花村萬月のレビュー一覧

  • ジャンゴ

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    【本の内容】
    哀しく、それでいて熱い旋律。

    沢村がつま弾く音に、麗子が目を付けた。

    麗子は沢村が世話になっているヤクザ者・山城の溺愛する妹だった。

    麗子は美女の自殺志願者だった。

    そして、麗子は悪魔だった―。

    沢村はたった一度の麗子との快楽の代償として、ギタリストの命である指を失った。

    そればかりか巨大な野獣にいたぶられ、人間としての尊厳をも失った。

    すべては麗子の罠だった。

    沢村を指の動かない天才ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトにするための…。

    男女の、兄妹の、粘り付くような濃い愛憎を、物語を通して描き切った花村文学の真骨頂。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    下劣な暴

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    2014年10月05日
  • 皆月

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    ハードボイルドだけど切ない。
    暴力とセックス満載だけど切ない。
    登場人物の誰にも感情移入は出来ないけれど、
    読み物としてはスンナリ入ってくる感じ。
    でも不条理さを感じないことはない。
    若いソープ嬢が、1~2回客として出会っただけの、
    妻に逃げられたさえない中年男に入れこんじゃうものなのか、とか。(笑)

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    2014年09月03日
  • ゲルマニウムの夜 王国記 I

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    暴力とかセックスとか。
    その様なテーマの本にあまり興味もないけど。
    表現がエグいなぁと思ったが、読んでいて、特に快も不快もなかった。
    あと、宗教みたいなものとか。


    『宗教みたいなもの』
    というのは、特に私自身がその信者じゃなくても、なんとなく理解できる内容であったこと。
    例えば、海外の小説などでは、宗教的価値観の違いというか、その考え方を理解できない時がある。そういう意味では、本当に、厳密な意味での宗教をテーマにした、とも言い難いのか、と。



    一番の読みどころは、『王国の犬』の、朧と、モスカ神父の問答。
    『舞踏会の夜』の、朧と教子の、神についての会話も面白かった。



    漢字が若干難し

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    2014年07月20日
  • 武蔵(三)

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    ネタバレ

    花村版の宮本武蔵第三巻目。

    然茂ノ介とともにした西国修行が描かれる。
    相変わらず色事にも旺盛ではあるが、生と性と剣について一つの考えに至ったようです。
    歴史的な当時の事情も盛り込まれ、いよいよ関ヶ原の合戦に向かうと思います。
    吉川版やバガボンドとの違いも期待したいと思います。

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    2014年05月13日
  • 皆月

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    時速100kmで走り始める→急ブレーキ→時速30kmまで落とす→アクセルをグッと踏む→時速100kmまで上げる→急ブレーキ→時速30kmまで落とす→100→30→100の繰り返し。

    退屈なところもけっこう多かったけど、まあ、まあまあおもしろかったよ。

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    2014年03月04日
  • 色

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    九色の色をタイトルにして自叙伝的な短編。花村萬月という人、百万遍のときから感じていたけどかなりハードな人生体験をなされているようで今回の「色」でもちょっと理解しがたい。そら恐ろしさを感じながら読んだ。

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    2014年01月04日
  • 色

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    久しぶりの花村萬月作品。
    ドラッグとか暴力の表現が、未体験なのに目に浮かぶようで、眉間に皺をよせながら読む。
    既読の「眠り猫」と「皆月」 を、久しぶりに読みたくなる。
    でもたぶん、読めるのはこの二冊くらいだと思う。
    得意な分野ではないのに、この二冊はなんだか好きだったのだ。
    この「色」は、あまり入り込めなくて何色か読み飛ばしてしまったけれど、「紫」と「灰」、あと、父親母親の話の「黄」「茶」はよかった。

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    2013年10月21日
  • ブルース

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    【南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。激しい時化に呻く25万トンの巨大タンカーの中で、村上の友人、崔は死んだ。仕事中の事故とはいえ、崔を死に至らしめた原因は、日本刀を片手に彼らを監督する徳山の執拗ないたぶりにあった。徳山は同性愛者であった。そして村上を愛していた。村上と親しかった崔の死こそ徳山の嫉妬であり、彼独自の愛の形であった―。横浜・寿町を舞台に、錆び付いたギタリスト村上とエキセントリックな歌姫綾、そしてホモのヤクザ徳山が奏でる哀しい旋律。芥川賞作家が描く、濃密で過剰な物語。】

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    2013年05月29日
  • 裂

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    群像編集者と才能に埋もれた青年の話。
    編集担当の裏側が覗ける!と話題の作だったが、読破してみればそれほど頁が割かれているわけではなかった。

    性描写が多いかな。

    描写、会話、説明を学びたい作家志望者には一読の価値有り。

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    2013年04月24日
  • ゲルマニウムの夜 王国記 I

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    周囲の雑踏を排して、ただただ人間一人を眺めようとするが、人間は周囲の影響を受けて成長していく。周囲の環境は選びようがなく、その中で生きていくために人間は適応していく。有無を言わさず。

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    2013年04月20日
  • なかで、ごめんね

