柴田裕之のレビュー一覧
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新聞の書評を読み興味が湧き、積読リストに入れていた本です。
まず、世界にはこれほど多くの独裁国家が存在するのかと驚きました。
本書は、独裁者がどのように権力を握り、人々を支配していくのかをたくさんの事例と共にに示されていて、その残虐性に気が重くなりました。
独裁者になると、やるかやられるかの世界だから、必然的にそうならざるを得ない。さらに、人を信用できなくなり、精神を患うことも多く、読めば読むほど独裁者のデメリットが多くて驚きました。
また、独裁者の話とはちょっと違うけど印象深かったのは、監視用ソフトウェアがイスラエルで開発され、外交戦略として各国に販売されているという事実でした。販売の可否を政府が決めて外交政策の道具として利用しているという点がイスラエルらしいけど、かなりムカつくな。
まあ、武器全般がそうなんですけど、技術が人々を守るためではなく、戦争や抑圧の手段として流通している現実は恐ろしくて、暗い気持ちになりました。
民主主義は決して当たり前に存在するものではなく、市民一人ひとりが守り続けなければならないという本書のメッセージは重く受け取りました。
ああ、世界情勢が不穏過ぎる。 -
Posted by ブクログ
読者ターゲットが広すぎて前提の部分の話がメインになっていた。
「死」に対しての捉え方に、様々な手法を紹介しているものの、もっと著者自身の主張の部分を知りたかったように思う。少し大衆用になりすぎていたかな。
まだ自分が若いからか、幸運からか幾つかの論点に関しては興味のない論点もあり、また年を取ってから読むと面白いと思う。
サブタイトルにある「どう生きるべきか」の部分は思ったより語られておらず最後のほうに載ってある。
ちょっとだけ面白かったのは、死を扱っている作者が全ては消えゆくものと断定せず、後世に何かを残すことに生の価値を見出していたことが意外だった。
そこはペシミズムに捕らわれず、生きる目標みたいなものが見えたのだ。 -
Posted by ブクログ
独裁者が様々な脅威に晒され、安全に退くことも極めて困難であるからこそ、「降りることのできないランニングマシン」のように体制が維持されていく。また、もし独裁者が失脚したとしても、政権交代に当たっては内戦のリスク、再び別の独裁者が生まれるリスクがあり、民主的な政権に代わる可能性は低い。
これまでの事例を基に独裁体制を論理的に分析されていて興味深かったが、独裁体制というシステムでは、指導者がエリート層と軍をアメとムチでいかにコントロールするかが極めて重要であり、国民に関心を向ける動機が生じにくい。読む程に民主制を維持することがいかに大事かを痛感した。
この本の後半では、タイトルの通り独裁者の倒し方が論じられているが、あくまで外国の政府が外圧で独裁者を倒す方法としてであり、自国民が倒すことは期待されていないことにも希望の無さを感じた。
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かなり難しかった。。
「完全翻訳版」は、「日本縮約版」よりも、第2〜7講が追加になっていて、追加された方がおもしろいかも。。と、こちらを読んでみたが、実際は第8講以降(特に、11.12.13が面白かった)を読むのがよかったなーと思うので、「日本縮約版」でよかったかな。。。
とにかく、ややこしい。。。
そりゃ、「哲学」の分類だから、おいそれと簡単にわかるわけはなく。
でも、「なぜ、死を恐れるのか」は、腑に落ちた気がする。
『人生は、何もしないには長過ぎるが、何かするには短過ぎる。』
ああ、たしかに。
ただ、その「何か」ってなんだろうなー。。って気にもなる。
著者のように学問を教えるとか、本を出すとか、何かしらの「自分の生きた跡」を残せるものが「何か」であるならば、自分には、成し得るものはない気がしてしまう。
自分ができる範囲での「何か」、自分にとって幸福、達成であると思える「何か」とはなんだろうか?
結局、自問自答である。
難しかった!!!
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Posted by ブクログ
世界中全てに分布する、僕たちホモ・サピエンスの全史。
一言で言うと面白い。
取るに足らない、特別でもない、そんなご先祖さまがいかにして生物の頂点とも言える今に至ったかの話。
もう関心しきりだった、自分が知らなすぎた部分が多いだけかもしれないが...知恵がまわるし、数多いし、残虐だし、人類は地球の特異点。それらの理由についても語ってあり納得。これは著者の論考?
