司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 項羽と劉邦(上)

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    ――智は大切なものだ。
    項羽は、范増をからかうようにいったことがある。
    ――ただし智というのは事後処理に役立つだけで、勝敗そのものに役立つわけではない。と頭から信じているようであった。
    項羽のこの気力に対する信仰は、彼を教えた項梁からひきついだものでないことは、項梁がむしろ智者の煩わしさを持っていたことでも察せられる。項羽はどうしようもなく項羽そのものであった。項羽の武人としてのすべては天性というほかない。しかもかれのおもしろさは自分の天性に対し、他とくらべてのひるみもうしろめたさも持たず、むしろ楚人一般が鬼神を信ずること甚だしいように、かれ自身、ごく自然に自分の天性の中に鬼神を見ているという

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    2020年11月04日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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     密教とは何ぞや、現世を否定する釈迦の仏教に対して「現世という実在もその諸現象も宇宙の真理のあらわれである」いうことを密教の創始者は考えた。そして宇宙の真理と交信するために魔術、呪文、マジナイのたぐいを利用した(P104~参照)現世のご利益にあずかる趣旨の神社(土俗)風なものとわたしは思える。この密教が当時の政権に大いに受け入れられる。

     南北朝時代の真言立川流って何、詳しく知りたいかたはググってね(笑 そして何よりもあの有名な、空海が弥勒菩薩とともに下生するといわれた56億7千万年という数字が銀河の一回転(ニネヴェ定数)とかかわりがあるらしい、なにかと謎の多い空海であった。

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    2015年06月21日
  • 以下、無用のことながら

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    〝好きやねん〟という言葉が流行っていたころ、見聞きするたびにぞっとしました。ふつう、大のオトナが、女子中学生のような言葉をつかうでしょうか。〝きらいやねん〟というのも、おなじことで、好き・きらいという感覚語をできるだけ抑えて表現するのが、一人前の人間だと思うのです(むろん、人間には好き嫌いがあって、それを抑制するほうがいいということではありません。コトバの問題としてのみ考えてのことです)。

    もしも科学者の全部が、この両極端のどちらかを固執していたとするならば、今日の科学はあり得なかったであろう。デモクリトスの昔はおろか、十九世紀になっても、原子の存在の直接的証明はなかった。それにもかかわらず

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    2015年06月05日
  • この国のかたち(四)

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    この巻の目玉はなんといっても「統帥権」に関するもの。大正から昭和初期の約30年間、日本は全く別の国になってしまい、近隣諸国に迷惑をかけたばかりか、自国民にも未曾有の災厄をもたらした。なぜそうなってしまったのかの原因の核となるものが軍部の統帥権であるという解説。なぜ日本人があの様な戦争を起こしてしまったのかを考える上で、重要な示唆だと思う。

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    2015年05月09日
  • 風神の門(下)

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    下巻では、いよいよ才蔵と佐助の忍術の出番が多くなります。
    しかしながら、才蔵と佐助の「忍者」というキャラクターの特性に頼るだけではなく、人間模様や、才蔵の伊賀忍者としての硬派さ、佐助の棟梁としての胆力……そのような面でも面白さが溢れています。
    久々に再読してみても、楽しく読める司馬作品でした。

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    2015年04月30日
  • 世に棲む日日(三)

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    淡々と、晋作が長州で暴れ始めるところで終わる。
    何か、どうして長州が暴発したのか、佐幕派、改革派がころころと変わっていった過程が、ほかの書ではあまり見えてこないから、今回の本でだいぶ理解できた。 先の読んだ、花神でもいまいち良くわからなかったが、今既に4巻目。
    最後はどうなる?

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    2015年04月11日
  • 花妖譚

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     司馬遼太郎が小説を発表した1950年(昭和25年)、作者名は福田定一だった。本書は司馬遼太郎への移行する前の記念すべき作品である。

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    2015年04月11日
  • 花神(中)

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    大河ドラマになっていたというのは全く知らなかった。

    "表舞台"に登場しない村田蔵六。

    上中下の三巻に渡る物語の内の中巻。
    多少冗長に感じるところもある。

    司馬氏は地の分に普通に自分の考えを入れたり、
    わからないことはわからないと書いたり、憶測を入れたりする。
    それがまた、筆者の文章の独特の魅力にもなっているのだろうと思う。

    武士ではない人間たちが動かした瓦解(明治維新)。
    この時期の長州人の議論は過激なほど支持され、
    過激であるほど内容が空疎であるというのは非常に納得。
    関ヶ原からの因縁を持ち続け、海外への視点が広く、
    徳川を敬う気持ちがないところが長州の特徴だと思

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    2015年04月07日
  • 花神(下)

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    大村益次郎という人について不勉強なので、あまり知らない。
    ただやはり、司馬先生は長州というか、薩長土肥贔屓だなと感じる。
    東軍贔屓の自分は読んでいて色々と複雑になるところが多々ある。

    筆者の視点が文中に入り込み、知らぬことは知らぬと言い切ったり
    こう思う、とか現代ではこう、といったような注釈が入ったりするので、
    これが史実・事実でフィクションではないと思ってしまう人が多いのではなかろうか。

