柴田裕之のレビュー一覧

  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    統合失調症。

    自分にとっては、犯罪者が逮捕された後に「統合失調症のため不起訴となり…」といった文脈で耳にすことが多い言葉だ。

    よく分かってないのに、何となく近寄りがたいものだという印象。

    どうやら、統合失調症が発症するかどうかは、遺伝だけで決められるわけではないようだ。
    発症を誘発するトリガーとなるもの、それが生育環境だそうだ。

    ノンフィクション作品であり筆致に派手さはないが、その分ノンフィクションの持つ力のようなものを感じた。

    450頁近くの大部であり、読み切るにはそれなりエネルギーが必要だが、読んでよかったと思える一冊でした。

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    2025年07月25日
  • サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福

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    ホモサピエンスの歴史を様々な観点から振り返って紐解いていく大ベストセラー。
    比較的読みやすい文体ながら、文字数は多く専門的なワードも多い。
    でも引き込まれる…自分の認識を破壊されたり、新しい視点に出会えたり。本を読むことの良さの一つとして、他の人の人生や考え方を取り入れられることがあると思うけど、この本はそれを体現しているように思う。この本を読めて良かった。
    上巻では認知革命、農業革命、グローバル化がテーマ。
    勉強になったポイントがたくさんありすぎるけど、なんとか付箋を貼っていたところを振り返ると、まず農業革命によってサピエンスは豊かになったのかという点。狩猟採集から作物を育てるという技術を手

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    2025年07月23日
  • NEXUS 情報の人類史 下 AI革命

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    AIは、人間のレベルの知能に向かって進歩しているわけではない。まったく違う種類の知能に向かって進化しているのだ。人間を凌駕する存在となりうる。

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    2025年07月23日
  • 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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    ◆感謝祭の場面
    険悪の仲である長男・ドナルドが次男・ジムと取っ組み合いになり、ついにドナルドはテーブルを持ち上げてジムに投げつける。母親の耳が手作りのお菓子の家を粉々に壊すシーンがせつない。

    ◆メアリー(小学5年生)
    「自分の部屋で何時間も、クローゼットや机の引き出しを整理しては、やり直すことに没頭し、自分には多少なりとも物事を意のままにする力があると思おうとした」(P.220)
    「まず、十二人も子供を儲けておいて、全員を理想的なアメリカ国民に育て上げられると考えること自体、自覚が欠けていると思います」(マーガレット P.404 )
    「彼のことは、安全な港と呼びたいです」(ワイリーと結婚した

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    2025年07月17日
  • サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福

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    なぜヒトはこんなにも高い知力を有しているのか。なぜヒトの生態的地位は独立しているのか。なぜヒトが地球を支配しているのか。私は人間であることに疑問と罪悪感を覚えてきた。この本を読んで、サピエンスがどのように現生人類の地位を獲得したかを理解し、世界の見方が変わる感覚を味わった。ヒトという存在の歴史を知るのはとても興味深く、快感だった。もっと早くに読むべきだったとも思う。
    サピエンスの脳の言語野にどのような突然変異が生じたのかよくわかっていないが、虚構を語るというのがこんなにも画期的であることに驚いた。また、サピエンスが史上最も危険な種としてたくさんの種を絶滅に追い込んだことに胸が苦しくなった。農業

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    2025年07月14日
  • サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福

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    欧米人が作った資本主義社会が経済の基本になっているが、いつまでも成長するとは限らない。ルールを守らないやり方が出てくれば、何か新しい社会の仕組みの考え方が出てくるのか。

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    2025年07月13日
  • サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福

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    人間の進化の歴史を踏まえながら現代の社会について考えてある本。
    個人的に人間が現代の文化を手に入れるのに以下の2点が重要と感じた。
    1. 伝聞を信じられること。
    2. 文字ができたこと。

    上記の内容を会得したことで、情報を効率よく伝えることができ、知識やノウハウを広めることができたと思う。
    技術が進歩しても人間の基本的思想は紀元前から変わらないことがわかった。
    自分たちはまだまだ、動物であると思う。

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    2025年07月07日
  • サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福

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    サピエンス前史

    第一部
    安静時、脳は25%のエネルギーを消費する

    250万年前 東アフリカにてホモ属が出現
    200万年前 アフリカを出る
    30万年前 火の利用。調理。チンパンジーが一日五時間の咀嚼。人間は一時間。長を短くしてそのコストで脳を大きく。
    7万年前 中東に到達。
    五万年前 デニソワ人、ネアンデルタール人との交雑の証拠となるDNA
    3万年前 ネアンデルタール人絶滅。
    7-3万年前 認知革命→言語の柔軟性、噂話説。150人の親密な集団の壁を虚構によって突破。想像を語り、虚構を共有する力。
    4.5万年前 オーストラリアへ。大量絶滅。
    1.8万年前 最終氷期が終わる。気温上昇、降雨増加。

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    2025年07月03日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    自由意志など存在せず、人間は単なる有機アルゴリズムであり解明可能というスタンスで科学は突き進む。
    そうなのかもしれないけど、意識や心や思考(と呼ばれるもの)がどのように生じるか、完璧なメカニズムはまだまだ解明に時間がかかりそうだし、最後の1ピースが見つからずにやっぱり解明できないのかもしれない。

    なんだか、ぜひそうあって欲しい。

    でもその反面、データ至上主義の観点で世の中を解説されると妙に腑に落ちるところもある。
    データは人間に理解しきれないアルゴリズムの境地にいよいよ到達しているが、このまま我々を押しのけて地球の中心になるのか?

