柴田裕之のレビュー一覧

  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    少しずつ読み進め、3か月近くかかった。中世の魔女狩りなど得るところは多かった。全体的にはAIのリスクを歴史的文脈で語られていると理解した。若干IT業界で働く身としては内容への肯定/否定両方思うところはあった。

    0
    2026年03月21日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    歴史学者によるAI社会についての解説や警告

    上巻が情報というものに対しての壮大な抽象的な解釈であったが、下巻はフェイスブックによるロヒンギャ問題などを例にしてAIについての具体的な性質の解説
    訳者解説が良い要約となっている

    強力な自己修正メカニズムを持つ制度や機関を構築するという、困難でかなり平凡な仕事に熱心に取り組まなければならない

    0
    2026年03月15日
  • サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

    Posted by ブクログ

    『書く瞑想』を読んだなかで、マインドフルネスについて詳しく知りたいと思った時に出会った本。グーグル社員がEQを養う上で行っている研修プログラムということで、最初はたいそう難解で複雑なのではと思って読んでみると、マインドフルネスのわかりやすく、説得力のある説明に、今までとっつき難かった「瞑想」をできる限りのわかりやすく、イメージしやすく言語化されており、自分にとっては衝撃的な本であった。早速5分間の瞑想から実践してみたが、確かに奥が深く、注意を向けることの難しさを思い知った。本の後半部分は、リーダーシップやマネジメントでマインドフルネスが有効であることや思いやりの感じ方、伝え方の部分は、今の自分にとってはなかなか腹に落とし込むことができなかった。できるところから実践していき、再読してみたい。

    0
    2026年03月13日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    一言要約:AIは子供。躾けるのは大人の責任。以下、主なとこ。: アルゴリズムはキュレーションを自ら行う。アルゴリズムが自らフェイクニュースや陰謀論を創作。コンピュータは情報ネットワークの新しいメンバー。注意を引くことから親密さの捏造へ。全世界で監視カメラは10億台以上。多くの都市で100台/平方キロ以上。情報は真実を発見するためでなく秩序を生み出すために使われる。エンゲージメントによるアラインメント問題=神話の問題。コンピュータ間現実は神聖さのような共同主観的現実と似ている。赤ん坊のAIは人間の新生児と同じくアクセス可能なデータの中にパターンを見出して学習。トレーニングで習ったデータはアルゴリズムに染み付く。テクノロジーを賢く使うことを学ぶには時間がかかり犠牲も大きい。産業革命から帝国主義など。1人の人間が理解できる範囲をはるかに超えるテクノロジー。偽造人間を禁止すべき。権力が人間からAIへ。民主社会は規制が必要。フェイクニュースなどで話し合いが成立しなくなると、ポピュリズムがつけ込み民主主義を弱体化させる。全体主義は完全な監視システムを構築できるがアルゴリズムに支配権を奪われる。シリコンのカーテンによる分断。情報は真実を表すものではなく人々を繋げるもの。真実よりも秩序。データ植民地主義。AIは不誤謬なんかじゃない。自己修正メカニズムが肝。

    0
    2026年03月13日
  • 独裁者の倒し方―暴君たちの実は危うい権力構造

    Posted by ブクログ

    時流を捉えた書籍で面白かったですね。独裁者から見る国家観というのはこういうものかと非常に納得感がありましたし、なぜ習近平が側近を粛清し軍を弱体化させるのか、なぜプーチンが国内の情報工作に躍起になるのか、本書籍を読むと独裁者の行動様式の背景がとても理解できます。
    タイトルの通り、独裁者をいかに倒すかという章もありますが、特効薬もなく時間がかかる大変難しい問題だと認識しました。
    直近ハメネイ師の殺害が報じられてますが、残念ながら外国勢力による政権交代はことごとく失敗してきた歴史があります。トップが変われどシステム自体が変わらなければ、新たな独裁者が空白を埋めるだけですし、内戦リスクもあり、民主化に至った事例は限りなく少ないとの事。中東問題が泥沼化しないことを祈るばかりです。

