柴田裕之のレビュー一覧

  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    前半では、なぜ19世紀以降に劇的な経済成長が生じたかを、後半では、なぜ国家間に格差が生じたかを解く。

    産業革命によってマルサスの罠から解き放たれたのは、工場化によって労働者への教育の必要性が高まり、子供を増やすよりも教育に金をかけることになり、人口増加率が低下したため。工業が成長した産業革命の後半になると、技能を持つ労働者の需要が大幅に高まり、労働者の生産性に影響する教育、訓練、技能、健康などの改善が意識され、実施されるようになった。

    土地が少数の地主に集中している地域では、地主たちは労働者が近隣の都市へ集団移動するのを食い止めるために、公的な普通教育制度の確立に反対した。

    ヨーロッパの

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    2025年02月12日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    歴史を学ぶことの大切さが身に沁みました。
    歴史を学ぶのは未来を予測するためではなく、未来の選択肢を増やすため。
    選択肢が増えたところで最善の未来を選択できるわけではないけれど、少なくとも繰り返す過去の呪縛からは逃れ、今よりちょびっとでも自由になれる。
    昔から”自由”という言葉に憧れてきた僕には、未来の為に過去を知るという、単純だけれどとても大切なことを再確認させてくれた良書です。

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    2025年02月04日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    前作「サピエンス全史」に引き続き世界の見方、視点を新たに与えてくれる。
    前作で出てきた認知革命、農業革命、科学革命をベースとしつつ、魂や意識についての議論を展開する
    そして、その先に主観、客観に続く共同主観について述べ、人々にとっての意味を考え、科学と宗教は実は犬猿の仲ではないとする
    人の力とはなんだろうか、何が正しいと言えるのだろうかという考えに対して歴史に基づいて視点を与えてくれる本

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    2025年01月26日
  • なぜ悪人が上に立つのか―人間社会の不都合な権力構造

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    【感想】
    トランプやプーチンのような人間がリーダーになってしまう理由を進化論や人類学、心理学などを使って検証し、エピソードも豊富で面白く読める。納得感はあるが、そもそも権力者が「ダークトライアド(マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシー)なので対策を実行するのは難しい(著者も十分認識していると思うが)。

    【目次】
    第1章 序--権力はなぜ腐敗するのか?
    第2章 権力の進化史
    第3章 権力に引き寄せられる人たち
    第4章 権力を与えられがちな人たち
    第5章 なぜサイコパスが権力を握るのか?
    第6章 悪いのは制度か、それとも人か?
    第7章 権力が腐敗するように見える理由
    第8章 権力は現に腐敗す

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    2025年01月16日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    ギャルヴィン一家の苦悩と奮闘を一人ひとりの人生に焦点を当てながらまとめきったすごいノンフィクション。あとがきで創作された部分はひとつもないと言い切られており驚いた。ノンフィクションなのだから当たり前なのだけれど、あまりにギャルヴィン家での出来事が壮絶すぎて、どこかで作り話であって欲しいと思う自分がいた。

    統合失調症は環境によるものなのか、遺伝によるものなのか。その謎をさまざまな分野の科学者が仮説・検証・分析を繰り返し、少しずつ紐解いていく様が何よりも印象に残った。これは以前読んだ「フェルマーの方程式」でも思ったことだが、科学者が自身の専門分野でその才能を発揮し、研究結果を別の科学者に繋いでい

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    2024年11月03日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    AIの進化と今後の社会の予想される展望を、今までの歴史の変遷を今の視点から分析した上で述べている本。色々な新しいメガネで世界を覗くことができた。そしてそのメガネで見た現在から予想される未来や今に必要な考え方をダウンロードできた。

    R6年夏の北フェスでの坂本建一郎さんの紹介。読んでよかった。

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    2024年09月16日
  • 21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

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    自分を価値ある何かに帰属させ、その中で役割と意味を与える物語。人はこれを信じてしまいがちらしい。
    物語を疑うのが恐ろしいのは、その物語を前提に個人のアイデンティティや社会制度が築かれているから、とのこと。物語を否定すれば、今ある個人や社会も否定することになる。
    たしかに、人権も物語に根拠をもつ、と言われると、物語を否定する恐ろしさがわかる。ここまでは同感。だけど著者のようにそれを受け入れ、瞑想によって心の真実を探ろうとは思えなかった。
    僕なんかは、嘘でも人生に意味が欲しい、と思ってしまう。我ながら典型的なホモ・サピエンスなんだと思った。(笑)

