柴田裕之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
簡潔にまとめれば、これほどまでに人類が発達したのは「虚構(無から想像すること)」を生み出せるからだよねって話。
言われてみれば直接五感で感じたもの以外の、「無」を想像(創造)できるのって人類しかいないのかと考えさせられた。
「信頼」もそうだし、「政治」「価値」「国家」「貨幣」も言うなれば物理的な実態のない抽象的なもの。それを仮に生み出し、人類の間で共通認識として持たせ、維持しているからこそ、今の生活ができている。もし「虚構」が想像出来ず、見たまま聞いたままのことしか表現出来なければ、ここまで発展してないだろう。
個人的には神話の位置付けが新しい観点だった。神話は人を統治するために「人が」生み出したものって考えたこともなかった。自分にとって新しい知見が得られてありがたい限り。
後半ももちろんのことながら、『ホモ・デウス』にも興味が湧いた。
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Posted by ブクログ
やっと読むことが出来た。面白いと思えた。学生時代話題に上ってて、読んだ後輩から熱心に勧められたりもした。数年前にハードカバーで買ったものの、その後に文庫本が出てこれからあと一冊、下手をするとあと三冊買うには、ちと荷が重いと思ったので、文庫本に買い換えもしたこの一冊。
農業革命によって狩猟採集民としての作業をすることが無くなって、いざ戻そうとしたら忘れて出来なくなってって流れで、余暇が出来たって確か『暇と退屈の倫理学』にも出てきて論の核になってた部分だと思うから、『サピエンス全史』の影響なのか元からそういう論があるのか、そこまでは知識不足だが、色々読んで来て色んな繋がりが見られたから今読んで良かったと改めて思う。 -
Posted by ブクログ
第19章 文明は人間を幸福にしたのか 第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ がとても面白かった。
上下巻通して読み、人間の時代による出来事(革命)の縦軸からなる説明を噛み砕いていたマクロ視点が、19章20章で人間そのものの未来に焦点をあてる横軸のミクロ視点まで経ていて、本書全体が人間について、人間とはなにかと根底から考えようとする試みの連続で感嘆と、頭を抱えるような作者の警鐘の音を余韻として聴く心地だ。
わたしたちはなにになりたいのか、わたしたちはなにをのぞむのか。
未知の海を泳ぐ不完全な頼りないいっそうの船であるわたしたちは、作者のその言葉を羅針盤のようにして大切に持ちこたえつつある限りは、船は沈まないと信じたいが、どうだろう?
間をあけて、何度か読みたくなるような本書。
ホモ・サピエンスの栄光に色濃く遺る陰影にきちんと向き合うハラリさんの視点は警鐘もあるが、優しさも個人的に感じた。
訳者 柴田裕之さんの訳もわかりやすかった。
今を生きる全てのひとに、おすすめな本。
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ネタバレこの人は冷笑しながら世界を歴史を見つめているのだろうか笑
ちょいちょいおもしろくって。
虚構の上にねぇ。うんうん。
とか思って読んでたらロマン主義で刺さる。え、どうしよう反対かと思ってたのに笑
ホモサピエンスの歴史を”認知革命““農業革命”“科学革命”の観点から独自の視点で紐解く。上巻は認知革命と農業革命。
うる覚えだった認知革命以前のホモサピエンスとその他人類の整理がまず新しく、もはや新情報。え?そうだったっけ?とか、長年ぼんやり考えていたことを裏打ちする様な記述に心躍る。
未だ多くの謎に包まれた狩猟採集民族の進化(?)や農耕民族への移り変わりを痕跡を元に説得力のある説で展開。
想像上の秩序がいかにこの世に浸透して現代を支えているかを繰り返し解説する。ぼんやりしないパワーワードが衝撃ながらかなり楽しい。
このあと1000年も続くかわからない情緒不安定な独裁者であるホモサピエンスはどこへ向かうのだろう。
6章のあたりからおもしろくなってきた。
8章は若者にも読んでほしい、想像上のヒエラルキーと差別。 -
Posted by ブクログ