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    花村作品にしては軽いなあ、という印象。 練られて深みのある文章表現は読んでいて小気味よいのだけれど、内容は青春漫画(今はこんな言い方しないか)でも読んでいるような感じだった。疲れたときの暇つぶしにはちょうどよいかもしれない。

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    2012年11月18日
  • 渋谷ルシファー

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    ネタバレ

    渋谷のバー「ルシファー」のマスター、桜町は元天才ジャズギタリスト。彼のかつての恋人の娘で、ブルースシンガーを夢見る映子。そして彼らの周りに集まる仲間たちの話。
    桜町には常に暗い過去がつきまとう。しかし何かカッコいい中年の男性。
    電話は嫌いだけど手紙は好き、ってとこが私と一緒で、何か微笑ましい。
    物語にはヤクザやアウトローな連中も沢山登場。クスリや性描写のシーンもあるんだけど、何だか嫌な気分がしかなったのは、主人公たちが音楽を愛し、努力しながら夢に生きているところが眩しかったからだ。
    弦楽器愛好家の私としても、思わず彼らを応援したくなった。
    ジャズバーに久々に行きたくなった。

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    2012年07月12日
  • ゲルマニウムの夜 王国記 I

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    暴力や性の描写が多い。

    だけど不思議と綺麗です。

    人の持つ、負の部分を包括してしまうからこそ見えてくる、人の本質が描かれています。

    哲学的な小説です。

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    2012年07月04日
  • セラフィムの夜(小学館文庫)

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    エログロジェットコースターバイオレンスドラマ。前半はあまり好きじゃないが後半盛り上がって楽しめた。結末はあっけないが、ラスト近くに作者が伝えたかった主題(とても良い言葉)が書かれている。

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    2012年06月10日
  • 私の庭 北海無頼篇(上)

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    全2巻。花村萬月の大河小説三部作の最終篇。全2巻。明治初期の激動の時代における雄大な自然を持つ北海道を舞台に、ヤクザものの男たちを中心にドラマは展開する。生きるとは何か、殺すとは何か、強さとは何か、黄金とは何か。己の生きる寄るべを探し求める男たちの姿がユーモアを交えて描かれる中に、そのような本質的な問いを見る。前半の権介とアキカゼが黄金を探し求めるくだりはやや冗長な印象を受けましたが、変幻自在にクライマックスへ向けて収斂するストーリーは後半になればなるほど最後まで目が離せませんでした。

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    2012年04月02日
  • ワルツ(下)

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    なるほど。そうなるか。
    命のやり取りにしっくり来る結果なんて無いのかもしれないけど、
    なんだか消化しきれないものを置いていかれた感じだなあ。
    うぐぐ。

    終戦直後の劇的に変わっていく世の中で
    何色にも染まらずに役割を終える者と、
    汚れにまみれて先へ進む者との邂逅と離別。

    最後には命の連鎖なんていささかご都合主義な解釈で
    いろんなことを正当化してしまうのだけど。果たしてどうか。
    まあ任侠だなんだと言っても
    結局は恥をかいてなお生きねばならぬということか。

    なんだろ。根底には穢れの肯定がある気がします。

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    2012年03月30日
  • ゲルマニウムの夜 王国記 I

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    初花村萬月
    暴力、セックス、そして神様
    主人公の思想、分かるようなやっぱり分からないような…。深い事を言っている気はするんですが。私にはこの作品はまだ早かったのかもしれません
    歪んだ話だなと思いました。面白くないわけじゃないんですが読んでいて不快感が凄かったです。
    シリーズ物の一作目らしいのですが続きを読む気には今のところなりません…。
    でも萬月さんの他の作品は是非読んでみたいと思いました。
    またいつかこの本も読み返してみたいです

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    2012年04月25日
  • ワルツ(中)

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    前半はなんだか弛緩したような時間が続いたけど、
    中盤から一気に来ましたエグい展開。
    愛と欲と義と情の極道絵巻。

    激しい暴力と性の描写によって
    むしろ純粋なものを描き出そうとする
    花村萬月さんの真骨頂。

    いいぞ。

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    2012年03月17日
  • ワルツ(上)

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    終戦直後が舞台の極道小説。

    花村萬月さんは昔から好きな作家で、
    「ゴッドブレイス物語」「皆月」「ゲルマニウムの夜」あたりを読んでました。
    まー、とにかく暴力と性を描かせたら一級品なんですが、
    最近ちょっと丸くなったのかな?

    「ゲルマニウムの夜」の頃はなんというかこう、
    鋭利なものを突きつけられるような緊張感があったのですが
    本作ではちょっと角が取れて、暖かさみたいなものが混ざり、
    若干のメロドラマ的描写も許容されてます。

    とはいえ読ませる力はすごい。


    戦時中は鬼畜米英などと言っていた日本政府が
    戦後はアメリカに媚び、
    自ら特殊慰安施設協会なる売春施設まで作って
    ろくに仕事の内容も知ら

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    2012年03月06日
  • 皆月

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    人から本を借りるというのはいいもので、普段なら手に取らない本を読むことができる。いつも当たりじゃないのがミソだけれど。

    というわけで、花村萬月。
    再生ーと言ってもいいんじゃない?の作品だが、人は相性とも言える話である。
    また他に貸してくれる人がいたら読むかな。

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    2012年02月11日