花村萬月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【本の内容】
哀しく、それでいて熱い旋律。
沢村がつま弾く音に、麗子が目を付けた。
麗子は沢村が世話になっているヤクザ者・山城の溺愛する妹だった。
麗子は美女の自殺志願者だった。
そして、麗子は悪魔だった―。
沢村はたった一度の麗子との快楽の代償として、ギタリストの命である指を失った。
そればかりか巨大な野獣にいたぶられ、人間としての尊厳をも失った。
すべては麗子の罠だった。
沢村を指の動かない天才ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトにするための…。
男女の、兄妹の、粘り付くような濃い愛憎を、物語を通して描き切った花村文学の真骨頂。
[ 目次 ]
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下劣な暴 -
Posted by ブクログ
暴力とかセックスとか。
その様なテーマの本にあまり興味もないけど。
表現がエグいなぁと思ったが、読んでいて、特に快も不快もなかった。
あと、宗教みたいなものとか。
『宗教みたいなもの』
というのは、特に私自身がその信者じゃなくても、なんとなく理解できる内容であったこと。
例えば、海外の小説などでは、宗教的価値観の違いというか、その考え方を理解できない時がある。そういう意味では、本当に、厳密な意味での宗教をテーマにした、とも言い難いのか、と。
一番の読みどころは、『王国の犬』の、朧と、モスカ神父の問答。
『舞踏会の夜』の、朧と教子の、神についての会話も面白かった。
漢字が若干難し -
Posted by ブクログ
ネタバレ渋谷のバー「ルシファー」のマスター、桜町は元天才ジャズギタリスト。彼のかつての恋人の娘で、ブルースシンガーを夢見る映子。そして彼らの周りに集まる仲間たちの話。
桜町には常に暗い過去がつきまとう。しかし何かカッコいい中年の男性。
電話は嫌いだけど手紙は好き、ってとこが私と一緒で、何か微笑ましい。
物語にはヤクザやアウトローな連中も沢山登場。クスリや性描写のシーンもあるんだけど、何だか嫌な気分がしかなったのは、主人公たちが音楽を愛し、努力しながら夢に生きているところが眩しかったからだ。
弦楽器愛好家の私としても、思わず彼らを応援したくなった。
ジャズバーに久々に行きたくなった。 -
Posted by ブクログ
終戦直後が舞台の極道小説。
花村萬月さんは昔から好きな作家で、
「ゴッドブレイス物語」「皆月」「ゲルマニウムの夜」あたりを読んでました。
まー、とにかく暴力と性を描かせたら一級品なんですが、
最近ちょっと丸くなったのかな?
「ゲルマニウムの夜」の頃はなんというかこう、
鋭利なものを突きつけられるような緊張感があったのですが
本作ではちょっと角が取れて、暖かさみたいなものが混ざり、
若干のメロドラマ的描写も許容されてます。
とはいえ読ませる力はすごい。
戦時中は鬼畜米英などと言っていた日本政府が
戦後はアメリカに媚び、
自ら特殊慰安施設協会なる売春施設まで作って
ろくに仕事の内容も知ら