    0
    2026年03月03日
  • 「偶然」はどのようにあなたをつくるのか―すべてが影響し合う複雑なこの世界を生きることの意味

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    科学書……というより思想書かな。
    最近読んだ「数理モデルはなぜ現実世界を語れないのか」あたりでも似たような内容が書かれており、最近の社会思想に対するカウンターなのかな、と。

    究極的に言ってしまうと、ベルクソンが語るように必然と偶然は神の視点でしか分からなくなってしまう。この二つは「同じ条件、同じ時間で私たちは違う選択が出来る」か否かで別れてしまうからだ。(そしてそれは検証できることではない)
    ただ、何かボタンを掛け違えることで、人の生死は変わってしまうことは十分ありうるし、それは(カオス的なため)私たちがコントロールできることではない。
    出来ることがあるとすれば、この世界は不確実であり複雑であることを前提に生きるしかないのだけど、認知システム上それは負荷がかかるからなぁ……という難しさ。

    思想的にはドンピシャで、僕も全く同じことを考えているけど、それを実社会システムに落とし込むとなると難しいよなぁ、というのを実感した一冊でした。
    作者的には生命礼賛に近いんだろうね。奈須きのこに言わせれば「この星はあらゆる生き物を使って1つの夢を見ているのだから」ってことなんだろうけど。

    0
    2026年02月28日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    なかなか難しい内容。上巻は高尚過ぎてお手上げだったが、下巻は自分の専門分野のコンピュータ関連の具体例多く、面白い内容が多かった。
    AIをアーティフィシャルインテリジェンス(人工知能)ではなく、エイリアンインテリジェンス(人間のものとは異質の知能)と考えた方が良いほど、AIの判断による人類の破壊の危険性に言及されており、恐ろしかった。
    特に具体的にコンピュータコミュニケーションがどの様な流れで人間の想定とは全く異なる事が起こるのか説明されており、可能性として普通にあり得る世界と分かったのが、とても恐ろしかった。

    自分や子供が生きている間にどれだけ世界が変わるか、恐れても仕方が無いが、この本の想定を認識した上で、少しでも変化に対応できればと思う。

    0
    2026年02月28日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    アルゴリズムによって決断される物事は決して偏見や感情を含まない公平性が極めて高いものであると思う。ただ正しさは暴力にもなりうる。一個人の幸せという観点から考えると文句の言う余地がないということは私達自身を守る言い訳を失うことを意味する。例えば過去の階級制社会を見てみる。農民などの人々は今の時代よりも幸福度が高かったと言われている。階級制社会によって理不尽にもどれだけの努力を重ねたとしても自分たちは貴族になれないというのに。
    そこで人々を守ったのは言い訳であると思う。「しょうがない」と思わせられること、そしていまいる自分を否定しないですむこと、それが彼らから焦燥感や不足感を取り除くことにつながったと思う。

    本著が述べているように今後アルゴリズムからの評価に依存すればするほど真っ白なほどに「正しい」評価システムが構築される。アルゴリズムは単一性の誤謬にとらわれることなくどんな指標でも正しく評できるようになるだろう。これは評価対象が物事の場合においては問題はないように思える。しかしこと評価対象が人間になったとき格差、差別、それによる民族浄化に繋がる。人々が全員言い訳の聞かない社会的信用システムに支配されたときそれは監視社会つまりアルゴリズムによる統治が行われるようになりどんな人間でも価値があるなどといった考えは否定されかねない。数値化され、それが可視化された世界において人々は本当に幸せに暮らせるんだろうか。私達人類は倫理的に誤りだらけの残虐な少数の人間ではなく、正しさを武器にしたコンピューターにより人権侵害をされる危機に瀕しているという事実を考えさせられた

    0
    2026年02月22日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    ◯ コンピューターはもし力を委ねられたら、現に惨事を招くだろう。なぜなら、コンピューターは可謬だからだ。(147p)

