【感想・ネタバレ】「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年11月11日

こんなに「死」を深堀して考えたことなかったので読んでいる間楽しい時間だった。哲学的な部分は読むのが大変に感じてしまったが、死はどのような状態をいうのか、死の何が恐いのか、不死は良いことなのか、自殺はどのように考えたらいいのかなど、死に直面する前に考えておきたいことばかりだった。

0

Posted by ブクログ 2022年02月24日

おもしろすぎる!!
分厚い本だったけど一気に読み終わった!
是非私もこの講義を受けたい。そして、その時にはシェリー教授に多くの質問をし、語り合いたい!!!
本当におもしろかった。

0

Posted by ブクログ 2022年01月07日

イェール大学の哲学者による、死に関する様々な命題を取り上げた一冊。
長年死に対して恐怖を抱いていたが、今回読破してみることで、少なくとも永遠に生き長らえることが苦痛であること、死に対してより具体的なイメージを持つことができた。ぜひ強く読破をおすすめしたい。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年06月07日

〈第1講 死について考える〉

・望むものは将来も存在し続けることだけでなく、将来の私が今の私とよく似た人格を持っていることである。
(例)
900年以上生きられるとして100歳くらいの若造だった時の記憶を次第に忘れながらゆっくりと人格が変化していく。果たしてこれは望むものを叶えている?
著者的には...続きを読む違う。今の私の目標や記憶などを持った人になりたい。


〈第2講 死の本質〉

・死と生の区切り
身体説: 体を機能できる能力が失われた時に死と判定する
人格説: 思考できる能力を失った時に死と判定する

脳死の時の状態は、記憶がない赤ちゃんの時は、寝ている時は、冷凍状態の時は生きていると言える?


〈第3講 当事者意識と孤独感 死を巡る2つの主張〉

主張1: 誰もが自分が死ぬことを本気で信じてはいない
死の淵までの経験をした人がガラッと生き方を変えることはよくあるが、普通の人である私たちはそのように振る舞ってはいない

主張2: 死ぬ時は結局独り
共同作業はできない→普通の生活も同じでは?


〈第4講 死はなぜ悪いのか〉

・剥奪説
機械費用(もしもう片方を選んでいれば今の選択肢よりもいい結果だったという考え)により死んでいれば受けられたはずの喜びを受けられなくなる。

・死はいつの時点で悪い?
生きていれば悪くはないし、死んでいるのなら存在しないから悪くもならない→ある時点で生きてさえいれば時点は明確でなくても悪と言える

・生まれる前の存在してない時間も悪と考える?
いいえ。もっと早く生まれればという考えに至るには若くして死んでしまった時。もしくは早く生まれたと考えても終わりはそれ相応の時間を考えている。


〈第5講 不死が可能だとしたらあなたは不死を手に入れたいか?〉

・好きなことをしていても1億年後などはいずれ飽き退屈になる。
ならば100万年前のことは忘れる脳になっていたら?1億年後の自分は今の自分が考えていることは引き継がずに別人になっている。それは今の自分が望んでいるもの?(自分としては少しずつ変わっていっても自分は自分だと考えてしまう、未来の自分がガラッと変わっていても問題はないかなぁ)
快楽だけを受ける装置にずっといたら?快楽も飽きるだろう。それを考える脳に手術したら?それは人間ではなくなってしまう。

つまり、最善の生とは自分が望むだけ生きられることだと思う。


〈第6講 死が教える人生の測り方〉

・マトリックスのような現実ではない世界はいいことばかり起きる人生なら何が悪い?→実際には起きていない。

・生きること自体が+なのであればどれくらい加算すればいい?


〈第7講 死ぬまでに考えておくべき死にまつわる6つの問題〉

①死は絶対に避けられないという事実を巡る考察
この事実はプラス?マイナス?

マイナス: 死ぬだけでも悪いのにそれに関して何一つ対処できない。全人類がそうなのだから尚更悪い。
プラス: どうやっても変えられない事実であるためそれについて考える負担が減る。全人類を考えれば自分だけ狙い撃ちされるわけではないのだからいいのでは?

②なぜ寿命は平等に与えられないのか

平均寿命があってそれより長く与えられる人と短く与えられる人がいたとする。数字的には合わせたら平均になるのだが、気持ち的には短い人の方がメンタルの振れ幅は大きくて辛いのでは?

