あらすじ
南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。激しい時化に呻ぐ25万トンの巨大タンカーの中で、村上の友人、崔は死んだ。仕事中の事故とはいえ、崔を死に至らしめた原因は、日本刀を片手に彼らを監督する徳山の執拗ないたぶりにあった。村上を愛していた同性愛者徳山の嫉妬が、村上と親しかった崔を死に追いやったのだ。横浜・寿町を舞台に、錆び付いたギタリスト村上とエキセントリックな歌姫(ヴォーカル)綾、そしてヤクザの徳山が奏でる哀しい旋律。芥川賞作家が描く濃密で過剰な物語。
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Posted by ブクログ
タンカーのスラッジ清掃を請け負う村上は、船内で仲良くなった崔を、ボスである徳山に殺される。それは面白半分や恨みではなく、村上をめぐる嫉妬からであった。横浜に戻り、ドヤ街からふとしたきっかけで、ライブバーMOJOで実力はシンガー綾と出会うが、綾もまた徳山の可愛がる1人であった。
花村萬月だねえ。ボリュームがあり、畳み掛ける知識とバイオレンスを覚悟していたが、予想通り最初から最後まで、花村萬月だった。しかし、読みやすい。
ヤクザで下のものに恐れられ、嫌われているが、容赦なく暴力を振るい、仕事を与える徳山という存在が、敵になったり味方になったりと揺れ動くさまは非常に面白い。主人公は村上であり、準主人公は綾なのだが、結局徳山の手の中にいるのだ。徳山は神であり、環境であろう。
暴力シーンは、のっけから日本刀で指を落とされる作業員、スラッジに叩き込まれ、看板で頭を割られる。いつもの花村萬月よりは、ペースが緩やかなので、苦手な人でも割と大丈夫なんじゃないかと思う。
それよりは、後半に進むにつれて、章のタイトルで何が起こるかがわかってしまい、そうだよね、そうなっちゃうよねと思いこんで読んでしまう。読むのが辛いが読ませる文章である。
他の作品よりも、ちょっとマイルドに感じるのは、初期の作品ということもあろうかと思う。だからといって完成度は全く問題なく、初めて花村萬月を読むひとにもおすすめできる作品だ。
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本の面白さを初めて実感した作品。
この作品のもつ熱量に圧倒されたのを覚えています。
子供だったのかな。いま読んだら・・・久々に読んでみるかな。
Posted by ブクログ
どうしようもないダメ人間なのに男からも女からもモテる男。
読んでいてムナクソ悪い。
おめーからは、ブルースもロマンも感じねぇ。
しかし、そんなダメ男を純粋に愛した同性愛の男、徳山。
彼の存在は、ブルースでロマンチック。
人を好きになるということは、切ないじゃないかっ
( ・_ゝ・)<横浜、海、暴力、酒、男と女、そしてブルース
Posted by ブクログ
題名どおり、まさにブルースな内容。音楽ネタもブルースだし、話も、人間も。
ドヤ街をはじめ全然知らない世界のことだったから新鮮な驚きを持ちつつも、ちょっと怖くなった。
作者は小学校から殆ど行ってなくて、中学生のときに家を出て日本中をまわっていたとか。すべて作者が経験したことがベースになっているから、知らない世界のことも現実味が濃い。学校行って無くてこれだけの文章が書けるのだから、その点も素晴らしいと思う。
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挫折した中年ギタリスト村上、美貌の歌姫綾、ホモのヤクザ徳山、三人が描く虚しい愛の物語。読むブルース。とても切なく、とてもやるせない気持ちになります。
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これは、魂の奥底をくすぐるような秀作(すごい表現)。一気読み。
これでまた、花村萬月という作家が解らなくなった。というよりも一層のファンになってしまったとでも言おうか。
エログロがないのもいい。何よりも、タイトルの通りの、殺風景な街角からブルースが流れてくるようなイメージと、巨大タンカーの船底から響くエンジン音と、荒れ狂う海の咆哮を感じる事ができるのだ。そして、村上と徳山のお互い惹かれつつも、距離をおいていく絆、最後のシーンでは涙、涙だった。
