柴田裕之のレビュー一覧

  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    統合失調症の研究が主と思って借りましたが、12人の子供のうち6人が発症してしまう不運な一家の長い長いノンフィクションがメインボディでした。

    冒頭から暗雲立ち込める雰囲気で、85パーセントくらいまで絶望的な展開が続く。
    最後の15パーセントは急に明度や彩度が変わるというか。それまでの文章が持つ、目に見えない小さな小さな鉛を含んだような空気が軽くなる。末娘が一度は決別した病気の家族や故郷に救いの手を差し伸べるからなのか?いや、それもあるだろうが、障害を持つ古い(前)世代が亡くなり、両親はその気苦労とともに亡くなり、新しく生まれ育った次世代が障害なく生まれ育ったからだろう。
    この一家の不運は前世代

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    2025年01月06日
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    比較するから、格差が可視化される。
    当たり前のトートロジーだが、文明が思い思いに発展する過程で「格差がない」方が難しい。交じり合う事により差が見えて、その差を互いに利用し合う動機が生まれる事で比較優位、国同士の強弱の関係性が用いられる。本書は、その強弱の関係性が何に起因するのかを探る。

    本書は、強い方の理由に着目する所から始まる。前段としてマルサスの人口論における生産性の成長速度に対する人口増大の限界を引き、それを突破する事が強者の条件を満たす事を説明する。技術の発展が人口増加を持続させ、人口増加が技術を発展させるという好サイクルが必要だった。しかし、技術の進歩と土地の生産性の高さはたいてい

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    2024年12月31日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    子どもの半数が統合失調症になった家族のドキュメンタリー。遺伝と環境の絶望的な組み合わせで発症するそうなのだけど、子どもを12人も産んだ親のせいな気がする。統合失調症になると、ロールシャッハテストにストーリーを見出すのね。

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    2024年12月18日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    これがホントにノンフィクションなのかというくらいに、想像を絶する一族の物語。
    精神疾患の気質に起因する大家族が故の近親姦、犯罪、貧窮など正視するのがキツイくらいの迫力。

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    2024年12月02日
  • なぜ悪人が上に立つのか―人間社会の不都合な権力構造

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    悪人が上に立つのではなく、善人や気の弱い人たちが遠慮しているだけのように思える。
    悪人はすなおに生きているだけてますね。

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    2024年11月20日
  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義

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    「生」と「死」について道徳性や合理性などの観点からもアプローチして多角的な視点から哲学的に論じている。答えは自分で見つけないといけないか。
    「死とはどういうことか」と「自殺とは?自殺は本当にいけないことなのか?」というセクションが印象深く、「そういう考え方もあるのか」と考えさせられた。
    翻訳本なので言い回しが日本の図書と異なるので読みづらさはあるかも。。
    ボリュームがあるが何回も読んで理解を深めたい本です!

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    2024年11月18日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    ポストコロナで加速されたかな。
    データ至上主義に突入している昨今、競うようにシェアされる個人情報、個人の感想がスマホから溢れている。

    cookieを拒否したところで自ら発信しているのだから世話ない。
    承認欲求は甘いクッキー。個人を個人たらしめるはずの発信が継続することで個性は溶け、データの一部になってしまうとは皮肉だ。

    彼の主張は悲観的な予言ではなく、現実に根差した論理的な予測で納得感がある。

    じゃあもうブログ書かない、SNS見ない、と決めたところで、この潮流は変わらないしアルゴリズムの恩恵を受けられないのはもはや不便な世の中になりつつある。
    より良い体験をしたいし、良い物が欲しいじゃな

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    2024年11月19日
  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 完全翻訳版

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    難易度高いテーマを、感情的な面を抑えつつ論理的に死を説明したもので、死を考えなおすことで、どう生きるべきかをあらためて考えさせられる。700ページぐらいあるので時間があるときでないとなかなか手が出ませんが、翻訳文もわかりやすく、内容も論理的だったのであまり苦にはなずに読めました。

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    2024年11月10日
  • ヒトの目、驚異の進化 視覚革命が文明を生んだ

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    ネタバレ

    筆致が強くて若干引き気味になる部分もあったけど、今までなかった視点がふんだんにあってそれぞれに個性的なデータが示されていて面白かった。

    人の色覚は人の体調や感情を肌の色から読み取れるよう進化した。平熱と微熱の一度の差を感じられるのと同様に、普段の肌の色を基準に僅かな差を読み取れる。黄/青(ヘモグロビン濃度高/低)・赤/緑(血中酸素飽和度高/低)が、人の色覚の四原色で、S/M/L錐状体はこれを感知できる設定の配置になっている。人の眼がこのような設定だから、人は今のように世界が見えている。決して正確な描写ではなく、自然淘汰でたまたま生き残った設定で脚色された世界を捉えている。
    また、眼は左右の二

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    2024年10月28日
  • レジリエンスの時代 再野生化する地球で、人類が生き抜くための大転換(集英社シリーズ・コモン)

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    効率化を追い求めすぎて変化に脆弱になっている。気候変動が猛威を振るう中で、それではうまくいかない。ローカルの環境やインフラ、生態系を維持しながら、協調していきていく必要があるという話。
    参考になる話も多いが、今のアメリカの話はちょっと特殊な気もした。あと後半繰返しが多い。でも一つの考え方を示してくれている。

