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Posted by ブクログ
本書は、死についての答えを与えてくれる本というより、「死」を入り口に哲学の面白さを体験させてくれる本だった。
特に印象的だったのは、「私とは何か」「死はなぜ悪いのか」といった、一見当たり前に思える問いを徹底的に掘り下げていく姿勢だ。
私は、死そのものが怖いというより、恋人との時間や、まだ出会っていない本や映画など、未来の可能性を失うことを惜しいと感じていることに気づいた。
また、本書を通じて、私の直感と論理は必ずしも一致しないことにも気づかされた。死後には私が存在しないのだから死を恐れるのはおかしいのかもしれない。それでも、別れは悲しく、死を惜しいと思う。
そうした答えの出ない問いを考え続けることこそ、哲学の醍醐味なのだと感じた。
Posted by ブクログ
日本縮約版の方を読んだ。
最初はちょっと合わないかもと感じた。まずは死んだら終わりという定義から始まっているのだ。潔いというか、まったく死後の世界を俎上に載せない前提から始まる。真宗で往生とか考えている自分としては、そうだなそれが科学的な視点かもということで改めて自分が宗教的環境にいるということを思い知らされる。
この方は外国人で哲学者で、生きる意味について語られた時に、それはやっぱり名を成した人が言うことであって、名もなき一般人にはそんな生き方できねーよみたいなところもあり、そこはもやっとした。
結果としてはとてもいい読書経験だった。死ぬということは、自分にとっていいことかということを突き詰めていったら、死んだ自分がどうこう思うことがないからそういう問題ではないということが自分に明らかになった。それではなにが自分にとって死がポジティブではないのかというと、死に至る瞬間、ものすごく痛いのではないかという恐怖がある。死んだら自分がなくなるということよりもそっちの方が自分にとっては恐怖だなというのを感じた。ということは、思いもよらない事故や災害、戦争などで身体が傷つけられることの恐怖が一番恐ろしく、次いでは病気かな。病の痛みは今ではだいぶん配慮されるようになっているので、ガンガン痛み止め使ってくださいという方針をお願いすれば自分の恐怖の元は解決されるのではなかろうか。と思うとちょっと気が楽になった(気がする)。
などということを本気で考える時間を作れるということでこの本はすごくいいと思った。
一回、自分が死ぬということを、あらゆるシチュエーション(自殺も含めて)真剣に考えてみることで自己分析ができるのではないだろうか。
Posted by ブクログ
「死」について、論理的に考えてみるのは、確かに興味深い。
意識が無くなったら死と言えるのか。
肉体が残っていても、それは死と言えるのか。
様々なパターンを例として挙げながら、学生たちに「あなたはどう考えるか?」と問う形式の授業内容をまとめたものだ。
本書の中に、余命宣告を受けた学生が、この授業を受講したエピソードが記載されている。
その学生が、この授業をなぜ選択したのかは分からない。
死に向き合おうとしての選択なのか。
単純に「死」を知識として探求したい目的の受講なのか。
当たり前であるが、死を体験して自身で理解することは、論理的に不可能だ。
死ぬ瞬間については想像できるかもしれない。
しかし、実際に死を体験する訳にはいかないのだから、本質の部分を理解することは、事実上不可能と言える。
そんな制限された環境の中で、「このパターンはどう考えるか?あのパターンならどう考えるか?」をひたすら問い続け、探求していく授業だ。
「自殺は本当に許されない行為なのか?」という問いも出てくるのだが、これだけ考えても相当に難しい。
唯一の答えはないし、それこそ国や文化によっても、個人の価値観によっても、全然違う回答が出てくるはずだ。
だからこそ「あなたはどう考えるか」という部分が重要になってくる。
我々にとって「死」とは本当に何なのだろうか。
死について深く考えることは、同時にどうやって生きるかを考えることだ。
つまり「生き方」についても、唯一の正解はないと言える。
そんなことは当たり前であるはずなのに、ついつい我々は「生き方の正解」を求めてしまう。
お金持ちになる生き方が、正解だと思ってしまう。
無条件の愛情を受けられる人生を、正解だと思ってしまう。
出世して人に認められたり、褒められたりする人生を正解だと思ってしまう。
そんな都合良い話があるはずがないし、そんな恵まれた生活を送れる人はほとんどいないはずなのに、そんな人生に憧れてしまう。
自分なりに納得する人生を見つけるのは、簡単な話ではない。
むしろ所詮人生はコントロールが効かないのだから、今の人生を受け入れて納得するしかない。
そういう境地に至るのを「悟り」というのかもしれないが、そんな大そうな話にせずとも、「死」について考えることは「生」について考えるきっかけになることは間違いない。
これから益々社会は変化していく。
AIの進化は凄まじく、人間の能力を凌駕していくことは間違いない。
そんな時に、人間だからこそできることは何なのか。
それこそ、生も死も、人間だからこそ与えられた特徴と言えるだろう。
こればかりは、AIでは決して代替できないことだ。
人間として生きること。
AIでは真似できないこと。
これからの時代は、「人間だからこそ」の部分を突き詰めていく必要がある。
