【感想・ネタバレ】マシュマロ・テスト 成功する子、しない子のレビュー

あらすじ

「マシュマロをすぐ1個もらう? それともがまんして、あとで2個もらう?」これは、行動科学で最も有名なテストのひとつ、マシュマロ・テストである。このテストの考案者である本書の著者ウォルター・ミシェルは、マシュマロを食べるのをがまんできた子・できなかった子のその後を半世紀にわたって追跡調査し、自制心と「成功」との関連を調べた。人生で成功する子は、初めから決まっているのか? それとも、そうではないのか? 長年の追跡調査でわかってきた、人間の振る舞いの不思議を、マシュマロ・テストの生みの親自身が綴る待望の一冊。

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Posted by ブクログ

子育て教育本の範囲からはみでて、大人になった今からでも試していこうと思える内容。
印象に残ったのは、色眼鏡の話とIf〜thenのホットシステム自制方法。
将来のビジョンを明確にイメージできることは、自分の未来をイメージできる力につながる。つまりは、人生に意味を見出せる希望がある。外的環境も重要とのことで、自制心を助長できる空間を創造できるようまずは自分が俯瞰した存在認識を意識的に行えるようにしなければ。

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2017年03月27日

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4歳か5歳の保育園児がひとりで机の前に座っている。研究者は園児の目の前に大好物のマシュマロを置いて部屋を出ていく。園児はマシュマロを食べたくなったら、いつでもベルを鳴らして研究者を呼び、マシュマロを1個食べて構わない。でも、研究者が部屋に戻ってくるまで我慢して待つことができたら、マシュマロを2個もらえる。こんな状況に置かれた子どもはどのような行動をとるだろう。目の前の報酬を取る事を選ぶか、それを先延ばしにしてより多くの報酬を得ることを選ぶかというのが「マシュマロ・テスト」だ。このテストに参加した園児のその後数十年の追跡調査を行ったところ、驚くことに、園児の時に欲求の先延ばしに成功したか、失敗したか、どれくらいの時間我慢することができたかは、子ども達の将来を予想できるものであった。欲求の先延ばしに成功した子どもは、物事に集中でき、試験の点数も良く、社会的な評価が高かった。大人になってからも肥満指数が低く、自尊心が高く、目標を効果的に追求し、ストレスに上手く対処できた。中年期には欲求の先延ばしに成功した人と失敗した人では、アルコール中毒や肥満と結びつく領域の脳スキャン画像にはっきりとした違いがいが見られた。将来のために今すぐ欲求を満たすのを我慢するというスキルは、より良い人生を歩むために重要なものなのだ。
私たちがどんな人間になるかは、遺伝子の影響と環境の影響が複雑に相互作用して決まる。という事は、意志の力は生まれ持ったものだから変えられないという考えは間違いなのだ。著者は、自制心を発揮する努力の手助けをする方法をいくつか紹介している。「今」の欲求を遠くに押しやって冷却し、「あとで」得られる結果に意識を集中して加熱する、「もし」自制心が揺らぐような事や物に出会ったら「その時は」どうやって対処するのかを決めておく、自分にとって「最も自制が難しいものは何か」を突き止めておくなど、それぞれ具体的な例を挙げて説明してあり、説得力がある。
しかし著者は自制心を高めることだけが素晴らしいと言っているわけではない。欲求の充足を先延ばしにして我慢ばかりの人生は、先延ばしが不足している人生と同様に悲しいものになるだろう。全ての人にとって大切なのは、マシュマロを多くもらうために待つべき時と、今すぐマシュマロ楽しむべき時を見極めることなのだ。
「今これをやっちゃダメだってわかっているけど、ついつい…」という事は誰にでも心当たりがあるだろう。本書で「より良い選択をし、実行する」スキルを身に着ける方法を学び欲求を上手にコントロールすることを覚えれば、後悔の無い人生を送ることができる…かもしれない。

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2016年07月15日

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マシュマロテストで人生の先行きが分かってしまうとは。でも、比較的簡単な指導で忍耐力が付くということなので、救いがある。日本でもこの指導を広めるべき。子育て世代、教育関係者は必見、そうでない人も読む価値大いにあり!

