柴田裕之のレビュー一覧

  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義

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    最終的な筆者の結論は、私にとっては受け入れやすく納得できるものであった。死についての様々な考察を巡らせており、普通の人がここまであらゆる角度から考えることはほとんどないと思われるため、一度読んでみるとモヤモヤとした形のなかった考えがスッキリとまとまる感覚が得られるかもしれない。
    ただ、翻訳した本であるという点も理由の一つと思われるが、日本人としては時折理解しにくい部分もあり、長く感じたのも否めない。
    総じて一読の価値はあると思うが、一気に読むというよりは、自分の頭がしっかり覚醒している時に少しずつ読み進めるのが良いと思う。

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    2023年06月03日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    企業は神であり宗教である。企業に限らず全ての組織はそうであり、だから、彼らの視線は内向きとなり、保身に走る。

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    2023年05月23日
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    筆者の主張する世界的な経済格差の原因について、概ね納得できる。
    ただ、多様性の多寡と繁栄の度合いの関係について、その因果関係が明確には理解できなかった。
    ワシントン コンセンサスによる途上国への対応は明らかに間違っており、個々の国の状況を見極めて、長いスパンの支援による自律的な取り組みにするとこが必要である。出来上がった枠組みを押し付けても根付かせることは出来ない。

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    2023年05月09日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    下巻では、21世紀の人間が「不死」「幸福」「神性」を獲得すべくAIや生命工学を駆使していくと最終的にどんな結末が待ち受けているのか、を著者なりの視点から描いた本になります。最後に著者が述べているのですが、本書で書かれていることは著者の未来予測ではなく、あくまでシナリオの1つである、もしこのシナリオが気に入らなければ、そうならないように我々は努力する必要がある、ということなのですが、ハラリ氏はかなりの度合いで、ここで書かれていることが現実に起こると考えているのではないでしょうか。

    ハラリ氏が描いている「ホモ・デウス」とは、スタートレックに登場する「ヴォーグ」のような存在だと私は解釈しました(新

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    2023年05月02日
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    我々人間は、産業革命により、人間の力とは別の機械の力を得て生まれた余裕を、子作りでなく子孫の教育に投資した結果、マルサスの貧困の罠を脱し、現在の繁栄を謳歌することができた。他方で、頭数が絞られた子孫側から見れば、現状の生活水準を維持するための社会的コストを負担にあえぐ結果となった。やはり、そこでもマルサスの貧困の罠を脱し切れていないのではなかろうか。

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    2023年04月30日
  • TIME SMART(タイム・スマート)―お金と時間の科学

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    同じようなメッセージだが、die with zero の方がよりわかりやすかった。
    お金と時間。時間の大切さは頭で理解していても実践するのは難しい。
    なぜ、これをいまやっているのか?と自分に問うことや、時間は有限であると思い出させてくれる出来事(きっかけ)を持っておくという工夫はすぐに使えそうだと思った。

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    2023年03月17日
  • それはあくまで偶然です 運と迷信の統計学

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    タイトルが本書のすべてを表している。
    宝くじなどのギャンブルや、傍から見ると運命とか奇跡としか思えないような出来事について、それらの事象は果たして「偶然」なのか、はたまた何かしらの作為(神の手を含めたもの)が介在した「必然」なのかを、確率や統計学の観点から判定し、結論からいうとほとんどの事象は「偶然」として説明できる、というのが本書の大まかな内容である。
    結論が最初から分かっているので、新鮮な驚きを得ることはあまり無く、人間がなぜ「偶然」を否定し「必然」を欲するのかの説明も44ページ目で早くも述べられている。一部の判定で使用される「統計的に有意か否か」および「P値」についても12章で軽く説明さ

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    2023年03月05日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    ホモ・サピエンス全史の続刊である本書の下巻。
    世界の頂点になったホモ・サピエンスはどんな未来を歩んでいくのか。
    アルゴリズムに人類は取って代わられてしまうのか、データを使って新たな世界にいくのか(第二の認知革命)歴史を見ながら著者が考えるホモ・サピエンスの未来について書かれている。

