柴田裕之のレビュー一覧
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ボリューミィな歴史学。
本書では為政者、特に近年の大国の為政者を痛烈に批判する。
それだけではなく、たとえばコロナパンデミックを少数の邪悪な大統領と首相の愚策によるもののような報道をした機関のことも。
まさにコロナパンデミックの渦中にいる私たちは、本書をよく読み込むことが必要だろう。
また、各地で起こるホットウォー(武力を用いて互いに血が流れる「戦争」のこと)についても関心を高める必要があるだろう。
本書中で心に残るのは、ユドコウスキーの言葉を引用したもの。
503頁に記載されるそれは、世界を破壊するのに必要な最低限のIQは、1年半ごとに1パーセントポイント下がる、というムーアの法則の修正版に -
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副題がしめすように、経済成長と不平等の起源に関する壮大な人類史。
本の前半では、まず経済成長の起源について説明がなされる。大まかには、産業革命や技術発展が原因なわけだけど、著者は産業革命で全く違う原理で世界が動き始めたとはみていなくて、産業革命以前からの変化が積み重なって一種の相転移のようなものがおきたとする。そのドライバーとして人口の役割を重視している。産業革命の前と後の連続性を指摘するところはなるほどな議論ではあるが、それほどの驚きはない。
後半では、格差の起源ということになるが、ここで扱われるのは、ある社会のなかでの階層的な格差ではなく、国ごとの経済格差。なぜならば、そちらのほうが大 -
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・前半は少し冗長な印象だが、これは自分の歴史的な基礎知識が不足しているからかも知れない。その証拠に、1970年代以降に入って、自分にとって馴染みのある名前が出てくるようになると興味深く読み進められるようになった(苦笑)。
・人類史における惨事というのは戦争と疫病。それ自体は新しい知見ではないが、本書の特徴はどこにあるんだろうか?
・惨事の原因は、たとえそれが天災であってもこれだけネットワーク構造が発達した社会にあっては必ず人災の側面を持つと主張しつつ、だからと言って、トップ(大統領とか首相とか)にすべての責任を負わせるのは正しくないといい、安直な犯人探しに偏る報道の仕方に警鐘を鳴らす。「惨 -
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7月に3年ぶりに帰省した際に、94歳の祖母の認知症が進んでいた事と、年に1〜2回帰省できたとしてもあと数回しか会えないのだなと考えた。
ずっといると思っていた人にも死が近づいてくる、というのを実感した時に死ぬ事とはなんだろうかと考えた。
そんな中、そのまんまのタイトルのこちらの本を見つけたので読んでみた。
こういった哲学的な内容の本を読んだ事が今までほぼ無かったので新鮮だった。
普段何気なく過ぎていく事も深く考えればここまで広がるのか、と終始感心した。
死ぬ事は悪い事なのか、これについての考えは本当に人それぞれだと思う。
お互いの合意があれば殺してもいいのか、死んでしまってもいいのか -
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ネタバレ時間優先>お金を決定の1回1回考える。タイムプアであることで自分をうちのめさない。時間がない時は、これ以上予定を入れてコントロール感を得ようとしてはいけない。この活動にときめくか。運動や知らない人と出会ったり他人を助ける時間を増やす。畏敬の念を感じる時間を増やす。誰かにやってもらいお金を払う。日常の雑事を減らす、外注の管理もそれなりに時間を食うので注意。するのが楽しくない活動のいやな部分を変えるために投資する。時間の贈り物は人によって必要なものが違う。お買い得品もほどほどに。買い物の比較を減らす、時間の上限設ける。時間の追跡をする。時間のかかる望ましくない行動の提供する価値を意識する。
なぜこ -
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p75 〜私たちがどれほど努力したとしても、人類のかなりの割合が雇用市場から排除されるのなら、ポスト・ワーク社会やポスト・ワーク経済やポスト・ワーク政治のための新しいモデルを探求せざるをえないだろう。
p78 「仕事」と見なされる人間の活動の幅を拡げる〜。私たちは発想を変え、子供の養育はこの世でおそらく最も重要で大変な仕事であることに気づく必要があるのかもしれない。〜これらの仕事を誰が評価し、お金を払うか〜。けっきょくそれは最低所得保障と大差はなくなる。
p85 人間の幸せは客観的な境遇よりも期待にかかっている。ところが、期待は境遇に適応しがちで〜。
最低所得保障が本当に目標を達成するためには -
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2講までしか読んでいませんが。何で自分は死にたくないのか。何で死を恐れるのか。不死身なら良いのか。じゃあ死ってどんな状態なのか。意外と考えたことのない事ばかりで良い発見にはなる。結局、健康な身体と自分と言う人格のある事が前提で「生きたい」と言う気持ちが湧いているのかなと思う。年老いて身体機能がどんどん衰えるにつれて、自分という人格はあっても肉体的な部分で限界を感じた時、今と同じく生きたいという感情が湧くのかは分からない。若い内は死ぬ事が今よりもっと怖かったと言う話はよくあるが、それはこのまま生き続けている事の魅力をそこまで感じなくなった先にある世界なのかもしれない。とすると、死が怖いのはまだま
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ネタバレ非常に今時な論調だなーと興味深く読み進めました。アメリカ社会を念頭に組み立てられていますが、主観的というか自国だからか日本の社会にこそこのタイムスマートな思想を喧伝していくべきだなと単純に感じた次第。
うすうすはそうだろうなーと勘づいていたことを言語してくれたワードとして一番ずばっときたのは、「時間に投資する」というもの。家事代行とかライドシェアなんかが具体的に該当しますが、時間を創出するために費用を支払うなんてなんだかもったいない感覚が根深いですが、そこからもたらさせる機会費用を思うと、寧ろメリットのほうがでかいのだろう。個人的に、家事の負担ってでかい(奥さんに頼ってばかりですが)ので、そ