あらすじ
ムーア人の勇敢な将軍オセローは、サイプラス島の行政を任され、同島に赴く。副官に任命されなかったことを不満とする旗手イアーゴーは、策謀を巡らせて副官を失脚させた上、オセローの妻デズデモーナの不義をでっちあげる。嫉妬のあまり、妻を自らの手で扼殺したオセローは、すべてが、イアーゴーの奸計であったと悟り自殺する。シェイクスピアの後期の傑作で、四大悲劇の一つ。
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この作品はオセローが主人公ではありますが、実はイアーゴーの方が出番が多く、しかも生き生きと描かれます。イアーゴーがタイトルでもいいくらい彼の奮闘ぶり、策の鮮やかさが描かれています。 『アラジン』のイアーゴもそうですが、人を騙す悪役ではあるのですがなぜか憎めない不思議な魅力があります。そんなイアーゴーの立ち回りもぜひ楽しんでみてください。 個人的にこの作品は大好きな作品です。人間の狂気、混沌を覗くかのような感覚を味わうことが出来ます。シェイクスピア作品でも屈指のおすすめ作品です。
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シェイクスピア四大悲劇の一つ。
私にとっては、これが2作目に当たる。
かなり面白かった。
ハムレットは父を思うがゆえに悲劇に陥った。
オセローは妻への愛が裏切られたために悲劇に陥った。
どちらも家族を思う愛が悲劇を招いている。
愛と憎は表裏一体の関係にあることを気づかせてくれた。
あと、ストーリー展開が実は単純なことに驚く。
オセローを恨む者がオセローを貶めようとするのだが、この策略はとんとん拍子で上手く行く。
もちろん、この方法はストーリーの軸ではないのだが、こんなに簡単に策略が上手くいくのを見ると、「この作品はやはりフィクションなのだ」と気づく。
事実は小説より奇なりというが、まさにその通りだ。
現実は様々な要因が複雑に絡み合うため、策略通りに物事は進まない(気がする)。
何が言いたいかと言うと、『オセロー』はストーリー展開がわかりやすいため、オセローの妻への思いが愛から憎へ変化する心理変化が読者に伝わるになっている、ということだ。
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初めてシェイクスピアを読んだ。戯曲のリズム感や言葉遣いに最初は戸惑い、なかなか読み進まなかったが、馴れると問題なし。面白かった!
高い地位に立つと、様々な思惑を持った人が近づいてくるし、敵も多くなろう。どんなに高潔で武勇があるオセローといえども、イアーゴーの罠にあっさりとかかる。リーダーとは、周りの意見を取り入れ組織を動かしていかなければいけないが、その意見が正しいのか、別の見方があるのかを冷静に判断していかなければならないということだろう。
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シェイクスピア四大悲劇。
ハムレットとは違い、こちらの悲劇は人間による人間だけの悲劇。凝った情景描写や心理描写は戯曲のためないのにもかかわらず、これほどまでにひとの心を描き出せるのは、やはり文学にはない演劇の魅力なのだと思う。
愛はなんて淡い夢なのか。あれほど強く約束しても、ちょっとしたことですぐにすれ違う。通じ合っていたものが投げ合いに変わる。永遠の愛なんてどうやって信じればいいのだろうか。それにひとは裏切るもの。
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重臣を信じるあまり、妻を信用しなくなることから起こった悲劇の連続。1人の男以外誰にも相談せず決めつけてしまった。色々な人から話を聞くべきだった。
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イアーゴーは何故オセローを恨み、すべてを賭けてオセローを陥れようとしたのか。リチャード3世のように身体的なコンプレックスから悪事に手を染めるといった経緯がイアーゴーにはない。イアーゴーによる、オセローへの「(自分の名誉を傷つけられたことに対する)怨念」、キャシオーへの「男の嫉妬」、デズデモーナへの「逆恨み」が、オセローへの復讐に向かわせた。なるほど人はそうしたことを考えるかもしれない。ただ、ここまでの大がかりな企てに走るというのは現実的ではないように思える。イアーゴーはシェイクスピアが描きたかった「人間の本質」ではなく、世間一般の悪意を表すものとしての舞台装置として考えてよいように思う。
