あらすじ
ホモ・サピエンスが文明を築き、世界を制覇したのはなぜか? 人類の誕生から狩猟採集、農業革命を経て歴史の統一まで描く、巨大な物語。世界的ベストセラーついに文庫化!
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Posted by ブクログ
認知・農業・科学の3大革命により人類は進化した?していない?色々と考えさせられる事の多い本でした。
歴史の一連の流れに沿って書いてあり、読みやすいと思いました。
認知革命のあたりはあまりに古く分かっていない事の方が多いようですが、その頃の人類が何を美しいと感じ何を考えていたのかを想像するのも楽しいなと思いました。
しかしそれこそがまさに目の前にない事を想像する人類が認知革命により手に入れた能力と思えばなかなか興味深いです。
帝国と言う概念の部分では、グローバル化とそれに伴う境界の曖昧化とありますが、本書が書かれたのがまさに2013年の二期目のオバマ大統領の頃と考えると納得です。
それから10年経った現代はその当時のリベラルなグローバル化よりも民族主義的な流れになっているように見えます。本書では人類の大きな流れの中では統一に向かっていると言っていますが、今の抵抗もいずれグローバル帝国の流れに飲まれてしまうのかとても興味があります。
Posted by ブクログ
読んでいてずぅ〜っと面白い。
知的好奇心が刺激され続けてページをめくる手が止まらない。
一方で内容は一読して簡単に理解できるものではないので、何度も読み返して時間がかかる。
自分の人生の中でも「最高」に近い読書体験であったことは間違いない。
内容としては、人類の歴史について、鳥の視点よりも広い、宇宙を飛ぶスパイ衛星の視点で論じたもの。(本人のたとえから引用)
歴史の中で各種の「革命」が起こったが、自分が注目したいのは二つ。
認知革命と農業革命。
認知革命は言わずと知れたもの。簡単に言えば言葉によって人がコミュニケーションを取れるようになったということ。
ただ、ここで面白いのが認知革命の本質が「虚構」であるということ。
動物のコミュニケーションは「天敵だ!逃げろ!」など、現実に基づいた内容しか話題にできない。
でも人間の場合は「昨日、黄色と黒の虫に襲われた。みんなも気をつけろ。アイツのことをハチと呼ぼう」など、ここにないものを話すことができる。
国家や紙幣、いま通っている学校や会社も虚構の上に成り立ってると考えると面白い。
もう一つが農業革命だ。
特に面白いのは以下の視点だ。
ホモ・サピエンスが小麦などを栽培化したのではない。ホモ・サピエンスが小麦などに「家畜化」されたのだ。
狩猟採集民から農耕民にかわったことで1番利益があったのは、人間ではなく小麦だというのだ。
そんなバカな!と思った。
でも、言われてみるとその通りだ。
人々は小麦などの栽培に生活のほとんどを費やすようになった。
自分の土地が生まれた。
それによって争った場合は戦うしかなくなった。(狩猟採集民の場合は「にげる」コマンドがあった)
貧富の差が生まれた。
人口爆発した。
いま、わたしたちが家から会社に長い時間をかけて通ってるのも、この農業革命がきっかけなのかもしれない。
Posted by ブクログ
黎明期からの人類の興りが生々しく推察されている。農耕の罠など、なぜこのような世の中になっているんだろうと感じていた違和感をほどいてくれている感じがする。とても面白い。再読必至。
ふと思い出したが小麦の奴隷という名の高級食パン屋があったが、あれはこの本の威を借りようという目論見だったんだな。商魂たくましいわ(笑)
Posted by ブクログ
ホモサピエンスが勢力を強めた背景と経緯を明瞭に語っていて、非常に関心を持たされた。信仰の力がいかに人類にとっての鍵であったか。虚構の力の凄まじさ
Posted by ブクログ
難しい内容の本だと思い遠ざけていたが、ふと目が合って読むことになってしまった。
人間の長い歴史を実に面白く飽きさせずに書かれている。
人間が二足歩行になり他の動物とは子育ても生活スタイルも一線を画し、農耕により争いが始まり、対立や帝国ができる。
面白いのは世界はずっと統一に向かう流れだということ。
現在の社会から俯瞰して見てみると、宗教問題や奴隷、権力、政治、あらゆるものが形やそれぞれの想いがあるものの、統一に向かっているというのは間違いないのかもしれない。
これから世界はどこに向かう?と後半が楽しみになる前半だった。
Posted by ブクログ
非常に面白かった。
人類史の書籍を初めて読んだが、これまでにない切り口で、人間とはなにか、どこへ向かうのかを考えさせられる内容だった。
狩猟から農耕へのシフトが、これほどまでにインパクトを与えたというのは印象的だった。