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2015年11月28日

Posted by ブクログ

目の前の欲求を抑えて、合理的な選択を出来るか=マシュマロテスト
本能的に衝動で行動する=ホットなシステムと認知的で複雑、ゆっくり活性する=クールなシステム
のバランスによってマシュマロを判断する
クールなシステムを活性化させることで、合理的な選択ができるようになる

ホットなシステムが強めの子でもクールを育てれば、そのバランスを必要な時に必要な形で働かせることができる
ストレスによってクールなシステムは活動が鈍るケースが多く、脳は可塑性によって長くストレスにさらされるとクールなシステムの働きが失われてしまう例もある
(長期的に合理的な判断が可能かについては、幼少期に身の回りの人を信頼できると感じられたか否かによって、決定する)
(仮にクールなシステムがうまく働かなくても、if thenと条件付けしながら学んでいくことで、ADHDの子供でも、かなり適応できるようになる)
(ホット、クールどちらに重点が置かれるか遺伝的に決まっている部分もあるが、環境と遺伝の要素は複合的に関連しあっているため、二項対立的に捉えるのは難しい)

クールなシステムで衝動や行動をコントロールする=実行機能。ごっこあそびなど論理とは違う形で他者を想像する場面でも発揮される。
自分ならできる!=自己効力感。
自分の知能や周りの世界は鍛えたり発達させたりできる=拡張的知能観。
楽観的な世界観を持つことは、自己効力感や拡張的知能観と密接に関連している。
→成功への楽観的な見通しを育むことで挫折や誘惑に対処する意欲や能力が高まる

時間的、心理的、空間的距離感が大きい場合、抽象的なクールシステムが判断するが、これが近づくとホットな具体的で鮮明な思考になる。
将来を考える時、それをクールに抽象的に考えるだけでなく、具体的に起こりうる筋書きを今まさに展開しているかのように「加熱」することで、より精度の高い判断ができる

心の痛みはアスピリンで一定程度回復する。
拒絶感受性が高い(相手からの拒絶を極端に怖がる傾向がある)人は自己成就的に人間関係に失敗しやすい。
対人関係での拒絶を経験すると、炎症性の化学物質を放出し回復しようとする。進化の過程では短期的に身体的な損傷の治癒につながる利点があった。ただ、これが長期に渡ると病気の源になる。
拒絶感受性が高くても、自制スキルの高い人は相手からの拒絶を「冷却」できるため人間関係の破綻は少ない。

自尊心は過剰な自己評価の結果でもあるが、これが心理的な防衛システムに成っている面も在る。
正確に自己を認識する現実主義者は自尊心が低く、鬱になりやすかったり、心身の健康状態が悪い傾向がある。

人の行動は多くの場合、if,thenのパターンがある。特定の誘因により人格の表出パターンは予想できる。決して多種多様な状況でも人格が首尾一貫しているわけでなく、その人特有の誘因に基づくif,thenパターン表出と捉えたほうが、正確。

実行機能は訓練によって高められる。マインドフルネスはその一つ
セサミストリートでは実行機能を高めるプログラムを取り入れてきた
コントロールした衝動があればそれをif thenに落とし込みそのパターンを自動化していくことが重要。自分がホットになりやすいパターンを記録し、そこに新たなif thenを組み込んだパターンを作れば自己のコントロールは簡単になる。

子供には自制スキルが完全に埋め込まれているわけではない。まずは幼少期のストレスレベルを低くしておくこと。
子供の気をそらせることを親がやってやることで、子供も自分をコントロールし気をそらせることを学ぶ。親はこの導き手になる。

