あらすじ
第二次大戦後、ギャルヴィン一家はコロラド州に移住し、12人の子宝に恵まれた。しかし子どものうち6人に異変が起きる。修道士のようにふるまう長男、自分はポール・マッカトニーだと言い張る末っ子……。彼らはなぜ統合失調症を発症したのか。家族の闇に迫る
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
統合失調病については、現代も正式な治療というものがなく、発症したら完全に治ることはない。12人の家族がいて6人がこの病気を発症しているというノンフィクションの話。
読みごたえがあり、読んでいる途中私にも同様な症状があったり、あるのかな?と考えてしまった。
Posted by ブクログ
民俗学なんかの伝承や禁忌の源泉になってそうなことを考えたり勉強したりするのが好きで、これもずっと読みたいけど高くて買いそびれてたのをやっと買って読めた。サブタイトルに書いてあるけど当事者の足跡や治療や研究の歴史、包括して知ったうえでしかそのことは語るべきじゃないよなって思った。
早川のサイエンス系のノンフィクションほんと良い本多い。
Posted by ブクログ
統合失調症。
自分にとっては、犯罪者が逮捕された後に「統合失調症のため不起訴となり…」といった文脈で耳にすことが多い言葉だ。
よく分かってないのに、何となく近寄りがたいものだという印象。
どうやら、統合失調症が発症するかどうかは、遺伝だけで決められるわけではないようだ。
発症を誘発するトリガーとなるもの、それが生育環境だそうだ。
ノンフィクション作品であり筆致に派手さはないが、その分ノンフィクションの持つ力のようなものを感じた。
450頁近くの大部であり、読み切るにはそれなりエネルギーが必要だが、読んでよかったと思える一冊でした。
Posted by ブクログ
◆感謝祭の場面
険悪の仲である長男・ドナルドが次男・ジムと取っ組み合いになり、ついにドナルドはテーブルを持ち上げてジムに投げつける。母親の耳が手作りのお菓子の家を粉々に壊すシーンがせつない。
◆メアリー(小学5年生)
「自分の部屋で何時間も、クローゼットや机の引き出しを整理しては、やり直すことに没頭し、自分には多少なりとも物事を意のままにする力があると思おうとした」(P.220)
「まず、十二人も子供を儲けておいて、全員を理想的なアメリカ国民に育て上げられると考えること自体、自覚が欠けていると思います」(マーガレット P.404 )
「彼のことは、安全な港と呼びたいです」(ワイリーと結婚したメアリー P.446)
ゲイリー夫妻の援助がすごい。マーガレットを下宿させるだけでなく、リンジーの息子をセラピープログラムに参加させた際の費用援助が月額8,300ドルを合計21ヶ月分っていま換算すると2,500万くらいじゃん!
◆サム・ゲイリー
36回目に油田を掘り当てて財を成した。
8人の子供のうち4人を難病でなくし、そのこともあってゲイリー夫妻は科学研究や医療の分野に莫大な寄付を続ける。モンタナ州で掘削件権を獲得するのを手伝ったのがギャルヴィン家の父・ドン。それでギャルヴィン家を援助している。
ラストでリンジーの娘のケイトがメディカルスクールの研究室にいる場面で終わるのがまるで映画のよう。
「それは、彼女の六人の伯父のおかげで、未来の世代のためにすべてを変える可能性のある試験だった」(P.473)
Posted by ブクログ
ギャルヴィン一家の苦悩と奮闘を一人ひとりの人生に焦点を当てながらまとめきったすごいノンフィクション。あとがきで創作された部分はひとつもないと言い切られており驚いた。ノンフィクションなのだから当たり前なのだけれど、あまりにギャルヴィン家での出来事が壮絶すぎて、どこかで作り話であって欲しいと思う自分がいた。
