ウィリアム・シェイクスピアのレビュー一覧
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「これほど美しくこれほど危険な女はいなかった。」
〈あらすじ〉
ヴェニスの黒人将軍オセローは白人貴族の娘であり若く美しいデズデモーナと恋に落ち、周囲の反対を押し切り秘密の結婚をする。そんな二人の仲をオセローの手下であるイアーゴーが引き裂こうとし、デズデモーナの不倫を捏造する。まんまとイアーゴーの手のひらの上で踊らされるオセローは悲劇を生む。
〈オセローのコンプレックス〉
この物語は簡単に言うと「妻を信じきれなかった黒人おじさん」と「濡れ衣を着せられ夫に殺された白人お姉さん」の話で、オセロー(おじさん)に非難が集まることは容易に想像できる。ただ、差別が絶えない時代で黒人として生まれ、また自分よりいくつも年下の女性を愛してしまった彼は、いつ自分より若い男に、或いはより力を持った白人の男に、妻を奪われぬか不安だったに違いない。彼が自分に自信を持ちイアーゴーの嘘に踊らされずデズデモーナと話し合いができたなら、こんな悲劇は起きなかっただろう。人間なら誰しも持つコンプレックスや弱さが生々しく描かれたキャラクターだと感じた。
〈私利私欲の塊イアーゴー〉
本作品は主人公オセロー改めイアーゴーと呼ばれる程イアーゴーの存在感が大きい。実際にオセローよりイアーゴーの方が台詞も多い(らしい)し、このキャラクター無くしてこの物語は成り立たない。そんな彼の動機がこの作品ではいまいち伝わりにくかった。私の見落としかもしれないが、ネットで調べると副官に選ばれたい、というものだったので、それならもっとイアーゴーの人柄や仕事に対する情熱が伝わる場面があっても良かったのでは、と思った。
四大悲劇のうちの一つであるオセロー、コンプレックスと嫉妬が生んだ悲劇だった。 -
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ある批評家が「粗暴で下品」と評しているのを見て、逆に興味が湧き、衝動買いしました。結果、この戯曲はとても面白く、大いに笑えました。
もしこの芝居を一言で表すなら、「シットコムの古典」です。登場人物の複雑な関係性と、舞台上の混乱を巧みに利用したストーリー展開は、現代のコメディにも通じるものがあります。人物の出入りの指示には緻密な計算が見られ、すでにシェイクスピアの非凡な作劇術が表れていると感じました。
現代の価値観にそぐわないという批判も理解できますが、上演時間が2時間未満とコンパクトで、舞台上ではスピード感あふれるドタバタ劇が繰り広げられます。難しいことを考えずに楽しめ、シェイクスピア入門としてぜひおすすめしたい佳編です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(夏の夜の夢は、昔学校でやらされたので今回は割愛。キモい話だが、最後のパックの言葉が好きだよ。
00年代の映画も楽しかったし、メンデルスゾーンの妖精の歌も大好きです。)
越智敏之「魚で始まる世界史」を読んでいて、シェクスピアのあらしに魚関係の言葉が出てくる背景の解説があり、あらしってどんな話だったっけと思って再読。
私の持つ文庫は古いやつでこんなおしゃれな装丁ではなかったけれど。。。
再読する前に覚えていたことは
プロスペローという怖いおじさんと娘と島の話だというくらいだった。
(そういえばガンダム水星の魔女は、あらしをモチーフにしているんだったなと思いつつ読んだ。確かに、プロスペローは娘よりエアリアルをずっと大事にしているようである…ぎゃふん。)
キャリバンのくだり、けっこう泣けるよね。
可哀想ですらある。
酒の力で変な奴をありがたがるエピソードって、夏の夜の夢のロバ男にも通じるよね。
魚の世界史のおかげでぐっと解像度が上がって、あらしの面白さもわかってきた。
この島は、地中海にあるアメリカ風味のアイルランドであるらしい…。
物語の最後に、プロ親父が急に改心するのはよくわからんけど、能・恋の重荷みたいなかんじか。
ゴンザーロが気になった。ゴンザーゴに似てるからか、大きなキャラかと思ったが、ちょっと消化不良。
今回、マンガ・エマで、ドロテア夫人が英詩を口ずさんで、エマが夏の夜の夢、とつぶやくシーンに登場した英詩が、あらしのものだったと分かった。ビックリした。アニメ版では修正されてるらしいが、マンガの編集者、ちゃんと仕事して。当時もツッコミの嵐だったのでは。あらしなだけにーーー。 -
