統合失調症の一族 遺伝か、環境か

統合失調症の一族 遺伝か、環境か

小説・文芸
3,740円 (税込)

18pt

第二次大戦後、ギャルヴィン一家はコロラド州に移住し、12人の子宝に恵まれた。しかし子どものうち6人に異変が起きる。修道士のようにふるまう長男、自分はポール・マッカトニーだと言い張る末っ子……。彼らはなぜ統合失調症を発症したのか。家族の闇に迫る

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統合失調症の一族 遺伝か、環境か のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ギャルヴィン一家の苦悩と奮闘を一人ひとりの人生に焦点を当てながらまとめきったすごいノンフィクション。あとがきで創作された部分はひとつもないと言い切られており驚いた。ノンフィクションなのだから当たり前なのだけれど、あまりにギャルヴィン家での出来事が壮絶すぎて、どこかで作り話であって欲しいと思う自分がいた。

    統合失調症は環境によるものなのか、遺伝によるものなのか。その謎をさまざまな分野の科学者が仮説・検証・分析を繰り返し、少しずつ紐解いていく様が何よりも印象に残った。これは以前読んだ「フェルマーの方程式」でも思ったことだが、科学者が自身の専門分野でその才能を発揮し、研究結果を別の科学者に繋いでいく、協力ではなく共闘のように近い形でひとつの謎を解いていく様子は胸に迫るものがある。

    ただ、一家を救ったのは科学者だけではない。統合失調症という病から一家を救い出そうとした、末娘のリンジーの行動がなければ、きっと地獄は再生産されていただろう。病気になる兄たちを見ていた彼女は、自身も統合失調症になり得るであろうという不安を抱えていた。それを払拭するため自らが予防策を講じ、なんとか生き延びてきた。聡明で、とても勇敢な女性。彼女がいなければ、彼女が病気に真正面から立ち向かおうとしていなければ、一家は壮絶な終わりを迎えていたはずだ。

    この本が世に送り出されたのも彼女の協力あってのことだ。しかし、あとがきにもあるようにノンフィクションを書くにあたって、全ての家族が取材に応じてくれたというのだから、統合失調症や他の病を抱えながらも、病と向き合い、家族と向き合おうと覚悟を決め話をしてくれたリンジー以外の家族に対しても、その心の強さに感服せざるを得ない。とてつもなくすごい一家だ。

    この本は読むのに根気がいる。分量もそうだが一つひとつのエピソードに重みがある。それに、次々と悪いことが起こるので、最悪を想像してしまい読み進める気が起きなくなる。それでも、多くの人に読んで欲しいと思う。統合失調症への理解を深めることはもちろんのこと、治療への道を切り拓いた一家がいたことを後世に語り継ぐためにも。

    1
    2024年11月03日

    Posted by ブクログ

    「遺伝か環境か」に対して明確な答えは得られないが、個人的には、冒頭に描かれる母ミミの子育て(完璧主義や冷酷さ、暴力を容認する放任主義)には、環境要因の影響を感じずにはいられなかった。

    統合失調症は人生を一変させる恐ろしい病であると改めて痛感させられたとともに、身内に当事者もおり、100人に1人がなる病とも言われているので、身近に苦しむ人がいる可能性にも想像力を働かせたいと思った。

    0
    2026年01月18日

    Posted by ブクログ

    統合失調病については、現代も正式な治療というものがなく、発症したら完全に治ることはない。12人の家族がいて6人がこの病気を発症しているというノンフィクションの話。
    読みごたえがあり、読んでいる途中私にも同様な症状があったり、あるのかな?と考えてしまった。

