あらすじ
「マシュマロをすぐ1個もらう? それともがまんして、あとで2個もらう?」これは、行動科学で最も有名なテストのひとつ、マシュマロ・テストである。このテストの考案者である本書の著者ウォルター・ミシェルは、マシュマロを食べるのをがまんできた子・できなかった子のその後を半世紀にわたって追跡調査し、自制心と「成功」との関連を調べた。人生で成功する子は、初めから決まっているのか? それとも、そうではないのか? 長年の追跡調査でわかってきた、人間の振る舞いの不思議を、マシュマロ・テストの生みの親自身が綴る待望の一冊。
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Posted by ブクログ
マシュマロテストというテストから人間の能力に関して、現時点で分かっていることと、そこから何が生活に適用できるかを示した本です。幼児に席につかせ、何も置かれていない机の上に好きなお菓子を1個与え、また遠くに2個のお菓子を置いておき、検査者が「今から、私は少しいなくなるけど、今すぐにお菓子を食べたいなら、レバーを押してね。そうすれば、すぐに来るから。でももし、私が戻ってくるまで、待っていたら、机の向こうにおいて2個の方を上げるよ。待っててね。」と伝えて席をはずす。そのとき幼児はどおように行動するか?我慢できるのか?を見るのがマシュマロテストで、この検査で成功した幼児は、その後成人になった時に、いい大学に入れ、社会で成功し、ダイエットに成功し、薬物に手を出さず、といった非常に成功した人になるそうで、その予見力が他のいかなる検査よりも高いことが分かっており、そのメカニズムや、その能力が遺伝的に決まっているのか、またはその能力が鍛えられるのかを示した本です。子供の教育だけでなく、成人でも自身を変えたいときに参考になるかもしれません。メッセージの要約は19章にまとまっています。内容は多くの研究に支えられており、信頼できそうです。
Posted by ブクログ
「今マシュマロを一つもらうか、しばらく待って二つもらうか」
我々の意思決定には辺縁系を中心としたホットなシステムと前頭前野を中心とした認知的なクールなシステムがある(という二律背反構造をモデル化したものはセイラー以来、多数あるが、やはり代表的なのはカーネマンか)。
未就学児童に対するマシュマロ・テストで、クールなシステムを働かせて待つことができる能力とその後の人生の成功との間には強い相関がある
ただし、この能力は持って生まれたものではあるが、その後のトレーニングによって強めることもできるし、場合によっては(自制心があるはずのクリントンがモニカ・ルインスキーとの事件を起こしたように)ホットなシステムに屈する場面もある。
と、いうことで、マシュマロ・テストの呪縛はあまり強いものではない(教育などによって乗り越えられる)、という内容になっており、メッセージとしては少し弱いが巻末文献などもしっかりしており読み応えはある。
・ホットシステムの介入を減少させるために脱感作の手法を用いる
・40年後にこの時の被験者を集め、go/no-go課題でのfMRIをやったところ、待てる子は前頭葉が活動しており、待てない子ではventral striatumが活動していた
・意志の力というのは有限のものなのか。学生を被験者に、チョコチップクッキーを食べたいのを我慢させた場合、その直後に数学の問題(解けないように設定されている)に取り組むと早く諦めることが分かった。動機付けや環境調整が必要
・前頭皮質により、ホットな反応を冷却することができる