【感想・ネタバレ】独裁者の倒し方―暴君たちの実は危うい権力構造のレビュー

あらすじ

「世界の厄介者」はなぜ倒れないのか?
側近たちとの避けられないトレードオフ、非道な行動の背後にある、裏切りや暗殺、叛乱への恐怖……
独裁政権の特異なパワーバランスや脆弱性を明らかにし、抑圧なき世界を実現するための書。

「思考を喚起する」--エコノミスト紙
「圧倒される」--フィナンシャル・タイムズ紙
「愉しく読める」--デイリー・テレグラフ紙
「完全に引き込まれる」--ブライアン・クラース(『なぜ悪人が上に立つのか』著者)

エコノミスト紙「2024年度ベストブック」に選出、世界20カ国で刊行!

独裁者は側近がつくる。
独裁者になるということは、降りられないランニングマシンの上で走り続けるようなものだ。
彼らはその立場上、「穏やかに辞任する」という出口戦略を持ちえず、常に脅威にさらされているのだ。
政権のパワーゲームという視点で独裁制を読み解く画期的な書。

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Posted by ブクログ

独裁者の権力構造に関して分析された本
タイトルは「独裁者の倒し方」だけれども、この件に関しては最終章のみ
大部分は、独裁者の権力構造や独裁体制の維持に必要な条件などについて語られている
まぁ、それらの前提条件があってこその最終章なので、間違いではないけれども、タイトルを狙いすぎな印象はある

独裁者がその地位に居続けるにはどうやればいいかという視点で語られるため
ある意味で、一時期流行った完全マニュアル本のように「独裁者完全マニュアル」のようである
ただ、独裁者の成り方は一部で、なってしまった後の方が多い


独裁者が失脚するとどうなるのか?

2790人の国家支配者のその後を追った調査では、個人の独裁者に限れば、約69%が権力の座を失った後に、殺されたり逮捕されたり国外逃亡を強いられているらしい
引退も安寧な生活ができた独裁者は、コイントスをするよりも確率の低い、半数以下しかいない


独裁のメリットとして、権力を用いて何でもできるため、私財を増やせる
そのために様々な悪事に手を染めるため、辞めた後にも後継者に守って貰う必要がある
しかし、後継者にとっては前任の独裁者は邪魔な存在のため、いずれ排除されるリスクがある
自身を保護してくれるだけの忠誠心を持つ人物を後継者に指名できる事は稀
民主化の道を選んだとしても断罪される事には変わらない
亡命するにも、民主的な国であれば受け入れられにくいし、独裁の国であっても将来に渡って安全が保証されるものでもない
ただ、相手国にとっては失脚する前の国内の人脈や、復権した際に恩を着せられるというメリットもある


独裁者が必要な有権者は一部の人間
民主主義では多くの民衆に指示される必要がある
独裁の場合、キーマンのみの支持を得られるだけで国内を掌握できる
必要な人員としては、様々な運用を行う役割の官僚や地方の有力者や、諜報機関、軍事など

独裁者はこれらの「最小連合」への分配(金や権力)が途切れた場合に崩壊する

これらの人に権力を与えすぎると自身の立場を危うくするため、権力を与えすぎてはいけない
ただ、不満を溜め込んでも反逆される可能性が高まるため、加減が難しい

優秀な人間を登用すれば反逆のリスクが高まるし
無能なイエスマンだけでは政治が破綻する
優秀な人間を粛清する必要がある場面もあるが、人材は有限なためやはり加減が難しい

また、誰を信用するかという問題もある
側近が恐怖からの保身のため、実態を隠蔽した情報を報告してくる
そのため、常に不確かな情報を元に意思決定をせざるを得ない


軍人の取り扱い
民衆を制圧し、恐怖を与えるために軍人は必要
また、外敵に対するためにも必要
だけれども、軍人に力を与えすぎるとクーデターを起こされるリスクが高まる
なので、常備軍だけでなく、併設軍を設けて相互監視させる大勢が望ましい

クーデターの際に抑えるべきは首都と主要産業とメディア
例え国の極一部であっても、情報を統制し、政権を維持できる資源を抑えればクーデターは成立する


国内外の敵について
国内の反乱に関しては、現地に根付いた組織の方が有利ではあるが
全体を見れば政権側が有利
暗殺しか方法がないこともあるし、外部要因が必要だったりもする

ただ、外国からの介入は難しいケースが多い
先日、ベネズエラのマドゥロ大統領がアメリカによって電撃的に拘束されたが、これはレアケース

また、独裁者を倒した後に後継者がそのまま同じ独裁者になり得る
倒すべきは独裁者ではなく、独裁システム

国外に対する抑止力として核兵器の所持は有効
例え内部の人間がその権限を奪ったとしても、国内に対しては使えないため
らだ、そこに至るまでの道のりが険しい


民衆の反乱のける3.5%ルール
民衆の非暴力的な市民運動に国民の3.5%が参加した時、失敗した革命は一つもないらしい


独裁者を倒すためには、権力を維持している供給源を攻める
資源だったり、外国から供与される武器など
他にも、対立するライバルへの助力
いくつか方法はあるが、やはり難しい



