柴田裕之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでいてずぅ〜っと面白い。
知的好奇心が刺激され続けてページをめくる手が止まらない。
一方で内容は一読して簡単に理解できるものではないので、何度も読み返して時間がかかる。
自分の人生の中でも「最高」に近い読書体験であったことは間違いない。
内容としては、人類の歴史について、鳥の視点よりも広い、宇宙を飛ぶスパイ衛星の視点で論じたもの。(本人のたとえから引用)
歴史の中で各種の「革命」が起こったが、自分が注目したいのは二つ。
認知革命と農業革命。
認知革命は言わずと知れたもの。簡単に言えば言葉によって人がコミュニケーションを取れるようになったということ。
ただ、ここで面白いのが認知革命の -
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Posted by ブクログ
人は、その感情さえも所詮は脳内化学物質のやり取りでしかないのだから、つまるところアルゴリズムなのだ…テクノロジーの進歩とともに人もアルゴリズムの1つになってきている…という主張をどこかで見て引っ掛かりを覚えていたが、本書はこのモヤモヤをキレイに晴らしてくれた。全くもってアルゴリズムそのものだが、私たちの感情や行動は他人や周りの環境に何らか影響を与え、それがまた自分にも影響を与えるすごい複雑系なのだと。
だから、この世の全てはXだからYになるという単純な話ではなく、どこかに予測不可能な偶然性が常にひそんでいる。自己啓発のような人間の努力はもちろん大切だが、偶然性や複雑系によりアウトプットが変わっ -
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Posted by ブクログ
1年越し二週目の感想です。
下巻も非常に面白い内容ばかりでした。個人的には科学史に興味があったので、特に帝国主義や資本主義が絡む本巻はとても読み応えがありました。「無知が信用を生む」という考えが非常に面白いです。
一方、19章以降の幸せ、未来については、現代人にとって少し耳の痛い話だなぁと思いました。「そもそも科学と幸せがどう結びつくか」という問いは、確かにこれらか非常に重要になる問いだと感じました。以前科学哲学の本を読んだのですが、今の時代は、科学から「創造主の計画を明らかにする」という目的が抜け落ち、技術的な科学に向かっている、という知見が述べられていました。
この抜け落ちたものこそ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ第6章 非有機的ネットワーク
Facebookのフェイクニュースによるミャンマーでのロヒンギャの虐殺は史上初のアルゴリズムによる人間の行動への関与であり活版印刷やラジオなどのプラットフォームとは責任の意味が違う。ユーザーエンゲージメントを最大化するために自動的に最適化されたアルゴリズムが憎しみを煽るフェイクニュースだったというのは人間の潜在的なバイアスとしても重要だと思われる。
意識consciousnessと知能intelligenceは異なり、前者は主観的な感情であり後者は客観的な行動決定である。例えば細菌は意識を持たずとも知能を用いるし、人間でさえも生命維持のための呼吸や心拍などは無意識 -
Posted by ブクログ
いつものように著者の知識による比喩がとても分かりやすく理解しやすい。とは言えだいぶ難解でもあるハイカロリー本!
科学が発展を遂げるに従って、人類が自由主義の到来からここ2世紀信じて来た内なる自己が生体アルゴリズムの結果に過ぎないことが明らかになり、ビッグデータによってすべて人間の意思の外の"外部"で決められる事が出来、自己決定すら危うくなる…自由主義の時代を担ってきた人間至上主義が崩壊する…その場合の未来にホモ・サピエンスは消滅する。著者のこの予測は当たるだろうか?この未来が気に入らなければ変えるよう何らかの努力することが必要だ…という内容。
特にこの下巻での、人間の& -
Posted by ブクログ
いろんなトピックがあるのだか、
結局、こういうことに集約できるか。
取るに足らないはずの人間が力を持てたのは、
虚構を信じて団結できたから。
何か大きなことをなすには、周りに虚構を信じさせることが大事になる。
虚構を伝えてくるのは、
国であったり、企業であったり。
自分に問いかけたとして、果たしてそこに
本当の自分があるのか。
周りから信じ込まされた虚構なのではないか。
現在さらにバイオテクノロジーとデータによって、
個々人を理解した上で、それぞれに合わせた虚構さえ作りうる。
いったい何を信じたらいいのか。
と。
しっかりと自分で考える力をつけないといけない。 -
匿名
購入済み現在当たり前のように受けている恩恵が、今後急速に発展した結果悲惨なことにつながりかねないことを改めて実感した。無知が本当に危険なので、危機感を持つべきだと思った。
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