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2019年11月18日

Posted by ブクログ

自制心のききにくいときの対策のヒントにしたくて読んだ。自分の弱い刺激を知ったり、

♧気持ちが明るくなることを考えると、目の前の衝動や誘惑への反応が和らぐ

ストレスが長引くと脳の萎縮を起こし、思考力が落ちる
♧予め、特定の事態が起きたときにとる反応を決めておくと、衝動的な反応を起こしにくくできる(人間が変われることへの可能性)
♧嫌悪条件付け:衝動が発生したときに生じる行動を、自分の嫌いなものに変える
♧嫌な思い出を反芻することは痛みの再発を誘うこともあるが、自分から距離を置くことは有効
♧拒絶感受性(RS)という見捨てられ不安
♧課題をすることで元気になると思えば、意志の疲弊が防げる
♧「今」を冷却し、「あとで」を加熱する
♧ホットスポットを見つけるために日記をつける
♧将来自分は変われる、と思うほど、ひとは変われる

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2019年10月24日

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未就学児(4〜5歳くらい)の子供に今マシュマロを一つもらうか少しの間我慢してあとで2つもらうかというテスト(のちにマシュマロテストと言われる)を1960年代に実験した著者がその後半世紀に渡って追尾調査した結果、子供の頃に我慢出来た(自制した)子供は数十年後どのような人生を歩んでいるか?というとても引きのある有名な実験について。気になる結果がどうなったかというと自制することができた子供たちは、概ね社会的な成功を収めていることが分かった。やはり「自制する」という能力は「成功」に必要不可欠である。では社会的な「成功」は先天的に決まっているのか?それとも後天的に変える事は出来るのか?が気になってくる。しかし著者ははっきりと明言しない。その答えは単純ではない。よくある生まれか?育ちか?によって決まるほど人生は単純ではないからだ。それは長方形の縦と横の辺のようにどちらもお互いがお互いに複雑な影響を与えあっている。要はその複雑な組み合わせである。しかし多くの人がこの答えでは納得しない。はっきりと才能が足りないのか?努力が足りないのか?教えてくれと言う。しかしその単純な二項対立こそが間違っていると指摘する。これが一番大事な視点だ。成功を決定するのが「才能」ならば努力しないが「努力」ならば自分にもできるかも知れないと条件付きでやる人(=自分)本当にその気があるとは言えるのか?その前にまず「あなたはその気がありますか?」という視点こそが大切なのだ。ここのところは本当の意味での理解はすごく難しいし説明も難しいがおそらく正しいと思う。そのほかホットシステムやクールシステム、イフ〜ゼン(もし〜したらその時どうする?)など行動経済学や脳生理学、心理学にも共通するような内容でとても興味深く読んだ。

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2019年04月30日

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再読したい。
自己調整におけるhot/coolの両システムをいかに機能させるか。システムのバックグラウンドとしてagentの信念体系や価値観が大きく影響しそう。

心の病にも鎮痛剤が効くという研究が面白かった。

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2017年01月04日

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【子供の為にできる事5つ】
*どう育って欲しいか手本を子供の人生で重要な人物が手本を自ら示す事。大きな影響を与える。
→ストレス、欲求不満、情動への対処法。自分が成し遂げた事を評価するときの基準。他人の気持ちに対する共感、感受性。態度、目標、価値観。躾の戦略、規律の欠如など全て

*子供との約束を守る事
→欲求充足の先延ばしを厭わないようにする為

*幼いうちから「自分には選択肢があってそれぞれの選択肢には結果が伴うのだ」と学ぶ手助けをする事が大事。
ご褒美を上手く利用すれば適切な選択肢を促せる。

*「良い選択→良い結果、悪い選択→悪い結果」を幼いうちに認識するのを手伝う事。

*楽しいけれど難しく、次第に難易度が上がる課題に一緒に取り組む事。
→子供が必要と感じ、望んでいる手助けをしながらも、子供に自力で取り組ませ、決して課題を引き受けたり代わりにやったりしてはならない。幼いうちに成功体験を積めば、子供は成功や力量に関して楽観的で現実に基づいた見通しを持つようになったり、自分にとって最後には自ずと満足出来るようになる活動を自力で探す心構えを持ったりしやすくなる。