    ◯ 民主主義の存続にとって、ある程度の非効率性は利点であってバグではない。(161p)

    ◯ 私たちは話し合いができるかぎり、共有できる物語を見つけて互いに近しくなることができるだろう。(251p)

    ★上巻で魔女狩りやクラーク狩りの歴史を学んだのは、AIがそれを引き起こす可能性を理解するためだった。

    ★AIは偏見を持つし、間違う。目標達成のために有機体では考えられない手段を持ち得る。AIに権限を与えてはいけない。人類はグローバルに協力し、AIを規制する機関を設立しなくてはならない。

    0
    2026年02月21日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    現代の話をしているので、読みやすくはあった。
    そして、結論、「未来のことはわからない」というのが作者の本音なように見える。
    一方で、歴史から推測できる部分はあって、AIを過信し過ぎることが、人類の生存においてはマイナスに働きうることを示唆しているように感じた。

    0
    2026年02月21日
  • 独裁者の倒し方―暴君たちの実は危うい権力構造

    Posted by ブクログ

    独裁者の権力構造に関して分析された本
    タイトルは「独裁者の倒し方」だけれども、この件に関しては最終章のみ
    大部分は、独裁者の権力構造や独裁体制の維持に必要な条件などについて語られている
    まぁ、それらの前提条件があってこその最終章なので、間違いではないけれども、タイトルを狙いすぎな印象はある

    独裁者がその地位に居続けるにはどうやればいいかという視点で語られるため
    ある意味で、一時期流行った完全マニュアル本のように「独裁者完全マニュアル」のようである
    ただ、独裁者の成り方は一部で、なってしまった後の方が多い


    独裁者が失脚するとどうなるのか?

    2790人の国家支配者のその後を追った調査では、個人の独裁者に限れば、約69%が権力の座を失った後に、殺されたり逮捕されたり国外逃亡を強いられているらしい
    引退も安寧な生活ができた独裁者は、コイントスをするよりも確率の低い、半数以下しかいない


    独裁のメリットとして、権力を用いて何でもできるため、私財を増やせる
    そのために様々な悪事に手を染めるため、辞めた後にも後継者に守って貰う必要がある
    しかし、後継者にとっては前任の独裁者は邪魔な存在のため、いずれ排除されるリスクがある
    自身を保護してくれるだけの忠誠心を持つ人物を後継者に指名できる事は稀
    民主化の道を選んだとしても断罪される事には変わらない
    亡命するにも、民主的な国であれば受け入れられにくいし、独裁の国であっても将来に渡って安全が保証されるものでもない
    ただ、相手国にとっては失脚する前の国内の人脈や、復権した際に恩を着せられるというメリットもある


    独裁者が必要な有権者は一部の人間
    民主主義では多くの民衆に指示される必要がある
    独裁の場合、キーマンのみの支持を得られるだけで国内を掌握できる
    必要な人員としては、様々な運用を行う役割の官僚や地方の有力者や、諜報機関、軍事など

    独裁者はこれらの「最小連合」への分配(金や権力)が途切れた場合に崩壊する

    これらの人に権力を与えすぎると自身の立場を危うくするため、権力を与えすぎてはいけない
    ただ、不満を溜め込んでも反逆される可能性が高まるため、加減が難しい

    優秀な人間を登用すれば反逆のリスクが高まるし
    無能なイエスマンだけでは政治が破綻する
    優秀な人間を粛清する必要がある場面もあるが、人材は有限なためやはり加減が難しい

    また、誰を信用するかという問題もある
    側近が恐怖からの保身のため、実態を隠蔽した情報を報告してくる
    そのため、常に不確かな情報を元に意思決定をせざるを得ない


    軍人の取り扱い
    民衆を制圧し、恐怖を与えるために軍人は必要
    また、外敵に対するためにも必要
    だけれども、軍人に力を与えすぎるとクーデターを起こされるリスクが高まる
    なので、常備軍だけでなく、併設軍を設けて相互監視させる大勢が望ましい

