あらすじ
終戦直後の新宿。街の殆どが瓦礫と化し、明日の行方も見えぬ混乱の中、三人の男女は出逢う。僅かな金と煙草で組事務所の襲撃を請け負った特攻崩れの城山龍治。朝鮮人であることを隠しながら頭脳と美貌でのしあがろうとする林敬元。疎開先で強姦されそうになり東京へ流れてきた天涯孤独の生娘・岡崎百合子。苛酷な運命に抗いながら見えない糸で絡まり合っていく三人の壮絶な人生を描破した、昭和スペクタクル小説、ここに開幕!
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Posted by ブクログ
昭和20年。戦後の空気感が映像もない、文字だけの世界で情景がリアルに伝わる。
常に「死」というもが隣り合わせの混沌とした状況。
戦争の敗北により今まで正解だと思っていたことが不正解になり、不正解だと思っていたことが正解になる。まさに革命元年。
そんな時代の日本で、懸命に生きようとした3人が織りなすワルツ=3拍子の物語。
刹那的でどこか美しい。
だがそこにはある種、狂気的な残酷性も感じられる。
そんな上巻だった。
今まで読んだ小説の中でぶっちぎりの第一位
早く続きを読みたい。
Posted by ブクログ
憎しみいっぱいに人を愛すとはどういうことか。花村先生の本を読むたび思う。愛されたいと思わない恋愛はフィクションでしかない。リアルな恋愛はえげつない。憎しみと向き合えるのか。
Posted by ブクログ
終戦直後の新宿での話。
任侠モノと言えば確かにそうなのだけれども、わずか70年前の東京をこの目で見ているかの様な描写に、ついつい任侠モノだと言うことを忘れてのめり込んで読んでしまいました。
ちなみに私、映像での暴力シーンが本当に苦手で
血なんか出ちゃったもんなら即座にテレビを消す。
他人の血を見ることも苦手なら、自分の血ですら
うわぁ…となるくらい血を見るのが苦手です。
でも何故か文字なら平気なんです。
多分、頭の中で血が出てくるシーンにモザイクをかけているんでしょうね。
この小説は割と暴力的。でもって性描写も中々凄いものがあります。
苦手な人は苦手だろうなぁと思うジャンルですが、私は500ページ以上ある本をまさに一気読みで読んでしまいました。
軸になる三人がそれぞれ出会い、中巻でどうなるのかが楽しみ。
Posted by ブクログ
204.8.10ー57
花村満月炸裂のエログロさや、戦後の混乱期の悲惨さの中にも、これは大人の為の任侠世界を舞台とした童話ではないかと思わせるものがある。
Posted by ブクログ
終戦直後が舞台の極道小説。
花村萬月さんは昔から好きな作家で、
「ゴッドブレイス物語」「皆月」「ゲルマニウムの夜」あたりを読んでました。
まー、とにかく暴力と性を描かせたら一級品なんですが、
最近ちょっと丸くなったのかな?
「ゲルマニウムの夜」の頃はなんというかこう、
鋭利なものを突きつけられるような緊張感があったのですが
本作ではちょっと角が取れて、暖かさみたいなものが混ざり、
若干のメロドラマ的描写も許容されてます。
とはいえ読ませる力はすごい。
戦時中は鬼畜米英などと言っていた日本政府が
戦後はアメリカに媚び、
自ら特殊慰安施設協会なる売春施設まで作って
ろくに仕事の内容も知らせないまま集めた1000人以上の婦女子に
米兵の相手をさせたとか。(数ヶ月後には自殺者が出た)
時代に絡んだ結構大事な話も出てきます。
上巻は今のところ儚げな任侠ばなし。
これから怖気をふるうような超展開があるのかどうか。
果たして。