3章
大脳辺縁系➡︎扁桃体
幼い頃に自制を可能にする戦略を学んで練習する方が、長い人生を通じて確立されて根付いたHOTで、自滅的で自動的な反応のパターンを変えるよりも、ずっと優しい。
また、HOTシステムは人生の最初の数年に渡って支配的なので、幼い未就学児が自制心を発揮するのはとりわけ難しい。
前頭前皮質
脳の中で1番進化した領域
coolシステムはゆっくり発達し、就学前の年月と小学校の最初の数年間に徐々に活発になり、完全に成熟するのは20代前半になってから。

5章
「if thenプラン」もし〜したらいいその時は…する。➡︎魅力的でHOTな刺激「もし何かがどうしても欲しくなったら、腹が立ったら、退屈したら、バーに入ったら」➡︎「見ない、仕事をする、飲まないなど」誘惑に抵抗する望ましい反応と結びつける。この実行プランを練習すればHOTシステムに望ましい反応を、引き起こさせるようにできる
時間を経るうちに寝る前に歯を磨くのと同じに新しい連想や望ましい習癖が形成される。
➡︎ADHDの子供に成功例多い。

8章
実行機能ーコントロールの為のスキル
第一に自分が選んだ目的とそれに付随する条件「もし今1つ食べたら、後で2つ貰えない」を記憶し絶えず頭に浮かべておく事。
第二に目的に向かってどれだけ前進しているかを確認し、目的志向の思考と誘惑を和らげるテクニックとの間で注意と認知作用のスイッチを柔軟に入れ替えて、必要な修正を行う事。
第三に目的を達成するのを妨げる様な衝動的な反応(誘惑の元がどれ程魅力的かを考える、手を伸ばして触れようとする)を抑え込む事。

就学前に実行機能を十分発達させた子供はHOTな本能的誘惑が引き起こすストレスや葛藤に対処しやすい。その逆は様々な学習上の問題や、情動的問題に直面する危険が高まる。

自己効力感ーコントロールしているという認識

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2016年11月05日

Posted by ブクログ

 自分をいかにコントロールできるか。「ありのままで」自分の本能に身をゆだねてしまうとどうなるか。今回の本は、マシュマロを使って「自制心」とその後の人生」について書かれた本だ。

 その場で自分のほしいものを手に入れてその場の快楽(この実験では1個のマシュマロ)を手にするか、それとも先延ばしして後に得られるもっといい快楽(ここでは2倍のマシュマロ)を手に入れるか。我慢できた園児たちの人生を追ってみると、「肥満指数が低く、自尊心が強く、目標を効果的に追及し、欲求不満やストレスにうまく対処できた」というように、いい方向の人生を歩んでいる。

 意志の力に関して、生まれ持ったものなので、どうにもならないというのは間違っていると指摘している。むしろ、自制心は、成長過程で磨いていくことが出来るとして
いる。

 成功の原動力は、「できると思う」ことと述べている。身もふたもないと思ったが、何をやってもどうせダメたと常に自分に言い聞かせている人生を送っていると自己暗示になり、下り坂街道まっしぐらの人生になってしまう。

 人間の脳は本能に赴くままの古い脳と新しい脳があり、どうしても古い脳に左右されてしまい、楽な方向に流れてしまう。そうならないように、手帳にやるべきことを書いてこまめに見返して軌道修正するのが良いということを言う人がいるわけだな。

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2016年04月03日

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ネタバレ

マシュマロテストというテストから人間の能力に関して、現時点で分かっていることと、そこから何が生活に適用できるかを示した本です。幼児に席につかせ、何も置かれていない机の上に好きなお菓子を1個与え、また遠くに2個のお菓子を置いておき、検査者が「今から、私は少しいなくなるけど、今すぐにお菓子を食べたいなら、レバーを押してね。そうすれば、すぐに来るから。でももし、私が戻ってくるまで、待っていたら、机の向こうにおいて2個の方を上げるよ。待っててね。」と伝えて席をはずす。そのとき幼児はどおように行動するか?我慢できるのか?を見るのがマシュマロテストで、この検査で成功した幼児は、その後成人になった時に、いい大学に入れ、社会で成功し、ダイエットに成功し、薬物に手を出さず、といった非常に成功した人になるそうで、その予見力が他のいかなる検査よりも高いことが分かっており、そのメカニズムや、その能力が遺伝的に決まっているのか、またはその能力が鍛えられるのかを示した本です。子供の教育だけでなく、成人でも自身を変えたいときに参考になるかもしれません。メッセージの要約は19章にまとまっています。内容は多くの研究に支えられており、信頼できそうです。