一方で、オセローはなぜイアーゴーの罠に落ちたのか。歴史的な背景からして、オセローがムーア人であることをコンプレックスにしていたということはないだろう。また、言動からして極度のやきもちやちということでもない。
オセローに至らぬところがあったのだとすれば、ただただオセローがそうした悪意に対して備えが甘かったこと。そして、自分の能力を信じるあまり、事実や状況の判断に失敗したこと。いかに優れた人であっても一歩あやまれば破滅が待っている。これほど恐ろしいことはない。
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四大悲劇(ハムレット、オセロ―、リア王、マクベス)の中で、『ハムレット』に次いで2番目に作られた作品。
シェイクスピア作品は、限られた登場人物の中に多様な人間関係・人間心理が織り込まれているものが多く、また、本作品以外の四大悲劇は、作品名となっている主人公が、その多様さ・複雑さを体現する中心人物として描かれているのだが、本作品については、ヴェニスの軍隊の指揮官であるムーア人のオセローよりも、むしろ、あらゆる関係者を騙し、死に追いやる、側近で旗手のイアーゴーの存在感が極めて大きい、珍しい作品である。
また、本作品の特徴の一つは、言うまでもなく、オセローがムーア人である点だが、本作品の種本(チンティオの『百話集』)において、主人公はムーア人とされているものの、シェイクスピアが、主人公を白人ではなくムーア人のままとしたことの意図については、諸説あるらしい。作品の中でオセローは、白人の妻デズデモーナが、自分が「黒人だから」心変わりをしたのではないかと訝る場面はあるものの、全編を通して差別的な描写はほとんど見られないし、むしろ、シンプルに言えば、武力に優れながら、素直に人を信じるムーア人を、不誠実な白人が騙したという構図は、当時は異質とも言えたのではないだろうか。(尚、「ムーア人」とは、現在においては、当初、北アフリカの先住民であるベルベル人を指していたものが、中世に、北アフリカからイベリア半島に住むイスラム教徒全般を意味するようになったとされているが、400年前のシェイクスピアの時代に、どのような人(人種・民族)を表していたのかはっきりしない)
イアーゴーの複雑な立ち回りが、現代のサスペンス小説・ドラマにもなりそうな、シェイクスピア悲劇の傑作である
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シェイクスピアの4大悲劇の一つということで読んだ。ムーア人のオセローは美しいデズデモーナと結婚する。部下のイアーゴーが策謀を巡らせ副官のキャシオーをオセローから不信とさせ、オセローの妻デズデモーナの不義をでっち上げ、オセローはまんまと策謀に騙され妻を殺してしまう。イアーゴーの策謀の卑劣さは許せん。最後捕まり自白し刑に処するがざっまあみろだが、オセローがあまりに人を信じすぎるのが悲しい。一番可哀想なのは純粋だったデズデモーナ。悪党のイアーゴーの妻エミリアが正義の人で良かった。
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貞淑で誠実な妻より奸計をめぐらす旗手を信じてしまった哀れな男オセローの物語。イアーゴーのことを「誠実な男」「忠臣」と何度も呼び、読者である私は何故この男の言葉はあっさり信じるのか、と呆れてしまう。
やったことを証明するより、やっていないことを証明する方が難しいもので、デズデモーナもその例に洩れず殺されてしまう。
四大悲劇はどれもマクベスを除き、罪のない女性の死が主人公の死よりやるせない。
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人を信じることは非常に難しい。まさか裏切るとは思わぬ全幅の信頼を置いている人でさえも、永遠に信用できるものではない。何とも悲しい結末であった。
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オセロー
(和書)2009年03月05日 19:16
1973 新潮社 シェイクスピア, 福田 恒存
嫉妬の炎に身を委ねてしまったオセローはその情念の発生する諸関係を最後の死の場面になってようやくくつがえしたのかもしれない。
しかしそれは諸関係に敗北したと言うことなのだろうか?