統合失調症は環境によるものなのか、遺伝によるものなのか。その謎をさまざまな分野の科学者が仮説・検証・分析を繰り返し、少しずつ紐解いていく様が何よりも印象に残った。これは以前読んだ「フェルマーの方程式」でも思ったことだが、科学者が自身の専門分野でその才能を発揮し、研究結果を別の科学者に繋いでいく、協力ではなく共闘のように近い形でひとつの謎を解いていく様子は胸に迫るものがある。
ただ、一家を救ったのは科学者だけではない。統合失調症という病から一家を救い出そうとした、末娘のリンジーの行動がなければ、きっと地獄は再生産されていただろう。病気になる兄たちを見ていた彼女は、自身も統合失調症になり得るであろうという不安を抱えていた。それを払拭するため自らが予防策を講じ、なんとか生き延びてきた。聡明で、とても勇敢な女性。彼女がいなければ、彼女が病気に真正面から立ち向かおうとしていなければ、一家は壮絶な終わりを迎えていたはずだ。
この本が世に送り出されたのも彼女の協力あってのことだ。しかし、あとがきにもあるようにノンフィクションを書くにあたって、全ての家族が取材に応じてくれたというのだから、統合失調症や他の病を抱えながらも、病と向き合い、家族と向き合おうと覚悟を決め話をしてくれたリンジー以外の家族に対しても、その心の強さに感服せざるを得ない。とてつもなくすごい一家だ。
この本は読むのに根気がいる。分量もそうだが一つひとつのエピソードに重みがある。それに、次々と悪いことが起こるので、最悪を想像してしまい読み進める気が起きなくなる。それでも、多くの人に読んで欲しいと思う。統合失調症への理解を深めることはもちろんのこと、治療への道を切り拓いた一家がいたことを後世に語り継ぐためにも。
Posted by ブクログ
12人の兄弟のうち6人が統合失調症だと診断されたギャルヴィン家の歴史が描かれている。兄弟の末の二人、マーガレットとリンジーが自分の家族に起こったことを世間に知ってもらうことで、他者の助けになると信じて出された本である。
「遺伝か、環境か」の副題に興味を持ち読み出した。この家族がたどった道を知るにつれ、自分がその境遇にいた可能性だってあったのだという思いになった。子供は親を選べない。環境を選べないのだ。
父と母、兄弟12人の大家族、日本のテレビ番組で観るような騒がしくても楽しい家族とは正反対だった。年長の子が下の子を虐待する。けんかが耐えない。家の中に兄弟という敵がいて、身の危険がある。
親が子どもたちに安全な場所を与えられず、なすすべなく壊れていく家族の様子は、ノンフィクションだということが信じられないくらい過酷である。
母親の育て方が悪いのか、遺伝か。病気の治療のために原因を突き止めることは重要なことだけれど、何かのせいや、誰かのせいにすることは非難の対象を探すことになり、病気を認めるのが遅れ、異常の発見や治療の妨げになる。もし適切に対処できていたなら、重症化長期化を防げたかもしれないのに、家族の深い傷になっていくのを止められなかった。そんな状況で、性的虐待から立ち直り、自分の人生を手に入れたマーガレットとリンジーの強さに心打たれた。
他方、治療薬の開発には多額の費用がかかる。利益を出さない開発には資金がでない。そのため統合失調症の研究は遅れた。それも悲劇を拡大させた原因だった。
儲からないという理由で治療への道が開かれない他の難病も多くあり、今も続く問題であろう。
何が原因で統合失調症が発症するのか。
病気と思われる徴候があれば、早い段階に介入し不安を取り除くことが重要だと思われる。(わからないことはまだ多いから断定はできない)。
治療薬を待つしかないのだろう。
Posted by ブクログ
ノンフィクションの中でも圧倒的だった。