わたしたちの祖先、ホモ・サピエンスは果たしてわたしたちが信頼するに値する人物像だったのか。
血生臭い人類史に、当たり前とされる現代の常識的な足もとが容易く揺れる。
しかし、それがとても面白い。
認知革命により虚構(神話)を信じることで見知らぬ他人と協力し大がかりになにかを成し遂げることもできるようになったホモ・サピエンス。
宗教も貨幣も国も法律も、わたしたちはふたつの現実を生きている。
皆が信じているから(わたしも信じているというような事柄で)ようやっと成立している物事の多さに気づかされ、気づくことで改めて考えを揺さぶられる本書。
社会の見方が変わる本だと思う。
哲学的な人類史という感覚。
下巻も楽しみだ。
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本書で特に印象に残ったのは、人類が飢餓や疫病、戦争といったかつての脅威を克服しつつあり、科学と技術によって世界の主導権を握る存在になったという視点だ。かつては運命や神の意思と考えられていたことも、現代では人間の知識やシステムによって対処できる問題へと変わりつつある。
また、本書は「人間は本当に自由意志で行動しているのか」という問いを投げかける。私たちは自分の意思で選択していると思っているが、その判断は遺伝子や生物学的な仕組み、さらにはアルゴリズムによって大きく左右されているのかもしれない。
特に興味深かったのは、若い男性が危険を顧みず挑戦的な行動をとる理由を進化論的に説明していた部分だ。狩猟時代にはリスクを負って成果を上げることが生存や繁殖の成功につながったため、その傾向が現代にも受け継がれているという考察には納得感があった。
仏教に関する記述も印象的だった。人が追い求める快楽や欲望は一時的な感覚に過ぎず、その正体を観察することで執着から距離を置けるという考え方は、人間中心主義が進む現代だからこそ考える価値があるように感じた。
歴史書というより、人間とは何か、自由意志とは何かを考えさせられる哲学書のような一冊だった。下巻も楽しみ。 -
Posted by ブクログ
上下巻を読み通して、頭の中がいろんな方向に持っていかれました。評価を付けるような本では有りませんが「こういった考えを持っている人もいるんだー」のレベルで読み切れたのでokかなぁと。
自分の中で納得していた常識に疑問を抱いたり、偶然だと思っていたものが、長い年月をかけて必然のように積み上がってきたことに妙に納得したり。
地球上に生命体が誕生し、ホモ・サピエンスへと進化する過程から始まり、どう生きるのか、どう暮らしていくのかを、その日その日で考えていたものが、月単位、年単位へと変わっていき、知恵を持ち、個人から家族、集団、村、国へと広がっていく。暮らしが豊かになり、発展して、宗教が生まれ、統治者が生まれる。その先で戦争や侵略が起きる。今生きている我々の世紀はこのループの中に存在している。
核については特に考えさせられましたね。人類は、自分たちの営みを終わらせるレベルのものを作ってしまったんです。そして、戦後何十年経った今もなお、「国を守るため」という理由で持ち続けている。もちろん簡単な話じゃないのはわかるけれど、結局、今この時代に生きている自分たちも、すごく危ういバランスの上に立っているだけなんだなと思いました。今の時代も宇宙年数で言ってしまえば、ほんの刹那。
ざっくりですが、面白い著書でした。ただ、読後に残ったのは「知識が増えた」という感覚ではなく、自分の中で静かに消化しながら、この世界とどう向き合って、自分の人生をどう生きていくのかを考え続ける感覚でした。時間をかけて読んでいただきたい、深みのある本です。 -
Posted by ブクログ
独裁者とは、権力を握った者ではなく、権力から降りられなくなった者なのではないか。本書はその逆説を、豊富な事例の分析を通じて淡々と、しかし鮮やかに照らし出します。民主主義の危機が語られる今日、「なぜ独裁体制は生まれ、なぜ続くのか」を理解することは、民主主義を守るための不可欠な前提でもあります。
【原題】
HOW TYRANTS FALL -ANDHOW NATIONS SURVIVE
【目次】
序――黄金の銃のパラドックス
恐怖におびえながら生きる独裁者
「リビアのゴッドファーザー」の悲惨な最期
独裁者はどのように失脚するのか?