無条件的命令が死であってはいけないと強く思う。ただ死であっても別の何かであることはありえると思う。
Posted by ブクログ
ひどい。。作品がということでは当然ない。運命というかイアーゴーというか。デズデモーナもオセローも可愛そう過ぎる。筋を知っていて読むからか、一層辛かった。
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シェイクスピア四大悲劇のひとつ「オセロー」。
勇敢な将軍オセローが副官に任命されなかった不満うぃ抱く旗手イアーゴーの策略に堕ちる。イアーゴーのでっちあげたオセローの妻デズデモーナの不義を嫉妬したオセローは、愛する妻を絞め殺してしまう。
「オセロー」については、四大悲劇のひとつということ以外の予備知識は殆ど無い状態で読んだが、戯曲に対する先入観がなくなったおかげか、特に読みにくさもわかりにくさも感じることなく愉しめた。
オセローを欺くために、隠れさせたオセローに聞こえるように副官キャシオーとイアーゴーが話す場面などは特に面白かった。
愛し合っているのに、何故一言相手に訊ねて疑いを晴らさないのか。
こういうことは今も昔も変わらない。
当事者でなければ、訊けばいいのに馬鹿だなあ、というところだが、それが出来ないからこそ悩むのだ。
最も大切なひとだからこそ、最も言わなければいけないことが言えない。
勇敢な将軍であっても、愛する妻の心が離れてしまっていることを直接妻の口から聞くのは恐ろしい。このまどろっこしいような愚かさが人間らしい。
万策尽くれば、悲しみも終わる、事態の最悪なるを知れば、もはや悲しみはいかなる夢をも育みえざればなり。
過ぎ去りし禍いを歎くは、新しき禍いを招く最上の方法なり。
運命の抗しがたく、吾より奪わんとするとき、忍耐をもって対せば、その害もやがては空に帰せん。
盗まれて微笑する者は盗賊より盗む者なり、益なき悲しみに身を委ねる者はおのれを盗む者なり。(p35)
貧にして足る者は富める者(p102)
深い言葉だ。
Posted by ブクログ
オセローを陥れる イアゴーも悪い奴だが、オセロー自身も浅はかだ。出てくる人はみんな表面的にそう思われている人格では無かった・・ ということでもあるんだなあ。女性の書き方が単純すぎるよ シェイクスピアorz
Posted by ブクログ
シェイクスピアさんは、悲劇の十年の前に愛人を敬愛していた紳士に寝取られたという過去を持っていたそうだ。事実そうかどうかは、わたしが怠惰な質なので未だ明確にはなっていない。
しかし、オセローはそこを乗り越えるために書かれた戯曲なのではないかと。そうわたしには思われてならない。世の女性の淫らさを詰り尽くすことで逆に聖なる存在に祀り上げる。確かに福田先生が仰るように祭儀的(しかも、猜疑的。)な演劇である。
きっと、シェイクスピアさんはオセローになりたかったに違いないな。わたしもなりたい...
Mahalo
Posted by ブクログ
これは...凄い作品です...ね...他に類を見ない悪人の筋書きに言葉通り仰天しました。イアーゴーの悪計に踊らされ、オセローが猜疑心や嫉妬心に苛まれていく様は悪夢以外の何者でもない。序盤の堅物は何処へやら、あれよあれよと言う間に復讐の鬼となってしまいましたね。デズデモーナが不憫で仕方ない。人の業とは恐ろしいものですね。
Posted by ブクログ
オセローとデズデモーナは、デズデモーナの父の反対を押し切ってまで結婚をする。だが、オセローの旗手イアーゴーの企てによって、デズデモーナとキャシオ(副官)の不倫をでっち上げられてしまう。最後はオセローの手でデズデモーナを殺させてしまう。オセローもその後、嘘だったことがわかり、罪の意識か自殺をする。
Posted by ブクログ
優秀な武人で指揮官を務めるほどであるからには、オセローは客観的に物事を見るということに長けていると思う。そんな人物でもイアーゴーの発言に踊らされた、ということはつまり、オセローはデズデモーナの愛情を信じ切れていなかった、ということではないだろうか。
これはオセローがムーア人であるからという単純な理由だけではなく、恋愛における、他の場合でも通用する一つの課題を描いているのだと思った。
Posted by ブクログ
シェイクスピア四大悲劇のひとつ。主人公オセローとその旗手のイアーゴー、二人の対立軸をベースに読むと、本作の内容をつかめる。オセローの人間に対する信用が、結果的に破滅へと導き、自身の身を滅ぼしてしまう。ここで一つ注意しなければならないことがある。それはムーア人に関して誤解してはならない点である。解説でも言及されているが、ムーア人は、現代の北アフリカのモロッコにあたる所で、本作で黒人と見なされるオセローは、サハラ以南にいるような黒人ではない。
Posted by ブクログ
ハムレットに続いて四大悲劇第2弾
舞台はヴェニス
主人公オセローは「ムーア人」
ムーア人ってよく聞くけどいまいちわからない
(サロメにも登場したなぁ…)
「ムーア人とはむしろ、スペインをその時々に支配したイスラム教徒やアフリカ系の人々などを表す概念…」
(「NATIONAL GEOGRAPHIC」のネット記事にあったのだが、「概念」というところがミソだ 民族に疎い我々にはなかなかわかりづらい)
本書においてはムーア人が黒人ぽく書かれているが、人種的にはコーカソイド(地中海集団)になるらしい
ここでは差別的象徴のように「ムーア人」を使っている感じがする
オセローはヴェニスの軍人でムーア人と少々差別を受けながらも優秀っぽい
最初の印象は誠実で優秀で冷静沈着、高潔な感じの優等生タイプ
彼の人生は波乱万丈で、(千夜一夜物語っぽい)苦労を乗り越え、今の地位を掴んだのがうかがえる
そんなオセローに惚れ、彼も気に入ったデズデモーナは由緒ある純潔な娘
父の反対をも克服し晴れて結婚した二人
幸せの絶頂ともいえるのは束の間…
ここに刺客現わる!
