柴田裕之のレビュー一覧
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コンピュータは人をつなぐ管ではなく、ネットワークの成員になった。意識は持たないのに知能だけを持ち、目標を追い続ける。危ないのは人間に似ているからではなく、まったく違う仕方で動けるからだ。
AIの出力は読みやすい。読みやすいから疑わなくなる。出典が付いていること自体が安心の記号になって、中身まで確かめていない自分がいる。気をつけないとなぁ。
AIは手段を自己修正できるが、何を正しいとするかは修正できない。より良い人間とは何かを話し合う仕事は、人間が手放してはいけないのだと思う。
効率とは誰にとっての効率なのか。自己修正の仕組みはどれも非効率で、だから真っ先に削られる。他者を理解するには時間がかかる。余裕を持って事に当たりたい。 -
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読書録「「偶然」はどのように
あなたをつくるのか」5
著者 ブライアン・クラース
訳 柴田裕之
出版 東洋経済
P309より引用
“ もしあなたの代わりに誰か他の人が存在
していたら、世界は違ったものになるだろう。
あなたが存在するからこそ、あなたは世界に
影響を与える。良い影響もあれば悪い影響も
あるが、そのいっさいが、このタペストリー
の一部となる。あなたは重要だ。あなたがこ
れまでに下し、またこれから下す、ごくささ
やかで取るに足りない決定に至るまでが大切
なのだ。”
目次より抜粋引用
“何を変えてもすべてが変わる
万事が理由があって起こるわけではない
私達の脳はなぜ現実を歪めるのか?
制御も予測も不可能な人間の大群
ヘラクレイトスの不確実性の世界”
国際政治学者である著者による、世界にお
ける人の存在のあり方や関わりについて記し
た一冊。
人生の決定についてから人一人の大切さに
ついてまで、歴史上起こった偶然の結果など
を元に書かれています。
上記の引用は、一人の存在と世界への影響、
世界からの影響について書かれた項での一節。
自分という人物が取るに足らなくて、何をし
ていても世の中は変わりはしない。などとい
う皮肉で悲観的な考え方を、蹴り飛ばすよう
な言葉ではないでしょうか。
ほんの少しずつでも、良くなるように行動し
て、いつか事態が好転したらいいなぁ。位の
気持ちで過ごしたくなる一節です。
この、「世界においてあなたは重要」とい
う考えは、本書では何回も書かれていて、
著者は世界と人を大切に思う人物であると
思われます。
ほんの少しのことで、状況も結果も大きく
変化するということが、歴史上何度も起こっ
ているようです。
どんなに苦しい状況でも、決して自身の事を
責めるばかりでなく、どうしようもない悪い
偶然の巡りであるという事もあるということ
を、忘れないようにしたいものです。
こういう事を言うと、上手く行っている人や
上手く行った人は、努力不足とかいうのかも
しれませんが。
世界に対する見方が、変化してしまうかも
知れない一冊。
気持ちが落ち込んだときなど、読み返したい
ような、そんな作品です。
若いうちに出会いたかったけど、出版がま
だ去年のことなので、まあ早めに出会えて
読むことが出来たのは幸いでした。
とてもいい偶然に出会えたと思います。
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ネタバレ格差の起源
なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか
目次:人類史の二つの謎
第1部 何が「成長」をもたらしたのか
第1章 最初の一歩
第2章 停滞の時代
第3章 水面下の嵐
第4章 蒸気エンジン全開!