AIが進化して、ロボットに組み込まれていく際に、最早人間とロボットの境界は曖昧になっていくだろう。
そんな物語は、SF世界ではよくある話だが、いよいよ現実化し始めたということだ。
人間が機械化していくのか、ロボットが感情を持って人間化していくのか。
そんな時代には、「生と死」が非常に重要な意味を持つようになるだろう。
これはそんなに遠い未来の話ではない。
今から人間の生死について考えるのに、早過ぎることはない。
そういうきっかけを与えてくれる書籍だ。
死について真剣に考えて、自分なりの生き方を実践していきたいと思う。
(2025/4/27日)
Posted by ブクログ
「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義
著:シェリー・ケーガン
訳:柴田裕之
出版社:文響社
死についての西洋哲学的考察の本です。
購入してから、一読するのにかなりの時間がかかりました。
聖書からは離れられないかと思いましたが、いったん宗教からはなれて死というものは何かを考えなおしたものと受け止めました。
当然、深く考えるためには、仏教や神道を中心とした、東洋的、日本的な考察も参考にすべきであるとは思いましたが。
気になったのは、以下です。
二元論および、物理主義、2つ考え方の対比ではじまる。
二元論とは、物質的な身体と、非物質的な魂があるというもの
対して、物理主義とは魂は存在せず、身体があるだけであるというもの
死を科学の観点からとらえると、解明すべき詳細の点は多々あるが、哲学的な観点から死とは、身体が作動し、それから、壊れる。死とはただそれだけだのことである。
死ぬときは、けっきょく独り、それは必然か、偶然か。この自明となる命題にも、著者が疑問を投げかける
死はなぜ悪いのか、本当に悪いのか、そして、もし、そうなら、死のどんな側面のせいなのか
⇒死は、死んだ人にとっては悪くないが、残された人にとっては悪い
⇒死が悪いのは、主に何のせいかを考えているのなら、本人が死んでいることに的を絞るべきのようだが
エピクロスの言
あらゆる災難のうちでも最も恐ろしい死は、私たちにとっては取るに足りないものなのだ。
なぜなら、私たちが存在している限り、死は私たちとともにはないからだ。
だが、死が訪れたときには、今度は私たちが存在しなくなる。
ならば、死は生者にも死者にも重要ではない。
前者にとっては存在しないし、後者はもはや存在しないのだから。
生まれる前と、死んだ後の時間は同じ価値をもつか
死後の期間のほうが悪いのは、死には喪失が伴うのに対して、誕生前の非存在は喪失を伴わない
不死こそが人間にとって最善なのか
長く生きるほど人間は幸せなのか
いずれ死ぬ私たちー人生で何をするべきか
死ぬか死なないか以前に、人生を台無しにしないこと
人生は、何もしないには長すぎるが、何かをするには短すぎる
自殺の合理性に対する疑問
①どんな状況ならば、自殺は合理的な決断となりうるか
②自殺の決断は明晰で冷静になされうるか
結論
死は不快なテーマであり、私たちはそれを頭から追い出そうとする
たいていの人は、どうしても死について考えたくない
人生が価値あるおのをもう提供できなくなるまで生きる力が私たちにあったほうが、間違いなくのぞましいだろう
死について考えるとき、死を深遠な謎と見なし、恐ろしくて面と向かえず、圧倒的でぞっとするものととらえるのは適切ではない。死に対する比類なく合理的な応答には程遠い。
おもうに、死を恐れるのは不適切な対応だ。
目次
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第1講「死」について考える
日本の読者のみなさんへ
第2講 死の本質
第3講 当事者意識と孤独感――死を巡る2つの主張
第4講 死はなぜ悪いのか
第5講 不死――可能だとしたら、あなたは「不死」を手に入れたいか?
第6講 死が教える「人生の価値」の測り方
第7講 私たちが死ぬまでに考えておくべき「死」にまつわる6つの問題
第8講 死に直面しながら生きる
第9講 自殺
死についての最終講義 これからを生きる君たちへ
訳者あとがき
注
ISBN:9784866510774
出版社:文響社
判型:A5変
ページ数:384ページ
定価:1850円(本体)
2018年10月10日第1刷発行
2019年02月18日第7刷発行
Posted by ブクログ
死とは悲しくて恐ろしいもの。
その認識は誰によって作られ、
どうして確立されたものなのか。
映画ドラマの中で描かれる死は、
誰かの悲しみの対照であり、
その悲しみを背負い生きている生者の心に寄り添う。
そうやって生まれた数々の名作を見てきた私にとっては、
同じくそういう感情になることもある。
でも、悲しみばかりではない時もあった。
その違いはなんなのか、
どうして私は人と違う死の感覚を持つのか、
そんな疑問が多角的に分析・解説されていて、
とても読み応えがあった。
また文章自体は、こういう本を読み慣れていない人(私)
にとっても、言葉が容易で読みやすかった。
分厚いこれ系の本に手を出すには勇気がいるものの、
読むことで手に入れられる知識と、
読み切った達成感を味わえる一冊だと思う。
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ビジネス・実用
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