柴田裕之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
利己的な行動を取る人間が多くいる市場は、いずれ廃れてしまう。
一方、お互いを信頼し、向社会的行動を多く取る市場は繁栄する。なぜか?
ここで筆者は「善循環」という概念を提示して、この繁栄のメカニズムを説明している。
善循環とは、共感→道徳的行動→信頼→オキシトシンの分泌→共感とサイクルしていくメカニズムである。
人は他人に信頼されてると感じると、オキシトシンの分泌量が増える。
オキシトシンの分泌量が多いほど、より他人に共感するようになる。
より他人に共感するようになると、道徳的行動をとるようになる
道徳的行動をとることで、相手は自分を信頼する。
また、オキシトシンが分泌されることで、ストレ -
Posted by ブクログ
生物に起こる進化は特殊進化理論であり、世界には一般進化理論とも呼ぶべき進化の法則がある。すべてのものごとは進化している。そして進化は計画されたもの(=創造説)ではなく、小さな変化の積み重ねによって達成される。上からの計画はたいてい失敗するよ。…というのがあらましです。
進化≒ボトムアップと創造≒トップダウンの対立が本書のテーマです。そしてだいたいの章では成功したボトムアップが失敗するトップダウンにとって代わられてしまって嘆かわしい。という結論になります。
ここで疑問なのはトップダウン式の機構が作り上げられるのも進化の結果なんじゃないの?というものです。他のボトムアップものとトップダウンのものが -
Posted by ブクログ
・人類の経済活動が世界規模の気候変動を引き起こしている,その気候変動は新たなビジネスチャンスにもなれば,今ある生活を追いやられる人
もいる.
・資本のある,また,温暖化の恩恵を受ける北側の国が気候変動をチャンスと捉えたビジネスを展開しやすい.
・しかし世界全体で共有地の悲劇起きている
・個々人や国の利己的で合理的な判断が必ずしも肯定されるべきとは言わないが「先進国は早急に気候変動に対する対策をとるべきだ」と安直で実現性がない綺麗事で締めないところは効果が持てる.
・気候変動に対する危機感が行動に結びつかないのは,他者を犠牲にすることが遠回りなプロセスになると途端に鈍感になる(鈍感なふりを -
-
Posted by ブクログ
ネタバレIoTと3Dプリンターと再生可能エネルギーがシェアエコノミーしいては第3次産業革命を起こすということを書いた本(第4次産業革命とも言われているが、正確には第3次らしい)。内容もよく練れておりそれなりに納得感もあるが、最終的に限界費用が限りなくゼロに近くなる社会が訪れるということが俄かには信じがたい。マイケルサンデル張りのpublic societyが最終的な社会形態ということだが、人間は本当に自らの欲望(利己心)を克服して利他的に行動するようになるのだろうか?結局のところ、自分が最も得をするようい行動するという人間の本来の性向を考えると、なかなか実現しにくい社会だと思う。生産性が低すぎて協力し
-
Posted by ブクログ
取材対象人物の多さに閉口した点はありますが、カナダ・オランダ・イスラエル・アメリカ(ロサンゼルス・ニューヨーク・マイアミ)・オーストラリア・セネガル・スーダン・マルタ・バングラデシュ・アイスランドと他国に取材し、日本ではほとんど取り上げられていない「気候変動ビジネス」に焦点を絞ったルポルタージュです。NHKスペシャルみたいな本です。
登場してくる会社をグリードと揶揄するよりも、そこに日本がほとんど登場しなかったことが国力の差を見るようで気になりました(唯一、登場したのがセネガルで緑化活動をしている崇教真光)。先進国から見れば、地球温暖化という現象がもたらすビジネスチャンスが、ほんと多様な領域 -
Posted by ブクログ
2012年頃に書かれた本。
「インターネット広告は、従来の広告より単価が安く、ユーザーはレビューを重視して広告は信用しないので生き残れないだろう」という当時の筆者の予想は今読むと外れています。
この本は、ネクストソサエティのような予言の本ではないけれど、一つ一つの事実を知るにはまとまっていました。
・1995年から2002年にかけて、全体の生産量は3割以上増えたが、製造業の雇用は2200万人分も消失した。
・GDPの上昇と雇用は相関しなくなっている
・トレーラートラックのグローバルな輸送の積載率は1割にも満たない。輸送は効率化の余地が大きい。
・ロジスティクスは分散型インターネットのアーキ -
Posted by ブクログ
地球温暖化や気侯変動によって、思わぬ利益がいろいろな形で生まれている世界各地の状況を、6年の歳月をかけてまとめたもの。氷が解けたことにより可能となった、北極海の新航路や、地下資源の採掘。護岸壁や防潮堤、浮遊式建造物。淡水化プラント、人工降雪機。水利権取引、難民の流入防止、火災やハリケーンの保険など、「不都合な現実」によって生ずるビジネスチャンスの数々が延々と描かれている。原文のせいか訳のせいか、いろいろ調べて書いてはいるのだろうが、とにかく言わんとしていることが伝わりにくい。しかもかなりの長編なので、読むのが正直きつかった。ちなみに私は全部読むのに休み休みではあるが1年もかかってしまった。
-
Posted by ブクログ
「限界費用」つまり、プラス1単位の生産コストがゼロになったとき、人々は「所有」の概念から解き放たれることになる。そこに出現するのはユートピアか、ディストピアか。
再生可能エネルギーで皆が自活するようになり、3Dプリンターでなんでも手元で作り出せるようになり、すべてがネットワークでつながることで、所有からアクセスへの大転換が起こるとする。それは、資本主義社会の終焉でもある。ロボットが労働を駆逐し、生活に必要なものがなんでもピア・トゥ・ピアで融通されると、労働者は資本家から報酬を得る代わりに、協同的に働き、協同的に消費するようになると説く。
現在、起こりつつある技術の変化を革命的に読み替えるとこう -