人間のもつ特性について、これまでの長いスパンでの進化という視点で考えると納得感のあるものも多々あり、その点も興味深かった。
下巻は特に人間とは何か、ヒトを人間たらしめるものは何かといった点に思いを馳せる内容であった。後世にDNAを残すというのが生物としての成功の定義なのかもしれないが、それは幸せであることとはまた異なる。我々はこの先どこに行き着くのか、というのがとても興味深い。
また読み直したい。
Posted by ブクログ
ホモサピエンスの歴史を様々な観点から振り返って紐解いていく大ベストセラー。
比較的読みやすい文体ながら、文字数は多く専門的なワードも多い。
でも引き込まれる…自分の認識を破壊されたり、新しい視点に出会えたり。本を読むことの良さの一つとして、他の人の人生や考え方を取り入れられることがあると思うけど、この本はそれを体現しているように思う。この本を読めて良かった。
上巻では認知革命、農業革命、グローバル化がテーマ。
勉強になったポイントがたくさんありすぎるけど、なんとか付箋を貼っていたところを振り返ると、まず農業革命によってサピエンスは豊かになったのかという点。狩猟採集から作物を育てるという技術を手に入れ、発展していくことはできたが、労働時間は増え、天候に左右され、簡単に移動できなくなった。まるで穀物の奴隷になったように。ただ、不作に備えるために未来の心配をし始め、天候や季節などの研究をし始めるようになったんだろうか。それによって川の氾濫を何とかするための技術や天候を予測する技術が生まれていったんだと思う。
またサピエンスの異なる集団同士の生物学的区別は無視できるほどでしかないということ。今あるヒエラルキーや人種差別は、歴史上で発生した偶然を虚構で補強して繰り返していくことで定着したものである。人種による能力の差はほとんどなく、今接している人たちも育ち方の差や会社でいうと役職・職種の違いを積み重ねた差しかないのではと思う。他の人がどう考えるのか、間違った考えだと思ってもその考えに至るプロセスを考えてみるのかもしれない。
Posted by ブクログ
なぜヒトはこんなにも高い知力を有しているのか。なぜヒトの生態的地位は独立しているのか。なぜヒトが地球を支配しているのか。私は人間であることに疑問と罪悪感を覚えてきた。この本を読んで、サピエンスがどのように現生人類の地位を獲得したかを理解し、世界の見方が変わる感覚を味わった。ヒトという存在の歴史を知るのはとても興味深く、快感だった。もっと早くに読むべきだったとも思う。
サピエンスの脳の言語野にどのような突然変異が生じたのかよくわかっていないが、虚構を語るというのがこんなにも画期的であることに驚いた。また、サピエンスが史上最も危険な種としてたくさんの種を絶滅に追い込んだことに胸が苦しくなった。農業革命では私が生きる中で感じる苦しみが種全体に保存されたものであると知り、受け止め方が変わった。
ユヴァル•ノア•ハラリの特製BOXを衝動買いしたが、今は導かれたのだと思うくらいこの本に良い影響を受けた。続く3冊も読み進めようと思う。
Posted by ブクログ
人間の進化の歴史を踏まえながら現代の社会について考えてある本。
個人的に人間が現代の文化を手に入れるのに以下の2点が重要と感じた。
1. 伝聞を信じられること。
2. 文字ができたこと。
上記の内容を会得したことで、情報を効率よく伝えることができ、知識やノウハウを広めることができたと思う。
技術が進歩しても人間の基本的思想は紀元前から変わらないことがわかった。
自分たちはまだまだ、動物であると思う。
Posted by ブクログ
あれ〜?昔途中まで読んだ事があり、その時は星1個の最低評価だったのに、読み返してみるとおもしろい。何を毛嫌いしていたのか、私は。
読書なんて数年に1回しかしない人達が一斉にこの本を読み、口を揃えて人類の哲学を語っている感じを忌避していたのかもしれない。そう考えると、本書は悪くなく、申し訳ない。
とは言え、書いてある内容は分断されて各媒体で細々と紹介されているためどこか聞いた事があるような内容に富んでいた。逆に言えば、今世各所で聞く、人類とはこういうものだ的な言説はかなりこの本の影響を受けてできたものなのではなかろうか。
人類を生物学的に見た時に、そういうものと決めつけられるものは少ない。本書が言っていたように、だいたいが文化の文脈の影響を受けて決まるのだろう。主語を大きくしないように気をつけようと思った。
Posted by ブクログ
虚構。
かたちのないもの、考えに人々は動かされ帝国が出来た。
今でも人々はあらゆる物語に熱狂し、踊らされて生きていて、認知の重要性を痛感。
