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第二次大戦後、ギャルヴィン一家はコロラド州に移住し、12人の子宝に恵まれた。しかし子どものうち6人に異変が起きる。修道士のようにふるまう長男、自分はポール・マッカトニーだと言い張る末っ子……。彼らはなぜ統合失調症を発症したのか。家族の闇に迫る
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Posted by ブクログ
ギャルヴィン一家の苦悩と奮闘を一人ひとりの人生に焦点を当てながらまとめきったすごいノンフィクション。あとがきで創作された部分はひとつもないと言い切られており驚いた。ノンフィクションなのだから当たり前なのだけれど、あまりにギャルヴィン家での出来事が壮絶すぎて、どこかで作り話であって欲しいと思う自分がい...続きを読むた。 統合失調症は環境によるものなのか、遺伝によるものなのか。その謎をさまざまな分野の科学者が仮説・検証・分析を繰り返し、少しずつ紐解いていく様が何よりも印象に残った。これは以前読んだ「フェルマーの方程式」でも思ったことだが、科学者が自身の専門分野でその才能を発揮し、研究結果を別の科学者に繋いでいく、協力ではなく共闘のように近い形でひとつの謎を解いていく様子は胸に迫るものがある。 ただ、一家を救ったのは科学者だけではない。統合失調症という病から一家を救い出そうとした、末娘のリンジーの行動がなければ、きっと地獄は再生産されていただろう。病気になる兄たちを見ていた彼女は、自身も統合失調症になり得るであろうという不安を抱えていた。それを払拭するため自らが予防策を講じ、なんとか生き延びてきた。聡明で、とても勇敢な女性。彼女がいなければ、彼女が病気に真正面から立ち向かおうとしていなければ、一家は壮絶な終わりを迎えていたはずだ。 この本が世に送り出されたのも彼女の協力あってのことだ。しかし、あとがきにもあるようにノンフィクションを書くにあたって、全ての家族が取材に応じてくれたというのだから、統合失調症や他の病を抱えながらも、病と向き合い、家族と向き合おうと覚悟を決め話をしてくれたリンジー以外の家族に対しても、その心の強さに感服せざるを得ない。とてつもなくすごい一家だ。 この本は読むのに根気がいる。分量もそうだが一つひとつのエピソードに重みがある。それに、次々と悪いことが起こるので、最悪を想像してしまい読み進める気が起きなくなる。それでも、多くの人に読んで欲しいと思う。統合失調症への理解を深めることはもちろんのこと、治療への道を切り拓いた一家がいたことを後世に語り継ぐためにも。
「遺伝か環境か」に対して明確な答えは得られないが、個人的には、冒頭に描かれる母ミミの子育て(完璧主義や冷酷さ、暴力を容認する放任主義)には、環境要因の影響を感じずにはいられなかった。 統合失調症は人生を一変させる恐ろしい病であると改めて痛感させられたとともに、身内に当事者もおり、100人に1人がな...続きを読むる病とも言われているので、身近に苦しむ人がいる可能性にも想像力を働かせたいと思った。
統合失調病については、現代も正式な治療というものがなく、発症したら完全に治ることはない。12人の家族がいて6人がこの病気を発症しているというノンフィクションの話。 読みごたえがあり、読んでいる途中私にも同様な症状があったり、あるのかな?と考えてしまった。
統合失調症。 自分にとっては、犯罪者が逮捕された後に「統合失調症のため不起訴となり…」といった文脈で耳にすことが多い言葉だ。 よく分かってないのに、何となく近寄りがたいものだという印象。 どうやら、統合失調症が発症するかどうかは、遺伝だけで決められるわけではないようだ。 発症を誘発するトリガー...続きを読むとなるもの、それが生育環境だそうだ。 ノンフィクション作品であり筆致に派手さはないが、その分ノンフィクションの持つ力のようなものを感じた。 450頁近くの大部であり、読み切るにはそれなりエネルギーが必要だが、読んでよかったと思える一冊でした。
数年前、オバマの年間ブック1位に選ばれ話題になった本。真っ直ぐすぎるタイトルと分厚すぎる厚み(とお高すぎるお値段、、)でしばらく避けてきたけど、読まずに生きるより読む人生が良い! と本屋で自分を奮い立たせ購入。大正解、圧巻の作品でした、ありがとうございました!! ドンとミミ夫妻に生まれた12人兄弟...続きを読むのうち、実に半分の6人が統合失調症と診断されたギャルヴィン一家を追ったノンフィクション。あとがきにもあるように、作中に出てくるエピソード全てが、膨大なインタビューや日記から起こされたノンフィクションという圧巻の作品。事実は小説よりも...的感想しか出てこない、ホント凄まじい読書でした。 兄弟各人のエピソードを追う章と、その当時の統合失調症の研究背景を追う章に分かれるが、とにかく前者の方が衝撃で、辛いと分かっていながら読むのを止められない感覚。それは、暴力や非人道的な治療、自殺やドラッグと、統合失調症を患った本人たちの苦しい描写が続く中で、統合失調症に「ならなかった」母親のミミ、そして12番目の末っ子・リンジーの存在があるからだと読んだ今思う。 もちろんミミの有無を言わさぬ教育スタイルが彼らの統合失調症の進行の一助になってしまったと、可能性という観点ではいくらでも言ってしまえるが、個人的にはミミがいなかったらじゃあ彼らの病状はもっとヒドいものになってたのではと感じる。そしてミミがいなくなったのちに結果的にミミの生まれ変わりのような立ち位置となったリンジーの存在も、ミミと同じく彼らを支えるものだった(と、信じたい、、)。 