③自分に残された時間を誰を知り得ない問題

もし知っていたら?
マイナス: 毎日それを意識して過ごさねばならない
プラス: 最後がわかるのでそれまでを充実させようとする

④人生の形が幸福度に与える影響

面積は同じの人生上り坂と下り坂、どっちがいいかと言われると人は上り坂を選択する。つまり、生きているだけではなく人生の形が幸福に影響している。人生のMAXをどこに持ってくるべき?→それがその人の価値観

⑤突発的に起こりうる死との向き合い方

死は赤の他人にも、私の周りにも、私自身にも偏在的に起こる。

⑥生と死の組み合わせによる相互作用

ピザとチョコはどちらも美味いが組み合わせは悪い。
生と死は必ず組み合わさっているがその相性はどうか?
プラス: 有限だからより大事にできる
マイナス: 楽しいことを味見しただけで味わい尽くせない。人間という高貴な身分から没落する
筆者的には人生はかなり素晴らしいものになると考える程度には楽観的。多くの人は生きる価値がたっぷりある人生を達成するように思える。


〈第8講 死に直面しながら生きる〉

・死に対する3つの立場
否定する、対応する、無視する

無視するのは良くないと誰もが感じる。それを思わせるのは何故か?
→知っていたら人生が変わることが根拠として大いにあるから

・私たちが人生を大切にする理由
死を免れないからということでも、短いからでもない。目指す価値のあることがどれほど多くあり、それらを達成するのがどれほど困難であった場合に大切に感じる。
もし不死ならば永遠には大切にはしないだろうし、簡単な人生であれば面白みがないので大切に思わない。

・人生は、何もしないには長すぎるが、何かをするには短すぎる

0

Posted by ブクログ 2021年04月07日

 自分はこれまで死について深く考えることは無かった。この本を読んで死についての認識や在り方、考えかたが変わった。

 死とは、本人にとって悪いものではないし、恐れるものでもない。死んでいる状態は本人にとって何も存在しないから。生まれる前の事を気にする人がいないのもその為。死が悪いといえるのは、死が思...続きを読むっているより早く訪れた場合。しかし、不老不死は良いことではなく、逆に良くないことになる。なぜなら、人は永遠に生き続けられる生き物ではないから。自殺はケースによって許される場合がある。それは、本人が生き続けることが死ぬことより悪くなる場合。例えば、人間らしい生活が送れなくなる、生きるのに苦痛しかない場合など。しかし、ほとんどの場合、道徳的に自殺は許されない。

 自分は、死が悪いのは死が思ったより早く訪れる場合に悪くなるという「剥奪説」を知った。確かに、死ぬだけなら本人にとって何ら悪いことはない。しかし、生きていれば経験することができた良い事が、死によって奪われるのは誰にとっても悪いことになる。また、自殺を何がなんでも良くないという考えを改め、その人にとって必要な場合もあると考えるようにする。

 生きることとは、自分が人生で良いと思えることを実行できている時、価値があると考えらる。人生は充実度の量より質を求めていくべき。なので自分の人生の生きる目的・目標を定めるべきだと思った。

0

Posted by ブクログ 2023年05月19日

序盤の「宗教的に考えません」って所でもう心を掴まれてたんだけど、形而上学的な考察が長くてって言うか終始それなんだけど中弛みがありはした。
ただ、やはり、死の考察はそれぞれがやるべきだけど「宗教がこういうからこう思う」で済ませる人を否定も出来ないなと改めて思った。

結局、この本の言ってる事を踏まえた...続きを読む上で抽象化すると、身近に例えると「人=細胞」かな。システムではあるんだけど、それを悪性や良性に分けたり、殺す意味や細胞の適齢を伸ばす意味、生まれ変わりとしての代謝、自浄作用などを自分の体内で起こってる事なんだけど俯瞰で見るとこういう言い方にもなるのかなとも思いながら。