    アルゴリズムによって知的単純労働はAIに取って代わることになるが、人類は知能と意識を持っている。この世は知能だけで解決できることはまだ少なく、すぐに取って代わるとは思えないが、汎用性の高いAIがいつ登場するか。それによって世界の構造が変わってくると思う。
    人類が生き残るために必要なことは、新たな問いや問題を作る能

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    2023年02月26日
  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義

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    少しでも死の本質に触れられることを期待していたが、死についてというより哲学的な思考法についての造詣が深まった。要するに哲学の本。

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    2023年02月23日
  • 21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

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    ネタバレ

    テクノロジーの支配、身近に感じる。スマホから逃げるのは今年の目標。お金や時間よりも意識を奪われることの怖さを理解。
    世界にはたった一つの文明しかない、っていうのは、確かに!って感じ。ここ数百年で一気に世界の均質性が高まっている。
    世俗主義の強さ、良さに共感。自らの陰の面を認めることによって進歩してきた。絶対は無い。宗教との違いであり、強さ。
    この世は物語で出来ている。物語を信奉することによって人はこんなに他の動物よりも進歩してきた。確かにその通り。何をするにしろどんな物語なのかを意識せずにはいられない。でも実は物語なんてなく、ただ有機化学反応によって感情や意識が形作られており、ただそれだけ。怒

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    2023年02月13日
  • サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

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    ネタバレ

    汝自身を最適化せよ
    心の基本設定状態

    リスニング
    ルーピング
    ディッピング

    ある考えを受け入れることなく、それについて考えられるのは、学識ある心のしるしだ

    この人が人生のさまざまな困難を乗り切れるような、強さや資質、情動的支援、社会的支援を得られますように。

    誠実さ、優しさ、率直さ

    政治的意識

    穏やかさと明瞭さと幸せだ。

    ふだん、いかに気が散っているか

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    2023年03月09日
  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 完全翻訳版

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    死はこわいものではない。死を〆切とみなして生活しましょう。
    要約するとこうなると思う。
    剥奪説あたりの話は読み飛ばした。

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    2023年01月30日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    最近自由意志が尊重されているが本当に自由意志というものは存在するのか。
    自由意志とは突き詰めれば発火するニューロンのパターン

    前近代はリスクマネーが供給されなかった。
    なぜなら現代の成長は、私たちの直感や人間が進化の過程で受け継いできたものや、世界の仕組みに反していたから。 
    ほとんどの生存競争は他者を犠牲にしなければ反映しない、ゼロサムゲームと考えられていた

    伝統時には宇宙の構想が人間の人生に意味を与えていたが、人間至上主義は役割を逆転させ、人間の経験が宇宙に意味を与えるのが当然と考える。

    意味のない世界のために意味を生み出せ。これこそ人間至上主義が私たちに与えた戒律。

    人間は21世

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    2023年01月22日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    イスラエルの歴史学者による、人類の歴史の振り返りから未来の可能性の示唆した本。人類は飢饉、疫病、戦争等の大きな問題を克服しつつあり(2018出版のため、現状は少し逸れている感もあるが)、これからは不死、至福、神性の追求にシフトしていく。農業革命、産業革命前後での人間の価値観の変化や、科学と宗教との関連性を解釈し、人間至上主義がどのように生まれ変容してきたかを説明している。人間至上主義から今後のデータ至上主義への変遷については下巻。もちろんあくまで著者視点・著者の解釈によるストーリーではあるが、史実の勉強になったり、自身の日常からはやや距離があるため理解できなかった宗教観 (一個人の中での科学と

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    2023年01月16日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    サピエンスが世界を支配しているのは彼らだけが共同主観的な意味のウェブ
    彼らに共通の想像の中にしか存在しない「想像上の秩序」を織りなすことができるから。


    人間の幸福は客観的な境遇よりもむしろ期待にかかっている。
    現実が自分の期待に沿うものであるときに満足する。
    過去数十年間に人間が経験したような境遇の劇的な向上は、満足感ではなく期待の増大につながる。

