司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 竜馬がゆく(五)

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    勝には、妖精のにおいがする。そのいたずらっぽさ、底知れぬ智恵、幕臣という立場を超越しているその発想力、しかも時流のわきにいながら、神だけが知っているはずの時流の転轍機がどこにあるかを知っている。さらに竜馬と西郷という転轍手を発見し、さりげなく会わせようとするあたり、この男の存在は、神が日本の幕末の混乱をあわれんで派遣したいっぴきの妖精としかおもえない。(p.219)
    西郷というひとは人間分類のどの分類表の項目にも入りにくい。たとえば西郷は、革命家であり、政治家であり、武将であり、詩人であり、教育家であったが、しかしそのいずれをあてはめても西郷像は映り出てこないし、たとえむりにその一項に押しこん

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    2020年07月15日
  • 竜馬がゆく(六)

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    長次郎は才子ではあるが、組織でもって協同して事をする感覚が欠けているようである。貧家の秀才で無我夢中で世間の表通りに出てきた者のもつ悲哀といっていい。われがわれがとおもう一方で、仲間の感情を思いやるゆとりがないのである。
    (しかし、城下の水道町のまんじゅう屋のせがれも、薩長両藩を相手に大仕事ができるまでになったか)
    とおもうと、竜馬はあのまんじゅう屋の冷たくとぎすましたような秀才づらが、いとしくてたまらなくなるのである。(p.160)
    「私は根が町人のうまれで、戦争はあまり好みませんが」
    「ばかだな、お前は。そういうことをいうちょるから、あたらそれほどの才分をもちながら人にばかにされるのだ。男

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    2020年07月15日
  • 竜馬がゆく(三)

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    清河は非常な尊王家でもあったが、同時に自分をも世間に押し出したかった。独り策謀をめぐらし、その策謀で世間を踊らせ、しかも策士らしく背後で帷幕を垂れこめているのではなく、功をひとり占めにし、常にその策謀の中心にすわりたがった。
    徳がない、ということになろう。
    この稀代の才子の生涯を決定した不幸は、そういう欠陥にあった。(p.88)
    幕末の史劇は、清河八郎が幕をあけ、坂本竜馬が閉じた、といわれるが、竜馬はこの清河が好きではなかった。
    たったひとつ、人間への愛情が足りない。
    万能があるくせに。
    そうみている。ついに大事をなせぬ男だ、と竜馬はみていた。(p.96)
    「半平太、まあ、ながい眼で見ろや」

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    2020年07月15日
  • 新装版 歳月(下)

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    日本の法律を作り上げた人物だけど最後まで何か納得できない人生だったな。

    最後まで足掻く生き方に共感できるけど、もっと違う生き方はできなかたのかな。

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    2026年07月05日
  • 幕末

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    幕末という激動の時代を、暗殺をテーマに複数の視点から捉えた短編集です。
    薩長や幕府側の人物の描き分けが巧みで、時代背景の理解が深まりました。
    政治思想や国のかたちを真剣に考えていた志士たちの姿に心を打たれた反面、著者ならではのエンタメ要素によって、美化しすぎている部分もあるように感じました。
    歴史の“温度”を感じたい人にはおすすめの一冊ですが、人物評価には一定のバイアスがあるので、自分なりの解釈も忘れずに読みたいところだなと思いました。
    個人的には、「桜田門外の変」はベタで好きですし、「最後の攘夷志士」は、考え深いものがありました。

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    2026年07月03日
  • 世に棲む日日(二)

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    吉田松陰寅次郎、高杉晋作の師弟、久保さん?桂小五郎、伊藤博文、などなど幕末志士たちが立ち代わり登場しては、消えてゆく。生き残ったラッキーなひとが成して、死んで散った者たちは、ただ散っただけではないということを示してくれる。
    江戸時代という太平の世に突如現れた宇宙人みたいな白くてデカい、知らない言葉と文化を持つ秩序を持ちつつも日本を征服あるいは奴隷、どうにもならないくらいに搾取してくることをいち早く察知した人たちの賢くも儚い話だった。
    人物があまりに多く、知らないし、あっけなくどこかへいくのがなんかわからんの。
    ほんで、小説というか、記述に近い雰囲気で、著者自身がインタビューした風景なんかも入っ