ただ、私の死に対する恐怖は単に「健康寿命との差異」だな。それについては触れてたかも知れないけど、あまり私の読み方では目につかなかったなぁ。

0

Posted by ブクログ 2023年03月26日

死とは何か、死はなぜ悪いのか、人生の価値をいかにして測定するか、といった死にまつわる諸論点の哲学的説明を試みる本。

機会費用的な考えを応用した剥奪説に対してエピクロスやエピクロスの再解釈、ルクレーティウスをぶつけ、さらに反論を加えたあたりはなかなかエレガントだったように思う。

また著者の主張の本...続きを読む流ではないかもしれないが、カート・ヴォネガットの著作の一節から引用した考え方が素敵だった。
死に向き合おうとするときの適切な反応は、生への感謝であるという。起き上がることを許された我々「幸運な泥」たちは、多大なる幸福に浴している。

一つの論点に網羅的な可能性を提示し平易な言葉で十分な検討を加えてくれるのは素晴らしいのだが、説明が平易な分、思考の交通整理にはややこしい。ひとまず頭から一読した。

0

Posted by ブクログ 2022年12月24日

「死」とは何か?この深遠なる謎に対して、まったく未知の、あるいはこれまで抱いていた概念がガラリと変わるような、そんな知識を授かることを期待していましたが、その期待は外れました。著者はドラスティックに断言します。「人は機械である」と。機械は壊れてしまえばもうおしまい。つまり、魂など存在せず「死」は一巻...続きを読むの終わりであり、その後は無であると。私も、もとよりこの考えでしたが、それでは救いがない。どこかで永遠不滅の魂というものが存在することに期待を寄せていました。けれども、本書を通じて、そもそも「死」を深遠なる謎などと見なすことが不適切である、と考え直しました。そこには「死」に面と向き合うことを避ける心理が見てとれます。その先には、どう生きるか?なにを為すか?という問いが立ちません。「死」に対する不安や恐怖は依然としてあります。また、多くの人にとって「死」は早く訪れ過ぎると思います。技術の進歩が新たな生命の器をもたらし、自分が心から満足するまで生きることができて、いつの日か「もう充分」と思ったら、死に方や死ぬ時も意のままになる。そんな世界が訪れないかと幻想を抱きます。一方で、事実を受け入れ、恐れたり幻想を抱いたりしないようにしよう、という対立する新しいチャネルが自分のなかに立ち上がったことも確かです。本書は、「死」について考えるきっかけを与えてくれる良書だと思います

0

Posted by ブクログ 2022年07月30日

自分の死生観に関しては、決してここで書いてよいものではないはずだ。それが誰であっても。

ただ、「死」に関して、自らフィルターを設け、考えるのを拒否している人間が多い。

酒やタバコ、自堕落な食生活。薬のODやetc.
これらはゆるやかな自殺に他ならない。死を早めているのにもかかわらず気にしない素振...続きを読むりで馬鹿みたいな顔で続けているのは、「いつか死ぬ」ということについて考えることをやめてしまっている。そんな人間は決まって「いつ死んでもよい」と宣う。そんなわけはないだろう。一番命乞いしそう。知らんけど。
死生観すらも持っていないのではないか?なんとなくで時間を消費していないか?

本書を読めば、ある程度死に関しては深く考え、救われるかもしれない。死というものが怖くなるかもしれないし、受け入れ、そのためにどんな行動をすればいいかの指針が決まるかもしれない。
読むと読まないでは生き方が変わってくるだろう。

0

Posted by ブクログ 2022年07月03日

哲学書だけに答えが無く、読み進めていくうちにモヤモヤしたものが残る。前半部分は冗長と感じたが、後半部分は面白い。人生を充実度と年数を掛け算した面積で比較する所は興味深かった。自殺を±ゼロより悪い人生を基準に肯定している所は同意出来る。死というテーマは全ての人にいずれ訪れる人生のイベントで有り、避けて...続きを読む通る事は出来ない。そして死後の自分がどうなるのか誰にも分からないし、答えもない。

0

Posted by ブクログ 2022年05月21日

死についてのいろんな側面について定義を置いてその正当性を考察している内容。世間一般で言われる説に関して反例を挙げて批判するところが学問的に感じた。これを呼んだからといって死に対する恐れがなくなることはなかったが、死について学問的に考えるいいきっかけとなってよかった。