    時代もあって、この21世紀には当然でも、
    当時は明らかになっていなかった『史実』があるのは致し方ないとしても
    事実として断言されている書き方は相変わらず少々気になるところ。

    下巻でも、長州弁ではない普

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    2015年04月07日
  • 花神(下)

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    村田蔵六の生涯の最後まで。龍馬が行くの様な池や討ち入りでは無く、逃げ回って最後に敗血症で亡くなるが、その短い間に明治の陸軍の骨格を全て行ってしまったというのは凄い人出会った。話の盛り上がりが少ないのが星三つだが、内容的にはまあまあ明治の時代が長州の側から見えてこれはまたこれで面白い。 今度は松蔭か・・

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    2015年03月16日
  • 十一番目の志士(下)

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    架空の人物天堂晋助を描く。
    いわゆる長州系の人斬りって某漫画のモチーフかもしれないなと思いつつ。でもこちらは高杉系で向こうは桂系とその違いのみ。
    司馬の小説は大体主人公の死でさらっと終わるのだが、本作は違った。人斬りが殺されるのではなく、その後どうしたの?という想像力が掻き立てられるのも某漫画のモチーフかもと思った。

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    2015年07月15日
  • 対談 中国を考える

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    少し古かったけど、さすがに博識の2人。一緒に中国に行った人の名前が何人か出てたけど錚々たるメンバーでした。

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    2015年03月08日
  • 功名が辻(四)

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    解説は成る程と思った。確かにあはれではなく、をかしという感じかもしれない。
    人間なんてそんなものと言われればそうなのだが、千代も一豊も思考や性格が安定していないように感じた。感情に関する描写があまりないので、何を考えてその言動なのか、よくわからない時があった。
    にしても、時代物っておもしろい。地名と照らしあわせて考えると、未だに昔からの流れが続いているのだと感じられる。

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    2015年03月06日
  • 新装版 箱根の坂(上)

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    北条早雲の伝記。上巻は京で「作りの鞍」を作っていた伊勢新九郎が骨皮道堅という足軽と組んで闘うところが印象に残った。世の中がメチャクチャになる前夜の様子や雰囲気がよく伝わってきた。

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    2015年02月21日
  • 幕末

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    暗殺者、田中顕助が主な短編集。
    翔ぶが如くの後に読んだので物足りなさがあった。
    田中顕助の人となりがわかったのは良かった。

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    2015年02月07日
  • 翔ぶが如く(六)

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    まだつまらない。けど、次回、西南戦争がはじまりそう…!?西南戦争前夜のきな臭い時期の日本の空気が伝わってくる。



     藩閥政治に辟易し始める頃合い。結局いつの世も、政権は嫌われる。それは今の世も。

     一番狙いのは、自分の生きる時代を、自分の理想のために、全力で生き抜く人間たちである。

     それにしても、昔も今も、前原はカッコ悪いなぁ。

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    p24 薩摩の農民
     薩摩藩は他の土地と違って、富農がいない。他藩では農業生産が飛躍的に伸び、富農が生まれ読書階級になったが、薩摩では戦国時代から変わらず藩によって厳しい搾取が行われてきた。それゆえ薩摩の農民は教育を受ける時間が無く、軽侮さ

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    2015年02月05日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    空海と最澄が決別するクライマックスは面白かった。全編を読んで、空海という人物が人気の理由、密教と他の仏教との違いがハッキリ感じられた。

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    2015年01月28日
  • 新装版 箱根の坂(中)

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    伊勢新九郎が伊豆を乗っ取る中巻。とても渋くて、あまりおすすめできないというオススメの本である。



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    p29 頼朝が頭領になれたわけ
     頼朝が関東八州の棟梁に推戴されたのは、彼の人望や実力というわけではない。
     力を付けた関東の農民や武士団は、西の朝廷にいつまでへりくだっていなければいけないのか、不満が膨れている。そこで、自分たちで蜂起するのにふさわしい頭目を求めた。その頭は、格式高い貴種の出であることが望まれた。源頼朝は、いうても天皇家から臣籍降下した雅な人間である。ちょうど良い存在である。
     鎌倉幕府の成立の頃から、頭領は担がれた神輿でしかないのである。それが、神輿を担ぎもし

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    2015年01月25日
  • 功名が辻(二)

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    山之内一豊という凡庸な亭主をして、城持ち武将へと押し上げるという、上げマン一代記であるが、主人公 千代の知性を含めた人間的な本質の高さと必要以上に驕ることのない一豊の純朴さが読み手に安心感を与える。羽柴秀吉という登り龍を見極め、その家中で安定して禄を得ることは容易ではない、ましてや徳川の時代にしたたかに生き延びていくのであるから奇跡というより他はないと思う。

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    2015年01月19日
  • ペルシャの幻術師

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    やはりチンギスハンを描くと井上靖的になってしまう。
    そちらの印象が強烈すぎる。
    兜卒天の巡礼はぶっ飛んでる。

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    2015年07月15日