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    2024年08月31日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    テクノロジーの進化によって手に入れた新しい力は、自分たちを至高の存在と思い込んでいる人類をどう変えるかの考察…

    ある一握りの人間が圧倒的な力を手に入れた神となり、無用階級の人間が増えていくというのは、今のプラットフォーマーが絶大なパワーを持つこの世界の果てにある世界なのかもしれない。

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    2024年08月21日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    ネタバレ

    人類がこれまで戦ってきた飢餓・病気・戦争は良くも悪くも危機がさっていき、新しい時代に突入しようとしている。
    人間はどこはゆくのか、著者の答えは神になること=デウスになることだと言う。あらゆる他の生き物を従えるどころか、生命を生み出し、操ることのできる能力はもはや神と呼ぶに相応しい…

    単なる歴史解説に留まらず、宗教や科学の話もとっても面白い。自分は生命についてアルゴリズムの集合体というイメージに肩入れしてしまい、神の存在など考えたこともなかったが、言われてみると自己意識ってなんだろう…とか、なるほど宗教っねこういうことなんだなぁ…と前書に続いて気付かされることが多い。

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    2024年08月16日
  • 「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義

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    この本でよかったのは、子どもが自分の人生を受け継いでいくという感覚を得ることができたことです。
    「死んでも子ども達が生きていればいいじゃん」という感覚になれたことが、とてもよかったです。死への恐怖が襲ってきた時は、そこに立ちかえるようにします(^^)

    死を客観的に捉えていくところが、とても興味深い本でした。

    ーーーーー

    イェール大学教授 シェリー・ケーガン
    ◻︎形而上学(けいじじょうがく)
    ・魂の存在や死の本質、死後も存在し続けることにまつわる疑問

    ◻︎価値論
    ・死はなぜ、どのように悪いのか、死を恐れるべきなのか、

    ◻︎心(魂)と身体は切り離せるか
    ・二元論

    ◻︎私たちには二つの主

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    2024年08月13日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    12人の兄弟のうち6人が統合失調症だと診断されたギャルヴィン家の歴史が描かれている。兄弟の末の二人、マーガレットとリンジーが自分の家族に起こったことを世間に知ってもらうことで、他者の助けになると信じて出された本である。

    「遺伝か、環境か」の副題に興味を持ち読み出した。この家族がたどった道を知るにつれ、自分がその境遇にいた可能性だってあったのだという思いになった。子供は親を選べない。環境を選べないのだ。

    父と母、兄弟12人の大家族、日本のテレビ番組で観るような騒がしくても楽しい家族とは正反対だった。年長の子が下の子を虐待する。けんかが耐えない。家の中に兄弟という敵がいて、身の危険がある。

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    2024年08月05日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    ノンフィクションの中でも圧倒的だった。

    なぜ、わたしがこの本を読みたいと思ったのか...統合失調症では無いが精神疾患に苦しみ友人を見てきたから。それが''一族''って...読み始めてからもしばらくこれはほんとにノンフィクションなのか?疑う部分も多かった。
    まず普通にほぼ毎年のように子どもを孕んで産むという行為がわたしには考えられない。いくらベビーブームでも!!夫が辞めようと言わない限り、ってそんなの信じられない。

    そして次第に兄弟のうち長男から次々と精神に異常を見せ始める。間に女の子が居なかったのも、精神に以上を来す一因だったんじゃないか、なんてわた

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    2024年07月21日
  • 21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

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    今の捉え方について、納得感のある理論をもとに語られていた。問いかけの力がすごい。
    虚構のおかげで進化したが、今は虚構のせいで狭苦しい世の中だと。自己•感情というものは、確固とした実態があるのではなく生化学アルゴリズムにすぎない。そんな中でどう生きるのか。

