柴田裕之のレビュー一覧
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植物状態と診断された患者の中には実は意識を持っている、それを表現する術がないにすぎない、という人が少なからず存在する。この衝撃的な事実を明らかにした一冊。
と言っても、医学書・科学書チックな本ではない。その大きな理由は二つ。ひとつは、かつてのパートナーが植物状態になってしまったという著者の私情がそこかしこに表出すること。そして、もうひとつは「意識とは何か?」を問う極めて哲学的な領域に踏み込んでいること。
意識が芽生えるのはいつなのか。物心がついたとき?まさか。受精した時?それも違う。とすると、その間のどこか。一歳?生まれた瞬間?意識の概念を形作る輪郭がグラグラ揺らぐ。 -
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ヒトの繁栄は,その社会全体で分業(専門化)と交換.
繁栄=時間の創出
時間に余剰が生まれることで,さらなる価値創出の機会が生まれる.これを繰り返して人はどんどん幸せになる.
テクノロジーにとっての交換は遺伝子にとっての生殖に値.
確かに,昔の生活を思えば,生活を維持するのに必要なコスト(1日のうち他者に貢ぐ時間)は減っているように見える.
周囲の人間はその余暇を無に使っているような気がするが
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利己的な遺伝子やファクトフルネスとも親和する内容であり自然科学(生物,進化,環境...)と社会科学(経済,政治,経済史,歴史...)を縦横無尽に横断する良作.
これは手元に置いておいて読み返した -
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早川書房公式ツイッターで紹介されていたので購入。
ああ、ありがとう>早川書房公式ツイッター
「人類の未来」について述べている書籍のほとんどが、『悲観論』に満ちあふれている。書店にはありとあらゆる悲観的な未来についての情報で満ちている。でも、本当に未来は悲観的なの?明るい未来は来ないの??ってなんとなーく思っていたのが腑に落ちる本が見つかった感。そう、こんなのが読みたかったね。歴史をたどれば人類が、いかに発展してきたのか。現在の自分の生活を百年前のエリート層と比べて、二百年前の上流階層と比べて、三百年前の王侯貴族と比べていかにすばらしいか。人類は、『交換と専門化』これによっていかに進歩に進歩を繰 -
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ネタバレ温室効果ガスは毎月20億トン(毎秒800トン)
2100年までに気温は5.2℃上昇する予定。
これが本当なのか?どうかも疑問になるようにいろんなことが言われているが.....本当なんでしょう。
この事象を踏まえて、こんなにもビジネスが進んでいるのだから。
気候変動関連ファンド、北極海航路の領有権、地下資源、人工雪製造、淡水化プラネット、火災やハリケーンなどの保険、営利民間消防組織、水供給ビジネスや水利権取引、農地獲得、難民流入防止や拘束、護岸壁や防潮堤、浮遊式の建物や都市建設、バイオテクノロジー、気候工学の応用....。
…内容…
1.融解
北極海では石油、新しい航路、レアメタル。
グリー -
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4歳か5歳の保育園児がひとりで机の前に座っている。研究者は園児の目の前に大好物のマシュマロを置いて部屋を出ていく。園児はマシュマロを食べたくなったら、いつでもベルを鳴らして研究者を呼び、マシュマロを1個食べて構わない。でも、研究者が部屋に戻ってくるまで我慢して待つことができたら、マシュマロを2個もらえる。こんな状況に置かれた子どもはどのような行動をとるだろう。目の前の報酬を取る事を選ぶか、それを先延ばしにしてより多くの報酬を得ることを選ぶかというのが「マシュマロ・テスト」だ。このテストに参加した園児のその後数十年の追跡調査を行ったところ、驚くことに、園児の時に欲求の先延ばしに成功したか、失敗し
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「地球の気温が上昇している(=地球温暖化)のは、人間の野放図な欲望と豪奢な生活を支えるために、ありとあらゆる資源を浪費しているからだ」という声が世界各地で高まっているというのに、欲深な人間というのは、なんと罪深いのだろう。さんざん資源を浪費してきた階層が「地球温暖化」を新たなビジネスモデルにするというのは、もはやブラックジョークとしかいいようがない。「多国籍企業」という名の強欲な連中の次のターゲットは、分厚い氷のために資源開発が遅れていたアイスランド。住民は欲深な多国籍企業の掌中で踊らされ、自分たちがもっている資源は、そっくりそのまま自分たちのものになると本気で思っている。そして海面上昇のため
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まさに啓蒙書。蒙を啓くというか目からうろこがボロボロ落ちるというか。あまりの楽観論なので都合の良いところばかり鵜呑みにする危険性はあるが、悲観論に首元までどっぷり浸かった現代日本人にはこれくらいの本が適していると言えるだろう。文明バンザイ、成長バンザイ、都市・交易・イノベーションによる繁栄。現在が最も恵まれた時代であるという主旨は、後発書の「暴力の人類史」にトーンが近いが、「暴力」は膨大な数値データ・グラフで説得力を持たせるが、本書は語り口と参考文献で首肯。
いかにして現生人類は今ここにあるか。