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忠実な武将だったマクベスが、魔女の言葉に唆されて王を殺して王位を奪うも、最後には全てを失って殺されてしまう。
一言で言えばそんな物語。
魔女の話を聞いた時にマクベスは「そんなバカなことがあるか」と言いながらも、満更でもない感じでした。元々心の中にそんな野心があって、「じゃあその予言に乗っかるか」みたいな感覚もあったのではないかなと思います。
野心は必要かもしれないけれど、人としての仁義は捨ててはいけません。
それを持たないなら、人ではなく獣や悪魔と変わらないのかもしれないな、と思います。
約400年前の物語を今でも数百円で読むことができるというのは、やはり本は素晴らしいなと感じて読みました。 -
Posted by ブクログ
マクベスと並ぶか、たぶんそれ以上に暴虐を繰り返す悪の権化みたいなリチャード三世の物語。王であるお兄さんの死をきっかけに、いかにして自分が王に登り詰めるか、という話。
シェイクスピアの作品でおれが初めて読んだ歴史劇。オセローとかマクベスみたいなその場で始まってその場で完結する物語とは違って、この前の時代にも話があり(「歴史劇としては『ヘンリー六世』三部作の続編」(p.227)らしい。)それを背景として話が進んでいくというのが難しかった。薔薇戦争、とかよく分からない上に、何といっても公爵とか騎士とか登場人物が多くて誰が誰なのかよく分からないし、しかもエドワードとか何人かいたり、場面に応じてリチャード三世がグロスターと呼ばれたり、p.8に書いてある相関図を見ながら話を読んでいたけど、この相関図に出てこない人物もたくさんいるようで、何となくしか分からなかった。これを上演するためには一体何人の役者が出てくるんだろ、って感じ(だから登場人物を減らしたバージョンも作られたらしい)。
マクベスをさんざん読んだので、マクベスと比較するとやっぱりリチャード三世の方が極悪の悪ガキみたいな感じがした。注釈のところに「Qには、『誰だ』の前に『うひゃあ!』(Zoundes)という驚きの言葉がある」(p.214)とか、うひゃあ、とかマクベスは絶対言わなさそう。ちなみに辞書で調べるとzoundsという言葉はGod's woundsから来た言葉で、古い「ちぇっ、くそっ」だそうだ。四幕四場で使者が報告しにきた時に、ト書きで「使者を殴る。」(p.192)とか一言書いてあって、ちょっと笑ってしまった。あとやっぱり注釈が面白いが、「原語のissueには『結果』と『子供』の両方の意味があり、このリチャードの台詞には性的意味合いが込められている」(p.133)とか、issueのそういう意味を知らなかったので勉強になった。ちなみに辞書ではin the issue「結局は」、bring a matter to an issue「事件に決着をつける」、die without male issue「男の跡継ぎなしで死ぬ」という表現があるらしい。あと随所に「坪内逍遥が誤訳して以来、誤訳がまかり通っていた」みたいな注があって、やっぱり初めの人が誤訳するとその影響って結構あるものなんだな、と思った。
ということで、もうちょっとあらすじを読んだり、もう何回か読めばリチャード三世も面白いかな、と思った。ロンドン塔に行ってみたくなった。(25/03/16) -
Posted by ブクログ
ネタバレ中世の二人の真っ直ぐな恋にドキドキし、二人を取り巻く境遇や運命にハラハラさせられる作品。
対立する家柄の二人が恋に落ちて...と言う設定には凄く気持ち揺さぶられますね。
話の流れは非常に面白いのですが、訳が私には合わなかったです。
まず、古文の様な言い回しが非常に読みにくく、登場人物の口調がバラバラな上に
江戸っ子のような口調で会話するのでヨーロッパらしさを感じない。
また、要所要所で仏教用語が挟まれるのですが、こちらもヨーロッパらしさをかき消しています。
好みあるかと思いますが、この点で他の訳を読むことをおすすめします。
(他の訳は読んでいないので、どちらがおすすめかはわからないです。)
本書は舞台の脚本形式のため、この点でも読む人を選ぶかもしれません。