第5章 停滞から成長へ
第6章 約束の地
第1部のまとめ――成長の謎を解く
第2部 なぜ「格差」が生じたのか
第7章 光と影
第8章 制度の痕跡
第9章 文化的な要因
第10章 地理が落とす影
第11章 農業革命の遺産
第12章 出アフリカ
第2部のまとめ――格差の謎を解く
第1部では、なぜ人類がこの200年くらいで急に豊になったのか?に関しての考察を進め、第2部では現在拡大しつづける格差はどのようにして起こってきたのかを考察しています。
前者の肝は、人的資源の充実による知の蓄積と進歩があげられ、後者の肝は、地理的要因と多様性があげられています。
中でも面白かったのは、豊になるためには多様性と技術の進歩にほどよいトレードオフがあり、その条件を満たしたものが豊になってきたということ。また、マルサスの罠から逃れ人口増加と技術の進歩のトレードオフにいたったものが豊になっているということです。
何事も行き過ぎはまずく、中庸を良しとするということでしょうか。
これに照らすと、日本は多様性を高めることによってより豊になることができるということ。
今後の施政の参考になり得る知見かと思います。
竹蔵 -
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情報は真実を運ぶものではなく、人をつなげるものだという。言われてみれば、真実は複雑でコストが高く、虚構のほうが安くて強い。真実が負けるのは不公平だからではなく、そもそも競技が違うからだった。
いちばん怖かったのは魔女狩りの章。存在しないものが、印刷と自白によって自分を裏づける証拠を生産していく。今のエコーチャンバーとまったく同じ構造に見えた。
読み終えて思うのは、自己修正は心構えではなく仕組みの問題だということ。気をつけようという意志は疲れた日に折れる。疑う手間を下げる設計のほうが確実だ。
真実と秩序の両立した例は、最後まで出てこない。それは達成される状態ではなく、続ける作業として書かれているからだと思う。 -
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独裁者の実態が赤裸々に、そしてロジカルに理解できた。
彼らは挑戦者になりうるエリート達に、自分を支持するメリットを感じるほどには良い目を見させながら、しかしそのうちの誰かが自分を脅かすほどの影響力を持たないようにバランスをとり、そして自分に逆らうことのリスクを思い知らせるために恐怖を与え、しかし絶望により団結して歯向かってこない程度に安定を与えないといけない。
さらに軍もまた厄介で、他国や国内の反対勢力に対抗するために強力である必要はあるが、その力が自分に向かわないように複数の組織を打ち立てて牽制し合わせなければならない。
市民の反乱もまた足をすくわれるリスクとなる。特に市民に銃を向けてしまうと混乱が収拾できなくなる。
そして、高齢や病気によって先が長くないと知れると一気に支持を失いかねない。かといって予め後継者を決めておくとその後継者が自分を目障りな存在として扱うことになる。
そして、これらのどれかをうまくコントロールできずに失脚すると、民主主義国家の元元首の引退後の姿とは似ても似つかないほどに、悲惨な結末を迎えることとなる。
習近平もプーチンも金正恩も、アフリカの多くの国の独裁者も、いかに強力に見えようが、いかに狂気じみて見えようが、終わらない脅威に脅えながら極めて理性的に支配維持の努力を続けているということだ。ランニングマシンに乗ったように、走り続けなければならない。 -
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情報が増えれば真実や知恵が増えるわけではなく、情報ネットワークは真実だけでなく虚構や誤りによっても秩序を形成する。ゆえに、人類がAI時代の強力な情報ネットワークを生き延びるには、自らの可謬性を認め、強力な自己修正メカニズムを備えた制度を構築し続けなければならない。以上が主要な主張。
ただ、コンピュータや情報ネットワークに、認識論的な意味での『可謬性』を帰属させられるのか?の疑問がずっと残る本でもあった。例えばFacebookの推薦アルゴリズムが「エンゲージメント最大化」を目的としていて、ロヒンギャへのヘイトを大量に推薦したとして、アルゴリズムは間違えたのか?とは言えない。