なぜ、わたしがこの本を読みたいと思ったのか...統合失調症では無いが精神疾患に苦しみ友人を見てきたから。それが''一族''って...読み始めてからもしばらくこれはほんとにノンフィクションなのか?疑う部分も多かった。
まず普通にほぼ毎年のように子どもを孕んで産むという行為がわたしには考えられない。いくらベビーブームでも!!夫が辞めようと言わない限り、ってそんなの信じられない。
そして次第に兄弟のうち長男から次々と精神に異常を見せ始める。間に女の子が居なかったのも、精神に以上を来す一因だったんじゃないか、なんてわたしが語るべきじゃないけど少し感じた。
色々な、本当にただそこに産まれて生きていくことが大変な中でそれぞれが追い詰められ、逃げ場を欲して異常な精神状態になってしまったのを最終的には妹や科学の力でどうにか解決の糸口にでもなって欲しいと願わずにはいられなかった。
メアリー(リンジー)はこの本のみでしか知ることができないが、凄い人だ。
わたしなんて日々自分1人生きるのに必死になってるのに、その生死さえ危ぶんだ兄たちのかけがえのない支えに自らなっているのだから。
実際に自分以外の人生を経験することは絶対できないし、知ったかぶりなんて絶対にしてはいけないと思っている。だから、こうしてノンフィクションで体験することの無いような人生を追体験した時、何ものにも変えれない思いをする。
痛い、苦しい、しんどい辛い、もう嫌だ...楽しい、面白い、嬉しい...哀しいとか、どの感情も間違っていないような間違っているような、変な感覚に陥る。それでも大抵読んで、知ることができて良かったと思う。
今回のこのギャルヴィン一家の中を知ることが出来てやはり良かった。
精神疾患自体に更に興味を持つきっかけにもなった。色々知って行ければ、と思う。
Posted by ブクログ
前半、特にマーガレットとリンジーが成人するまでの話が恐ろし過ぎて、どうにか逃げ出せるようにと祈りながら読んでいた。後半に進むにつれ、一家に科学からの光が差し込み、この病そのものへの対処も確実に進んだ事が分かり、安堵した。
Posted by ブクログ
数年前、オバマの年間ブック1位に選ばれ話題になった本。真っ直ぐすぎるタイトルと分厚すぎる厚み(とお高すぎるお値段、、)でしばらく避けてきたけど、読まずに生きるより読む人生が良い! と本屋で自分を奮い立たせ購入。大正解、圧巻の作品でした、ありがとうございました!!
ドンとミミ夫妻に生まれた12人兄弟のうち、実に半分の6人が統合失調症と診断されたギャルヴィン一家を追ったノンフィクション。あとがきにもあるように、作中に出てくるエピソード全てが、膨大なインタビューや日記から起こされたノンフィクションという圧巻の作品。事実は小説よりも...的感想しか出てこない、ホント凄まじい読書でした。
兄弟各人のエピソードを追う章と、その当時の統合失調症の研究背景を追う章に分かれるが、とにかく前者の方が衝撃で、辛いと分かっていながら読むのを止められない感覚。それは、暴力や非人道的な治療、自殺やドラッグと、統合失調症を患った本人たちの苦しい描写が続く中で、統合失調症に「ならなかった」母親のミミ、そして12番目の末っ子・リンジーの存在があるからだと読んだ今思う。
もちろんミミの有無を言わさぬ教育スタイルが彼らの統合失調症の進行の一助になってしまったと、可能性という観点ではいくらでも言ってしまえるが、個人的にはミミがいなかったらじゃあ彼らの病状はもっとヒドいものになってたのではと感じる。そしてミミがいなくなったのちに結果的にミミの生まれ変わりのような立ち位置となったリンジーの存在も、ミミと同じく彼らを支えるものだった(と、信じたい、、)。
リンジーはジムを殺すことを考えた。たっぷり考えた。それから、そう考えたことに罪悪感を覚えた。だが、ジムと対決することよりもなお深刻な、彼女の最大の気掛かりは、母親に打ち明けなければならないことだった。母に信じてもらえなかったら?その時には、私もまた頭がおかしい子になってしまう、と彼女は思った。
