柴田裕之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「サピエンス全史」のユヴァル・ノア・ハラリ氏の新作。今回のテーマは情報のNEXUS(結合)。
氏は人類史の発展を「情報」の取扱いとネットワークの進化と説く。それらを「客観的現実」「主観的現実」に加えて、「共同主観的現実」という新たな概念を導入する。前々作では「物語」を主眼に論理展開していたが、本作上巻では「文書」の観点で人類史を捉える。
情報→真実→知恵OR力というI/Oに対して、「文書」化がもたらした情報→秩序という枠組みの功罪。自己修正メカニズムを持つか否かが情報ネットワークとしてポイントとなる。人類史の例示として聖書の正典化や中世の魔女狩り、旧ソ連の全体主義を取り上げて分析する。
「サピ -
Posted by ブクログ
下巻を読んでいて既視感を覚えた。ああ、これって唯幻論と同じだ、と。岸田秀氏が唱えた唯幻論~社会で起きていることは全ては共同幻想(オリジナルは吉本隆明氏)で説明できる~と若い頃の自分に世の中を分かったような気にさせてもらった。その頃は時代性もあって、○○主義はどうなのか、というような議論でしか見ていなかった気がするけれど、それでも、良いも悪いも幸せも不幸せも幻想だよって言われて突き放された感があった。で、いま、何が正しいんだか今日より明日の方が良いかどうかわからないこの時代に、こうして人類史として見せられると、歴史の必然は必然として理解はできる。
じゃあどうしたい? 筆者も述べているこの言葉を -
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Posted by ブクログ
ハラリさんの著書には毎回、ハッとさせられる。
GPT-4が人間かどうかを確認するパズルを解けなかった時、人に依頼する理由をでっちあげたシーンは、衝撃だった。。。
大英帝国は、紡績工場をカルカッタからマンチェスターに移転することはできなかった。しかし、情報は違う。マレーシアやエジプトから、高速で北京やサンフランシスコへ送れる。世界のアルゴリズムの力は工業力とは異なり、単一の中枢に集中させることができる!
AIは、artificial intelligenceの略だが、ハラリ氏さんは alien intelligenceだと言っている。人間とは全く異質のエイリアンの知能。その通りだなと認識。 -
Posted by ブクログ
簡潔な文章で様々な説を述べられ、とても面白い。知っている話も、改めて説明され納得できたように思う。ところどころにクスッと笑える箇所もあり、一気に読み進められた。
支配された国のエリート層が権利を求める例としてガンジーを挙げられていた点(ガンジーは英国式の教育を受けたが初期は弁護士としてうだつが上がらなかったし、アフリカ行きの列車では一等車の座席指定のチケットを持っていたため、一等車に乗ることを強弁したわけでもない、三等車に移れと言った車掌の方がおかしい)や、
オッペンハイマーにノーベル平和賞を与えるべきという言葉(終戦に繋がったかもしれないが、20万以上を殺し、後遺症により殺してきた事実は消え -
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