目的関数に対しては、むしろ正しく動いた可能性がある。「その結果は人類にとって望ましくない」と判断しているのは人間だ。著者は絶対的な価値判断を情報ネットワークにも用いている。そこはもやもやする。 -
Posted by ブクログ
今年の初めにこの1年間に読破すると決めた3つの本のうちの1つ。やっと読み終わった。上巻を読んでからもだいぶ経ってしまった。
上巻もだけどすごい読み応えがある。
点と点が線になっていくような、俯瞰的に人類の歩んできた道を知ることができて、とにかくめちゃめちゃ面白い。
これはホモ•サピエンスとして必読の書でしょう。
ホモ•サピエンスの推測される未来について「未来のテクノロジーの持つ真の可能性は、感情や欲望も含めて、ホモ•サピエンスそのものを変える」と警鐘されている。
AIの台頭によって、ホモ・サピエンスの最大の特徴でもあった物語を作り出す力さえ、AIに乗っ取られてしまう可能性がある。
ホモ•サピエンスはこれまで発展を繰り返してきたが、果たして人類や個人はそれで幸福になっているのかという、最後に著者からの鋭いメッセージ。
ここでブッダの教え(そもそも幸福とは外部の条件によって決まるものでも、内なる感情とも無関係であると。感情はすべて束の間のものであり、感情の追求をやめることで、心の緊張が解け、未来や過去ではなく今この瞬間を生きることができる)が引用されている。自分とは何者であるのかを知ることが幸せのカギであると。
ホモ•サピエンスの存続が危ぶまれる今こそ、この本を通してホモ•サピエンスとは何であるのかを学びつつ、我々は何を希望しているのかという著者からの問いに一人一人考えていく必要があると感じた。
これは必ず再読しよう。 -
Posted by ブクログ
まぁ面白かった。今までの価値観が一掃された。こんな本は読んだことがなかった。
科学革命から幸福についての話に入ってからがかなり興味深かった。取るに足らない存在だったサピエンスがここまでー神に近い存在まで文明を発展させたが、それは幸福に繋がっているのか。その視点が全ての人類史において不足している、というのは至言
神話も文化も企業も国家もジェンダーも宗教も現代の幸福の基準も全ては虚構だということ点を知れて、かなり気が楽になった。
予測不可能で変化が早い現代においては今考えていることや悩んでいることも全て無意味になるようなシンギュラリティが訪れうる、という点は目からウロコもの
著者頭良すぎる、NEXUSも読もうかな。
抽象的な話多すぎて読むのまじで時間かかった。内容が凝縮されすぎている。
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Posted by ブクログ
本書の要点は、以下のとおり。
●孤独感を感じるのは、社会的生物であり「群居せざるを得ない」種である人類が進化の過程で獲得した機能であり、痛みや冷たさを感じるのと同様に生存に必要な機能である
●孤独感を感じると過度に警戒的になって複雑な関係性を制御する実行制御力が大きく損なわれることとなる。原初の社会では、孤立した際に周囲のもの全てに脅威を感じて警戒モードに入ることは生存確率を高める結果を生んだであろうが、現代の複雑な社会ではそれがマイナスのループを生んでますます孤立し孤独感を強める結果になりかねない。
●さらに、現代社会の設計思想が人類の本質に最適化されておらず、コミュニティは弱体化し、人々は表向きは繋がりよりも経済的利益を追求するように生きざるを得ない。孤独感を感じる生物種がこうした社会を形成してしまっているが故に、孤独は現代社会の巨大な課題であるが、重要政策課題とは捉えられていない。
●社会全体で、コミュニティを維持し、再構築し、強化する取り組みが必要だろう。
●一方で、個人としてできることもある。人は他者に何かをしてもらうよりも、他者に貢献したときの方が繋がりを実感できる性質を持っている。孤独感の負のループに陥りそうになったときには、些細なことで良いから他者貢献や他者との繋がりを生むような行為を意識的にとっていくことが大事である。まずは第一歩として孤独感の正体と対処法を科学的に認識することが大事である。
選択圧による帰結として孤独感を説明する客観性と納得性、そのうえで救いを提示する良書。
孤独感を回避する手法として、バーチャルな手段の限界には言及していたが、AIパートナーについてどうなのかも言及して欲しかった。