年号はほとんど無いが、ある意味、これが「世界史」と言えると思う。
繁栄に群がる寄生者・略奪者で -
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本書によると、人類とその他の生物の違いは分業化からくるイノベーションにあり、そのおかげで例をみない繁栄ができたとある
本書の細部がどこまで正確かは議論があるとは思うが、
全体像としては極めて正しいと思う
未来に対して楽観主義過ぎる様にも見えるが、
イノベーションに制限を加えない前提においては、
正しいのだと思う
ところで、本書の視点で日本を見ると怖くなる
世の中的に先端の研究開発していると見られている
企業ですら分業が下手で突出した個性を活用できない
(問題意識はあるのでまだましだが・・)
教育、特に初等教育は更に悲惨で問題意識すらなく
分業のアーキテクチャーを構想できる人材や
分業化において -
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未来はよくなる、絶対に。
恥ずかしげもなく抜かしてしまったが、そう言いたくなるくらい、清々しい読後感だ。
人類は「分業」と「交換」によって進歩し続けてきた。今後もそれは続くだろう。それどころか、ますますそのスピードは上がり、かつてない繁栄(!)がもたらされるだろう。
著者の主張は、このことに一貫している。ドキドキするくらい楽観的だ。
極端な悲観論者を、パオロ・マッツァリーノ氏が「スーペーさん」と呼んで茶化している。悲観論は後ろ向きになるだけで、いいところがないのだ。悲観論を打ち破り、楽観的になれ。実はそれこそが何よりも難しいことかもしれない。 -
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ネタバレ科学書……というより思想書かな。
最近読んだ「数理モデルはなぜ現実世界を語れないのか」あたりでも似たような内容が書かれており、最近の社会思想に対するカウンターなのかな、と。
究極的に言ってしまうと、ベルクソンが語るように必然と偶然は神の視点でしか分からなくなってしまう。この二つは「同じ条件、同じ時間で私たちは違う選択が出来る」か否かで別れてしまうからだ。(そしてそれは検証できることではない)
ただ、何かボタンを掛け違えることで、人の生死は変わってしまうことは十分ありうるし、それは(カオス的なため)私たちがコントロールできることではない。
出来ることがあるとすれば、この世界は不確実であり複雑で -
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なかなか難しい内容。上巻は高尚過ぎてお手上げだったが、下巻は自分の専門分野のコンピュータ関連の具体例多く、面白い内容が多かった。
AIをアーティフィシャルインテリジェンス(人工知能)ではなく、エイリアンインテリジェンス(人間のものとは異質の知能)と考えた方が良いほど、AIの判断による人類の破壊の危険性に言及されており、恐ろしかった。
特に具体的にコンピュータコミュニケーションがどの様な流れで人間の想定とは全く異なる事が起こるのか説明されており、可能性として普通にあり得る世界と分かったのが、とても恐ろしかった。
自分や子供が生きている間にどれだけ世界が変わるか、恐れても仕方が無いが、この本の想 -
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濃厚な内容。途中でメモしてないと全てを要約することは極めて困難。個人的な学びとしては、①「虚構」(架空の事物について語る能力を身につけたこと)により、人間は大規模な協力体制を築き、急速に変化する環境に対応できるようになり、これが「認知革命」であること、②「農業革命」は人類にとって肯定的なものとして捉えられてきたが、一般的な農耕民はむしろ狩猟採集民よりも苦労することとなった。だがこれによって爆発的な人口増加がもたらされたのも事実であること、③人類の文化はたえず変化しているが、人類にとって普遍的な秩序となりうるのが、「貨幣」「帝国」「宗教」の3つであることだった。
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アルゴリズムによって決断される物事は決して偏見や感情を含まない公平性が極めて高いものであると思う。ただ正しさは暴力にもなりうる。一個人の幸せという観点から考えると文句の言う余地がないということは私達自身を守る言い訳を失うことを意味する。例えば過去の階級制社会を見てみる。農民などの人々は今の時代よりも幸福度が高かったと言われている。階級制社会によって理不尽にもどれだけの努力を重ねたとしても自分たちは貴族になれないというのに。
そこで人々を守ったのは言い訳であると思う。「しょうがない」と思わせられること、そしていまいる自分を否定しないですむこと、それが彼らから焦燥感や不足感を取り除くことにつながっ -
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◯ コンピューターはもし力を委ねられたら、現に惨事を招くだろう。なぜなら、コンピューターは可謬だからだ。(147p)
◯ 民主主義の存続にとって、ある程度の非効率性は利点であってバグではない。(161p)
◯ 私たちは話し合いができるかぎり、共有できる物語を見つけて互いに近しくなることができるだろう。(251p)
★上巻で魔女狩りやクラーク狩りの歴史を学んだのは、AIがそれを引き起こす可能性を理解するためだった。
★AIは偏見を持つし、間違う。目標達成のために有機体では考えられない手段を持ち得る。AIに権限を与えてはいけない。人類はグローバルに協力し、AIを規制する機関を設立しなくては