ウィリアム・シェイクスピアのレビュー一覧
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ちくま文庫版シェイクスピア全集第15巻。それぞれ事情のある男女たちがアーデンの森の中で繰り広げる恋愛喜劇。
シリアスな事情でアーデンの森に逃げ込んでくる若い貴族の男女と、もともと森に住むカップル未満の男女。男装するヒロインが彼らを煙に巻き、冒頭のシリアスさはどこへやら、スラップスティック・コメディ的な楽しさを提供してくれる。会話劇の面白さや、名言・名文句などの魅力が大きく、シェイクスピア作品の中でも原文で読むか舞台で楽しむということの意味合いがより強いタイトルに感じた。とはいえ、本訳はわかりやすい訳注もあるので楽しんで読めた。「この世界すべてが一つの舞台、人はみな男も女も役者にすぎない。…… -
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ちくま文庫版シェイクスピア全集第10巻。商業都市ヴェニスと架空の都市ベルモントを舞台に金と愛の取引を描く。
短いにも関わらず、いくつもの要素が混みいった構成になっていて、非常に密度が高い。商人のアントーニオが窮地に陥る「人肉裁判」がメインに思えるが、シャイロックを通してユダヤ教徒とキリスト教徒の関係性の問題が描かれていたり、「金銀銅の箱選び」や指輪のやり取りで結婚や夫婦関係の問題を扱っていたりなど、奥が深くて一読では消化不良となった。裁判の痛快さと喜劇の余韻を味わったあとは、何度も読み込んだり、他の解説や考察などに触れて思索を必要とする作品だと思う。しかしこの奥さんはちょっと恐いかもなぁ(汗 -
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ネタバレシェイクスピア四大悲劇のひとつ。日本人にも馴染みの深いゲーム、リバーシの商品名の由来元。黒と白は肌の色。
テーマは「嫉妬」。シェイクスピアの他作品に比べると物語の構造は比較的単純で、わかりやすい話ではある。あらすじだけ見ても面白くないかもしれない。しかし実際の会話文に触れていくと読者にもドズ黒い感情が喚起され、嫉妬からくる苦悩という恐ろしい体験に巻き込まれてゆくところが、シェイクスピアのすごいところなのだろう。クライマックスに到るまでの盛り上がりが激しく、結末自体はおおよそ予想がつくものの、ラストのセリフでは予期しなかった感動を目の当たりにすることになる。
天才的な悪知恵であるイアゴーへの -
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ネタバレ高校生の時以来、10年ぶりくらい?に再読。当時シェイクスピア作品を他にも読んでいたが、どれもふーんという感じであったので、私も若い時があったのだなあとしみじみ…。読み返してみたら、これが本当に面白い。。信頼している福田恆存の訳で。
II-2
「燃ゆる星 空行く日
疑うきみの 心かなしく
見せまほし わが心
いつわりの世に まことのあかし」
訳が美しいです笑
Doubt thou the stars are fire,
Doubt that the sun doth move,
Doubt truth to be a liar,
But never doubt I love.