母親のミミが亡くなる前後の終盤の章は、記憶を呼び起こすことで自ら傷つくことを恐れて家族から逃げる11番目の娘・マーガレットと、決して逃げないリンジーという構図になる。想像もできないが、もし俺自身は彼女たちの立場なら、マーガレットと同じく家族から逃げ続ける気がする。それは悪いことではなく、良い逃げだとも思う。けれど同時に、逃げずに向き合って考えて語り続けたリンジーがいなかったら本書は世に出なかったことを考えると、「リンジー、すげえ!ありがとう!」という感謝の念で一杯になります、マジでリスペクトです。
統合失調症の根本原因は未だ解明されておらず、本書が終わりではなく途中経過であるというのも、なんと壮大な世界なのかと圧倒させられる。ソフトウェアや機械学習の世界を生きる身としては、組合せ問題のような莫大な演算であれば少し待てば最適解あるいは近似解が得られるため、解けない問題はないように感じてしまう。けれど医学の世界は理論を積み重ねた上で、次はラット、そして人間へと実験対象を移し、しかも喩えその結果が「不正解」だったとしても、結果が出るのが数十年後という世界。
妊婦がコリンのサプリメントを摂取し始めた瞬間から、胎児が生まれて、統合失調症を発症しやすい思春期後に達するまで、追い続けている。フリードマンはニューヨーク州での授賞式で示唆したように、その結果が出るときまで生きていられないことは間違いない。
最後、リンジーの娘のケイトが、統合失調症の研究者であるロバート・フリードマンの研究室を訪れるというエピソードも映画のよう。
サイエンスとしても小説としても家族モノとしても読める大傑作でした、皆様時間を確保して、ぜひ電車でこの分厚い1冊を開いてください!
彼女がここに入れたのだから、家族がきっと途方もない寄付をしたに違いない、と一人がきつい冗談を言った。
ケイトは得意げな笑みを浮かべた。「寄付って、お金のことを言っているのですか、それとも生体組織のことですか?」
Posted by ブクログ
色んな意味で圧巻の一冊。
学生時代に医学を学んだ際に驚いたことの一つは、統合失調症の有病率が自分の想像よりはるかに高いことであった。日本には100万人弱の患者がいるとされるから、おそらく誰の周りにも程度の差はあれ患者はいるのだと思うし、こういった書籍を通じて、この疾患(症候群)の正しい知識が広まることを願う。
そんな私も本作品を読む中で、一人また一人と発症していくこの疾患の恐ろしさ、患者に対する当時の社会の目の厳しさを改めて目の当たりにした。その一方で病態や治療法の解明に向けた研究者たちの奮闘には頭の下がる思いがした(医学版「フェルマーの最終定理」のような知的なスリルがあり、大変面白かった)。
一方で本書では、統合失調症を超えた普遍的なテーマもいくつか描かれている。
一つは声の上げられない人たちと、それを意識的あるいは無意識のうちに抑圧している人たちの構造である。前者には統合失調症の患者だけでなく年少者や女性が含まれ、それは時には虐待や性的暴行という形で表れる。もう一つは家族や知人による無私の優しさであり、救いの手の尊さである。それはメアリーを救い、そして救われたメアリーは家族を救うことになる。この作品を読みながら、自分ははたして抑圧する側に回っていないか?自分は適切に手を差し伸べることができていたのか?と自分の過去を何度振り返ったかわからない。
Posted by ブクログ
ノンフィクションなことを除いてもいろんな怖さを感じた一冊だった。統合失調症、考えなしに子供をたくさん持つこと、現実に向き合わずに過ごし続けること、いまだに原因と治療が完全でないこと‥。人間だけが生み出す恐怖。
