柴田裕之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ー 人間は、事実や数値や方程式ではなく物語の形で物事を考える。 そして、その物語は単純であればあるほど良い。どんな人も集団も国家も、独自の物語や神話を持っている。だが二〇世紀には、ニューヨーク、ロンドン、ベルリン、モスクワのグローバルなエリート層が、過去をそっくり説明するとともに全世界の将来を予測するという触れ込みの、三つの壮大な物語を考え出した。 ファシズムの物語と、共産主義の物語と、自由主義の物語だ。
ファシズムの物語は、異なる国家間の闘争として歴史を説明し、他のあらゆる人間の集団を力ずくで征服する一つの集団によって支配される世界を思い描いた。 共産主義の物語は、異なる階級間の闘争として歴史を説明し、たとえ自由を犠牲にしても平等を確保する、中央集権化された社会制度によって、あらゆる集団が統一される世界を思い描いた。自由主義の物語は、自由と圧政との闘争として歴史を説明し 、あらゆる人が自由に平和的に協力し、たとえ平等はある程度犠牲にしても中央の統制を最小限にとどめる世界を思い描いた。 ー
単純化して言ってしまえば、人間は物語の中で生きている。物語りの単位は個人から始まり、家族、共同体、部族、民族、宗教、国家、人類、地球、宇宙、、、大小問わない。その物語りの中で生きている自分をその物語を通じてしか認識できないか、その物語りの外から認識できるか、その違いが重要。
物語りの外から世界を眺める事により、この世界の真実が見えてくる。その真実から、本来の我々のなすべき事を考えられるかどうか、その事によって、世界が救われるかどうかの明暗が分かれる。
それが、この21のLessonsの本質だと思う。 -
Posted by ブクログ
今まで読んできた「生と死」に関する本の中で、この本が一番納得出来た。
〈本から〉
「私たちは生き残るためのマシンだが、『私たち』とは人間だけを意味するわけではない。そこには、あらゆる動物、植物、細菌、ウィルスが含まれる」のだ。
私たちは二つの世界に生きている。一方は、他の生き物たちと共有している自然の世界だが、もう一方は、私たち独自のもの ー 象徴の世界だ。そしてここ、私たちが自ら作り出したこの世界で、私たちは切望してやまぬ永続性を達成できる。
バンドル理論
人は単一の首尾一貫した自己ではなく、散り散りになっても存続出来る記憶や考えなどの集まりであるとする理論
ガイア仮説
リン・マーギュリス
「生命が惑星の規模で現れることを、大気と天文と海洋から得られる証拠が示している。過去30億年にわたってこの惑星の平均気温が安定し、七億年にわたって地球の大気が可燃性の高酸素濃度と生物が窒息する低酸素濃度の間を行き来しながら維持され、危険な塩分がどうやら海洋から継続的に除去されている ー その全てが、生命の組織全体における、哺乳動物のものに似た明確な目的性を指し示している。・・・・.地球上の生命 ー動物相、植物相、微生物叢 ー は気体に包まれ、海洋と結びついた単一の惑星システムで、太陽系で最大の有機体である」
「死はまったくもって真の意味で錯覚だ。私たちは純然たる生化学的作用の持続なのだから、三十億年が過ぎる間、『私たち』は一度も死ななかった。山や海、さらには超大陸さえもが、現れては消えていったが、私たちは存続してきた。」
ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン
「死は人生における出来事ではない。私たちは生きて死を経験することはない。
ヴィトゲンシュタインはここから、その意味で「生に終わりはない」と結論した。つまり、私たちは生に終わりがあることを、決して自覚出来ない。知りうるのは、生だけなのだ。
多くの賢者が理解してきたように、幸福は今この瞬間にだけ存在する。今この瞬間だけが実在しているからだ。過去はすでになく、未来は単なる憶測でしかない。 もし今あなたが幸福なら、あなたは常に幸福だ。なぜなら、今しか存在しないからだ。
「もし明日死ぬとしても後悔しないように、だが、もし死なないとしてもやはり後悔しないように生きる」
ロバート・エモンズ
「感謝の念は、人生の満足度、生気、幸福感、自尊心、楽観主義、希望、他者への共感、他者への有形・無形の援助を提供する積極性のような重大な結果と明白な関連がある。それに対して、感謝の念の欠如は、不安、憂鬱、嫉妬、実利主義、孤独と関連している」 -