III-1
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ネタバレシェイクスピア四大悲劇の一つ。リア王と三人の娘たちの話、グロスター伯爵とその二人の息子たちの話が交差する。
冒頭、ちょっと言葉が足りないだけで、いきなり激高するリア王には面食らった。甘言の心地よさに惑わされ、最も愛ある娘の真意を読み取れぬ浅はかさ。切り捨てられても愛と忠誠を貫く娘と家臣の気高さ。親を裏切る息子、勘違いを受けて好機を待つ息子。そういった様々な人間の思惑、言動が胸にしみる重厚な物語だ。単に悲劇的なだけではなく、人間の愚かさと高潔さが、彩り濃く描かれていることが非常に印象深い。全滅エンドではなく、これだけの悲劇がありながら、わずかに希望を感じさせる終わり方をするのがすごく良かった。 -
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ネタバレ2021年に個人での完訳を達成した松岡和子による『ちくま文庫版シェイクスピア全集』第1巻。1996年刊行。
あまりにも有名なタイトルなので、以下ネタバレあり。
王子が復讐を誓うところから物語は始まるが単純な復讐譚とはならず、陰謀や不運が重なってまさかの全滅エンド。そこに至るまでの経緯の複雑さと謎の多さ、結末の絶望感のインパクトが深く心に残る。格言めいたセリフが多く、それらを単発で抜き出しても味わい深い。日本語訳ではどうやってもわかりづらい言葉遊びなどもこの翻訳では注釈が詳しいので助かる。
1600年頃に書かれて以後繰り返し上演され続け、日本での翻訳も多数である文学史上の傑作『ハムレット -
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シェイクスピア四大悲劇の一つ。
私にとっては、これが2作目に当たる。
かなり面白かった。
ハムレットは父を思うがゆえに悲劇に陥った。
オセローは妻への愛が裏切られたために悲劇に陥った。
どちらも家族を思う愛が悲劇を招いている。
愛と憎は表裏一体の関係にあることを気づかせてくれた。
あと、ストーリー展開が実は単純なことに驚く。
オセローを恨む者がオセローを貶めようとするのだが、この策略はとんとん拍子で上手く行く。
もちろん、この方法はストーリーの軸ではないのだが、こんなに簡単に策略が上手くいくのを見ると、「この作品はやはりフィクションなのだ」と気づく。
事実は小説より奇なりというが、まさにそ -
購入済み
原作の作品は知らないけれど、漫画としてテンポが良くおもしろく読めました。
パワフルな主人公がかわいい。
ずっと共学だったので、男子校女子校という世界にちょっとあこがれます。 -
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ネタバレ複雑なジェンダーの仕掛け、
有名な台詞、密度の濃くなっていく反復や掛け合い等、
ポイントが多く読み応えがある作品。
訳者あとがきに挙げられた反復や掛け合いの台詞読後全て確認。
ほとんどが読めば思い出せるもので、
舞台映えしそうだと感じた。
この部分だけでも他の訳や原文が読みたいと思った。
追放された兄弟、男装するヒロイン等
おなじみのモチーフの数々は実家のような安心感。
シーリアのお相手は誰になるのだろう?と読み進めていたら
まさかの人物で笑ってしまう。これはずるい(笑)
男装する前からジェンダーの垣根を越えるように
生き生きとしているロザリンドが大好き。 -
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ネタバレシェイクスピアおなじみの「思い込みによる悲劇」の上、
登場人物が少なく企みの中心には
常にイアゴーがいるのでとても読みやすかった。
イアゴーが自身を積極的に悪役としている姿勢はリチャード三世を思い出させる。
誰が見ても立派な軍人であるイアゴーが
鬱屈したものを抱え込んでいるというのが熱い。
四大悲劇の中では『オセロー』が一番好きかな。
ハンカチを盗むのに関与していなければ、
エミリアを純粋にデズデモーナの忠臣として見ることができたのだが……
自分のした事が主人の災いになるというのが
悲劇性を増すのだろうか?
ともかく、オセローはじめ主要な登場人物が顛末を把握した上で終幕となる展開は好み。 -
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バレエの演目が大好きで、思い出深いこの作品
学生時代以来で読んだけど、この品のあるドタバタ喜劇、面白くて面白くて笑いながら読みましたー。
楽しかった☺️
戯曲がこんなに楽しく読めるようになったはお嬢が演劇やってくれたおかげかと思う。
一緒になりたいライサンダーとハーミア、
ハーミアの父から信頼を置き、ハーミアを想うデメトリアス、
デメトリアスに恋するヘレナ。
この4人が、妖精の王オーベロンと、パックの媚薬せいで恋敵が入れ替わり…
恋のお話しもやっぱり好きだけど、
大公が庶民の演技をあたたかく見守る、
5幕の劇中劇のシーンがなんだか良かったなぁ。
出来るトップは部下たちをも尊重するのね…