必ずしも良いとは思わないけれどある程度の教育(一般的なというよりも生活面)や制度、罰則は必要だと思った。
Posted by ブクログ
12人の兄妹を持つ14人家族のギャルヴィン家。そして彼らのうち6人は統合失調症に苦しめられている。そんなギャルヴィン家のファミリーヒストリーと統合失調症の原因について「生まれか育ちか?」という研究の進展についてとが並行して進んでいく大著。非常に読み応えがあった。
ギャルヴィン家が抱えた困難は単純に統合失調症だけではない。目まぐるしく変化していく社会情勢、精神病への偏見、管理的な治療が良しとされていた精神医療、家庭内で蔓延する暴力や虐待の連鎖とあらゆる問題が総体として押し寄せてくる。
まさに家族が直面して来た困難は歴史そのものなのだ。人が生き、一族が生きるということは何かが書かれている。
Posted by ブクログ
映画「どうすればよかったか?」鑑賞をきっかけに再読。統合失調症研究の歴史とギャルヴィン家の歴史をたどりながら、ギャルヴィン家が研究の進歩にどのように多大に貢献したのかがわかった。文章も小説に近い読みやすさだった。
Posted by ブクログ
統合失調症の研究が主と思って借りましたが、12人の子供のうち6人が発症してしまう不運な一家の長い長いノンフィクションがメインボディでした。
冒頭から暗雲立ち込める雰囲気で、85パーセントくらいまで絶望的な展開が続く。
最後の15パーセントは急に明度や彩度が変わるというか。それまでの文章が持つ、目に見えない小さな小さな鉛を含んだような空気が軽くなる。末娘が一度は決別した病気の家族や故郷に救いの手を差し伸べるからなのか?いや、それもあるだろうが、障害を持つ古い(前)世代が亡くなり、両親はその気苦労とともに亡くなり、新しく生まれ育った次世代が障害なく生まれ育ったからだろう。
この一家の不運は前世代で終わったと確信できるからだ。(とはいえ統合失調症を患った個人の人生に救いはないし、家族の不必要な苦労も大きな傷のまま。殺された犠牲者や関わった人達もそのまま。)地獄はそのままだけど、時が流れてプレイヤーが新しくなったから空気が変わっただけか。まぁでもそれの繰り返しなんですよね。残念ながらら。
前半85パーセントは「これって本当なの?」と疑いたくなるほどの不運続きのノンフィクション。
そこについては感想は書きようがない。
ただただ不運。
ここでは主に後半15パーセントについての思ったことを。
母親(ミミ)の描写
「知的で博識で恐ろしい悲劇を数えきれないほど耐え抜くほどに強靭でありながら内省を極端に嫌う」
うちの母親のことを書いてるのかと思った。
兄弟の1人が母親の臨終後、介護について
「あんなふうに世話が出来るのは特権だ。やらなきゃいけないならそりゃそうだが、俺たちには金があんだからやらなくてもいいんだし」(意訳)
金で他人を雇うことも出来たのに自分ら子供が母親の世話をしたことについて「特権」と表現。
なるほどね。今回は母親の世話をした兄弟の発言だったが、これが世話も一切しない貧乏な年長者だった場合、意味も変わる。でも同じかも?
「あいつがああやって時間も労力も金もかけられるのは余裕があるから。俺だって(私だって)あいつの立場ならあれくらいやってる。あいつにとっての〇〇円は俺にとっての◯円だ」みたいな?
やってる方は「なんで全く手伝わないでいられるの?バカなの?倫理観ないの?貧乏なの?全部なの?」とか思ってるけど、やらない方は「なぜ自分がやらないのか」もしくは「あいつはなぜやるのか」と理由をつけて自己防衛するものかもね。
てか親の支援とか介護やらない奴は今年中に爆発しますように。(迷惑かからないようにどっかの空き地で爆発してくれ)
統合失調症の発症率
100人に1人。高い。喘息と同じくらい?
