柴田裕之のレビュー一覧
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1年越し二週目の感想です。
下巻も非常に面白い内容ばかりでした。個人的には科学史に興味があったので、特に帝国主義や資本主義が絡む本巻はとても読み応えがありました。「無知が信用を生む」という考えが非常に面白いです。
一方、19章以降の幸せ、未来については、現代人にとって少し耳の痛い話だなぁと思いました。「そもそも科学と幸せがどう結びつくか」という問いは、確かにこれらか非常に重要になる問いだと感じました。以前科学哲学の本を読んだのですが、今の時代は、科学から「創造主の計画を明らかにする」という目的が抜け落ち、技術的な科学に向かっている、という知見が述べられていました。
この抜け落ちたものこそ -
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ネタバレ第6章 非有機的ネットワーク
Facebookのフェイクニュースによるミャンマーでのロヒンギャの虐殺は史上初のアルゴリズムによる人間の行動への関与であり活版印刷やラジオなどのプラットフォームとは責任の意味が違う。ユーザーエンゲージメントを最大化するために自動的に最適化されたアルゴリズムが憎しみを煽るフェイクニュースだったというのは人間の潜在的なバイアスとしても重要だと思われる。
意識consciousnessと知能intelligenceは異なり、前者は主観的な感情であり後者は客観的な行動決定である。例えば細菌は意識を持たずとも知能を用いるし、人間でさえも生命維持のための呼吸や心拍などは無意識 -
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いつものように著者の知識による比喩がとても分かりやすく理解しやすい。とは言えだいぶ難解でもあるハイカロリー本!
科学が発展を遂げるに従って、人類が自由主義の到来からここ2世紀信じて来た内なる自己が生体アルゴリズムの結果に過ぎないことが明らかになり、ビッグデータによってすべて人間の意思の外の"外部"で決められる事が出来、自己決定すら危うくなる…自由主義の時代を担ってきた人間至上主義が崩壊する…その場合の未来にホモ・サピエンスは消滅する。著者のこの予測は当たるだろうか?この未来が気に入らなければ変えるよう何らかの努力することが必要だ…という内容。
特にこの下巻での、人間の& -
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いろんなトピックがあるのだか、
結局、こういうことに集約できるか。
取るに足らないはずの人間が力を持てたのは、
虚構を信じて団結できたから。
何か大きなことをなすには、周りに虚構を信じさせることが大事になる。
虚構を伝えてくるのは、
国であったり、企業であったり。
自分に問いかけたとして、果たしてそこに
本当の自分があるのか。
周りから信じ込まされた虚構なのではないか。
現在さらにバイオテクノロジーとデータによって、
個々人を理解した上で、それぞれに合わせた虚構さえ作りうる。
いったい何を信じたらいいのか。
と。
しっかりと自分で考える力をつけないといけない。 -
匿名
購入済み現在当たり前のように受けている恩恵が、今後急速に発展した結果悲惨なことにつながりかねないことを改めて実感した。無知が本当に危険なので、危機感を持つべきだと思った。
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Posted by ブクログ
上巻でナラティブの威力を思い知らされたが、
下巻はそこにAIわる。
AIのアルゴリズムの危うさ。
この辺りは昨今叫ばれているところで、
もしかしてこの本が起点になっているのか?
と思わせるほど。
「人間のものとは異質の知能」(エイリアン・インテリジェンス)という表現で。
それと、、、上巻の感想で書きそこなった無謬。
教会、聖書は間違えない、という前提が、力を持っていた。
一方AIは可謬、間違える。実によく間違える。
しかし人々がそれをどう扱うか、どう利用するか、、
そこに民主主義と全体主義という二つの体制がかかわると、どんな世の中になるか。
トランプ大統領のふるまいを見ていると暗澹とした気分に -
Posted by ブクログ
格調高い文章で、それでいてわかりやすく、実に読み応えのある本。
前半は情報が人類の歴史にもたらした功罪を、歴史と共に追いかけている。
物語、おそらく英語では「ナラティブ」を人類がもったことで、さらにそれを
書き残し、さらには印刷、さらにはラジオで広めることができるようになったことで
その発信者は強大な力を持つようになる。聖書、教会がいい例だ。
それが時には人類の発展に寄与し、時にはナチス、魔女狩り、スターリンの恐怖政治
のように罪のない人を貶めることに利用される。
情報の力はかくも恐ろしい、、というのが「上」。
こういう歴史を見れば、今のアメリカで、ロシアウクライナで、日本で起こっている
出来 -
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Posted by ブクログ
歴史学者ならではの視点で情報とは何か、人類にとって情報がもつ役割などについて論じた一冊。
以下、上下巻を読んだ上での自分なりの解釈。
情報とは、宗教や国家、貨幣など、人類自らが作り出した虚構や物語(共同主観的現実)を繋ぎとめるためのものであり、情報のネットワークの構築により人類は発展してきた。
過去の人類史における革命的な出来事である文字の発見、印刷技術などは、虚構や物語を生み出し強化するのに大きく寄与した。
AIの大きな問題は、今までは人類が自らが生み出し、強化し、ある程度操作することができた物語を、人類の想像がつかない所で生み出せることにある。
AIはすでに日常に溶け込んでおり、 -
Posted by ブクログ
•科学革命はこれまで、知識の革命ではなかった。何よりも、無知の革命だった。科学革命の発端は、人類は自らにとって最も重要な疑問の数々の答えを「知らない」という、重大な発見だった。↔︎イスラムやキリスト、仏教といった近代以前の知識の伝統は、この世界について知るのが重要である事柄は偉大な神によってすでに全部知られていると主張した。
•資本主義は、資本と富を区別する。ただ手元に置かれる富とは違って、資本は生産に再投資されるものだ。
•従来、独身者の間を取り持つのは家族だったが、今日では、市場が私たちの恋愛面での嗜好をしたて結婚を促す。アパレルやジム、美容師や美容整形の銀行口は、市場の示す理想的な美 -
Posted by ブクログ
『ホモ・デウス(下)』では、上巻で描かれた「人類が神に近づく未来」の具体的な姿がさらに鮮明に語られます。AIやアルゴリズムが人間を超える存在になるとき、私たちが信じてきた「自由意志」や「個人の尊厳」はどうなるのか――本書はその問いを真正面から突きつけてきます。
特に印象的だったのは、「人間よりもデータが自分を理解する時代が来る」という指摘。好きな映画や恋人さえ、アルゴリズムのほうが自分自身より正確に選び出す未来を想像すると、便利さと同時に強い恐怖を覚えました。
また、宗教や思想を「物語」として捉え直す視点も興味深く、人類は常に物語を信じることで社会を作ってきたのだと改めて気づかされました。