    クーデターの際に抑えるべきは首都と主要産業とメディア
    例え国の極一部であっても、情報を統制し、政権を維持できる資源を抑えればクーデターは成立する


    国内外の敵について
    国内の反乱に関しては、現地に根付いた組織の方が有利ではあるが
    全体を見れば政権側が有利
    暗殺しか方法がないこともあるし、外部要因が必要だったりもする

    ただ、外国からの介入は難しいケースが多い
    先日、ベネズエラのマドゥロ大統領がアメリカによって電撃的に拘束されたが、これはレアケース

    また、独裁者を倒した後に後継者がそのまま同じ独裁者になり得る
    倒すべきは独裁者ではなく、独裁システム

    国外に対する抑止力として核兵器の所持は有効
    例え内部の人間がその権限を奪ったとしても、国内に対しては使えないため
    らだ、そこに至るまでの道のりが険しい


    民衆の反乱のける3.5%ルール
    民衆の非暴力的な市民運動に国民の3.5%が参加した時、失敗した革命は一つもないらしい


    独裁者を倒すためには、権力を維持している供給源を攻める
    資源だったり、外国から供与される武器など
    他にも、対立するライバルへの助力
    いくつか方法はあるが、やはり難しい



    読む前から思ってたけど、独裁者なんてなるもんじゃねぇなぁと思う
    ドラえもんのひみつ道具に「どくさいスイッチ」がある
    気に入らない人物を消していくとどうなるかという思考実験のようでもある

    それにしても、独裁者が安全に引退する方法はないのだろうか?
    影武者を用意して引退するとか?
    でも、壁武者を立てた事を知る一部の人間はいるわけで、これも安泰な方法ではないかな


    あと、アジアやアフリカで、植民地支配からの独立後に独裁政権が成立したケースが多いという視点は面白かった
    カリスマ性を持った指導者は革命を成立させるけど
    その後には独裁体制が成立しやすいのでしょうね
    --------------------
    「世界の厄介者」はなぜ倒れないのか?
    側近たちとの避けられないトレードオフ、非道な行動の背後にある、裏切りや暗殺、叛乱への恐怖……
    独裁政権の特異なパワーバランスや脆弱性を明らかにし、抑圧なき世界を実現するための書。

    「思考を喚起する」--エコノミスト紙
    「圧倒される」--フィナンシャル・タイムズ紙
    「愉しく読める」--デイリー・テレグラフ紙
    「完全に引き込まれる」--ブライアン・クラース(『なぜ悪人が上に立つのか』著者)

    エコノミスト紙「2024年度ベストブック」に選出、世界20カ国で刊行!

    独裁者は側近がつくる。
    独裁者になるということは、降りられないランニングマシンの上で走り続けるようなものだ。
    彼らはその立場上、「穏やかに辞任する」という出口戦略を持ちえず、常に脅威にさらされているのだ。
    政権のパワーゲームという視点で独裁制を読み解く画期的な書。


