【感想・ネタバレ】ケンブリッジ大学・人気哲学者の「不死」の講義のレビュー

あらすじ

「今年も一歳、年を取った。自分は何歳まで生きられるのだろう」
――限りある人生をより豊かに生きるために、
ケンブリッジ大学の人気哲学者と旅立つ“知の冒険"
「死にたくない」
「長生きしたい」
これは、人間だけが抱く"特別な感情"です。

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なぜ人類は、驚異的なスピードで発展をとげてきたのか。
文化・芸術から医学や遺伝子工学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。

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コロナ禍のもたらした「生命の危機」―
それを原動力に、我々は、驚異的なスピードでのワクチン開発・医学の進歩を実現しています。
人類の進歩の裏側には、いつも、「死にたくない」「長生きしたい」という願望がありました。

古代エジプト時代から今に至るまで、
人類は何を恐れ、何を原動力として
科学技術や都市、文明を進めてきたのか。

イギリスの人気哲学者がひもとく、
「不死」への本能的な願望と
人類の知の進化の物語。

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Posted by ブクログ

不死のシナリオは、4つあり、生き残りのシナリオ、蘇りのシナリオ、霊魂のシナリオ、遺産のシナリオである。文明の発生、存在、発展の、要因となってきた。しかし、そのどれも、実際には、不死を、約束しない。にもかかわらず、人類が不死を、必要としたのか、それは、不死のパラドックスにある。また、4つのシナリオに続き、死を受け入れる知恵のシナリオがある。死は、今ある生に意味をもたらすものである。

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2022年08月26日

Posted by ブクログ

今この時間を大切にしようと考えるきっかけを与えてくれる本。
私たちは、いつか死ななければならないということを明確に認識しつつ、一方では自分が存在しない「死」というものを想像できない。このことが、自分は死ぬはずがないということを信じさせやすくなり、自分の消滅は不可能であるという「不死のシナリオ」を創出する。また、これが文明や科学など人類の業績の基盤を発展させた源であると位置付けている。
著者は、「不死のシナリオ」を4点に分類する。「生き残りシナリオ」(死なずに生き続ける)、「蘇りシナリオ」(いったん死んでも、蘇って生き続ける)、「霊魂シナリオ」(非物質的な霊魂として生き続ける)、「遺産のシナリオ」(名声や業績、子孫などとして生き続ける)だ。
著者はこの4つのシナリオがいずれも不十分であることを明快かつ鮮やかに論証し、第5のシナリオを提唱する。生の有限性に向き合いつつも、満足して人生を送ることができるシナリオを。それが、「知恵のシナリオ」だ。
死すべき運命を受け入れて、死の必然性と共に生きる道を見つけること。人間は有機化された複雑な仕組みであり、機能停止すればその人は終焉を迎える。死という新たな状態になったわけではない。ヴィトゲンシュタインによると、「死は人生における出来事ではない。私たちは生きて死を経験することはない」そうだ。
本書を味読することで、時間の有限性をかみしめながら生活することの大切さに気づかせてくれる。

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2023年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不死を追い求める人類。エジプトの王も始皇帝もそうだった。そのシナリオを「生き残り」「蘇り」「霊魂」「遺産」と4つの人類の歩みとして講義する。
しかし、どれも充分な答えを得られない。
最後に「知恵」のシナリオが登場する。
先人はすでに答えを見つけていたらしい。
「ギルガメッシュ叙事詩」「旧約聖書」エビクロス派、ストア派、道教、仏教にちゃんと記されている。
今を精一杯生きよう。他人に感謝をして。それこそが不死なんだと。

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2022年12月02日

Posted by ブクログ

今まで読んできた「生と死」に関する本の中で、この本が一番納得出来た。

〈本から〉
「私たちは生き残るためのマシンだが、『私たち』とは人間だけを意味するわけではない。そこには、あらゆる動物、植物、細菌、ウィルスが含まれる」のだ。

私たちは二つの世界に生きている。一方は、他の生き物たちと共有している自然の世界だが、もう一方は、私たち独自のもの ー 象徴の世界だ。そしてここ、私たちが自ら作り出したこの世界で、私たちは切望してやまぬ永続性を達成できる。

