花村萬月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
芥川賞受賞の「ゲルマニウムの夜」からつづく王国記シリーズの第8作です(王国記というタイトルは2作目からなので、8作目だけど王国記7になります。文庫版は1作目から王国記となっているので作数と番号が一致してます。ややこしい。)
原始教団が成立した前作あたりから主人公の世代交代がゆるやかにはじまったかな、とおもわせるものがありましたが、ここにきて急激に初期の人物たちがフェードアウトしています。
初期の人物たちの行動原理は、神という存在に対する疑念や対抗心といったものを軸に動いてきたように思います。そういう対抗すべき存在が明確にいるから、彼らがとるべき行動も、暴力や権力といった明確な”カタイ”方向へ -
Posted by ブクログ
★★★☆☆
「ゲルマニウムの夜」から続いたシリーズも本書で第一部完。9冊12年にわたって書かれてきたものがようやく一つの区切りを迎えるというのは、自分の年齢の積み重ねもあってそれだけで感動的なものがあります。
ただ、第一部完とあるように、物語はまだ途上といった印象です。当初の主人公である朧の物語に一応の結末が付けられますが、次世代の主人公である太郎と花子、あるいは王国そのものの物語はこれから。第一部完の意味は、主人公の世代交代が完了したということだけで、これからも王国の物語は続いていく、そういった印象のラストです。
第二部が本当に書かれるのかはわかりませんが、第二部が出るのを楽しみの待ち -
Posted by ブクログ
宗教に糞尿に暴力にSEX。
言葉の囚人。
支配と服従。
ルールや宗教など、これだけ守っていれば大丈夫という拘束や支配というのは
人の気持ちを安堵させ安寧させるものなのだね。
その行動の本当の意味というものは、どこかに置かれていても。
そして、自分を安堵させるものが他に見つかれば、それに支配されなくともよい。
それがSEXでも暴力でも。
しかし、言葉で全てを解釈・解決させようとする人は大変だね。
言葉は使うものだけど、それに支配されたら
頭がおかしくなりそうだ。
( ・_ゝ・) <あたしを安堵させるものは、なんだろう。
第119回芥川賞受賞