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    2026年06月28日
  • 豊臣家の人々

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    司馬遼太郎の本を読んでいると、内容全てが事実のことのように思えてくる。登場人物が喋ったこともまるでそのまま再現しているかのように。
    それくらい引き込まれて面白く読めるということなのだろう。
    秀吉と秀長の父親は同じだったのではないかとの研究もあるらしい。小説は小説として楽しんで、歴史の事実は違う可能性もあると念頭に置いておきたい。

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    2026年06月28日
  • 坂の上の雲(四)

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    ネタバレ

    ほとんど戦争の話になってしまった第4巻。
    無能と何度も書かれる乃木・伊地知の指揮下で信じられないくらい多くの人が犠牲になっていく場面が読んでいて辛い。旅順の要塞に飛び込み死んでいく兵士たちの姿がやり切れない。藩閥やら人事のしがらみやら…人の命が掛かっているのにモヤモヤする。
    一方でロシア軍のバルチック艦隊も、恐怖から疑心暗鬼になり錯乱状態に陥ってしまう姿、こっちも読んでいて苦しい。これが戦争なんだなと。

    高橋是清の生い立ちだったり、彼が東奔西走する姿、意外な人物の協力を得るあたり、面白かったです。

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    2026年06月29日
  • 城塞(下)

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    主役はいちおう小幡勘兵衛だがそれほどずっと出てくるわけではなく燻り続け、徳川家康は非常に切れ物だが狡猾、対する淀殿も無能で彼女のせいでこうなったという空気があり、そもそもが大阪落城、豊臣家の最期がテーマなので仕方ないが読んでいて暗くなる。群像劇は基本的に好まないがそれでも読み応えがある。

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    2026年06月19日
  • 坂の上の雲(二)

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    1巻より内容が難しく感じて、歴史を思い出しながら調べながら読んでいて時間がかかりました。

    日本に国家という観念がまだなかった頃があった。鎖国を終えて周りは帝国主義、植民地が当然の世の中だった。そんな中で日清戦争、日露戦争が起きたのは、日本が日本であるために必然とも呼べるような状況だったんだと知る。
    この小説には、教科書では分からない、その時代を生きた人の心が描かれています。同時に、それぞれの時代を台頭した民族や国家を俯瞰で見て、多種多様な考察も述べられています。
    このどちらもがあって色んな気付きがありました。
    それから、正岡子規が綴った多くの俳句に触れるうちに、私にも写生の素晴らしさがどうい

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    2026年06月12日
  • 城塞(中)

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    政治的駆け引きのおもしろさがあり嫌いじゃないが小幡勘兵衛と真田幸村が出てこないところは妙に暗く陰気な雰囲気があって司馬遼太郎のそれぞれの人物に対する好みが出てる感じがする。

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    2026年06月05日
  • 豊臣家の人々 新装版

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    豊臣家に関わる人々が描かれてる。秀次はただの一般人なのに秀吉の縁戚ってだけで位を与えられそして秀吉によって殺しれるの哀れすぎる。
    北政所も自分で豊臣家を起こした自負があるからこそ淀を嫌い自分手で家を終わらせるために家康と近しくなったったのだろう。結局淀が孕ったことで尾張派閥と近江派閥ができこれが後々関ヶ原の結果へと続いていくと思うと秀吉も悔やまれるだろう?