0

Posted by ブクログ 2022年01月16日

死へのネガティブな印象やイメージを小気味良く、ひっくり返す内容が面白かったです。無知や恐れで死をイメージするのではなく「私たちは機械で、死んだら何もなし!」と言うのは逆に生きていくエネルギーになるなと感じました。

0

Posted by ブクログ 2021年11月11日

善や悪、生きるとはなにか、幸福とは?といった大きなテーマなると、どうしても多面的なコメントになりがちです。

しかし、この本は違いました。
「死んだら、来世はない。すべて終わりである」と
自身の意見で断ずる切れ味の良さ。また、そのような反発を招くような発言でいて、現代一部のコメンテーターから感じるよ...続きを読むうな性格の悪さを感じない言い回しが気持ちいい。小気味よく聴き込んでしまいました。

死という一見ネガティブになりがちな話題を哲学的に、客観的に考えさせてくれます。


ちょうど読み終わった時分、私の祖母が亡くなった一周忌がもう間近です。
彼女の死はなんだったのか?
私は悲しむべきなのか、彼女がもう苦しまないことを喜ぶべきなのか?

誰もが避けられない話題。
タブーにせず、天気や健康と同じように話し合えればいいなと、願ってやみません。この本はそんな時の助けになります。

0

Posted by ブクログ 2021年11月08日

生命とは何か。生きるとは何か。それらの問いと表裏一体の、「死」とは何かという問い。知的生命体がこの問題を扱う以上、それは生命としての機能停止という事象よりも踏み込んだ考察が必要になる。
「死」についての考察もさることながら、考えるための前提の組み方、読み解き方のプロセスは哲学への取り組み方をわかりや...続きを読むすく示してくれる。こういった「考える力」へのまなざしこそ本書のポイントであろう。
本書の難点は以下の通り。日本語版では死に対する評価に焦点を当てているが、なぜ前半の形而上学的主題を省略してしまったのか。その部分がないため功利主義的視点、道徳的観点、神学的観点などいずれの視点からもいまひとつ説得力を感じられないものになっている。前半を省略したところで重厚な一冊であることに変わりはないので、載せてしまえばよかったのに。

0

Posted by ブクログ 2021年07月12日

反出生主義など最近の哲学の潮流を学ぶための前提として読むとわかりやすい。結局、死に対する合理的哲学的否定はできないことが書かれていて、結論としては当たり前だが、哲学的思考を表層的に追うためには便利。原著の前半部の難解な部分を飛ばしているというのもとっつきやすい原因かも。ただ、どう生きるべきか、なんて...続きを読むことは書かれてないので自己啓発にはならない

0

Posted by ブクログ 2021年04月03日

「死」の定義議論から始めて、
・死はなぜ悪いと認識されがちなのか
・死を恐れるのは合理的か
・自殺は合理的判断になりうるか
あたりを、著者の主張を軸に展開していく本。

死の持つ特異性は「存在しなくなること」だということを一貫して感じた。
物事の善し悪しの判断に取り組むときは、その有無の先を想定、...続きを読む比較を実施するけども、死ぬと存在自体が消滅するので比較自体が成立しない。
この特徴はまさに「死」しか持ち得ないものだなと思う。

死んだ人に「死んでどうでした?」と聞けたことは未だにないので、リファレンスも出来ない。そのためいま正に生きている状態の善し悪しを判断しようとした時、他の物事なら用いるであろう社会的な判断基準を構成、醸成していくことも叶わないのだなと思った。この点はかなり面白い。

しかし、死について議論すると必ず「そう捉えるならそうよね」という空中戦になるため、死について考えることは面白いが、議論することに価値はないなと思った。
あと死の特異点を基に「死生観」が構築されているため、もし死人にインタビュー出来たら今の死生観は根底から崩壊するだろうとも思った。

本書ではあまり触れていなかったけど、こんなに定義不可かつ全人類に関わるものを放置すると集団統治が出来ないのは明白なので、この点が各宗教の開発駆動力には大きく関わったのだろうのは強く感じた。
死後の世界を定義することで、ある程度一定方向に社会的な死生観を収斂させることができるので。

しかし、まあ読んでいて苦痛であった笑
自分は哲学が好きなのだと感じていたが、実は定義不可な事象について議論することは面白く感じられないのだなと。そして、どこかに「善」の終着点があることを信じられ、人とぶつけ合える議論は好きなのだなと。
この点を自覚できたのも読んでよかったなと思う。