片親のどちらかが発症していた場合その子供の発症率は10人に1人で、兄弟姉妹に患者がいる場合でも本人が発症していない場合その子供の発症率は他の人達とほぼ一緒。
なるほどー。
一生涯のうち妄想を一度でも経験した人は意外と多く5-7%
「あれは妄想だった」と本人もしくは他人が認められるものがそれくらいってことですかね。とすると本人が妄想だと自覚してないものを含めるともっと高いか。まぁそりゃそう。そうでなければこんなに宗教が幅きかせる世の中になってないですよね。30-40パーくらいかな?実際。
最後は末娘1人が奮闘して親や発症した兄達の面倒をみている。
その彼女曰く「両親は私達が必要としていたものを与えてはくれなかったが、彼らはそれが分からなかった」
そう。親ガチャ子ガチャなんて言葉があります。それ自体はその通りなんだけど(人生全て運だから)彼女は両親がわざとやってた(もしくはやってなかった)訳ではなく、知識や想像力が無かったり、知らないこと分からないこと考えなかったこと想像しなかったこと他人に聞かなかったことが間違いだった、自身はもっとよりよく対処出来たという感覚がまるっきりなかったということを病気の兄達を通して深く体感しているのだろう。
そう思えるようになると、親や役立たずの兄弟に対する恨みも少しマシになりますね。
(これも本人が賢く生まれつかないと得られない境地なんだけど)
要は運。全て運。何もかも運。
Posted by ブクログ
子どもの半数が統合失調症になった家族のドキュメンタリー。遺伝と環境の絶望的な組み合わせで発症するそうなのだけど、子どもを12人も産んだ親のせいな気がする。統合失調症になると、ロールシャッハテストにストーリーを見出すのね。
Posted by ブクログ
これがホントにノンフィクションなのかというくらいに、想像を絶する一族の物語。
精神疾患の気質に起因する大家族が故の近親姦、犯罪、貧窮など正視するのがキツイくらいの迫力。
Posted by ブクログ
恐るべきことは、本書は創作された部分は一つもないノンフィクション作品である! と言うことだ。
月並みな感想ではあるが『親子兄弟姉妹とは? 家族とは?生きていくとは?…どういう事なんだろう?』と考えさせられた。
将来に希望をもたせる、この一族の物語はまだまだ続くのである…と言うような終わり方をするのもまた『正に事実は小説よりも奇なり゙』であった。
Posted by ブクログ
発売されてすぐに一度読み始めたものの一旦挫折。
が、やはり続きが気になって再開し、今度は読み終えました。
とにかく印象的だったのは、下の女の子2人の環境のひどさ。自分だったらと思うとかなり気が重くなりました。
訳者のあとがきにもありますが、事実は小説よりも奇なり。まさにこの言葉が当てはまる話でした。
Posted by ブクログ
事実に基づくノンフィクション作品。12人の子供のうち、6人が統合失調症である家族を中心に、その生活の過酷さや統合失調症という症状への世界の理解の進みが書かれています。結論として、何かが解決していることはないようですが、この1つの症状について、とても理解が深まりました。
印象的だったのは、統合失調症がその特性上、創薬においてとても不利であるということ。患者が自信の権利や意見の主張を正確に行えない以上、患者に対する調査や分析が意味をなさないのだと理解しました。
長くて大変でしたが読んでよかったです。
Posted by ブクログ
二次大戦前後から現在に至るまでの家族(子供が12人、うち6人が統合失調症)の物語であり、治療と研究の進歩の話であり、社会や療養施設の話でもある。
面白かったけど、翻訳がイマイチ。
Posted by ブクログ
統合失調症の兄がいます。娘がいつか遺伝発症しないか頭の片隅に不安を抱えています。著書では男子の発症率が高いことを知りました。環境誘発をしないよう親なりに整えながら、発症しないよう見守ろうと思っています。