今の私たちも力付くで統一を果たした人の子孫と思うと、国籍問わず他の人にもっと優しくなれるかもしれない。
普段美味しく食べるお肉に刹那的に心が痛む。
Posted by ブクログ
世の中をニュートラルに見たいのなら、読んでみる価値のある本。『銃・病原菌・鉄』も読むべき本の一つだと思うが、彼の本よりも人類全体の悪行が描かれている。
「サピエンス」が特別優れている訳でもないし、農業が他の生物を含め我々を幸せにしてくれたわけでもない。何が幸せかという議論はあるけれど…
認知革命以来背負ってしまった、想像という武器でもあり足かせでもある力。下巻では集団で想像する力が行きつく先を鮮やかに示してくれる。
Posted by ブクログ
読んだのは2回目です。読書を始めたばかりの頃から1年経ち、だいぶ分かりやすく面白い本だな、と思いました。言い回しがアイロニックなのも好きです。
大変面白いと感じたのは3カ所です。二足歩行を手に入れる代わりに出産が早まり自立するまで子育てが必要になったこと、農耕から狩猟採集民に戻れない理由の一つに「贅沢品が必需品になる」という今でも通じる歴史の傾向が効いていること、そして金の価値の違いから自然に同様の貨幣が世界に流通してしまうことです。
大変勉強になりました。やはり歴史で捉えるといろんな事が見えてきて楽しいですね。
Posted by ブクログ
簡潔な文章で様々な説を述べられ、とても面白い。知っている話も、改めて説明され納得できたように思う。ところどころにクスッと笑える箇所もあり、一気に読み進められた。
支配された国のエリート層が権利を求める例としてガンジーを挙げられていた点(ガンジーは英国式の教育を受けたが初期は弁護士としてうだつが上がらなかったし、アフリカ行きの列車では一等車の座席指定のチケットを持っていたため、一等車に乗ることを強弁したわけでもない、三等車に移れと言った車掌の方がおかしい)や、
オッペンハイマーにノーベル平和賞を与えるべきという言葉(終戦に繋がったかもしれないが、20万以上を殺し、後遺症により殺してきた事実は消えない。人間相手に実験として投下したのも許せない。この言葉は絶対に許容できない)など
納得いかない箇所はあった。
それ以外の箇所については興味深く読み進められたと思う。
Posted by ブクログ
面白かったなー。全然知らない本だったけど、LINEで大学時代のサークル仲間が話してるのを見て、買ってきた。
ある意味、広く知られていることばかりだが、語る切り口が新しいと思った。もともと「当然で所与のものと見られてることだが、そもそもこれは・・」って語りが好きなので、最初から最後まで大変面白く読むことができた。
Posted by ブクログ
サピエンス全史、予てより読みたかった本である。衝撃である。
我々ホモ・サピエンスは、同時代にかつて存在したネアンデルタール人等のヒト族を凌駕して唯一生き残った。
ホモ・サピエンスがヒト族の中で生き残り、更に地球の生態系の頂点に立てた最大の理由は、複雑な状況を説明できるコミュニケーション能力を持ったことに加え、何億人もの間で「神話」を共有できるようになったこと。
資本主義や、法律、国、人権、宗教、お金など、本来は存在しないものを「存在する」と皆が信じることにより、それらを存在させている。その仕組みの中で我々は生きているとは、改めて言われると驚異的である。あたりまえに「ある」と思っていたことが、実は「神話」であったとは。
トヨタの車は存在し、触れることができるが、トヨタという会社に触ることはできない、人権を主張する人も、人権にも触ることができない、皆が「存在する」と信じていることで成り立っている。
私を今奴隷のように搾取している会社も、みんなが「ある」と信じているから存在しているだけなのか、と、最早マトリックスから抜け出したネオの心持ちである。
我々が人生において何かを成し遂げたいと、自発的に心から思っているつもりでも、全ては、現代社会に生きる人々が信じている「枠組み」の中でのものであり、我々はその枠からは抜け出せず、呪われている、のだ。
我々は、神話からは抜け出せない。地球の99%の人が「ドル」に価値があると信じていれば、私だけ「ドルに価値が無い」と言っても、私だけが爪はじきにされるだけだからだ。
神話は存在せずとも、人々が信じることで存在する、そしてそれを変えるのは困難だ、なぜならば、みんなが信じちゃってるから。このループから抜けられない。
一方で皆が信じているものが、今後どう変わっていくか、恐ろしくも興味深くある。
Posted by ブクログ
初版は2016年。読んだのは99刷発行、2023年。
こういう本は新刊のうちに読んだ方が良いのでしょうが、今からでも遅くはないのでは?と思う重版っぷりです。
Posted by ブクログ