前半部分はスルスル読めたけど、後半は睡眠導入剤みたいになった。取りこぼしがないように、著者が色んな例を用いて、細かく説明してくれたからだと思う。
よく言えば読者を置いていかない本かな。
下巻も読む。そのうち。 -
Posted by ブクログ
情報は武器ではなく、人々を繋ぐネットワークの構築手段です。しかし、秩序維持や権力を優先すると、官僚制や宗教組織のように「誤りを認めない不謬性」が生まれ、現実との乖離が始まります。以前は情報を単なるツールと捉えていましたが、印刷機が魔女狩りを広めた歴史や、AIが分断を招く現状を知り、技術をどう制御するかの重要性を痛感しました。
大切なのは、人間もAIも完璧ではないと認め、誤りを正し続ける「自己修正メカニズム」を機能させることです。組織のKPIや目先の秩序に固執しすぎると、本来の目的を見失いかねません。常に現場の声に耳を傾け、自発的な違和感を拾い上げる。既存のルールを疑い、柔軟に軌道修正を図る姿勢こそが、複雑な時代を生き抜く知恵となります。 -
Posted by ブクログ
上巻では、「人類がいかにして地球の覇者になったか」をテーマにサピエンスの歴史に迫っている。
下巻では、「ヨーロッパ人(白人・アリーア人)がいかにして世界を征服するに至ったか」をテーマにしている。
前提として、歴史というのは決定論では説明できないし、混沌としているから予想できるものではない。
歴史はいわゆる二次カオスである。一次カオスは、たとえば天気である。天気は無数の要因に左右はされるものの、その構造は複雑ではなく予想することは可能。
それに対して二次のカオスとは、複雑であり過ぎるため予想することは決してできない(バタフライ効果ともいう)。歴史に加え株式市場も二次カオスである。
それでは、私たちはなぜ歴史を学び研究するのか。
歴史を知ることは正確な未来を予想をするための手段ではない。歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を広げ、現在の私たちの状況は自然でも必然なものでもなく、私たちの前には想像しているよりずっと多くの可能性があることを理解するためである。
歴史の中で輝かしい成功を収めた文明がどれも人類にとって最善のものだったと考える根拠はない。進化と同じく歴史は個々の生き物の幸福度には無関係である。
本書のテーマである「ヨーロッパ人(白人・アリーア人)はいかにして世界を征服するに至ったか」についての答えは、西洋では何世紀もかけて近代科学と近代資本主義に合致する価値観で考えたり行動していたため、社会構造、司法制度がそれに適合する仕組みになっていた。
そのため、科学やテクノロジーが大きく飛躍したとき、ヨーロッパ人は、いち早くそれを活用することができたのである。
具体的には、ヨーロッパ以外の地域では、まだ君主制が主だったころ、ヨーロッパではコロンブスをはじめとする大航海時代の始まり、それによりオランダで株式会社制度が始まるなど、近代科学と近代資本主義に合致する土台が着々と築かれていった。
そして、1776年イギリスでアダム・スミスによる『国富論』が発表された。
自分の利益を増やしたいと願う人間の利己的な衝動が全体の豊かさの基本になるという主張は、人類史上画期的な発想である。経済的な視点よりも道徳と政治的に見て従来の思想を根本的に覆すものであった。
なぜなら、富と道徳は矛盾するというのが従来の価値観であったからだ。人類史上初めて金持ちに対して天国の門を開いたのが本書であった。
スミスの描いた物語の中では、人は隣人の財産を奪い取るのではなくパイ全体を大きくすることによって豊かになる。パイが大きくなれば誰もがその恩恵を享受できる。したがって社会の中で最も慈悲深い人間は金持ちだということになる。
本書の最後に著者は、ホモ・サピエンスは新たな生き物に生まれ変わろうとしていると予言する。
それは、ネアンデルタール人がホモ・サピエンスに進化し、やがてネアンデルタール人が絶滅したような変化が起こると予想するから驚愕する。
では、ホモ・サピエンスはどんな生き物に進化するのかというと、テクノロジーとの融合によりアンドロイドに近いものになるのではないかと予想する。
