花村萬月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
花村萬月がどうやって職業小説家になったか、そしてその時に父親がどう接したかという感じの本です。思いっきり省略すれば花村萬月の作り方ってところでしょうか。
父親の放蕩ぶりもさることながら、花村萬月の思考回路もすごいものです。一般的な日本人とは大きく離れています。そこが、ああいった作品を生み出すのだとは思います。
自分にとっては大きな刺激となりました。少なくとも「花村萬月」にはなれないコトは理解できたし、小説を書くという土台がまったくできていないということもよくわかりました。明らかに読書量そのものが少ないでしょう、俺は。
小説家を目指す人は読むべきかと思います。技術の「糧」にはならないかもしれませ -
Posted by ブクログ
ネタバレ何かで紹介されていたのかずっと「読みたい」に登録されていてついに読んだ形。ハードカバーで結構厚みがあるけど登場人物も多くはなく、文章のテンポ感が良いのでページをめくっていくのは難しくない。が、いつも使っている漢字と違ったり独自要素がありすぎて読むのが難しいレベルだと思う。ちょいちょいエロ要素もあり、最終的に前半で提起された「なぜ人類がいるのか(=恐竜時代の絶滅後に発展した哺乳類の進化系が人間なのにいるはずのない3億年前に存在しているのか)」という謎は結局解決せず、のほほんと終わるのでモヤモヤした感じ。
皇帝の描写が増えるにしたがって後半には脳内で佐藤二朗で変換される。 -
Posted by ブクログ
内容としては実力はありながらブルース、本当にやりたい音楽のためビル清掃のバイトとして働く武史に、作家志望の操がバイトで出会うことにより物語は進展していく。
花村萬月の小説を読むのはこれが初めてであるが、恐らくはギターを弾くという作者の音楽に対しての教養興味と、小説それを取り巻く環境に対しての姿勢と愚痴を色濃く反映している小説かと思われた。
それと性についても、この作者の切っても切れない主題なのであろう。取り扱っている時代は何処か古さを感じるものの、今も読むに耐えるということは、音楽という小説として表現するのになかなか難しいことに対して、ドッシリとしつつも読むものに重さを感じさせない文体自 -
Posted by ブクログ
よくある生易しいハウツー本ではなく、焦点を「たった独り」に絞ったところに、花村萬月の歯に衣着せぬ小説家としての矜持が現れすぎている一冊。
しかも病気に侵されながらも、多数執筆している中で、この一冊も作り上げているということを知れば、まさに精魂を削ったものなのであろう。
小説家に限らず、例えば一流の漫画家でもそうだが、やはり所謂普通の生活からは逸脱していて、ただ小説を書く、漫画を書くという衝動に抗いがたいものなのであろう。それは実力を得て、種々のものに変化していくかも知れないが、根底は変わらないのであろう。
小説は虚構、しかも完全無欠の整合性を精密に作り上げなければならない。今度はこうい -
Posted by ブクログ
表紙がとても綺麗で手に取りました。
二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?
わたしも今回初めて知りました。
雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。
この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。
思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りま