0

Posted by ブクログ 2024年03月24日

再読。
初めて読んだときの感動は超えられなかったがとても面白かった。
書きぶりが易しく、例えが多いので、分量の割にはかなり読みやすい。
「死とはなにか」定期的に考えてしまう人にはかなりおすすめ

0

Posted by ブクログ 2024年02月16日

前半の定義の問題の話は興味がない。第四章以降はそれなりに面白いが、「死は悪である」ことにするために「緩やかな存在要件」を採用している感じがして、その点についてはとても気持ち悪かった。

0

Posted by ブクログ 2023年11月11日

大学の講義とか聞いたことないけど、すごく理論的で理屈っぽさはあった。でも死と生の境界線の意識は学べた本でした。 

0

Posted by ブクログ 2023年07月30日

死というものの本質を哲学的に論じた本。死の合理性を冷静に語っている箇所もあり、ある種の冷酷さも感じられたが、余命一年を宣告された学生が受講を望んだというシーンにハッとさせられた。自分がそうなった時に何をしたく何を選択するだろうと考えながら思いを巡らせてみたが、答えが出ない。一つ言えるのは周囲の人に感...続きを読む謝を忘れずに日々を大切に過ごしていきたい。

0

Posted by ブクログ 2023年06月03日

最終的な筆者の結論は、私にとっては受け入れやすく納得できるものであった。死についての様々な考察を巡らせており、普通の人がここまであらゆる角度から考えることはほとんどないと思われるため、一度読んでみるとモヤモヤとした形のなかった考えがスッキリとまとまる感覚が得られるかもしれない。
ただ、翻訳した本であ...続きを読むるという点も理由の一つと思われるが、日本人としては時折理解しにくい部分もあり、長く感じたのも否めない。
総じて一読の価値はあると思うが、一気に読むというよりは、自分の頭がしっかり覚醒している時に少しずつ読み進めるのが良いと思う。

0

Posted by ブクログ 2023年02月23日

少しでも死の本質に触れられることを期待していたが、死についてというより哲学的な思考法についての造詣が深まった。要するに哲学の本。

0

Posted by ブクログ 2022年12月26日

筆者の結論は「魂など存在しない。私たちは機械にすぎない。もちろん、ただのありきたりの機械ではない。私たちは驚くべき機械だ。愛したり、夢を抱いたり、創造したりする能力があり、計画を立ててそれを他者と共有できる機械だ。私たちは人格を持った人間だ。だが、それでも機械にすぎない。 そして機械は壊れてしまえば...続きを読むもうおしまいだ。死は私たちには理解しえない大きな謎ではない。つまるところ死は、電灯やコンピューターが壊れうるとか、どの機械もいつかは動かなくなるといったことと比べて、特別に不思議なわけではない。」
したがって「死について考えるとき、死を深遠な謎と見なし、恐ろしくて面と向かえず、圧倒的でぞっとするものと捉えるのは適切ではない。適切ではないどころか、死に対する比類なく合理的な応答にはほど遠い。思うに、死を恐れるのは不適切な対応だ。」ということである。

結論として私の考えと同じなので異論はない。

この結論を前提に考えれば、著者が長々と論考していることは当然の帰結である。
できれば、だからどう生きていくという部分をもう少し充実させていただきたいものである。
本書は、哲学的考察部分を省いた日本縮訳版だそうであるが、この調子で哲学的論考をされると、多分途中で放り投げると想像するのである。

0

Posted by ブクログ 2022年08月31日

7月に3年ぶりに帰省した際に、94歳の祖母の認知症が進んでいた事と、年に1〜2回帰省できたとしてもあと数回しか会えないのだなと考えた。

ずっといると思っていた人にも死が近づいてくる、というのを実感した時に死ぬ事とはなんだろうかと考えた。

そんな中、そのまんまのタイトルのこちらの本を見つけたので読...続きを読むんでみた。

こういった哲学的な内容の本を読んだ事が今までほぼ無かったので新鮮だった。

普段何気なく過ぎていく事も深く考えればここまで広がるのか、と終始感心した。

死ぬ事は悪い事なのか、これについての考えは本当に人それぞれだと思う。
お互いの合意があれば殺してもいいのか、死んでしまってもいいのか、というのも深く考えさせられた話だった。