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    2024年07月10日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    人類がなぜここまで繁栄したのか、そしてこれからも繁栄できるのかについて、「合理的楽観主義者」の著者が描く。
    鍵は「専門化と交換」にある。
    この性質は現生人類だけに見られる特徴であり、我々より脳の容量が大きいとされたネアンデルタール人にも見られなかった。
    人類は専門化と交換により、集団的知性を高め、テクノロジーの進化を引き起こし続けた。
    逆に言えば、その2点が抑制されると進歩は停滞する。
    過去の例を見ると、いずれも強権力者による抑圧で交易が制限された場合には停滞が見られる。
    そしてそれは未来にも言える。
    もしもなんらかの圧力により経済活動が抑制でもされれば、解決できるはずの問題も未解決のままにな

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    2024年07月01日
  • レジリエンスの時代 再野生化する地球で、人類が生き抜くための大転換(集英社シリーズ・コモン)

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    【未知の未知にも複雑に適応することについての、大作。】

    「レジリエンスの時代」は、これまでの「進化の時代」と対比して論じられています。
    今、人間の営為を再構築する節目にいる、と。

    脱成長やポスト資本主義や、などという論はよく聞きますが、
    これまでの延長としての議論の枠組みを優に超え、
    スケールが、細部への解像度が機を逸していたように思いました。

    ・・・
    これまでの「進化の時代」が、
    効率に焦点を当ててきたこと、
    それは、先日読んだ『#アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』と重なる部分もありました。

    しかし本書は経済学だけを語るのではなく、
    科学、生態学が深堀され、
    人間を物理、自然の

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    2024年06月23日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    前半、特にマーガレットとリンジーが成人するまでの話が恐ろし過ぎて、どうにか逃げ出せるようにと祈りながら読んでいた。後半に進むにつれ、一家に科学からの光が差し込み、この病そのものへの対処も確実に進んだ事が分かり、安堵した。

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    2024年05月31日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    数年前、オバマの年間ブック1位に選ばれ話題になった本。真っ直ぐすぎるタイトルと分厚すぎる厚み(とお高すぎるお値段、、)でしばらく避けてきたけど、読まずに生きるより読む人生が良い! と本屋で自分を奮い立たせ購入。大正解、圧巻の作品でした、ありがとうございました!!

    ドンとミミ夫妻に生まれた12人兄弟のうち、実に半分の6人が統合失調症と診断されたギャルヴィン一家を追ったノンフィクション。あとがきにもあるように、作中に出てくるエピソード全てが、膨大なインタビューや日記から起こされたノンフィクションという圧巻の作品。事実は小説よりも...的感想しか出てこない、ホント凄まじい読書でした。



    兄弟

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    2024年05月26日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    色んな意味で圧巻の一冊。
    学生時代に医学を学んだ際に驚いたことの一つは、統合失調症の有病率が自分の想像よりはるかに高いことであった。日本には100万人弱の患者がいるとされるから、おそらく誰の周りにも程度の差はあれ患者はいるのだと思うし、こういった書籍を通じて、この疾患(症候群)の正しい知識が広まることを願う。
    そんな私も本作品を読む中で、一人また一人と発症していくこの疾患の恐ろしさ、患者に対する当時の社会の目の厳しさを改めて目の当たりにした。その一方で病態や治療法の解明に向けた研究者たちの奮闘には頭の下がる思いがした(医学版「フェルマーの最終定理」のような知的なスリルがあり、大変面白かった)。

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    2024年04月25日
  • 21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

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    村上龍の「半島を出よ」を読んで、政治や経済や国際情勢や歴史に、興味と知識を持たないことは弱点だと気づいた。
    とにかくなんでもいいから読みたくて、有名な本書を読んだ。

    現代社会が抱える諸問題についてわかりやすく、面白く書いてある。
    世界と未来に関して自分も何かしなくてはと思った。

    もう一度読み直したい。

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    2024年02月26日
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか

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    ■人類史における「成長の謎」と「格差の謎」を解明
    ■人類はいかにして「マルサスの罠」から脱却したか
    ■そして成長し格差ができたのか。良書。
    ■2つの謎と人類進化論との強い関連性
    ■P177の朝鮮半島の衛生画像は衝撃的

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    2024年02月13日