リンジーはジムを殺すことを考えた。たっぷり考えた。それから、そう考えたことに罪悪感を覚えた。だが、ジムと対決することよりもなお深刻な、彼女の最大の気掛かりは、母親に打ち明けなければならないことだった。母に信じてもらえなかったら?その時には、私もまた頭がおかしい子になってしまう、と彼女は思った。 母親のミミが亡くなる前後の終盤の章は、記憶を呼び起こすことで自ら傷つくことを恐れて家族から逃げる11番目の娘・マーガレットと、決して逃げないリンジーという構図になる。想像もできないが、もし俺自身は彼女たちの立場なら、マーガレットと同じく家族から逃げ続ける気がする。それは悪いことではなく、良い逃げだとも思う。けれど同時に、逃げずに向き合って考えて語り続けたリンジーがいなかったら本書は世に出なかったことを考えると、「リンジー、すげえ!ありがとう!」という感謝の念で一杯になります、マジでリスペクトです。 統合失調症の根本原因は未だ解明されておらず、本書が終わりではなく途中経過であるというのも、なんと壮大な世界なのかと圧倒させられる。ソフトウェアや機械学習の世界を生きる身としては、組合せ問題のような莫大な演算であれば少し待てば最適解あるいは近似解が得られるため、解けない問題はないように感じてしまう。けれど医学の世界は理論を積み重ねた上で、次はラット、そして人間へと実験対象を移し、しかも喩えその結果が「不正解」だったとしても、結果が出るのが数十年後という世界。 妊婦がコリンのサプリメントを摂取し始めた瞬間から、胎児が生まれて、統合失調症を発症しやすい思春期後に達するまで、追い続けている。フリードマンはニューヨーク州での授賞式で示唆したように、その結果が出るときまで生きていられないことは間違いない。 最後、リンジーの娘のケイトが、統合失調症の研究者であるロバート・フリードマンの研究室を訪れるというエピソードも映画のよう。 サイエンスとしても小説としても家族モノとしても読める大傑作でした、皆様時間を確保して、ぜひ電車でこの分厚い1冊を開いてください! 彼女がここに入れたのだから、家族がきっと途方もない寄付をしたに違いない、と一人がきつい冗談を言った。 ケイトは得意げな笑みを浮かべた。「寄付って、お金のことを言っているのですか、それとも生体組織のことですか?」
数ページにわたる謝辞が胸に残った。苦難だらけ、トラウマだらけの一家の歴史を、それでも臆せず語った当事者の方々に、作者も言及するとおりまずはリスペクトを贈りたい。自身は精神病を発現しなかった末の姉妹たち(本書の取材の中心にいるため、他の兄たちよりその心情にリーチしやすい)の、トラウマと向き合う、サヴァ...続きを読むイヴの物語としてだけでも、とても読み応えがある。 しかしそれだけでなく、一家の年代記と同時に語られる、統合失調症に対する医学の向き合い方の変遷もとても興味深かった。そのため、最終的に前者のサヴァイヴァーと後者の研究が合流し、一家(とその他多くの家族)をサンプルとして研究が大きく前進するくだりには胸が熱くなった。
読み応え抜群。普段はほとんどノンフィクションは読まないが、フィクションのようなノンフィクションだった。統合失調症と家族を題材にしながら、家族の中のトラウマがかなりあって、追体験をしているかのようで読んでて少し辛かった。12人の子ども全員に強烈なトラウマがあって、12人の子どもの母親にもトラウマがあっ...続きを読むて、時代背景もあるのだと思うが、全てが良くない方向に向かっていき、完全に機能不全の家族だった。12番目の末娘が成長して、みんなを助けるに至った心境が計り知れない。家族の問題について、ここまで詳しく語り出版したことは、とても勇気のいることだったと思う。
ノンフィクションなことを除いてもいろんな怖さを感じた一冊だった。統合失調症、考えなしに子供をたくさん持つこと、現実に向き合わずに過ごし続けること、いまだに原因と治療が完全でないこと‥。人間だけが生み出す恐怖。 必ずしも良いとは思わないけれどある程度の教育(一般的なというよりも生活面)や制度、罰則は必...続きを読む要だと思った。
12人の兄妹を持つ14人家族のギャルヴィン家。そして彼らのうち6人は統合失調症に苦しめられている。そんなギャルヴィン家のファミリーヒストリーと統合失調症の原因について「生まれか育ちか?」という研究の進展についてとが並行して進んでいく大著。非常に読み応えがあった。 ギャルヴィン家が抱えた困難は単純に...続きを読む統合失調症だけではない。目まぐるしく変化していく社会情勢、精神病への偏見、管理的な治療が良しとされていた精神医療、家庭内で蔓延する暴力や虐待の連鎖とあらゆる問題が総体として押し寄せてくる。 まさに家族が直面して来た困難は歴史そのものなのだ。人が生き、一族が生きるということは何かが書かれている。
映画「どうすればよかったか?」鑑賞をきっかけに再読。統合失調症研究の歴史とギャルヴィン家の歴史をたどりながら、ギャルヴィン家が研究の進歩にどのように多大に貢献したのかがわかった。文章も小説に近い読みやすさだった。
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統合失調症の一族 遺伝か、環境か
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ロバートコルカー
柴田裕之
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