バンドル理論
人は単一の首尾一貫した自己ではなく、散り散りになっても存続出来る記憶や考えなどの集まりであるとする理論

ガイア仮説
リン・マーギュリス
「生命が惑星の規模で現れることを、大気と天文と海洋から得られる証拠が示している。過去30億年にわたってこの惑星の平均気温が安定し、七億年にわたって地球の大気が可燃性の高酸素濃度と生物が窒息する低酸素濃度の間を行き来しながら維持され、危険な塩分がどうやら海洋から継続的に除去されている ー その全てが、生命の組織全体における、哺乳動物のものに似た明確な目的性を指し示している。・・・・.地球上の生命 ー動物相、植物相、微生物叢 ー は気体に包まれ、海洋と結びついた単一の惑星システムで、太陽系で最大の有機体である」
「死はまったくもって真の意味で錯覚だ。私たちは純然たる生化学的作用の持続なのだから、三十億年が過ぎる間、『私たち』は一度も死ななかった。山や海、さらには超大陸さえもが、現れては消えていったが、私たちは存続してきた。」

ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン
「死は人生における出来事ではない。私たちは生きて死を経験することはない。
ヴィトゲンシュタインはここから、その意味で「生に終わりはない」と結論した。つまり、私たちは生に終わりがあることを、決して自覚出来ない。知りうるのは、生だけなのだ。

多くの賢者が理解してきたように、幸福は今この瞬間にだけ存在する。今この瞬間だけが実在しているからだ。過去はすでになく、未来は単なる憶測でしかない。 もし今あなたが幸福なら、あなたは常に幸福だ。なぜなら、今しか存在しないからだ。

「もし明日死ぬとしても後悔しないように、だが、もし死なないとしてもやはり後悔しないように生きる」

ロバート・エモンズ
「感謝の念は、人生の満足度、生気、幸福感、自尊心、楽観主義、希望、他者への共感、他者への有形・無形の援助を提供する積極性のような重大な結果と明白な関連がある。それに対して、感謝の念の欠如は、不安、憂鬱、嫉妬、実利主義、孤独と関連している」

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2022年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ヒトは死を恐れるあまり、4つのシナリオを作ることで”死”から目を背け、一方で文明を興してきた」とする。
確かに今でもそのシナリオは形を変えて我々の日常にも存在し続けていて、なるほど、と思わせる。

とても面白い切り口だし、多くの知見が取り込まれていて筆者の博学ぶりもよくわかり、最後までじっくりと読み込めた。
ただ(邦訳の影響?)文章がやや冗長で読み取りにくいところがあるのは残念。

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2023年06月11日

Posted by ブクログ

人間は死を恐れる。それは誰も生きているうちに体験できない未知のことだから。

不死には4つある。
・生き残りのシナリオ
→秦の始皇帝 ミイラ
・蘇りのシナリオ
→イエス・キリスト フランケンシュタイン
・霊魂のシナリオ
→ダライ・ラマ 生まれ変わり
・レガシー(遺産)シナリオ
→名声 遺伝子

「私にとって唯一の成功、唯一の偉業は、不滅になることだ」ジェームズ・ディーン

限りがある(死)から人生には価値がある。不死になれば「霊魂の長く、陰鬱なティータイム」

「死は人生における出来事ではない。私たちは生きて死を経験することは無い。」ヴィトゲンシュタイン

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2025年03月26日

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死は避けられない。
しかし、恐れる必要もない。
毎日生に感謝して、今を懸命に生きる。
そうありたいと思う、、、

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

面白い事は面白かったが,何ら人生の意味は変わらなかった,な.
何故なら,長々と書かれた内容は,THE ALFEEが既に全部教えてくれてた…
という事実の方が驚愕だったよ,ッと.
ただ一つ,「死んだ状態」は誰も経験できない,は,膝を打った言葉だったな.

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2022年03月30日

Posted by ブクログ

「今日に感謝」「後悔しない日々」
かなり理解するのに難度ある哲学書物だ。人間の過去、現在、未来に対する「不死」に対する考え方だ。人間は「生死」を変えることができない。出来るとしたら生きている間に後悔しないように生き抜くことかと思う。ここにある「自分の持てるものを享受すること」かもしれない。

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2022年03月29日

Posted by ブクログ

生き残りのシナリオ、蘇りのシナリオ、霊魂のシナリオ、遺産のシナリオ。
極論、不死のシナリオはこの四つ。

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2022年01月18日

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