あらすじ
私たちは「背の高い自信過剰な男性」をトップに据えがち?
政治家が堕落し、職場にサイコパスがはびこる理由を、進化論や人類学、心理学によって読み解き、権力を腐敗させない方策を示す。
誰が権力を握るのか、権力は人をどのように変えてしまうのか?
「権力が現代世界をどのように形作ってきたのかを示す」
――ピーター・フランコパン(『シルクロード全史』著者)
「ある種の人々やシステムがなぜ腐敗しやすいのかを明らかにする」
――アダム・グラント(『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』著者)
「厳密な科学をわかりやすく説明し、衝撃的な物語を語っている」
――ロバート・M・サポルスキー(『善と悪の生物学』著者)
悪人は権力を求めるのか?
出世は人を変えてしまうのか?
どうしてひどい人間をリーダーに選んでしまうのか?
気鋭の国際政治学者が明らかにする、権力が腐敗する理由とその対策。
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Posted by ブクログ
おもしろかった!
でも読むのに2ヶ月くらいかかった!!
おもしろいのに!!
でもおもしろいから途中で読むのやめたくなくて根気強く読んだ。
メモ
心理的距離の4つの尺度
①社会的距離(人が、自分の行動によって影響を受けることになる相手にどれだけ自分を重ね合わせるか)(面識のない相手をクビにするより、娘の一番の友達の父親をクビにする方が難しい)
➁時間的距離(決定を下す瞬間から、その決定の結果がもたらされるまで、とれだけ時間差があるか?)
③空間的距離(物理的に遠く離れた所にいる人のほうが、自分と同じ部屋にいる人よりも気安く害することができる)
④経験的距離(ただ頭で考えるだけで済むときのほうが、腹の底から感じたり、経験したり、目の当たりにしたりしなければならないときよりも、気安く他者を害したり、虐待したりできる)
頭の中で相手を、遠慮なく処分できる人間未満の抽象的な存在に変えてしまえばいい。(ここでは害虫などを挙げていた)
そしたら殺すのに罪悪感や躊躇を感じにくくなるみたい。
怖すぎ。怖い話だった。
あと私たちは少々ビーバーに似すぎていた。(声がでかくて自信満々なやつにみんなついていくから)
Posted by ブクログ
「なぜあんなヤツが偉くなるのか」
組織に属する多くの人が一度は抱くこの素朴な疑問にブライアン・クラークスは実証的な検証をしている。権力と腐敗の関係を心理学、進化生物学、人類学といった多角的な視点から分析した労作。ありとあらゆる分析はさすがと言えるし、あまりに書きすぎて冗長に思われることもあるだろう。
2007年に読んだ 山極 寿一 の書いた 『暴力はどこからきたか 人間性の起源を探る 』でも 面白い事が書かれてあった。あれは人間もサルだよね、じゃあサルの世界で暴力の起源をみてみようというような書かれ方でチンパンジーとボノボを相対的に取り扱った事で見えてくるものがあった。
さて、
本書の導入部で語られるバタヴィア号の悲劇は象徴的だ。1628年に遭難した貿易船の生存者たちの中で、サイコパス的傾向を持つ元薬剤師が権力を掌握し、島は地獄と化した。乗客乗員340名のリーダーに選ばれた男イエロニムスが「王国」の独裁者となり、暴虐や強姦の限りを尽くした末に150名を惨殺したこの事例が示唆するのは、権力が「人を腐敗させる」だけでなく、「腐敗しやすい人を引き寄せる」という不都合な真実である。
著者は権力腐敗について四つの仮説を提示する。第一に、権力が人を腐敗させる可能性。第二に、腐敗傾向のある人物が権力に引き寄せられる傾向。第三に、私たちが不適切な理由で不適切なリーダーを選んでしまうこと。第四に、腐敗は個人の資質よりも制度設計の問題であること。
特に注目すべきは、ダークトライアド――マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシー――という人格特性を持つ人々が、権力に強く惹かれるという指摘である。現実の政治や企業社会を見渡せば、思い当たる節は多い。
最近の日経がやっているサクセッション人材の素養分析でNPA(Nikkei Potential Assessment)でもダークパワーという項目でサイコパシー傾向などを活躍行動に結びつけて「是」として評価している。もっともサイコパシーをもってしくじっている連中は刑務所に入っている、成功者は大概企業の上役にいるというブライアン・クラークスの書き方にも通じるものだ。
昨今は刑務所に入るべきサイコパスも権力をネットなどで使って現状を維持させるという事もあるのは一歩堕落した社会になってしまっているのかもしれない。
進化心理学的な分析も興味深い。「背が高く自信過剰な男性」が権力者に選ばれやすいのは、石器時代から続く「強さ=リーダーシップ」という認知バイアスに起因する。この原始的な判断基準が、現代の履歴書評価や選挙結果にまで影響を及ぼしているという指摘は、私たちの無意識の偏見を突きつける。
ミーアキャットでさえ「自信ありげ」な個体の声に従うという観察は、この傾向が生物学的に深く刻まれていることを示唆しているが、とはいえ
石器時代からのバイアスでしかないのは理解しておいた方が良いだろう。
結局、男性で声が大きく、背が高く、自信過剰でサイコパシー傾向があるのが上に行きやすいのだ。
もちろん今でもありますが、かって自信満々に話す詐欺師が有能な詐欺師でした。
今はそれが政治の世界にも入ってきています。デタラメでも自信満々に言うというのが詐欺の特徴で選挙によく登場してきました。
腐敗を防ぐための具体的な制度改革案にある。ランダムな監視、透明性の確保、定期的な人事異動、さらには籤引きによる選抜といった提案は、単なる理想論ではなく実証研究に基づいている。特に「監視の目は上層部へこそ向けるべし」という指摘は重要だ。一般社員ではなく権力者こそが監視されていると感じる仕組みが必要なのである。
それにしても人事異動である。配属ガチャとかメンバーシップ型と言っていられないなんだか人類の知恵のような気もした。
脳科学分野で達成感による気持ちよさと言うのももしかして関係してくるのかもしれない。それはトップになる悪人自身あるいは悪人を崇め奉る信者にもあるかもしれない。
映画
『ネタニヤフ調書』にもあるが悪人が悪人になっていくのだ。
権力は必ず腐敗するわけではないがシステムに瑕疵があれば腐敗しやすいという事を科学的に解明し、それを防ぐための制度設計を提案までしている。
Posted by ブクログ
解決策もいろいろ提示されているけれど、
まずサイコパスの方々にどう対処するか、それを真剣に組み込んだ人事制度だったり、選任制度がいるに違いない。いくつかのレッスン・対策は、サイコパスには効きそうもなかったりするので。
でも、大きな権力が集中する政治家トップや起業家・企業のトップなど、人事制度には無縁の人たちこそ難しい。
だから任期があったり、市場で淘汰されたりするのが大事だともいえるけど、
それが機能しているとは言えない。
誰が鳴りたいと思うか、そのポストにつきたいと思うか、という点でも、
すでになっている人から影響を受けるだろうから、
なかなか変わらないという状況もあるのかもしれない。
とにかく重要なのは、腐敗を防ぐということであり、人間個々人、そして制度に対して、
真剣に取り組むことで改善できることがありそうということが分かった。
まあ一平社員、一般民に何ができるかと言われたら…