オセローの信頼おける部下イアーゴーだ
ムーア人の将軍に仕えることがお気に召さないのか、オセロー自身が気に入らないのか
とにかくイアーゴーはオセローを憎み、破滅させてやりたい!とメラメラしている
イアーゴーは言葉巧みに人の心を操り、意のままに人を動かしてしまう天才的な悪いやつ
あれよあれよとオセローはイアーゴーの悪だくみにハメられていくのだが…
あれほど揺らぎなく愛し合っていたはずの二人が
まさかのイアーゴーの罠に落ちてしまうのだ!
オセローの性格からしても驚きの展開なのである
イアーゴーのゲスな企みがこれほど皆の運命を狂わせようとは…
生真面目なオセローの狂気がなんだか切ない
ムーア人としての引け目を覆すほどの積み重ねてきた彼の信頼性と実績と美しく純潔な妻…
ああ、全てが一人の罠で泡となる
結構突っ込みどころは満載で、不自然なところも否めないのだが、内容を知らずに読むのはやはり想像力を刺激されるので楽しめる
それ以外に面白いのがシェイクスピアの豊かな表現力
もちろん翻訳者の力量もあるとは思うが…
気に入ったやつをピックアップしてみた
■「体面」ってやつは…
およそ取るに足りぬ、うわつらだけの被せものにすぎない
手に入るときは手に入るし、失うときは失うようにできている
(説得力あります!)
■「酔っ払い」ってやつは…
酔っ払いの悪魔の気まぐれ、勝手に暴れておいて、あとは癇癪の悪魔に肩がわり
(どうにもならないのよ~と伝わってくる)
■「嫉妬」ってやつは
何かあるから嫉くのではない、嫉かずにはいられないから嫉くだけのこと、嫉妬というのはみずから孕んで、みずから生まれ落ちる化物
(確かに 自分の中からしか生まれない そして生かすも殺すもあなた次第)
最後に…
この時代って本当に女性蔑視がひどいのかしら?
女性に浴びせる言葉暴力的過ぎて、さすがにちょいちょい不愉快
当時は普通だったのかな…
それでも健気に頑張る女性像も見どころ
にっくきイアーゴーの妻が脇役ながらに光っていた
Posted by ブクログ
なぜ主人公をムーア人と特定しているのか。勇敢、乱暴者というイメージが当時あったのだろうか。オセローはもちろんだが、エミリアも途中で、おかしいと気づいてもおかしくない。イアーゴーの陰謀も決して緻密ではなく、途中露見するリスクを自身持っていても良さそうに感じた。2020.4.7
Posted by ブクログ
どんなにきれいな言葉よりも
いっちばん共感したのは下のシーン
『オセロー』で、酒の勢いで暴れて地位をなくしてしまった
キャシオーという登場人物のせりふ
「ああ、ちくしょう、どこにいるのだ、酒の神め!
まだ名前がないなら、悪魔と呼んでやるぞ!」
Posted by ブクログ
シェイクスピア『オセロー』新潮文庫
ー邪推にはもともと毒がひそんでいる、そいつが始めは嫌な味がしない。しかし、ちょっとでも血の中に染みこむと、たちまち硫黄の山のごとく燃え上がるのだ。ー
どうしてもオセローだけお揃いの表紙が中古で見つけられず…この表紙イヤだ。
四大悲劇の中で最も読みやすく(話がわかりやすく)、最も小規模で現実味のある話でした。
間違いなく、デスデモーナの親父さんは悲劇を予期していただろうし、イアーゴーではなくキャシオーを副官に選んだオセローも相応しい人選をしていたんでしょう。
親の言うことは割と当たっています。
他人に頼っても恋は成就しません。
人を騙して出世してもロクなことはありません。
酒は飲んでも飲まれるな。
人から聞いた話を鵜呑みにしてはいけません。
でも、人を信じ過ぎても馬鹿を見ます。
人の物を盗っていけません。
てか、エミリアが割と良い人で描かれてるけど、そもそもエミリアがハンカチをパクったりしなければ…
個人的には
リア王
ハムレット
オセロー
マクベス
の順で面白かったです。
Posted by ブクログ
嫉妬の恐ろしさは古今東西変わらない。
新潮文庫のシェイクスピアって、表紙がオシャレで好き。並べて飾りたくなります。
四代悲劇のひとつとありますが、なんか……オセローしっかりしろよ、と思ってしまう。真面目すぎるんじゃないかなあ。イアーゴーに興味を持った。人間臭い、こういう悪役いいわあ。口先ひとつでうまく世の中を渡って行ってしまうんだろうな。