自分には難しい内容だったというのが正直なところで、読むのにも時間がかかってしまった。
内容を上手く自分でもまとめきれていないので、これかれ他の方の感想を読んだりして改めて理解を深めたい。

0

Posted by ブクログ 2022年07月31日

難しい言葉やイメージしにくいことが多く、あまり理解することが出来なかった。
もう少し大人になってから、もう一度読んでみてもいいと思う。

印象に残ったこと

〇どんな時に人は恐れるのか。
①恐れているものが、何か悪いものである。
②身に降りかかってくる可能性がそれなりにある。
③不確定要素がある。
...続きを読む
これらは生徒が学校生活で不安に思うことにも繋がってくると思う。
自分にとって害をなし、周りのことが分からない状況だと安心して生活は送れない。自分のできることは自己開示、生徒にここにいてもいいのだと思わせるため、笑顔を心がけ毎日一言でもいいから全員と話す。

〇まとめの動画を見て感じたこと。
自殺とは全てのケースがダメという訳ではない。この先、生きている方がマイナスになる場合は自殺という選択肢をとる事が悪いとは言いきれない。例えば、ガンになり、余命宣告され、精神的ダメージを受ける。家族も肉体的、精神的に疲労している。そのような時は自殺は悪いことではないのかもしれない。
しかし、逆に言えば、ほとんどの場合は自殺は悪いことと言える。例えば、彼女にふられた、大きな失敗をした。今その時は辛い思いをしているが、この先もそのような辛いことが続く可能性は高くない。自分ができることは、そのような人がいた場合、将来を見据えて、今はしんどくてもこの先いい事があると話し合うことが大切だ。

0

Posted by ブクログ 2022年02月17日

数年前に入手した際、これが原著の前半部分をすっぽり抜かした縮約版なるものであることに気がつき、バカらしくなって、そのままずっとうっちゃっていた。その後まもなく、版元に批判が集まったのか何なのか、完全翻訳版が新たに出され、かつ縮約版の割愛部分がネットで無料公開されたが、一度失せた読書欲は戻らなかった。...続きを読む

それを改めて読む気になったのは、やはりコロナ禍のせいである。コロナ禍は世界中の人間が、ほぼ同時期に死を身近に意識するという、有史以来未曾有の事態を生み出した。この時期に改めて死についての哲学に触れることは意味のあることのように思えた。

手元にあるのは縮約版だが、せっかく公開されているのだから、欠落部分も含めて全て読むことにした。縮約版で飛ばされた前半部分は、形而上学的な問題を扱っている。すなわち、魂はあるのか、死後の世界はあるのか、という問題である。著者がどのような結論を出すのかは本書を読んで確認してほしいが、私個人はほぼ同意見である。読み通して、これを抜かしたらあかんやろと感じた。後半部分単独でも読めることは読めるが、やはり前半部分の思索が全体のベースとなっている。

後半部分は死そのものを扱う。なぜ死は悪いものとされるのか、そもそも死は本当に悪いのか、それならば永遠の生には価値があるのか。さらには、自殺の問題にまで踏み込んでいく。

いくつもの哲学的、道徳的、宗教的な問題に著者は一つひとつ、自問自答を繰り返していく。それがくどいほどに繰り返される。なるほど、これが哲学的な手法なんだなと思った。正直、時に論理のすり替えではないかと感じたりもしたが。

個人的には文中で紹介されるカート・ヴォネガットの引用に心が動いた。確かに人生はそう捉えてもいいのかもしれない。一方で仏教や東洋思想へのざっくりした切り捨てが納得できなかった。まあ、それは西洋哲学の講義なのだから仕方がないところか。

著者も繰り返しているが、本書の内容が必ずしも読者にとっての正解とはならない。これを読んで多少なりとも死について考えたことが大切なのだろう。その意味では有益な読書の時間だった。

0

Posted by ブクログ 2021年10月14日

「死」とは何か(日本縮約版)

イェール大学教授のシェリー・ケーガン氏の著書です。
道徳哲学の専門家として担当している、「死」をテーマにした人気コースを書籍化したものです。
日本短縮版ということで、前半部分の形而上学的な内容はカットされ、倫理と価値に関わる問題がメインに論じられています。


