柴田裕之のレビュー一覧
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・自由民主主義や自由貿易は完璧な制度ではないが、最善の制度ではあるというのが21世紀の答えになっているが、果たして今後もそうだろうか。データ社会となり、頭のいいAIが理論上最適解を導ける社会が到来したとき、無知の人間に等しく投票させる自由民主主義は好ましいのか。最も納得感のある制度であることは間違いないが、正しい解を導けるかは分からない。
・チャンスを掴む人間というのはチャンスを掴む準備をしていた人間であり、何もしていない人間は、どんなに社会が機械化、AI化したとしても、棚ぼた的な成功はつかめない。今後の世の中というのは、より格差が生じる社会となる。 -
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ネタバレ人類はこれからどこへ向かっていくのであろうか。私たちが生きていく時に思う人類全体としての未来。テクノロジーの発展により不死と幸福を追求することが目的となり、神聖さも獲得しかけている人類。ただし、そのために生きている意義、といった内面的なものは無くなっていってしまう。新たな観念的な考え方であるデータ至上主義により、人類の個人としての経験はたいした意味を持たず、人類としての経験が今を有するようになるといった悲しい未来になる可能性があると筆者は主張している。
示唆に富んでいるだけでなく、歴史からの学びを重視しておる歴史学者ならではの視点で語られており、とっても勉強になる一冊だった。
また、文庫版の序 -
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今この時間を大切にしようと考えるきっかけを与えてくれる本。
私たちは、いつか死ななければならないということを明確に認識しつつ、一方では自分が存在しない「死」というものを想像できない。このことが、自分は死ぬはずがないということを信じさせやすくなり、自分の消滅は不可能であるという「不死のシナリオ」を創出する。また、これが文明や科学など人類の業績の基盤を発展させた源であると位置付けている。
著者は、「不死のシナリオ」を4点に分類する。「生き残りシナリオ」(死なずに生き続ける)、「蘇りシナリオ」(いったん死んでも、蘇って生き続ける)、「霊魂シナリオ」(非物質的な霊魂として生き続ける)、「遺産のシナリオ -
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ネタバレ格差の起源_オデッド・ガロー著_柴田裕之訳
そもそも格差とは?
健康格差、教育格差、経済格差、世代間格差、地域格差など、世の中にはさまざまな格差と呼ばれる言葉がある。
Wikipediaによると、"格差(かくさ)とは、同類のものの間における、程度(水準・資格・等級・価格・格付け、レベル)などの差や違いである。また、社会問題の一つとしての意味合いを込めても用いられる語であり、貧富の差(経済格差)などを意味しても用いられる。"とある。
そもそも、違いがあるのは当たり前なので、格差があること自体は当然。その一方で、後者の部分を指した言葉が、〇〇格差なのだと、改めて認識した -
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合理的楽観主義者の本は読んでいて明るい気持ちになれる
そして、分業と専門化、それを支える信用は最近考えていたことが言語化された感じがして面白かった。
発展した場所は必ず規制と保護主義の温床になるので次の自由、資本、知識が流動化している場所に飛び込むことが大事だと思わされる本
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- 人類は分業と専門化によって発展してきた。
- 分業と専門化には信用が必要で、利己主義になりすぎると継続的に分業ができなくなるため、継続的に取引が行われる場合に人間は礼儀正しく振る舞う。
- 知らない相手との分業に役に立つのが、貨幣と国家による法律の設計。法律によって、完全に見知らぬ他者を信用し -
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本書では、お金よりも時間に重きを置く、「タイム・リッチ」な思考を推奨し、その重要性や方法を記している。
私自身、時間は有限だとわかっていても、少し勤務時間が長くてもどうしてもお給料が良い仕事や、10 円100円単位でより安いものを手に入れるために多くの時間を費やしたりしていた。
仕事に関してはすぐに変えるわけにはいかないが、実際に、より安いものを手にするために多くの時間を掛けることをやめたところ、生まれた時間を有意義に使おうという意識が生まれハッピーな気持ちを味わうことが出来ている。
嫌なことやストレスに感じていることにお金を支払い、時間をつくりだす。
時間を大切にすることに大きな価値を実 -
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ネタバレおもしろかった。
ニュースで気になっていたりしたとことについて、著者なりの整理をつけて解説してくれて、そうそう!そうなの!ってうなづいたり、もやもやしていた出来事への解説がすごく丁寧で気持ちが晴れた。
すごくありがたい。この本を読んだ人たちと話したい。
以下引用———————
ブレグジットに関してのリチャードドーキンス)
一般大衆は、判断に必要とされる経済学と政治学の予備知識を欠いていたからだ。「アインシュタインが代数学的な処理をきちんとこなしていたかどうかを全国的な投票を行なって決めたり、パイロットがどの滑走路に着陸するかを乗客に投票させたりするようなものだ(3)」 ところが是非はともか -
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ー 人間は、事実や数値や方程式ではなく物語の形で物事を考える。 そして、その物語は単純であればあるほど良い。どんな人も集団も国家も、独自の物語や神話を持っている。だが二〇世紀には、ニューヨーク、ロンドン、ベルリン、モスクワのグローバルなエリート層が、過去をそっくり説明するとともに全世界の将来を予測するという触れ込みの、三つの壮大な物語を考え出した。 ファシズムの物語と、共産主義の物語と、自由主義の物語だ。
ファシズムの物語は、異なる国家間の闘争として歴史を説明し、他のあらゆる人間の集団を力ずくで征服する一つの集団によって支配される世界を思い描いた。 共産主義の物語は、異なる階級間の闘争として -
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今まで読んできた「生と死」に関する本の中で、この本が一番納得出来た。
〈本から〉
「私たちは生き残るためのマシンだが、『私たち』とは人間だけを意味するわけではない。そこには、あらゆる動物、植物、細菌、ウィルスが含まれる」のだ。
私たちは二つの世界に生きている。一方は、他の生き物たちと共有している自然の世界だが、もう一方は、私たち独自のもの ー 象徴の世界だ。そしてここ、私たちが自ら作り出したこの世界で、私たちは切望してやまぬ永続性を達成できる。
バンドル理論
人は単一の首尾一貫した自己ではなく、散り散りになっても存続出来る記憶や考えなどの集まりであるとする理論
ガイア仮説
リン・マーギ -
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この本に出会ったのは、日本経済新聞の毎週土曜日に掲載される「リーダーの本棚」で日本医療研究開発機構センター長の浜口道成氏が取り上げておられたことがキッカケでした。
fMRIという機器を使って脳の画像を検証することで、いわゆる植物状態にある人にもさまざまなレベルの意識があることを明らかにした画期的な本です。植物状態=脳死=人間の死だと勝手に思い込んでいた私にとってはまさに目から鱗の衝撃でした。
テクノロジーの進化と新たな実験方法の開発により、生と死の狭間のいわゆるグレイの領域にいる植物状態の患者とのコミュニケーションが可能となり、そこに意識が存在することが明らかにされた。このことは人間にとっ