柴田裕之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
サピエンス全史、予てより読みたかった本である。衝撃である。
我々ホモ・サピエンスは、同時代にかつて存在したネアンデルタール人等のヒト族を凌駕して唯一生き残った。
ホモ・サピエンスがヒト族の中で生き残り、更に地球の生態系の頂点に立てた最大の理由は、複雑な状況を説明できるコミュニケーション能力を持ったことに加え、何億人もの間で「神話」を共有できるようになったこと。
資本主義や、法律、国、人権、宗教、お金など、本来は存在しないものを「存在する」と皆が信じることにより、それらを存在させている。その仕組みの中で我々は生きているとは、改めて言われると驚異的である。あたりまえに「ある」と思っていたこと -
Posted by ブクログ
この作者は歴史学者なんですね。
上巻の情報の歴史も全てこの下巻のAI革命の問題に繋げているのですね。流石です。
私なりにこの本で述べたい事はこんな感じと捉えました。
⚫︎AIも一つの道具。使う人によっては凶器にもなる。
⚫︎これまで以上に情報が重要。情報を集めた者(国家)が覇者になる。
⚫︎情報の分断→世界はグローバルから分断に。
⚫︎世の中に絶対の倫理はない。その倫理をどの様にAIに植え付けるかがこれからの課題。
⚫︎今までは人間のみが考えることが出来たがこれからは人間以外のもの(AI)が考える未知の世界が始まる。
個人的にはこの作者ほど未来には悲観的には考えてはいませんがAIという道具 -
Posted by ブクログ
自己修正メカニズム
→聖典、カトリック教会、ソ連のような全体主義体制にはない
→科学、民主主義にはある
世の中の体制には神話と官僚制が内在されている。神話は統治のために共同幻想を生み出す。官僚制は、秩序維持のために真実を犠牲にして、尺度の中に入れ込む。
ソ連は共産主義という神話、共産党や中央政府といった官僚制を両方持っていた(それも近代の情報テクノロジーにより秦朝の頃より強力な形で)。
しかし、アメリカなど民主主義国家に比べて自己修正メカニズムが脆弱だったため(マスコミや裁判所が無力化されている、全ての情報が中央集権的)、失敗してもそれを反省して修正する能力が低かった。それが20世紀にお -
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Posted by ブクログ
全体主義体制では、独裁者は国民を監視・管理しやすくなる。しかし同時に、独裁者一人が情報操作の対象となることで、容易に生成AIに支配されてしまう危険性もはらんでいる。
では、民主主義はどうだろうか。生成AIの力によって、より良い社会が築かれることが期待されている。だが、それだけでは済まされない。偽情報の拡散により、民主主義そのものが機能不全に陥る恐れもあるのだ。
だからこそ重要なのは、情報の管理や監視を一極集中させず、分散しておくことだ。そして何より大切なのは、AIを単なる「技術」として扱うのではなく、「文化と人間性を問い直す鏡」として見直し、深く考え直す姿勢である。 -
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「死」について、論理的に考えてみるのは、確かに興味深い。
意識が無くなったら死と言えるのか。
肉体が残っていても、それは死と言えるのか。
様々なパターンを例として挙げながら、学生たちに「あなたはどう考えるか?」と問う形式の授業内容をまとめたものだ。
本書の中に、余命宣告を受けた学生が、この授業を受講したエピソードが記載されている。
その学生が、この授業をなぜ選択したのかは分からない。
死に向き合おうとしての選択なのか。
単純に「死」を知識として探求したい目的の受講なのか。
当たり前であるが、死を体験して自身で理解することは、論理的に不可能だ。
死ぬ瞬間については想像できるかもしれない。
しかし -
Posted by ブクログ
情報がいかに社会をつくり、支配し、壊すか
歴史を振り返ると、バカらしいことを命かけてやっている。
現代の「魔女狩り」は何だろ。
文春砲的な袋叩きも「魔女狩り」の一種かな。
スターリンの死に様が、哀れ。
倒れてもスルーされる最期って、かわいそうに。
スターリンのお母さん、どんな子育てしたんだろう。自分が母親になると、いろんな人のお母さんがどんな子育てしていたのか気になって仕方がない。
お母さんもスターリンが悪名高い人物になるなんて、思いもしなかっただろうな。
人間は、真実よりも、物語や幻に振り回されて生きているね。
お金だって、真実は、ただの紙やからね。日本通貨は、日本人に共通の幻想を浸透 -
Posted by ブクログ
ジョークと具体例の中にポイントが紛れていることがおおくやや冗長で読みづらかった。
何回も読まないと実践できないくらいのTIPがたくさん。
まずは簡単な瞑想から習慣化スタート。
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・幸せとは心のデフォルト設定
・情動は心ではなく体に現れる(呼吸や汗、肩のこわばり)
・注意とメタ注意
・エンジニアでさえ求められる能力のほとんどはEQ(ナイスガイが一位になる!)
・優秀なのはポジティブで穏やかで達成基準と意欲が高く社交的
・EQ=情動的能力→自己認識→情動の自覚(情動と影響/正確な自己査定(長所と限界)/自信(価値と能力の実感)
・山のようにおだやかで隙がなく座り、思考の流れをただ眺めlet -
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Posted by ブクログ
死生観を公平な視点と哲学で「死」とは何かについて説く良書である。
死は必ず誰にでもどんな存在でも訪れる不変なもの。本著では、人間という死の先には無があると説く。
世の中には、死後の世界についての経験を語る人は少なくない。本著はそれらも否定しない。純粋に人間として、死とは何か、今生きる私たちが幸福でいられるためにはどう過ごせばよいのか、そして、死を問うことで生きることに繋がると本著は強いメッセージを私たちに伝えてきてくれる。
死生観は十人十色だ。本著を通じて学べることは、死を極端に怖がる必要ないこと。自殺について否定的であり、「死を問うことで、未来の可能性を見いだし、生きる希望を持つこと」を説く -