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2015年08月12日

Posted by ブクログ

自分が子育てしてして、実感として感じることが、理論的に裏付けられていて、納得感がある。
子どもをどうこうする前に、自分をどうにかする方が先だけど…
少し訳文がこなれてなくて読みにくい部分はあるが、読む価値は高いと思う

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2015年08月06日

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短期的、長期的な思考を持つかどうかで人生の大半が決まるらしいが、思考を変える事ができる点が救いだと思う。この研究を知っている前提で、自分の子供が我慢できない子だった時、育児方法を変える事ができると
思う。我慢しすぎも良くないが、犯罪を犯さず社会に適応できる程度のレベルにするには親も長期的な思考を持つ必要があると思う。
と思う。

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2015年07月25日

Posted by ブクログ

著者は長年子どもの行動から自制能力の発達について研究されていた方で、タイトルはその研究で使われたテスト方法からきています。
子どもの育て方の参考になればと思い読みましたが、自分自身にとって参考になることが多く、特に「今を冷却して将来を加熱する」という自制の方法は使ってみようと思いました。

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2015年07月18日

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小さな子どもの時から、
人は自制する事ができる子と出来ない子がいて、
その結果、人生にどのように影響があるかを書いた本。

考えされられた。

我慢することは、大人でも難しいことである。

それを幼少のころに身につけていれば、成功する確率はあがるだろう。
本書はその事を半世紀の調査で実証したといえる


内容(「BOOK」データベースより)
『マシュマロをすぐ1個もらう?それとも我慢して、あとで2個もらう?』これは、行動科学で最も有名なテストのひとつマシュマロ・テストである。このテストの考案者である本書の著者ウォルター・ミシェルは、マシュマロを食べるのをがまんできた子・できなかった子のその後を半世紀にわたって追跡調査し、自制心と「成功」との関連を調べた。人生で成功する子は、初めから決まっているのか?それとも、そうではないのか?長年の追跡調査でわかってきた、人間の振る舞いの不思議を、マシュマロ・テストの生みの親自身が綴る待望の一冊。

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2015年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「今マシュマロを一つもらうか、しばらく待って二つもらうか」

我々の意思決定には辺縁系を中心としたホットなシステムと前頭前野を中心とした認知的なクールなシステムがある(という二律背反構造をモデル化したものはセイラー以来、多数あるが、やはり代表的なのはカーネマンか)。
未就学児童に対するマシュマロ・テストで、クールなシステムを働かせて待つことができる能力とその後の人生の成功との間には強い相関がある

ただし、この能力は持って生まれたものではあるが、その後のトレーニングによって強めることもできるし、場合によっては(自制心があるはずのクリントンがモニカ・ルインスキーとの事件を起こしたように)ホットなシステムに屈する場面もある。

と、いうことで、マシュマロ・テストの呪縛はあまり強いものではない(教育などによって乗り越えられる)、という内容になっており、メッセージとしては少し弱いが巻末文献などもしっかりしており読み応えはある。

・ホットシステムの介入を減少させるために脱感作の手法を用いる

・40年後にこの時の被験者を集め、go/no-go課題でのfMRIをやったところ、待てる子は前頭葉が活動しており、待てない子ではventral striatumが活動していた

・意志の力というのは有限のものなのか。学生を被験者に、チョコチップクッキーを食べたいのを我慢させた場合、その直後に数学の問題(解けないように設定されている)に取り組むと早く諦めることが分かった。動機付けや環境調整が必要