    【目次情報】
    序――黄金の銃のパラドックス
    恐怖におびえながら生きる独裁者
    「リビアのゴッドファーザー」の悲惨な最期
    独裁者はどのように失脚するのか?
    注目すべきは独裁者個人よりも政権の仕組み
    取材した人々と本書の構成
    ……
    第1章 降りることのできないランニングマシン
    独裁者が権力を求める理由
    国内一の金持ち
    後継者という敵
    民主化という選択肢
    亡命という選択肢
    ……
    第2章 内なる敵という脅威
    皇后エカチェリーナによるクーデター
    独裁者が必要とする3つのグループ
    権力を維持するための食料の分配
    「独裁者のジレンマ」と人材のプール
    お金というアメと弾圧というムチ
    ……
    第3章 軍人たちを弱体化する
    ガンビアの独裁者を倒すクーデター計画
    作戦当日の夜とその後
    クーデターの回数と成功率
    クーデターにかかわる3つのグループ
    首都をおさえるべき理由
    ……
    第4章 叛逆者、武器、資金
    私腹を肥やし過ぎて失脚した独裁者
    叛乱を起こすことは困難になっている
    叛逆の理由と手段
    反政府勢力の資金源となるダイヤモンド
    身代金による資金集め
    ……
    第5章 国外の敵、国内の敵
    独裁政権は戦場では有利
    スターリン政権における粛清の嵐
    戦果報告における?の蔓延
    秘密作戦による外国の介入
    失敗したアメリカのカストロ排除作戦
    ……
    第6章 民衆に銃を向ければ負け
    抗議行動の拡散という脅威
    抵抗運動の「3.5%ルール」
    弾圧が裏目に出るとき
    政権を正当化する試み
    敵対勢力の「抱き込み」と連帯の阻止
    ……
    第7章 暗殺の他に選択肢がないとき
    独裁者殺しは正当化できるか?
    暗殺される可能性とそれを防ぐ方法
    アフリカの独裁者を守るロシアの準軍事組織
    安全のために自らを隔離する
    国民から切り離されたプーチン大統領
    ……
    第8章 政権交代の難しさ
    独裁者が倒れたときに起こること
    独裁体制が崩壊した後のスーダンを見舞った悪夢
    繰り返す独裁政治のサイクル
    内戦を避けるための権力継承の規則
    民主制につながる非暴力的な抗議行動
    ……
    第9章 独裁者の倒し方
    外国勢力が独裁政治のサイクルを断ち切る2つの方法
    独裁者の力を弱めるためにすべきこと
    敵対者を監視し抑圧する技術を与えない
    制裁措置の実施や防衛保障の停止
    ライバルの人物に力を与える
    ……
    --------------------

    0
    2026年02月16日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    上巻では、大規模な人間社会をまとめ、管理するテクノロジーとして、神話と官僚制のことが取り上げられた。
    下巻は、AIの登場によりそれがどのように変容するかが論じられる。

    歴史上の強力な独裁者も、その管理には抜け穴はできた。
    管理するコスト、技術にも限界があったからだ。
    ところが、コンピュータは24時間365日稼働することができ、こうした限界を突破できる。
    また、AI間で人間には理解できない形の新たな「神話」を形成してしまう可能性もある。
    そういえば、先週AIだけがメンバーになれるSNS「Moltbook」が話題になった。
    そこには独自言語や独自宗教を作ろうとする動きがあるという。
    もはやこの本で書かれた懸念のあれこれは、すでに現実になっていると思った方がよいのだと感じる。

    上巻にもあった民主社会と独裁社会の比較もあった。
    民主社会では秘密とされる情報も比較少なく、自己修正メカニズムを働かせてきた経験もある。
    情報テクノロジーの発達により、かつては政治的話し合いに参加できなかった人々の参入が可能になった。
    しかし、そのために情報テクノロジーが介入し、フェイクが蔓延するようになり、分断が広がるという皮肉な状況が起きている。
    にもかかわらず、人間はその原因を自ら突き止めることはできていない(著者は単にSNSだけが原因とは考えていない)。

    では情報テクノロジーにより管理が効率的になった独裁社会は安泰かというと、そうでもないらしい。
    「アラインメント問題」、人間が定めた「最終目的」に叶わない判断をAIが行う可能性があるからだ。
    つまり、AIが権力を握ってしまう可能性があるとのこと。

    最終の11章では、AIが情報帝国主義を生むことや、グローバルな分断を生む可能性について議論していた。
    著者の提言としては、楽観的態度はもちろん、過度に悲観的になることにも批判的だ。
    AIの可謬性を認め、強力な自己修正メカニズムを持つ制度、機関を作り、AIをコントロールする道を見つけることをと述べ、本書を締めくくっている。

    もはや自分すら巻き込まれているわけだが、どこか自分事として認識できないくらい大きな問題で…。
    ただ、ChatGptやGeminiにお相手をしてもらって喜んでいる場合ではないらしい。