    0
    2025年10月04日

    Posted by ブクログ

    統合失調症。

    自分にとっては、犯罪者が逮捕された後に「統合失調症のため不起訴となり…」といった文脈で耳にすことが多い言葉だ。

    よく分かってないのに、何となく近寄りがたいものだという印象。

    どうやら、統合失調症が発症するかどうかは、遺伝だけで決められるわけではないようだ。
    発症を誘発するトリガーとなるもの、それが生育環境だそうだ。

    ノンフィクション作品であり筆致に派手さはないが、その分ノンフィクションの持つ力のようなものを感じた。

    450頁近くの大部であり、読み切るにはそれなりエネルギーが必要だが、読んでよかったと思える一冊でした。

    0
    2025年07月25日

    Posted by ブクログ

    【統合失調症の一族】
    第二次大戦後、ギャルヴィン一家はコロラド州に移住し、12人の子宝に恵まれた。しかし子どものうち6人に異変が起きる。修道士のようにふるまう長男、自分はポール・マッカトニーだと言い張る末っ子……。彼らはなぜ統合失調症を発症したのか。家族の闇に迫る。

    一家の症例が未来の世代の境遇を改善するかもしれない。科学や医療はそういうふうに発展し、歴史とはそういうふうにして進むのではないだろうか?

    両親と子供たちが立場は違えど苦労し、葛藤し、辛い思いをしてきたことが意味のあるものであったことを願いたい。

    0
    2026年08月30日

    Posted by ブクログ

    すごく面白かったです。病気に限らず、子供のことをよく見て、その子の苦手を助けてあげるのがいいのかな〜と、リンジーの教育について読んで思いました。統合失調症を含め、精神科は原因もはっきりしていなくて、本当に難しいんですね。でも結局は薬だけじゃなくて人として向き合うのも大事だよってことかな。今後もっと研究が進むことを願います。

    0
    2026年08月15日

    Posted by ブクログ

    数ページにわたる謝辞が胸に残った。苦難だらけ、トラウマだらけの一家の歴史を、それでも臆せず語った当事者の方々に、作者も言及するとおりまずはリスペクトを贈りたい。自身は精神病を発現しなかった末の姉妹たち(本書の取材の中心にいるため、他の兄たちよりその心情にリーチしやすい)の、トラウマと向き合う、サヴァイヴの物語としてだけでも、とても読み応えがある。
    しかしそれだけでなく、一家の年代記と同時に語られる、統合失調症に対する医学の向き合い方の変遷もとても興味深かった。そのため、最終的に前者のサヴァイヴァーと後者の研究が合流し、一家(とその他多くの家族)をサンプルとして研究が大きく前進するくだりには胸が熱くなった。

    0
    2026年07月04日

    Posted by ブクログ

    読み応え抜群。普段はほとんどノンフィクションは読まないが、フィクションのようなノンフィクションだった。統合失調症と家族を題材にしながら、家族の中のトラウマがかなりあって、追体験をしているかのようで読んでて少し辛かった。12人の子ども全員に強烈なトラウマがあって、12人の子どもの母親にもトラウマがあって、時代背景もあるのだと思うが、全てが良くない方向に向かっていき、完全に機能不全の家族だった。12番目の末娘が成長して、みんなを助けるに至った心境が計り知れない。家族の問題について、ここまで詳しく語り出版したことは、とても勇気のいることだったと思う。

    0
    2026年02月12日

    Posted by ブクログ

    ノンフィクションなことを除いてもいろんな怖さを感じた一冊だった。統合失調症、考えなしに子供をたくさん持つこと、現実に向き合わずに過ごし続けること、いまだに原因と治療が完全でないこと‥。人間だけが生み出す恐怖。
    必ずしも良いとは思わないけれどある程度の教育(一般的なというよりも生活面)や制度、罰則は必要だと思った。

    0
    2025年09月20日

    Posted by ブクログ

    12人の兄妹を持つ14人家族のギャルヴィン家。そして彼らのうち6人は統合失調症に苦しめられている。そんなギャルヴィン家のファミリーヒストリーと統合失調症の原因について「生まれか育ちか?」という研究の進展についてとが並行して進んでいく大著。非常に読み応えがあった。

    ギャルヴィン家が抱えた困難は単純に統合失調症だけではない。目まぐるしく変化していく社会情勢、精神病への偏見、管理的な治療が良しとされていた精神医療、家庭内で蔓延する暴力や虐待の連鎖とあらゆる問題が総体として押し寄せてくる。

    まさに家族が直面して来た困難は歴史そのものなのだ。人が生き、一族が生きるということは何かが書かれている。

    0
    2025年02月21日

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