読む前から思ってたけど、独裁者なんてなるもんじゃねぇなぁと思う
ドラえもんのひみつ道具に「どくさいスイッチ」がある
気に入らない人物を消していくとどうなるかという思考実験のようでもある

それにしても、独裁者が安全に引退する方法はないのだろうか?
影武者を用意して引退するとか?
でも、壁武者を立てた事を知る一部の人間はいるわけで、これも安泰な方法ではないかな


あと、アジアやアフリカで、植民地支配からの独立後に独裁政権が成立したケースが多いという視点は面白かった
カリスマ性を持った指導者は革命を成立させるけど
その後には独裁体制が成立しやすいのでしょうね
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「世界の厄介者」はなぜ倒れないのか?
側近たちとの避けられないトレードオフ、非道な行動の背後にある、裏切りや暗殺、叛乱への恐怖……
独裁政権の特異なパワーバランスや脆弱性を明らかにし、抑圧なき世界を実現するための書。

「思考を喚起する」--エコノミスト紙
「圧倒される」--フィナンシャル・タイムズ紙
「愉しく読める」--デイリー・テレグラフ紙
「完全に引き込まれる」--ブライアン・クラース(『なぜ悪人が上に立つのか』著者)

エコノミスト紙「2024年度ベストブック」に選出、世界20カ国で刊行!

独裁者は側近がつくる。
独裁者になるということは、降りられないランニングマシンの上で走り続けるようなものだ。
彼らはその立場上、「穏やかに辞任する」という出口戦略を持ちえず、常に脅威にさらされているのだ。
政権のパワーゲームという視点で独裁制を読み解く画期的な書。


【目次情報】
序――黄金の銃のパラドックス
恐怖におびえながら生きる独裁者
「リビアのゴッドファーザー」の悲惨な最期
独裁者はどのように失脚するのか?
注目すべきは独裁者個人よりも政権の仕組み
取材した人々と本書の構成
……
第1章 降りることのできないランニングマシン
独裁者が権力を求める理由
国内一の金持ち
後継者という敵
民主化という選択肢
亡命という選択肢
……
第2章 内なる敵という脅威
皇后エカチェリーナによるクーデター
独裁者が必要とする3つのグループ
権力を維持するための食料の分配
「独裁者のジレンマ」と人材のプール
お金というアメと弾圧というムチ
……
第3章 軍人たちを弱体化する
ガンビアの独裁者を倒すクーデター計画
作戦当日の夜とその後
クーデターの回数と成功率
クーデターにかかわる3つのグループ
首都をおさえるべき理由
……
第4章 叛逆者、武器、資金
私腹を肥やし過ぎて失脚した独裁者
叛乱を起こすことは困難になっている
叛逆の理由と手段
反政府勢力の資金源となるダイヤモンド
身代金による資金集め
……
第5章 国外の敵、国内の敵
独裁政権は戦場では有利
スターリン政権における粛清の嵐
戦果報告における?の蔓延
秘密作戦による外国の介入
失敗したアメリカのカストロ排除作戦
……
第6章 民衆に銃を向ければ負け
抗議行動の拡散という脅威
抵抗運動の「3.5%ルール」
弾圧が裏目に出るとき
政権を正当化する試み
敵対勢力の「抱き込み」と連帯の阻止
……
第7章 暗殺の他に選択肢がないとき
独裁者殺しは正当化できるか?
暗殺される可能性とそれを防ぐ方法
アフリカの独裁者を守るロシアの準軍事組織
安全のために自らを隔離する
国民から切り離されたプーチン大統領
……
第8章 政権交代の難しさ
独裁者が倒れたときに起こること
独裁体制が崩壊した後のスーダンを見舞った悪夢
繰り返す独裁政治のサイクル
内戦を避けるための権力継承の規則
民主制につながる非暴力的な抗議行動
……
第9章 独裁者の倒し方
外国勢力が独裁政治のサイクルを断ち切る2つの方法
独裁者の力を弱めるためにすべきこと
敵対者を監視し抑圧する技術を与えない
制裁措置の実施や防衛保障の停止
ライバルの人物に力を与える
……
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2026年02月16日

Posted by ブクログ

独裁者、たいへんだな……。体制内エリート、軍、民衆、外国、暗殺者。対処しなければならない敵が多すぎる。しかもだいたい悲惨な最後を迎えるし、死んだあとも混乱が発生する。でもいなくならないってことは金銭的なうまみというよりは、権勢欲なんだろうな。お金だけなら権力者にならなくてもいいし。

身近にも独裁者いるけど、彼もまあお金がどうこうというよりは権勢欲のほうがあきらかに強い。いっさい権限移譲しないし。権勢というか自らの正しさを証明したいというのか。

「独裁者の倒し方」というタイトルだが「こうすれば倒せるよ」という方法は(あたりまえながら)ない。世界は複雑なのだ。倒さないほうがまだマシな場合もあるしな。

0
2026年02月23日

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