるか決める -
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ネタバレ目次
・書店まわりの日
・グルメライター志願
・長い夢
・文壇カフェへようこそ
・流されて
5作の短編が収録されているが、特に気になったのは『文壇カフェへようこそ』。
文壇カフェという設定もそそられるが、そこで展開されるのは上司との関係に悩む編集者の話。
もしかしてパワハラを受けているのだろうか、それともこのくらい普通のことなのだろうか。
ひとりで悩むから、考えがグルグルして答えが見つからない。
そんな人たちに、ゆっくり心を休める時間とちょっとした人脈をもたらす場所。
それがぶたぶたさんの経営する『文壇カフェ』。
悩みってひとりで抱えているうちはなかなか解決しない。
忙しそうな先輩に相談 -
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ネタバレ目次
・春の女子会〈春〉
・サプライズの森〈夏〉
・二人でディナーを〈秋〉
・ヒッチハイクの夜〈冬〉
・野菜嫌いのためのサラダ〈春〉
『二人でディナーを』に少しやばい人が出て来たくらいで、他は大人女子の友情や夫婦のありかた、好き嫌いの克服と、比較的地味だけど良い話が多かった。
特に『春の女子会』は、学生時代の友だち4人が、家族に子どもを預けて、一泊二日のお泊り会。
学生時代と違うのは、ちょっとおしゃれしていつもよりワンランク上の食事を楽しむ、オーベルジュに泊まるというところ。
だけど、みんなで相談してそれぞれ違う物を頼み、みんなで少しずつシェアして食べるって、あるあるだよね。
お酒も進めば -
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ネタバレ目次
・海の家うみねこ
・きっと、ぬいぐるみのせい
・こぶたの家
・思い出のない夏
・合コン前夜
子どもの頃、親に海水浴に連れて行ってもらったことは何度かある。
若かりし頃、友だちと海水浴に行ったこともある。
結婚して、子どもを連れて海水浴に行ったこともある。
だけど、びっくりするぐらい海の家の記憶が、ない。
思い出がないのではない。
海の家に行った記憶がなかったのだ。
海の家ってそんなに当たり前に行くべきものなの?
だから、よく海の家だけで一冊書けたな、という純粋な驚き。
ぶたぶたさんの海の家のモデルとなった、もともとの海の家うみねこのオーナー夫妻。
貧乏で苦労したのかもしれない、子ども -
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ネタバレ目次
・居酒屋やまざき
・忘れたい夜
・悩み事の聞き方
・珊瑚色の思い出
・僕の友だち
ぶたぶたさんが、居酒屋、バー、おでん屋、ワインバー、本のバーなど、お酒に関係するいろんなお店で働いている。
どの店でもぶたぶたさんの作る料理や選んだお酒が美味しそうだけど、居酒屋とおでん屋は本当に行ってみたいなあ。
それとは別に、ミステリ好きの人たちが曜日ごとにテーマを決め、曜日ごとにマスターをやるという、本のバーは面白そう。
ミステリについて熱く語らっているお客さんたちの話を聞いているだけでも、楽しそうである。
話を聞くということでは、おでん屋さんのぶたぶたさん、お客さんの悩みは聞くけれど、解決はし