Posted by ブクログ
すごい労作。ドンとミミ夫妻の間に生まれた12人の子供達。15年に渡りほぼ連続して出産していることも衝撃だけど、兄達が弟妹達に性的暴行をしていた事実に言葉を失う。半数が統合失調症を発症し、それが遺伝なのか環境なのかと議論されているけど、どちらにしろ生育環境がいかに成長過程で精神の形成に影響を与えるか。こんなにいたらそりゃあ一人一人に目を配って教育なんて不可能。表紙のインパクトがすごい。
Posted by ブクログ
第二次大戦後のアメリカ、12人兄弟一家。12人のうち女の子は下の2人だけ。10人の男の子のうち6人が統合失調症だった。本当にこんな家族がいたのか!という驚き。表紙を飾る階段にずらりと並んだ家族写真は圧巻。
1945年の長男誕生から2017年に母親が亡くなるまで、それぞれの兄弟に起こった事例と家族の対応を克明にリポート。家庭内暴力や性的暴力、その当時の精神科の治療方法などなど。
何より驚くのは、この事実を公表したいと思ったのが、ある意味被害者的な立場にいた2人の妹達だったということ。両親が亡くなったあと、生存する関係者全ての同意を取り、執筆者まで探したという。単なる家族の記録にとどまらない。この家族が遺伝子を提供したことで、精神医学の研究に貢献していることも示されている。
10人もの男の子の名前に、この子誰だっけ?と思うことがたびたびあった。なんだか、アメリカは深い…
Posted by ブクログ
まさに事実は小説より奇なり。
装丁写真の、あどけない少年たちのかわいいこと。
精神疾患をもつ人と仕事で関わったこともあり、不謹慎かもしれないが、彼らのもつ独特の世界は興味深いと感じる。
ミミが子どもの気持ちを受け止められないところは反面教師にしたいが、ミミ自身も虐待を受けていた。
辛い描写が多いものの、リンジーが信頼できるセラピストに出会って、自分を取り戻していく姿には救いを感じた。
Posted by ブクログ
12人兄妹のうち6人が統合失調症を発症したギャルヴィン家。要因は遺伝なのか環境なのか。
家族の人生を紐解いていくノンフィクション。
こんな家族が実在した事に戦慄を覚えた。
長男の異変から家族の歯車が狂い始める。
兄弟喧嘩は血まみれ、窓ガラスは破壊され、家具は持ち出される。言動がおかしくなり、被害妄想により暴力沙汰を起こし、精神病院の入院を繰り返す兄達。一人また一人と異常な行動に走っていく。読んでいても誰が誰だかわからなくなるほど、混乱極まりない。
発症した息子達は元より発症していない健常な兄妹達にも不安と恐怖が広がる
家族が一緒に居る事が狂気に繋がっていくようだ。
ギャルヴィン家の症例は精神医学の研究を進めたようだ。この一家以外にも4つ子の統合失調症例なども報告されており、アメリカはやはり凄い国である。
兄からの性被害を受けていた末娘のメアリー(リンジー)がカウンセリングを受ける中で家族の問題に向き合おうとし、母をはじめ病気の兄達を介護する道を選ぶ。姉のマーガレットが家族から離れる道を選んだ事と一線を画す。
リンジーの強さに救いを見出す。
統合失調症は遺伝が原因している。でも環境も決して無縁では無さそう。悪化させるもさせないも、発症するもしないも、様々な要因が重なり合っている、と感じた。日本でもこの病名を聞く事が増えてきた。苦しんでいる方が居る。家族も居る。トラブルもある。
研究が進み、薬や治療法が少しでも早く開発される事を祈る。
Posted by ブクログ
こりゃすげえというのが一番な感想
ジンとミミの反応に対して思うけど、やっぱりプライド高い人って問題に関わろうとしないんだよな、お前らで解決しろ感
「今日でさえ、ソラジンやその他の抗精神病薬がこのような効果を持つ理由は、誰にもはっきりわからない。医師たちは何十年にもわたって、統合失調症の生物学的特性を明確に理解しないまま、この疾患に薬物治療を行なってきた。」
マジ?!?!
