あらすじ
獲るぞ、新人賞!
目指せ、エンタメ作家デビュー!
小説推理新人賞、小説現代新人賞、文學界新人賞……数多くの新人賞の選考委員を務めた作家だけが知っている、新人賞受賞のための一本道! 覚悟を決めた貴方だけに向けた全35講。
「能力や才能といったものを特別扱いしていませんか。バカと鋏は使いようという私に向けたかのような失礼な諺がありますが、これは能力と鋏は使いようとしたほうが正しい。『たった独り』の貴方は能力や才能のあるなしを悩む前に、それらの使い方、用い方を考えましょう。だいじょうぶ。その他大勢でない『たった独り』の貴方にはそれらを自在に使う能力が備わっています。ヒントはこの本にしっかり詰め込んでありますから」(「あとがき」より)
主な目次……「日記を書く」「小説にオチはいらない」「セックスを書いてみる」「嘘をつくセンス」「新人賞に応募する」「描写と説明1~3」「テーマとモチーフ」「辞書を引く」「地図を描く」「段落の作り方」「エンタメ作家の心構え」「承認慾求と名誉」など。
感情タグBEST3
やけにお高い、お値段が
作者さんは根がお人よしなのが良くわかりました。
ディケンズや吉川英治と同じに括られないにしても近い生い立ちなのかもしれません。
お好みで
Posted by ブクログ
☆3.5 毒に充ちた本
良い本だ。
だけど、一息に読まうとすると疲れてしまふ。花村が治療時にベッドのうへで書いたものだからかもしれないけど、それにしても息がつまるのだ。
小説の具体的な書きかたぢゃなくて、精神上。いや具体的な話はあるのだけど、ここをかうしろああしろとかいった、細かいことは書いてない。すくなくとも虚構を売り物にしたいのなら、こころにとどめておけ。といったもの。
比喩を減らせ。とか、セックスは起承転結だからセックスを書け。とか。
それはさうだよな。私もいぢはるになるけど、この本はやはり全面的にただしい。ただ文学志望者を打ち砕く。
Posted by ブクログ
よくある生易しいハウツー本ではなく、焦点を「たった独り」に絞ったところに、花村萬月の歯に衣着せぬ小説家としての矜持が現れすぎている一冊。
しかも病気に侵されながらも、多数執筆している中で、この一冊も作り上げているということを知れば、まさに精魂を削ったものなのであろう。
小説家に限らず、例えば一流の漫画家でもそうだが、やはり所謂普通の生活からは逸脱していて、ただ小説を書く、漫画を書くという衝動に抗いがたいものなのであろう。それは実力を得て、種々のものに変化していくかも知れないが、根底は変わらないのであろう。
小説は虚構、しかも完全無欠の整合性を精密に作り上げなければならない。今度はこういった視点で読んでみるか。