    0
    2026年02月15日
  • NEXUS 情報の人類史 上 人間のネットワーク

    Posted by ブクログ

    2026.02.13
    「文字を持つ、記録をする術を持つ」このことの重要さはふだんワタシたちが空気を吸っていてありがたみを感じないのといっしよ。重要であり、あまりに当たり前に存在している。今のわたしたちの周りには

    0
    2026年02月13日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

    Posted by ブクログ

    読み応え抜群。普段はほとんどノンフィクションは読まないが、フィクションのようなノンフィクションだった。統合失調症と家族を題材にしながら、家族の中のトラウマがかなりあって、追体験をしているかのようで読んでて少し辛かった。12人の子ども全員に強烈なトラウマがあって、12人の子どもの母親にもトラウマがあって、時代背景もあるのだと思うが、全てが良くない方向に向かっていき、完全に機能不全の家族だった。12番目の末娘が成長して、みんなを助けるに至った心境が計り知れない。家族の問題について、ここまで詳しく語り出版したことは、とても勇気のいることだったと思う。

    0
    2026年02月12日
  • NEXUS 情報の人類史 上 人間のネットワーク

    Posted by ブクログ

    「情報の人類史」。
    「情報技術の人類史」ではない。

    本書での「情報」とは何か。
    人々が「真実」を表していると思うそれを共有することで、人々を結び付けるもの、とまとめらるだろうか。
    この結びつきが、タイトルでもある「ネクサス」。

    この意味での「情報」を扱うテクノロジーの一つが「物語」。
    これは何となくイメージしやすい。
    神話がある社会を結束させることを思えば。
    負の事例も含め、大小規模のいろんな例が思い浮かぶ。
    面白いのは、この技術の中に、真実の探求という方向性と、社会秩序の維持(のために真実追究に制限をかける)のせめぎあいが生まれてくるということ。

    しかし、共同体を維持するには、現実的な問題として税を徴収してサービスを提供することも必要になる。
    例えばルールを共有・浸透させたり、財物の流れを記録したりする技術も必要で、そのための「官僚制」を発達させることになる。
    ただ、ここでの「官僚制」には、古代王朝や近現代の政府だけではなく、宗教組織なども含まれる。
    こうして、「物語」を補う、情報を扱うテクノロジーが生まれてくる。

    本書後半は誤情報とそれを修正するメカニズムが取り上げられる。
    この辺りは、たぶん下巻でコンピュータ・ネットワークが作り出すつながりを分析するにあたっての対比的モデルを作る作業なのかなあ、と思われる。

    修正メカニズムがうまく働かなかった一つのモデルとして提示されるのが宗教。
    宗教は人間を誤りを犯すものとして捉える一方で宗教が無可謬なものとされる。
    規範として「聖典」が作られるのだが、写本づくりから誤りを排除することも難しい。
    また、完全な写本ができたとしても解釈の違いが広がっていくのはどうしようもない。
    安息日にエレベーターのボタンを押していいかという問題で、宗派により解釈が異なるなどというすごい話まで紹介されていた。
    こういう事例をどうやって探してきたのかと本当に感心してしまう。

    この議論の中で興味深かったのは、印刷術に対する評価。
    一般に印刷術は、中世的な教会の権威を打ち破るのに力を与えた技術とされる。
    しかし本書によれば、印刷術はある一人の常軌を逸した宗教裁判官が出した魔女狩りを激烈に主張する文書(クラーマー『魔女への鉄槌』)の忠実なコピーを社会に流通させ、魔女狩りをヨーロッパ全体に広げる結果となった。
    残酷な事実だ。

    自己修正メカニズムを内部化している例として挙げられているのは、近代科学。
    ただこれもスターリン政権下のソ連科学アカデミーのように、真実の追究よりイデオロギーを優先することも現に起きている。
    賢い人たちでさえ、こんな風なのだ。
    なかなか人類の世の中はうまくいかないようにできているらしい。