なぜ兄たちが自分の妹に性的虐待をするのかそのメカニズムがわからない
ガールフレンドを銃殺したところでもうええ!!ってなったけどまだ1/3だ…
老い先短い母親が、自分の納得行ってない人生に全部理由つけて私のせいじゃないって言うのを聞かされるの辛すぎる
娘2人ともすごい私にはできない
父親が寡黙すぎて父親側の視点があればかなりこの家族の解釈深まりそうなのに
一年以上前にインスタでまずこの装丁がドン!って感じでかなりインパクトがあって、どんな壮絶な物語があるんだとワクワクして、実際壮絶な物語だけど統合失調症の治療の研究の進み具合についても細かく書いてあって、
こんなのが読みたかったのかな…と思っちゃう所が人間として嫌なとこだな
はーこんな大変な環境でねー!、はーやっぱ遺伝なんだねー!って自分には関係ないスリリングな物語として読みたかったんだろう
好奇心を煽る装丁に見えるし、インスタで見かけたってのがまたね…
インスタの画像のインパクトと、その中にいる生身の1人の人間が現実に生きて日常を自分と同じように送ってるという、そんな当たり前のことをいつも思い出しては忘れるけど、現実はそんなにインパクトはないしおしゃれでも楽でもないって事実にまた改めて気づいた感じだ
Posted by ブクログ
統合失調症について前提知識なしで読んだが、原因や治療法の解明がこんなにも進んでいないのかと驚いた。
ノンフィクションと思えないほど壮絶な家庭環境だが、血縁関係とは呪いのようなもので、捨てきれないのだよなあと、複雑な感情に振り回される子どもたちに同情を禁じ得なかった。終盤でリンジーが口にした、皆んなそれぞれの人生だから、それぞれの家族との関わり方があり、過去からの立ち直り方がある、といったありがちな言葉から、修羅場を生き抜いた者にしか出せない重さを感じた。
Posted by ブクログ
専門的過ぎて斜め読みではあるが、統合失調症を家族に持つ身としては、ノンフィクションで12人の子供のうち6人が病気になる事は衝撃。私にも、遺伝的に潜んでいるのかも
Posted by ブクログ
12人の子どものうち6人が統合失調症になった家族の話と、統合失調症の研究の歴史が一緒になったノンフィクション。
それが、ごちゃ混ぜで時系列もバラバラなので、とにかく読みにくかった。
この時代では普通のことだったのか分からないが、普通にどの子もマリファナなどの薬にも手を出してるけど、依存症とかなかったのかな?
子どもも多すぎて、絶えず揉め事も起こってるみたいだし、統合失調症にならなくてもまともに育つのが難しそうな家庭で、さらに兄からの性的被害にもあってる中で、最終的に幸せ?になっている女の子2人はすごいと思った。
Posted by ブクログ
原作をオーディオブックで聞きました。下記はgoodreadsに掲載した感想を日本語に書き直したものです。
>>>>>>>>>>>>
個人的には★★★★☆。だけどそこには邪心が含まれている気がするので、星3つに落とした。
その理由を説明する前に、この本が誰の立場から書かれているのかについて説明したい。コルカー氏はリンジー(生まれはマリー)とマーガレットから、自分たちの体験をもっと多くの人に知ってもらいたい、と依頼されて本書を執筆した。結果として、この本は失調症と診断されていない二人の末娘たちの視点から書かれている。彼女たちは二番目の兄から性的暴行を受けている。失調症の他の兄たちはーーこの家族では失調症患者は男性のみであるーーmonster 怪物のように描かれているし、狭い家で経済的に余裕もないのに子供を産み続けた両親たちは加担者のように看取られる。
星4つの理由に戻ろう。私にも精神病を患う家族がいる。
「窓の外のカラスが私を見張っている」
「誰かが夜中に私の顔を引っ掻いている」
「お店の中で店員につけられる」
「警察に言っても、まともに取り合ってもらえない」
このような妄言に身近なものは振り回される。いくら説明しても信じてもらえない。根拠もないくせに自分の虚実が正しいと言い張る。本書の初めの方にこのような文章がある。
"For a family, schizophrenia is, primarily, a felt experience, as if the foundation of the family is permanently tilted in the direction of the sick family member."
子供のころはリンジーとマーガレットと同じように「まともな家がほしい」と切望した。大人になってこの本を読んで、被害者気分に浸れた。これが私の邪心だ。
しかしこれは本当に統合失調症の患者に寄り添うことではない気がする。私たちは結局、現実と虚実の境にいる人たちを理解できないままでいる。