あらすじ
私たちは「背の高い自信過剰な男性」をトップに据えがち?
政治家が堕落し、職場にサイコパスがはびこる理由を、進化論や人類学、心理学によって読み解き、権力を腐敗させない方策を示す。
誰が権力を握るのか、権力は人をどのように変えてしまうのか?
「権力が現代世界をどのように形作ってきたのかを示す」
――ピーター・フランコパン(『シルクロード全史』著者)
「ある種の人々やシステムがなぜ腐敗しやすいのかを明らかにする」
――アダム・グラント(『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』著者)
「厳密な科学をわかりやすく説明し、衝撃的な物語を語っている」
――ロバート・M・サポルスキー(『善と悪の生物学』著者)
悪人は権力を求めるのか?
出世は人を変えてしまうのか?
どうしてひどい人間をリーダーに選んでしまうのか?
気鋭の国際政治学者が明らかにする、権力が腐敗する理由とその対策。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
【感想】
トランプやプーチンのような人間がリーダーになってしまう理由を進化論や人類学、心理学などを使って検証し、エピソードも豊富で面白く読める。納得感はあるが、そもそも権力者が「ダークトライアド(マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシー)なので対策を実行するのは難しい(著者も十分認識していると思うが)。
【目次】
第1章 序--権力はなぜ腐敗するのか?
第2章 権力の進化史
第3章 権力に引き寄せられる人たち
第4章 権力を与えられがちな人たち
第5章 なぜサイコパスが権力を握るのか?
第6章 悪いのは制度か、それとも人か?
第7章 権力が腐敗するように見える理由
第8章 権力は現に腐敗す、
第9章 権力や地位は健康や寿命に影響を与える
第10章 腐敗しない人を権力者にする
第11章 権力に伴う責任の重みを自覚させる
第12章 権力者に監視の目を意識させる
第13章 模範的な指導者を権力の座に就けるために
【内容】
権力に関する4つの仮説
1.権力を握ると人は悪質になる(権力は腐敗する)
2.権力は腐敗しやすい人を引き付ける
3.不適当な理由から不適切なリーダーに権力を与える
4.制度の問題であり適切な状況を生み出せば権力は腐敗しない
→すべて
腐敗しやすい人が権力を追い求め、権力を手に入れるのが得意で、善人のうちには権力をふるうことで腐敗する人もいる
→
腐敗しない人を権力者にする
1.腐敗しない人を積極的に勧誘し、腐敗しやすい人を篩い落とす
2.籤引き制と影の統治を利用して監督する
3.人事異動をして権力の濫用を減らす
4.結果だけでなく、意思決定のプロセスも監査する
権力に伴う責任の重みを自覚させる
5.責任を頻繁にしっかりと思い出させる仕組みを作る
6.権力を握っている人に、人々を抽象的なもののように考えさせない
権力者に監視の目を意識させる
7.人は監視されると善良になる
8.支配される側ではなく支配する側に焦点を合わせて監視する
9.ランダム性を利用して抑止力を最大化しつつ、プライバシーの侵害を最小化する
模範的な指導者を権力の座に就けるために
10.高潔な救済者の出現を待つのをやめる。代わりに、彼らを生み出す
Posted by ブクログ
平等だった人類
幼児は不正を嫌う?
戦争あるいは農業により階級社会が生まれた?
昔ながらのやり方「経路依存性」 QWERTYのアプローチ を打破する
1.腐敗しやすい人は権力に引き付けられる 多くの応募者から探し腐敗した人を除く
2.ランダムに権力を獲得すると謙虚に 競争で獲得すると傲慢に
3.人事異動 ピーターの法則 人は自分が無能であるレべルまで昇進する→停滞→腐敗
4.失敗も成功も プロセスを検証する 人は成果を良く見せようとする
5.権力を持つ人に責任を思い出させる
6.親身になるべき イノベーションが心理的距離を拡大 →距離を縮める
7.監視(神判)による善良
8.支配する側に焦点を合わせて監視 権力を持っている人を監視
9.権限を持っている人だけをランダム性で抑止
10.救済者の出現を待つのではなく、生み出す
Posted by ブクログ
解決策もいろいろ提示されているけれど、
まずサイコパスの方々にどう対処するか、それを真剣に組み込んだ人事制度だったり、選任制度がいるに違いない。いくつかのレッスン・対策は、サイコパスには効きそうもなかったりするので。
でも、大きな権力が集中する政治家トップや起業家・企業のトップなど、人事制度には無縁の人たちこそ難しい。
だから任期があったり、市場で淘汰されたりするのが大事だともいえるけど、
それが機能しているとは言えない。
誰が鳴りたいと思うか、そのポストにつきたいと思うか、という点でも、
すでになっている人から影響を受けるだろうから、
なかなか変わらないという状況もあるのかもしれない。
とにかく重要なのは、腐敗を防ぐということであり、人間個々人、そして制度に対して、
真剣に取り組むことで改善できることがありそうということが分かった。
まあ一平社員、一般民に何ができるかと言われたら…
Posted by ブクログ
悪人が上に立つあるいは上に立ったら悪人になったということに関して、その傾向と事実は良く分かったが、そのなぜ?の部分があまり入って来なかった。なので、本書にも述べられているようだが、その対応策に現実味がなくパッとせず、結局、悪人が上に立つというのは、そんなもんなんだと、いつも漠然と感じるところに帰結してしまう。