    本書では「すべてのモノのインターネット」に接続することで

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    2025年06月13日
  • ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来

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    前作に引き続き、ホモサピエンス特有の強みである「集団で見えないなにかを信じる力」の解説から始まったので、ああそうだったと思い出しながら楽しくすんなり読めた。

    アニミズムから神の存在、ルネサンスと人権主義までどんどん人間の歴史の歩みが解き明かされていく。そして、現代のすべての秩序を宗教と言い切ってしまう。これは自分にとって新しい視座だった。
    たしかに資本主義ですら、信者が圧倒的に多いから現状上手く回っているだけの宗教なのかも。

    科学と宗教のライバル関係?奇妙な均衡?は、これからの時代どうなるのか。とんでもなく力を増していく科学に対して、新たな宗教が対抗してくるのか。
    下巻が楽しみ。

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    2025年06月12日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    かなりおもしろかった。
    特に人間の人格は本当に分割不可能か、人間に自由意志はあるか、などの項目。テッドチャン「息吹」を彷彿とさせる。
    「歴史を学ぶのは過去から解放されるためだ」と言うように、膨大な歴史の知識を元にした人類への眼差しは、まるで宇宙人が人類を研究している本のようにも感じられ、SF的な感覚があった。

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    2025年06月11日
  • サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福

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    7万年前の認識革命、約1万年前に始まったとされる農業革命、約500万年前の科学革命。
    宗教、帝国主義や資本主義、人々は何かを軸に共通幻想に基づく相互信頼をベースとして突き進み、地球に影響力を及ぼす迄に至った。
    そして、いずれ想像もできない新たなタイプの存在が出現してくるのも必然であり、AIなどここ10年の加速度的な変化が気になる動きとのこと。
    壮大な俯瞰視点でサピエンスを捉えた思考力がすごい。

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    2025年06月03日
  • サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福

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    上巻よりも読みやすかった気がする。
    科学研究と産業化、市場経済の発達と幸福について。無知を認めることによって、飛躍的に進歩したというのは面白かった。これまでは役に立たないことは意味がないとされてきたが、純粋に好奇心からくる知的探究も進歩につながることに気づいたことによって、人類にブレイクスルーが起こった。エネルギーに対する考え方には、少し疑問を感じた。確かにこれまで新たなエネルギーの生み出し方、使い方を開発してきたが、そのようなブレイクスルーが今後起こるという確証はないと思う。だからこそ、資源との向き合い方は慎重になるべきだと思う。この本の中で一番面白かったのは、幸福に対する考え方。自分の考

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    2025年05月26日
  • サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福

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    圧巻の内容だった。科学革命とは無知の革命であり、それまでの「この世界についての重要な事柄はすべて既知である」という前提から「自分たちは何も知らない」に変わった、というのは非常に興味深い。
    しかしそれよりも、2014年に出されたこの本の終章で書かれていたことがすでに変わってきてしまっているということのインパクトが大きい。文庫版あとがき(2023年)でも触れられているが、AIの台頭と近年の侵略戦争は人類の行く末に関する予想をかなり変えてしまっている。私たちは何を望みたいのか?
    「ホモ・デウス」もほどなく読むことになりそう。

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    2025年05月24日
  • サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福

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    文明はなぜ爆発的な進歩を遂げ、近代ヨーロッパは世界の覇権を握ったのか。その答えは『帝国、科学、資本』の相互に緊密に繋がったシステムである。

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    2025年04月24日
  • 21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

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    今の時代に目を向けた作品
    改めてこれまでの著者の作品と同じ、一貫性のある姿勢(生化学的アルゴリズムなど)を持ちつつ、「物語」という観点に焦点を当てている
    これを読んで自分は何をするのか、テーマが広範で難しい。

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    2025年03月30日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    合理的な楽観主義により、未来は不確実だけど、なんだかんだ何とかなるという本。人間は文化・文明を築いたが、同じように道具を使うチンパンジーはなぜ文明を作れないのかから始まり、ヒトの可能性を信じよう!って内容。私も楽観的合理主義なので共感したのです。

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    2025年03月22日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    稀にみる大作を今読み終えた。
    ホモ•サピエンスからホモ•デウスへの道。
    情報生物としてのヒトの管理。
    アルゴリズムによる予測。人間は至高の存在になる。

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    2025年03月14日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    過去の事実や科学の発展に伴ってわかった様々なことから人間至上主義を超え、データ至上主義に至ろうとしていることを説く。
    自分はウェアラフデバイスで睡眠や活動を計測し、多くのコミュニケーションをチャットツールで行い、こうして読書の記録もデータという形にしている。
    それらデータと自分の人生の意味みたいなものとの間を埋めるものはなんだろうか。
    こういうのは悩みになる。最近は悩むぐらいなら行動しろと言われるけれども行動しても少なくとも短期的には結局納得感には辿り着けない。

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    2025年03月01日
  • ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来

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    ネタバレ

    上巻を読み終えるのにかなり苦労したのですが、下巻は文庫を買って肌身離さず携帯していたので意外に早く読み終えることができました。
    やはりかなり難しかったですが、一応、著者の主張を理解しながら結論に到達することができました。
    以下ネタバレなので注意して下さい↓

    上巻のレビューにも書いたとおり、下巻では「人間至上主義」にとって変わるものは何かを予想する、ってことになってたので、何が出てくるん!?と期待して読みました。な、な、な、なんと、本書での説によると・・・
    科学が進歩すると、人間も他の生き物も、ただの「アルゴリズム」にすぎないことが分かってしまう。最終的には一部の人間が力を手に入れて、多くの人

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    2025年02月21日