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    2026年05月31日
  • 項羽と劉邦(下)

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    項羽の楚軍 対 劉邦の漢軍
    結果 人材をうまく活用した劉邦の勝利

    初期段階や突破局面では項羽型カリスマで引っ張り、成長・安定段階では劉邦型マネジメント(適材適所の人材配置、人に任せる)に移行すること。

    劉邦を支えた漢の三英傑
    張良(ちょうりょう):冷静な戦略家。政治・軍略の参謀として、劉邦の決断を後押しした。
    蕭何(しょうか):後方支援と行政の天才。兵站・人材管理を担い、戦争継続の基盤を築いた。
    韓信(かんしん):天才的な軍略家。劉邦軍を率い、数々の逆転劇を演じた立役者。

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    2026年05月31日
  • 菜の花の沖(四)

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    途切れ途切れに読んでしまい、一冊読み終わるのに時間がかかってしまった。司馬さんの博学すぎる脱線に因る所も多いと思う。司馬さんの良い所だが、本巻はスピード感という点ではマイナスに生じた感。さて、終盤はどんなスピードで展開していくか。

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    2026年05月30日
  • 竜馬がゆく(五)

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    長州の暴走、長州と薩摩の溝が深まり、怒涛の幕末に入ってきた。
    池田屋事件のくだり、お田鶴さまとおりょうのたいめんのくだりは楽しかったが、後半がなかなか…なぜかここに来て、ページが進まない、頭に入ってこない…。
    それにしても、おりょうの性格は私も無理だなぁ。女性に嫌われるというのがよくわかる。

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    2026年05月24日
  • 城塞(上)

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    政治的なおもしろさがある。ただ、中心人物の小幡勘兵衛と創作のお夏は魅力的に描かれているが、そもそも司馬遼太郎は家康も淀殿もあまり好きではない印象があり、また本作は群像劇の形式になってるのでなかなか読んでいて気持ちが入りずらい。とはいえまだまだ序章という感じなので続きが楽しみ。

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    2026年05月24日
  • 翔ぶが如く(十)

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    息子へ)
    やっと読み終えた。

    司馬遼太郎作品の歴史小説のなかで、もっとも長い(10巻)の、「翔ぶが如く」。長かった、、、。登場人物が多すぎた、、、、。

    お父さんは、司馬作品、全制覇をもくろんでいる。この大作も読み終えて、ついに半分くらいまできた。あせらず、じっくり、着実に楽しんでいきたい。

    さて、本作品について。

    かなりの巻数を読み終えて気づいたことだが、この作品は、小説ではなかった。ドキュメントだった。例えば、筆者の想像する会話の場合。西郷は「・・・・」といったに違いない。という言い回しになっている。

    主人公、「西郷隆盛」について。司馬先生の作品において、よくあることだが、主人公が

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    2026年05月18日
  • 風神の門(上)

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    霧隠才蔵を主人公に大坂の陣を描いた作品。

    真田十勇士に代表される個々の武勇談がメインかと思えば、才蔵を巡る女性たちとの関わりが面白い。

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    2026年05月15日
  • 国盗り物語(四)

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    4巻は織田信長の後編だが読み終わるとほとんど明智光秀の話だった印象。義昭と信長に翻弄され続ける光秀にあまり心境的な変化はないので3巻までの人間同士のやり取りや駆け引きの面白さはやや薄く感じるが、真面目で不器用な明智光秀には同情してしまう。

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    2026年05月14日
  • 坂の上の雲(一)

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    オーディブルで。歴史的背景から人となりまで、生き生きと伝わってきておもしろい。青春というのはひまで、ときに死ぬほど退屈で、しかもエネルギッシュで、こまったことにそのエネルギーを智恵が支配していない。無駄なことを全力で出来る時間のこととして、持ち金ゼロで、江の島まで旅するエピソードを紹介していたのが印象深い。ひたすら明るい青い空が思い浮かぶ。二巻目の配信が待ち遠しい。全部聞き終わるのは、いつになることやら(買って読むには長大すぎるなあ)。

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    2026年05月11日