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    2024年10月24日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    恐るべきことは、本書は創作された部分は一つもないノンフィクション作品である! と言うことだ。
    月並みな感想ではあるが『親子兄弟姉妹とは? 家族とは?生きていくとは?…どういう事なんだろう?』と考えさせられた。
    将来に希望をもたせる、この一族の物語はまだまだ続くのである…と言うような終わり方をするのもまた『正に事実は小説よりも奇なり゙』であった。

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    2024年10月19日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    ネタバレ

    21世紀の人類はどこへ向かうのかを考察した本の下巻。

    著者が予測している世界では人の感情や思考による判断は膨大なデータのアルゴリズムに置き換えられて出番がなくなるとされている。

    アニメのサイコパスの世界観とかなり近い感じがした。

    ただし、著者は本当にこうなるのだろうか?と疑問を投げかけて本書を締め括っている。
    自分なりの予測を立てて、それを確かめるように過ごしてみるのも楽しそう。

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    2024年10月15日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    今までの人類史の間、ずっと苦しめられてきた3大死因である飢餓、感染症、戦争を全て克服した人類は、21世紀以降どこへ向かうのかを考察ている本。

    これから自分は何を学び、何を考え、何をしていこうかを俯瞰して考えるのにとても役に立ちました。

    SFの世界ががいよいよ現実味を帯びてくるかもしれないと感じさせられて、読み物としてもとても面白いですよ。

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    2024年10月15日
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    ー 人類の旅は、魅惑的なエピソードに富んでいる。ディテールの大海原に漂い、波にもまれていると、水面下の強力な流れはつい見過ごしてしまう。本書の第1部では、これらの底流、つまり技術の進歩と人口の規模や構成との相互作用に焦点を当ててきた。こうした力が人類の発展―脳の進化、農業革命と産業革命という二つの重大な革命、人的資本への投資の増加と人口転換など、私たちを地球上でもっとも有力な種にした主な出来事にどんな貢献をしたかを把握せずに人類の歴史を理解するのは、事実上不可能だ。

    これらの底流はすべてを統合する概念の枠組みを提供し、人類の旅を理解する明確な軸を与えてくれる。それがなければ、人類の発展の歴史

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    2024年10月01日
  • レジリエンスの時代 再野生化する地球で、人類が生き抜くための大転換(集英社シリーズ・コモン)

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    経済学者による資本主義的な「進歩の時代」から民主主義的な「レジリエンスの時代」への転換の必然性が書かれた本。

    前半は科学的な記載が多く、生物学的・化学的・物理的な原理や過去の発明に基づきながら、現代社会の変化やそれに伴う警鐘を鳴らしている。
    あくまでも個人の感想だが、あまりこの辺りは頭に入って来ず、経済社会を科学的に捉えるという新鮮さや合理性は強く感じたが、それを自分の論として取り入れるほど解釈することができなかった。

    後半は、そういった時代背景も含めて、どのような社会がレジリエンスが高い社会なのかを具体的に述べている。
    ・クリーンエネルギーやIoTなどの発展、またそれに伴う監視と分散が実

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    2024年09月29日
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    【感想】
    世界には途方もない格差が存在している。アメリカの一人あたりGDP(2020年)は63,028ドルである一方で、アフリカ諸国の一人あたりGDPは、サハラ以南の国家全体を足しても、1,502ドルしかない。一方、国家間だけでなく一国内でも格差は深刻であり、アメリカでは上位1%の超富裕層が総資産の30%を握り、上位10%が全体の70%を握っている。
    格差は年を追うごとにどんどん拡大していっているのだが、しかしそもそも、格差が出現する発端となったのはどういう事象だったのか?欧米とアフリカの間に格差があるのは今に始まった話ではないが、何故数世紀も昔から経済状況に優劣があったのか?そうした疑問を紐

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    2024年09月17日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    発売されてすぐに一度読み始めたものの一旦挫折。
    が、やはり続きが気になって再開し、今度は読み終えました。
    とにかく印象的だったのは、下の女の子2人の環境のひどさ。自分だったらと思うとかなり気が重くなりました。
    訳者のあとがきにもありますが、事実は小説よりも奇なり。まさにこの言葉が当てはまる話でした。

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    2024年09月15日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    事実に基づくノンフィクション作品。12人の子供のうち、6人が統合失調症である家族を中心に、その生活の過酷さや統合失調症という症状への世界の理解の進みが書かれています。結論として、何かが解決していることはないようですが、この1つの症状について、とても理解が深まりました。
    印象的だったのは、統合失調症がその特性上、創薬においてとても不利であるということ。患者が自信の権利や意見の主張を正確に行えない以上、患者に対する調査や分析が意味をなさないのだと理解しました。
    長くて大変でしたが読んでよかったです。

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    2024年09月07日
  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義

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    死に対する考え方が覆された。
    今までは死といえば全く未知の世界で曖昧模糊とした輪郭に漠然と恐怖を感じていたが、地球引いては宇宙での歴史を考えたら自分が生きている時間なんてほんの一瞬にすぎない。
    生まれる前と死んだ後の無の状態こそがデフォルト。

    誰もが経験する死に自分も直面した時、恐怖や後悔がなるべくないように今のうちからやれることはやっておきたいと思った。

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    2024年08月29日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    二次大戦前後から現在に至るまでの家族(子供が12人、うち6人が統合失調症)の物語であり、治療と研究の進歩の話であり、社会や療養施設の話でもある。
    面白かったけど、翻訳がイマイチ。

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    2024年08月25日