【本書...続きを読むで学べること・考えること】
本書では、以下の著者の立場をベースに、その論の正しさを検証していく内容です。
- 魂は存在しない
- 不死は良いものでない
- 死を恐れるのは適切な反応ではない
- 死は特別、謎めいてはいない
- 自殺は特定の状況下では、合理的にも道徳的にも正当化しうる

読んでみての感想です。

日本人が持つ東洋的な死生観と著者の語る西洋的な死生観との違いを感じました。
宗教的な背景の違いも大きいです。

著者の主張のうち、不死、死の恐れについての態度は、概ね同意できます。
ただ、他の部分ではそもそも論じている「死」の内容自体に著者と私の考えに乖離があります。
私自身、生も死も基本的には事実があるだけで、意味や価値は、自分や他者の評価にしか過ぎないという考えに立脚しています。
従って、人生や生の価値をベースに論じている著者の考えには同意することができません。
殺人や自殺は「悪いと自分がわかっている」から悪いものであると考えています。
このあたりは、永遠に交わらないです。

0

Posted by ブクログ 2021年08月13日

3年ほど前だろうか。突然、現在では治らないと言われている慢性的な病気にかかった。発症当時、体調を急激に崩し、入院をした。周囲には、さまざまな病気を抱える高齢者の方々がいた。自分もその中で死にそうになりながら、数週間を過ごし、自分の人生、死について考える時間にもなった。
本書を手に取ったのは、そんな経...続きを読む験をした後だった。

死について考えることは最も興味深いテーマのうちの1つだろう。自分は子どもの頃、死んだらどうなるんだろう?と考えて、勝手に1人でとても怖くなるというのを何度かやっていた。
死は誰にでも訪れる。だからこそ、死についての向き合い方を他の人はどんな風に考えていて、自分はどんな風に考えていて、どういう風に考えていくのがよいだろう?きっとみんなが気になるテーマなのではないだろうか。

本書で、特に印象に残った話は、もし不死になったら?という話だ。永遠にやりたいことをひたすらやり、それをやり終えてなお生きている。それは非常に苦痛なこと。つまるところ、死という終わりが、人生を輝かせてるのではないかと。
自分自身、入院していた時に、自分が人生で本当にやりたいことってなんだろう?と本気で考える時間になった。その時間は、自分の人生観を変えてくれるきっかけになった。
Steve JobsのStanford大学の卒業式での有名なスピーチが自分は大好きで、ある時期シャドーイングの題材として使っていた。彼は、スピーチの中で、毎朝鏡の前で、今日がもし人生で最後の日なら何をしたいか?今日やることとそれが違うのなら何かを変えなければならない。そう言っていた。
自分はその言葉を身に沁みて思い起こされ、今この瞬間をどれだけ大切にして生きられているか、その大切さを実感した。

本書の内容自体は、こういった死についてどう向き合っていくべきかに関する「正解」を示してくれるものではない。それでも、本書の中で、死に関するさまざまな側面について考えることで、自分自身の死に関する考えについて、省みるいい機会になることは間違いない。

0

Posted by ブクログ 2021年07月08日

話題の本がアマプラで読めたので読んでみました。
大学の講義の本って面白そうだなと思ったのが最初です。

はじめにで先生が言っている通り、縮約版なので省略されている部分があります。
一回読んだだけじゃ理解しきれないです。
わかったような、わかんないような。
まさに大学の授業って感じです。
定期的に、長...続きを読む期スパンで読もうと思います。
(完訳ゲットしようかな)

第9講 自殺
で、「自殺を考えるということ自体が、正気ではない証拠なのだ。」という一文がありました。
そうなのかぁーと深く感心しました。
元気に生きてる人は自殺とか考えないんだなって。
自分しか思考は理解できないので改めて他人から真正面から言われると新しい発見でした。

0

Posted by ブクログ 2021年04月28日

死について、様々な角度からの意見をもとに著者の考えを著した本
魂と肉体は分かれたりしないし、輪廻転生や死後の世界(天国や地獄)も無い。
しかし印象としては、意見をいろいろとこねくり回している印象が強い

0

「学術・語学」ランキング