注目すべきは独裁者個人よりも政権の仕組み
取材した人々と本書の構成
独裁者はいつの時代にも存在する
独裁者を倒す
第1章 降りることのできないランニングマシン
独裁者が権力を求める理由
国内一の金持ち
後継者という敵
民主化という選択肢
亡命という選択肢
なぜ独裁者の亡命を受け容れるのか
亡命先がないから権力の座にとどまり続ける
第2章 内なる敵という脅威
皇后エカチェリーナによるクーデター
独裁者が必要とする3つのグループ
権力を維持するための食料の分配
「独裁者のジレンマ」と人材のプール
お金というアメと弾圧というムチ
裏切り者を洗い出す試み
へつらう高官たちの嘘で歪む現実の見方
独裁者の精神状態
精神を病んだ赤道ギニアの独裁者
第3章 軍人たちを弱体化する
ガンビアの独裁者を倒すクーデター計画
作戦当日の夜とその後
クーデターの回数と成功率
クーデターにかかわる3つのグループ
首都をおさえるべき理由
クーデターを防ぐ3つの方策
軍隊を飼い慣らし、軍人を政権に縛りつける
独裁者による軍隊の「民族化」
軍や諜報機関を再編することのリスク
他国の軍隊に安全を保障してもらう
第4章 叛逆者、武器、資金
私腹を肥やし過ぎて失脚した独裁者
叛乱を起こすことは困難になっている
叛逆の理由と手段
反政府勢力の資金源となるダイヤモンド
身代金による資金集め
……
第5章 国外の敵、国内の敵
独裁政権は戦場では有利
スターリン政権における粛清の嵐
戦果報告における嘘の蔓延
秘密作戦による外国の介入
失敗したアメリカのカストロ排除作戦
軍事的な敗北のリスクを軽減するための2つの道
大量破壊兵器による抑止
核兵器開発の難しさ
外部からの攻撃に対処する
外国勢力を利用する
安全を提供する側の2つのリスク
第6章 民衆に銃を向ければ負け
抗議行動の拡散という脅威
抵抗運動の「3.5%ルール」
弾圧が裏目に出るとき
政権を正当化する試み
敵対勢力の「抱き込み」と連帯の阻止
政府による監視と集合場所の除去
著名な活動家に対する弾圧
徹底的な実力行使
東ドイツ崩壊の裏側
国際社会が果たす役割
反体制派に譲歩する(ふりをする)
第7章 暗殺の他に選択肢がないとき
独裁者殺しは正当化できるか?
暗殺される可能性とそれを防ぐ方法
アフリカの独裁者を守るロシアの準軍事組織
安全のために自らを隔離する
国民から切り離されたプーチン大統領
全能の神のように振る舞うことの目的
外国政府による暗殺
暗殺という脅威がもたらす全面戦争
ドローンが変える暗殺
第8章 政権交代の難しさ
独裁者が倒れたときに起こること
独裁体制が崩壊した後のスーダンを見舞った悪夢
繰り返す独裁政治のサイクル
内戦を避けるための権力継承の規則
民主制につながる非暴力的な抗議行動
クーデターによる政権交代
内戦を終わらせるのはなぜ難しいのか?
外国による政権交代が失敗する理由
高齢の独裁者が安らかに死を迎えるとき
第9章 独裁者の倒し方
外国勢力が独裁政治のサイクルを断ち切る2つの方法
独裁者の力を弱めるためにすべきこと
敵対者を監視し抑圧する技術を与えない
制裁措置の実施や防衛保障の停止
ライバルの人物に力を与える
一般大衆に力を与える
政治亡命者への支援と独裁者本人の亡命
外部勢力による措置の限界
直接排除か、「監視し、備える」か
独裁者に荷担せず、彼らが及ぼす害を最小限にする
ソーシャルネットワークを利用して失敗した作成
安易に行動を起こすことの危険性
金政権の北朝鮮を援助すべきか?
独裁者を倒すには忍耐が求められる
独裁者を脅かすもの
謝辞
原注 -
Posted by ブクログ
個人的メモ
人類は約7万年前の「認知革命」で、架空の概念を共有できるようになった。
“神話”や“物語”を信じられるから、大人数で協力できるようになった。
サピエンスは狩猟採集時代のほうが、実は健康で自由だった可能性がある。
「農業革命は人類史最大の詐欺」=種全体は増えたが、個人は楽になっていない。
小麦や米を人間が育てたというより、人間が小麦に利用されたという視点。
帝国・宗教・貨幣は、すべて“共通の虚構”によって成り立っている。
お金は「最も普遍的な信頼システム」として機能している。
ハンムラビ法典やアメリカ独立宣言なども、“客観的真実”ではなく共有された価値観。
人類は多様な文化を持ちながらも、歴史を通して徐々に統一へ向かっている。
戦争や征服は悲惨だが、その過程で文化や経済圏が広がっていった側面もある。
宗教は秩序を作る力を持つ一方、人々を縛る力にもなった。
上巻全体を通して、「常識と思っているものの多くは、みんなで信じている幻想」というテーマが一貫している。