ホモ・サピエンスが生き残ってきた歴史。
なぜ生き残ったのか。本の中で1番唸りました。
本で挫折してしまい、オーディブルで再挑戦。
面白かった。
男性優位の構造や、いつから未来志向になったのか。
知らないことだらけで、面白かった。
Posted by ブクログ
ほぼすべての文化で男性優位になったのか。その理由として、(女性の)身体的な弱さ、体力や攻撃性は確固たる理由にはなり得ない、というのが目からウロコ。説明されてみれば、確かに…
Posted by ブクログ
ようやく現在進行形の十冊の内一冊読み終わりました。独り言は置いておいて、この本はホモサピエンスの歴史について語っており普通に面白いです。下巻が楽しみ
Posted by ブクログ
後半は生物学的な考察から、より社会学的な話へと移っていく。
人類の繁栄は、どの時代も「虚構の存在」に支えられてきた。と言うよりもはや、虚構の存在なしには人類はまとまりを得ることができず、自然と破滅の一途を辿ったことだろう。
ほとんどの人は、150人を超える人を親密に知ることも、それらの人について噂話をすることもできない。しかし、宗教や貨幣、主義が登場することで、膨大な数の見知らぬ人同士も首尾よく協力できるようになった(そのような点において、歴史の大半は、どうやって膨大な数の人を納得させ、特定の物語を信じてもらうかと言う問題を軸に展開してきた)。
そしてこの書籍から学びうる教訓は、こうした「虚構」は常に変化していくと言うことだ。
例えば今日の人々が外国での休暇にたっぷりとお金を注ぎ込むのは、ロマン主義的消費主義(幸せになるためにはできる限り多くの製品やサービスを消費するべきである。経験を消費することで人間としての可能性が満たされ、私たちはもっと幸せになれる)という神話を熱烈に信奉する気持ちの表れである(昔の皇族はわざわざ途方もない手間と労力をかけて海外に行こうなどとは思わないからだ)。
そして、社会運動などで既存の秩序の壁を打ち壊そうとする時、実は私たちはより大きな監獄の、より大きな運動場に突入しているにすぎないのである。
・農耕が始まったまさにその瞬間から、「未来に対する不安」は人間の心の舞台の常連になった。
・サピエンスの集合的な力の劇的な増加と表向きの成功は、家畜の個体の多大な苦しみに繋がっている。家畜は種として繁栄し成功した代わりに、大きな個々の苦しみを背負うこととなった。
Posted by ブクログ
もしや人間は狩猟採取民時代が1番幸せだったのでは...と思わせる上巻の幕開け。
文化や宗教、科学は人間を幸せにしたのか?そこにはただ今につながる事実の連なりがあるばかり。
私の世界史知識が貧弱で、途中追いつけなくなる箇所あるのがもったいない。下巻に続きます!
Posted by ブクログ
認知革命、農業革命、人類の統一。
ところどころ首を傾げたくなる部分もあるが、「サピエンス」としての人類の歴史をうまく概説している。
「たとえばキリスト教徒が、通りの先にあるモスクに通うイスラム教徒のことを理解したいと心から願っていたら、……イスラム教文化のジレンマ、つまり規則と規則がぶつかり合い、標準どうしが衝突している部分を調べるべきだ。」(205頁)
「インドと地中海沿岸を行き来する貿易商人は、金の価値の違いに気づく。彼らは利益を得るために、インドで金を安く買い、地中海沿岸で高く売る。その結果、インドでは金の需要と価値が急速に高まる。一方、地中海沿岸には金が大量に流入するので、その価値が下がる。いくらもしないうちに、インドと地中海沿岸での金の価値はほとんど同じになる。」(230頁)
Posted by ブクログ
ひとつの国の文化は、元々他の国から渡ってきたものもしくは植民地化され迫害されていた時代にできたものと考えると、他国との繋がりが見えてきて、一気に面白くなった。
Posted by ブクログ
ホモサピエンス時代からの人類の社会性についての本
【内容メモ】
・近年の環境破壊から過去の自然との共生といわれることがあるが、過去の人類も焼畑や狩りで同様の行為をしている
・過去の帝国などで信仰されていた神話・文化と現代の文化は本質的には変わらない
・社会の文化は虚構(=神話)であり、貨幣文化は信頼をもとに成り立っている。
・種族の成功を考えるなら、小麦は繁殖に成功していて、人類はコントロールされている。人類が絶対的成功者という考えは少し違う。
【所感】
・社会文化に自然なものなどはなく、同性愛が不自然なのは、現代社会の文化(=神話)が異性愛を基本としているから、文化的に不自然だと主張しているだけ。そもそも人間の欲求に不自然なものはないという点は、なるほどと思った。
・反論意見も検討しながら、科学的根拠に基づいたわかりやすい本だった。一部冗長な部分もあるが。