もはや現段階で私たちはスマホとほぼ融合しているような切っても切れない存在に誰もが成り果てている。
医療の発達により病気の根絶、不老不死、永遠の若さなど、人類の長年の夢が叶うのはもうすぐそこまできている。しかし、これらが技術的に可能になったとしたら、それはもはや人類ホモ・サピエンスといえないのではないか、というのが著者の主張である。 -
Posted by ブクログ
「時間がない」と感じながら、気づけばSNSや細かいタスクに追われて一日が終わっている——そんな日々に心当たりがある人に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
『TIME SMART』は、「お金」ではなく「時間」に注目し、私たちの幸福の正体を科学的にひも解きます。本書が突きつけるのはシンプルな事実です。お金は取り戻せるが、時間は取り戻せない。そして、時間に追われる「タイム・プア」の状態は、健康や幸福に深刻な影響を与えるということです。ドキッとさせられます。
特に印象に残ったのは、「お金で時間を買う」という発想です。家事の外注や時短サービスを使うことにためらいを感じがちですが、本書はそれを“人生の質を上げる投資”と捉えます。この視点に立つと、日々の選択が少し変わって見えてきます。
また、「忙しさを価値と感じてしまう心理」や「スキマ時間が細切れになる現象」など、現代人の行動パターンが丁寧に言語化されており、自分の生活を客観的に見直すきっかけになります。
読み終えたとき、「タイム・イズ・マネー」ではなく、「マネー・イズ・タイム」という逆転の考え方が強く残りました。お金の使い方ではなく、時間の使い方を見直したい人におすすめの一冊です。 -
Posted by ブクログ
生物的、制度的、心理的などの側面からなぜ権力を持つ人が腐敗しやすいのかを明らかにしていく。
「神の目」が腐敗を防ぐ。しかし「神の目」を設定するのは権力者であり、それを設定させることができるのだろうか?トランプさんは悪人だと私は思う。けど彼を制する「神の目」を誰がどうやってせっていするのだろうか?
一般社会への監視の目は強くなる一方で、上位層にいる人たちへの監視は果たしてどうなんだろうか。
会社を考えた時もそうだ。
隣近視との付き合いの大切さや宗教が役立つ意味などまで考えが広がっていく。
隣近所や村が共同体として生きていた時代の日本は、相互監視が成立していたと思うが、それが腐敗の抑制に役に立っていたのだろうか。無神論社会と言われる今の日本で、隣近所も村社会も崩壊している中で、「神の目」はどこにあるのだろうか?
日本の古の他者との関係性が腐敗抑止にどれくらいの役に立っていたのか、そして、完全な個人社会となり始めている今の日本と比較した時にどう違うのか、そういう事を調べたくなる。
事例の羅列は読んでいてだるくなる箇所もあるが、全体を通して、示唆に富む、非常に面白い本。
タイトルが良いよね! -
Posted by ブクログ
人間の行動を決めるもの、存在を決めるもの、意思を決めるもの、状況を決めるもの、いろんなことは「偶然」に支配されている。
偶然とは、人が自分でコントロールできないもの、という意味で使っているようだ。
複雑系におけるほぼカオスの縁。人は実は常にそこにいる。
自分でコントロール出来ないものは、歴史でもあり空間でもあり、あらゆる関わりであり得る。
人が世の中を理解する様々な手段は所詮、モデル、経験であり、シンプルなものは常に誤っており、複雑なものは役に立たないのが現実だ。
本書ではさまざまな「偶然」の具体例を挙げている。
かなり面白く読める。
最後の方よく繋がりがわからなくなって来たが、「因果」という意味では決定論であって、ただそれは人の不自由さをいうものではないということか。
かつ、複雑系に対する対応としては、ランダム、という手段が必要でもあり、成果の見えなさそうな研究に金出せよという熱い気持ちは伝わった。
少し違うかもしれないが、蝶が羽ばたいたくらいで地球の裏でハリケーンが起きるのかもしれないというなら、ぼくら一人一人が生きてるだけで、なにか影響及ぼしてるはずだよな、と思ったらちょっとこそばゆい。