久しぶりに感動本に巡り会えたような気がする。草葉の虫の声にも、じっと耳を傾けることができた、いい秋の夜長だった。
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冒頭の暴力描写に引いた。
我慢して読み進めると、
わかりやすい、エンターテイメント色の濃い、
カタルシスの連続。
幼い男の物語だし、語り手もまたそうである。
女が描けていないなんていっても、
そんなの関係ない、って感じだ。
格好つけている。
作品の暗さと救いのなさとは別に、
描きたくて描いたんだろうなという
微笑ましさが残った。
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テクニックは関係なく伝えたい衝動があるならそれがブルース。
格好良すぎる。
猥雑でめちゃくちゃな展開だけど
すらすらと一気にのめり込んで読んでしまいました。
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横浜コトブキが舞台。すれたギタリストの男「村上」。ブルースの歌姫「綾」。日本刀を操るホモヤクザ「徳山」
一番切ないのは徳山さんだよ…。
村上がどーしょうもなくて最後はちょっとオイオイと思った。
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読み終えて何だかすごい世界に連れて行かれてたような感覚。危なく切なく悲しい物語。とにかく徳山のキャラが強烈だよね。笑 また男なら村上の欲望を体と心で受け止める綾は魅力的に感じるんじゃないかな。これを読んでタンカーの仕事ってどんなか少し知りたくなった。
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ブルースを読んだ。花村萬月さんは、シカゴでのことを行って書いたのかな?同じ街に住んでるが、会わない。今度知り合いのブルースマンに聴いてみようと思う。ブルースの面白みは、そういうところなのか?と疑問に持つことがある。シカゴのブルースフェスはタダで見れるという。指でリズムを取る、大物ブルースマンが普通にいたりするらしい。一度行ってみたい。
今年はジェイムズコットンが亡くなった。花村萬月さんは、コットンの話、してるかな?
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まさかこの、
暴力と性欲と、血と垢と愛憎と、まぁとにかく色んなものにまみれた小説を再読する日が来るとは思ってもみませんでした。
でもこれぞ正に“名は体を表す”な小説。
ブルースという音楽を物語で記すとしたら、これ以上にその実体を捉えたものはないんじゃないかと。そんな気もします。
ドぎつい描写も、そりゃ必要な訳です。
ブルースは決して陽気で穏便な音楽ではないのです。
Posted by ブクログ
【南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。激しい時化に呻く25万トンの巨大タンカーの中で、村上の友人、崔は死んだ。仕事中の事故とはいえ、崔を死に至らしめた原因は、日本刀を片手に彼らを監督する徳山の執拗ないたぶりにあった。徳山は同性愛者であった。そして村上を愛していた。村上と親しかった崔の死こそ徳山の嫉妬であり、彼独自の愛の形であった―。横浜・寿町を舞台に、錆び付いたギタリスト村上とエキセントリックな歌姫綾、そしてホモのヤクザ徳山が奏でる哀しい旋律。芥川賞作家が描く、濃密で過剰な物語。】
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伊坂がどこかのインタビューで花村萬月の話をしていたのと、『ホモのヤクザ』というフレーズに惹かれて読んでみた。
暴力描写が多い…ちょっと食傷気味になった。
徳山さんが恋する中学生みたいでかわいかった。(かわいいと形容するには物騒すぎるおっさんかもしれないけど)
Posted by ブクログ
横浜・寿町を舞台に、錆び付いたギタリスト村上とエキセントリックな歌姫綾、そしてホモのヤクザ徳山が奏でる哀しい旋律。
芥川賞作家が描く、濃密で過剰な物語。
Posted by ブクログ
花村先生の初期の作品群の中では、これが好きです。緊張感もさることながら、スピード感があるんだよなあ。長さをあまり感じさせない作品です。あっという間に読み終わっちゃう、夢中になって。