    人間には不滅の魂があるが、動物はただの儚い肉体に過ぎないという信念が、私たちの法律制度や政治制度や経済制度の大黒柱である。
    この信念のために、人間が食物のために動物を殺したりしても差し支えない。

    宗教とは社会秩序を維持して大規模な協力体制

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    2023年01月14日
  • TIME SMART(タイム・スマート)―お金と時間の科学

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    お金よりも時間を大切にせよ

    万人向けの方法はない、試してみよ



    第4章長期願望


    ・お金よりも時間を優先したほうが幸福度が高い

    ・1日3時間以上誰かと一緒にいる人はストレスが溜まりやすい


    ・幸運な人は先入観をもたずあれこれ試す
     不運な人はあらゆる角度から物事を考えた後でしか行動しない。その頃には世の中は先に進んでしまっている。


    ☆時間の使い方は訓練が必要


    活動に変化、

    ノーという、

    もっと時間を求める
    (休暇を取る、締切を伸ばしてもらうなど)、

    機会費用を思い出す
    (それをやる価値があるか?失うものは?)

    根本的な問いを自分に投げかける
    (目的は?なぜ時間を優先

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    2023年01月27日
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    産業革命まで人類の生活レベルは生存水準から抜け出せていなかったが、産業革命後、人的資本への投資、人口転換などによりマルサスの罠から抜け出して、生活レベルが急激に上昇した。しかし、産業革命が早く始まった地域とそうでない地域には大きな格差が生じた。では、なぜ産業革命が西欧で始まったのか。本書は、その原因を制度、文化、地理、人の多様性に求め、それを人類の旅として検証していく。歴史的、地理的な壮大なストーリー。

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    2022年12月31日
  • マシュマロ・テスト 成功する子、しない子

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    有名なマシュマロ・テスト。我慢すれば、より大きな報酬を得ることができるとして、我々は我慢をするのか。それは実際には報酬の内容にもよるし、要求される我慢の度合い、報酬取得の信頼度、それらの期待値や自分の欲望や実力を正確に把握できるかによる。

    頑張って勉強して大企業に入って、幸せな人生のマシュマロを得られる時代ではなくなっている。それを分からず、目の前のマシュマロを我慢し続ける自制心が重要だなんていうのは、人間の機械化を無責任な運任せで肯定しているに過ぎない。そんな風に思う。今日、美徳や価値観の根本が揺らいでいる。

    意志薄弱の事を古代ギリシアの哲学者は「アクラシア」と呼んだ。価値観が揺らぎ変容

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    2022年12月27日
  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義

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    筆者の結論は「魂など存在しない。私たちは機械にすぎない。もちろん、ただのありきたりの機械ではない。私たちは驚くべき機械だ。愛したり、夢を抱いたり、創造したりする能力があり、計画を立ててそれを他者と共有できる機械だ。私たちは人格を持った人間だ。だが、それでも機械にすぎない。 そして機械は壊れてしまえばもうおしまいだ。死は私たちには理解しえない大きな謎ではない。つまるところ死は、電灯やコンピューターが壊れうるとか、どの機械もいつかは動かなくなるといったことと比べて、特別に不思議なわけではない。」
    したがって「死について考えるとき、死を深遠な謎と見なし、恐ろしくて面と向かえず、圧倒的でぞっとするもの

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    2022年12月26日
  • サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

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    集中力を上げるトレーニングは瞑想が有効だと知り、本書にたどりつきました。
    マインドフルネスに基づく情動知能(EQ)育成のプログラム、サーチインサイドユアセルフ(SIY)について書かれている本です。

    著者はSIYで世界平和のお膳立てをしようとしていると言いますが、確かにこの本に書かれていることを確実に実践すれば、生活者の情動が安定することで世界平和につながると思います。

    とはいえ、本書に書かれている膨大なトレーニングを、読んだだけで実践できるとは思えないので、SIYの効能だけでも知識として入れて、瞑想会に参加するかGoogleに就職するしかなさそうです。

    本書でも言っているように、瞑想を広

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    2022年12月15日