Posted by ブクログ
この本に出会ったのは、日本経済新聞の毎週土曜日に掲載される「リーダーの本棚」で日本医療研究開発機構センター長の浜口道成氏が取り上げておられたことがキッカケでした。
fMRIという機器を使って脳の画像を検証することで、いわゆる植物状態にある人にもさまざまなレベルの意識があることを明らかにした画期的な本です。植物状態=脳死=人間の死だと勝手に思い込んでいた私にとってはまさに目から鱗の衝撃でした。
テクノロジーの進化と新たな実験方法の開発により、生と死の狭間のいわゆるグレイの領域にいる植物状態の患者とのコミュニケーションが可能となり、そこに意識が存在することが明らかにされた。このことは人間にとって新たな希望をもたらすものではあるが、同時にとても重たい課題をも突きつけるものだと思う。AIや遺伝子、宇宙などの大変革時代の中にあって、この人間の意識についての新たな知見は最も根本的で重要なものだと思う。 -
Posted by ブクログ
2021年12月に読んだため、少し状況が変わってきてはいたが(こき下ろされているトランプ政権が終わっているなど)、ハラリ氏の明晰な世界分析が冴え渡る書籍だった。
感染状況よりも、その非常事態の中で緊急的に執られる措置の多くがコロナ後も効力を発揮し続けるであろうことに警鐘を鳴らす。テクノロジーと独裁が結び付くことで、かつてなかったレベルの監視社会が実現してしまうと。
そして、人類が種としてコロナに打ち勝つことは疑う余地がないとしつつ、これを、人類の強力と信頼の機会とするのか、グローバルな協力体制を築けず安定した未来に向けた体制を構築できなかった敗北の歴史の契機とするのかは、非常事態を生きる今の我々の決断と賢明さにかかっているという。 -
購入済み
分量はかなりありますが
読むのに時間はかかったものの、最後まで読みたいと思わせる本。
Googleのエンジニアによるマインドフルネス(瞑想)の書籍であるため、ともすればスピリチュアルになりがちだと思われる当該分野の様々な方法論を、実に客観的、かつ、可能な限り丁寧に記載しているため、実践してみよう、実生活に応用してみようと思わせる。
その分、ボリュームはかなりなものですが、節ごとに休み休み読んでも十分頭に入ってくる内容だとも思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人は生物としての機械なので、死ねば何もなくなる」という(少なくとも私もそうだと納得している)前提で、死に対する恐怖を論理的に突き詰めるイエール大学のシェリー・ケーガン教授の哲学講義。(西洋)哲学は、物事を論理で徹底的に突き詰めて(正面を向いて納得できるまで)考えぬく学問。この本は、客観的に「死」について論じているのではなく、シェリー氏がこれが論理的だと信じていることを読者に説得する形式。
ふだん私たちは、「死」について、正面から考えることを避けている。しかし、一度怖がらずに死について正面から考えることは、限りある人生の私たちにとって、悪いことではない。
人が怖がるのは、後に悪いことが待っていると考えるから。しかしながら、死んでしまえば悪いと感じる私自身がいないのだから何も悪いことはない。では、何を恐れているのか?
不死(死ねないこと)は幸せではない。何億年も興味を持つ対象を持つことは想像できない。永遠の退屈。
だとしたら、早すぎる死が経験できただろう良いことが経験できなくなることを恐れている。(剥奪説)
では良いこととはなにか?快楽は良いことで、痛いことは悪いこと。でもマトリックスの世界で快楽三昧の人生は、良いことだと思えるか?人は心の中の(内面的な)良いことだけでなく外面的な良いことも欠かせない。
自殺は、今からの人生が本当に苦痛でしかないときは、合理的には正しい場合もある。問題は本当に苦痛でしかないのかどうか。
一人を殺せば五人助かる。五人助けるために罪のない一人を殺すのは道徳的に正当ではない(義務論的立場)
しかし、殺される人の(心からの)同意があれば道徳的には許されるかもしれない。
私は私が死が怖いのが、私という意識が永遠になくなること。それは、死ななければ経験できることができなくなるからというのとは、少し違う気がする。