    本書の最後は、民主制と独裁制・全体主義の社会での情報の流れ方の違いとそれを支える技術についての考察。
    民主制=分散型の情報ネットワークと独裁制=中央集中型の情報ネットワークという図式にまとまりそう。
    そして前者は人間の可謬性を認めるために、自己修正メカニズムを持っている(が、強権的な指導者が出て、自己修正メカニズムを無効化していくことは起こりうる)。

    民主制であれ、独裁制であれ、大規模化していくのに大きな役割を果たしたのはマスメディア。
    たしかに、民主制の社会では情報の流れがマスメディアにより複数化し、調整や修正することにつながる。
    一方、全体主義社会では情報の流れを中央に集中させるために、チェック機能は働かない。
    しかし、著者は技術決定論を退け、マスメディアが全体主義の政体にも寄与することをきっちり指摘している。
    そして、一見、全体主義的なネットワークが機能不全になり、民主制のネットワークが勝利したと思われているが、AIの登場によってまた新たな局面が出てくるということが示唆され、上巻が終わる。
    何か読むのが怖いような気がしてきたが…

    *このレビューを間違えて下巻の方に登録してしまいました。上巻の方にアップし直して、下巻の方は一度削除します。(2026.2.8追記)

    0
    2026年02月08日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

    Posted by ブクログ

    人間の制御を離れたAIによる世論操作は、すでに現在進行形の「歴史」となっている。
    その渦中にいる私たちが何を考え、どう向き合うべきかを、共に問いを深めていく一冊。

    0
    2026年02月07日
  • NEXUS 情報の人類史 上 人間のネットワーク

    Posted by ブクログ

    難しくて何度も寝落ちしてしまった…宗教の話は避けては通れないのだろうけど、なかなかなじみがなく理解が難しいところもあった。どちらかといえば下巻の方がAIなどの話があって読み進めやすかったかもしれないが、情報を語る上で理解が必要な事柄ばかりであったので、もう少し勉強して挑みたい書だなと思った。

    0
    2026年01月24日
  • 21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    本作を読むにあたって前2作を改めて読み直したので、彼の作品を通しで5冊読んだことになる。
    ホモ・サピエンスが覇権を握った理由の一つに虚構を信じる認知革命の影響があると言われるが、故にフェイクと真実を切り分けるのも苦手だったりする。
    本作は、これまでの歴史を踏まえながら我々の思い込みを暴き、今をどう生きるか?を考えさせる一冊だ。
    相対的にキリスト教文化圏にシンパシーを感じる反面、そのキリスト教の歴史を知る人はこの国には少ない。イスラム教やユダヤ教も同様に、変な思い込みが陰謀論を生み、フェイクニュースに騙される。
    科学が暴いた真実によれば、人間の意識や心なんて崇高なものはなく、単なる電気アルゴリズムなのだそうだ。つまりは、バイオテクノロジーとIT革命によって人間の意識や心も完全にアルゴリズムと薬で支配できてしまいかねない…というのは暴論ではない。目の前を流れる大量の情報を捌くことばかりに意識を向けるのではなく、真実を観察して自分を持ち続けること、考える力を持ち続けることへの警鐘を鳴らしている。

    0
    2026年01月10日
  • NEXUS 情報の人類史 上 人間のネットワーク

    Posted by ブクログ

    ソ連とナチスドイツの全体主義を例に取り上げていたので、あまり馴染みのなかった地球上の組織についてもイメージすることができた。
    重要なのは宗教と科学。それらはどちらが正解ではなく、互いに作用し合いながら歴史を紡いでいる。
    そこに関与するネットワークの効用に触れつつ、過去について、考察する本である。

    0
    2026年01月02日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    以下のあたりの記載が印象にのこった

    現代の契約を一文にまとめると、人間は力と引き換えに意味を放棄することに同意する
    現代の生活は実際的なレベルでは、意味を持たない世界の中での力の追求からなる
    現代文化は絶え間なく成長を続けているが大きな実存的不安に苛まれている
    個人は巨大システムの中の一つのチップになってきている

    0
    2025年12月21日