・前頭皮質により、ホットな反応を冷却することができる

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2015年06月22日

Posted by ブクログ

有名なマシュマロ・テスト。我慢すれば、より大きな報酬を得ることができるとして、我々は我慢をするのか。それは実際には報酬の内容にもよるし、要求される我慢の度合い、報酬取得の信頼度、それらの期待値や自分の欲望や実力を正確に把握できるかによる。

頑張って勉強して大企業に入って、幸せな人生のマシュマロを得られる時代ではなくなっている。それを分からず、目の前のマシュマロを我慢し続ける自制心が重要だなんていうのは、人間の機械化を無責任な運任せで肯定しているに過ぎない。そんな風に思う。今日、美徳や価値観の根本が揺らいでいる。

意志薄弱の事を古代ギリシアの哲学者は「アクラシア」と呼んだ。価値観が揺らぎ変容しても、意志薄弱者には軌道修正ができない。マシュマロは我慢しなくて良いが、自らをコントロールする力は必要だ。更に、マシュマロを用いた心理テストを見抜く洞察力とそれに抗ってみようとする自我が重要である。尚、ここで一つ目のマシュマロを食べず、報酬の二つ目を得た時点で二つとも踏み潰すような反逆的行為、あるいはその発想を厨二病またはアートと呼び、その過激さに心打たれる現象をファッションと呼ぶ。重要なのは、意志を強く持ち、盲目的に手懐けられた機械にはならず、抗って自己特別視したりそれに魅了される事なく、自然体でやり過ごす事。そうでなければ、他人の意図に絡め取られる。絡め取られたって別に良いのだが、それならば、自分の時間は他人の自由という事だ。本著には全くこんな論説はないが、マシュマロテストは奥深い。気丈にどんなマシュマロにも魅力を感じず、与えられるものに期待を寄せず、身も任せず。

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2022年12月27日

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ネタバレ

・自己効力感とは、自分の行動を決定するにあたり、能動的な行為者になれるという信念。
・楽観主義者は、楽観の度合いが小さい人と比べると、自分の健康と将来の幸せを守るために多くの手を打ち、全般に健康で鬱になりにくい。
・幼い頃マシュマロを2個モラウタメニ待てる秒数の長い人ほど、大学進学適正試験の点数がよく、欲求不満やストレスにうまく対処できる。
・ホットシステム→キリギリス、クールシステム→アリ

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2022年08月30日

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有名なマシュマロテストを詳細に解説してくれ、またその後の追跡調査から、派生テストまで、マシュマロテストで気づきがあった事柄を網羅してくれている。

我慢できるかどうかは才能というよりも育った環境が大きく、その能力は脳の可塑性によりあとからでもつけることができるとのこと。

子供達が我慢する様子をホットシステムとクールシステムで解説してくれているところは興味深かった。

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2018年11月12日

Posted by ブクログ

あとで読み返す
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研究に基づいてて、良かったけど、求めてたのとは違った。
マシュマロテストが、将来の能力を見極められるのは分かったけど、知りたかったのは、マシュマロテストでたくさん待てるような子供にするにはどういう風に育てるのがいいかってこと。
その記載は、ちょっとはあったけど、そんなになくて残念だった。

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2017年01月18日

Posted by ブクログ

有名なマシュマロをいまひとつとるか、後で2つ取るかの選択で我慢できた未就学児の将来(年収、学歴)はできなかった子よりはるかに良いというその後引用され続けるテストを行った研究者による書。
有名なこのくだりを超えて、どのように衝動を先延ばしにするか、ホットシステムとクールシステムに分けて解説するところは、カーネマンのファストアンドスローと同様。ホットシステムの処理をうまくコントロールしてクールシステムに渡せる技術を学ぶことが将来を変えることだとしている。

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2015年08月07日

Posted by ブクログ

就学前に先延ばしにする、つまり自制能力が高かった子供は、よりよい人生を送れる。自制の仕組みを知ることで、自制能力を伸ばせる。

マシュマロテストは有名ですが、深く知ると、そんなに単純なものでもないとわかる。

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2016年05月07日

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