野中香方子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ一般的な健康本よりも学術的な記述が多く厚い本ではあるが、文章は易しく読みやすい。本来のヒトとはどういうものであったのか、ということから、私たちが目指すべき食生活や運動、その他の生活習慣のことについて記述してある。食事については、糖質の摂取については未だ多くの論争があるので、本書の記述に従って極端な炭水化物カットはしないほうがよいだろう。しかし、「多様性のある食事」という点は意識したい。また、ランニングと水分の記述では、ランナーが飲むべき水の量についてのアドバイスは過剰であり、過度の脱水状態の方がそうでない人より深刻な体調不良を起した人はいなかったとしている。この点は、命に関わるようなことなので、不用意に実践しないほうがよいのではないか。
一部、実践するのは難しいことや、未だ論争中なこともあるが、しかしそれ以上に、本書から学べる点は多いし、実践すべき点も多い。バイオフィリアやトライブといった章は、健康本ではみられないところなので、大変興味深く勉強になる。 -
Posted by ブクログ
隷属なき道 ルトガーブレグマン 文藝春秋
AIとの競争に勝つベーシックインカムと1日3時間労働
原題を「UTOPIA FOR REALISTS」と言う
この本でグレグマンが主張することを一言で表せば
狩猟採集時代の自在性と対等性を取り戻すということだ
個々がそれぞれに中心となって手段として自主的に集う
全体観である
嘘と秘密を無くして透明度の高い再分配の徹底を目指し
押し付けられた社会的価値観による労働環境を必要最小限にし
権力による縄張りの理不尽な国境線を取り払うことによって
個々の自由な裁量と切磋琢磨によって競争世界を卒業し
個性という凸凹を補い合う相乗効果をもたらすと言うものだ
縄文時代と違いA I とロボットによる客観的な判断で戦争を無くし
過不足のない技術力と生産性で飛躍的な自由自在性を得た人類は
奴隷なしの直接民主主義を手にするチャンスを勝ち取り
形を持たない意識の成長を目指す創造の世界に向かって
丸腰で歩む喜びと冒険を可能にしたことを
この本によって証明したのである
生産性の向上と分配制度の確立で得た具象的な生命維持の安定は
人生の大半を占めてきた手段である限りない所有欲と権力の獲得を
限りなく薄めてくれる
それは人生の目的である抽象的な精神性の探求と表現に
打ち込む事を可能にする新たな次元へのアプローチとなる
すべての人に理解してもらいたい本である
中でも官僚を始めホワイトカラーに読んでもらいたい
客観性と具体性に満ちた説得力のある内容で歴史を紐解き
近未来を想定する有史以来の対立関係から
共生関係に社会を脱皮させるための手続きが示されている
洗脳されてきた競争原理を卒業して
切磋琢磨の共生関係を目指す事を可能にする
広告のないWEBメディアで描き出す次の時代の処方箋である
AIとロボットの出現で社会の主流をなしてきた中間層が無くなり
貧富の差が限りなく広がり続けているこの時代に必要なのは
余暇を十分に活用できる意識改革であり
それを支えるユニバーサルベーシックインカムと
社会的な生産に関わる労働を減らすことであると言う
コレが機械への隷属を卒業して
対等性と自在性を生み出す意識革命の道である
貧困は人間個々のIQを13ポイントも下げる
貧困家庭の子は見栄とプライドで奨学金を避ける
差別的で損得の福祉だと依存してしまうが
安心と信頼を生み出すBI制度ならば自主的に選択して行動しだす
BIはジョンソンやニクソン政権下で実現寸前まで行ったが
ニセの統計に騙されてツマズク
ケインズが2030年までに週15時間労働になると
1930年に予言した
1960年まで減り続けた労働時間が
80年代から女性の参加もあって増え始めた
現在62人の大富豪が持つ富が
底辺の35億人の総資産よりも多い
国境の開放で労働力が移動し世界の総生産は67%以上増える
米人の仕事の47%と欧州人の仕事の54%が
20年以内にAIに奪われる
余剰生産物が多くなるほど再分配を掠め取る経済システムが作られ
ホワイトカラーという生産に関わらない無味乾燥な仕事が
利益の多くを吸い取るようになる
生産に注ぎ込まれるはずの株はデイトレーダーによって利権に利用され
社会の手段であった経済を目的にお仕上げる
人間本来の目的であった出合いの選択と
切磋琢磨による意識の向上と言う日々の冒険を失い
生き甲斐もやり甲斐も無くしてしまう
嘘をつき相手をだまして奪い殺すという所有欲を満たすだけのために
不安恐怖の中で過去の権利と暴力に依存する無味乾燥な人生に
落ち込む情けない生き様になる
そこに登場するのが完全無条件のベーシックインカムなのである -
Posted by ブクログ
アメリカ人のみならず、立候補表明時には誰もが泡沫候補だと思った
ことだろう。立候補した本人以外は。
ドナルド・トランプである。アメリカ人の大富豪は、並み居る共和党候補者
を次々と撤退に追い込み、民主党のヒラリー・クリントンとアメリカ大統領
というVIP中のVIPの座を目指している。
私にしては珍しく旬の読書なのである。だって、大統領選前に何故、彼が
多くの批判を受けるのと同じくらいに、多くの支持を得ているのかを知り
たかったのだもの。
しかも、調査報道は得意中の得意の「ワシントン・ポスト」取材班。これは
読み逃すわけにはいかないでしょう。トランプ自身も取材班のインタビュー
に応えているっていうしさ。
先般、ヒラリー・クリントンとのテレビ討論会で司会者から「選挙の結果を
受け入れるか」と問われて、頑なに「自分が買った場合は受け入れる」と
繰り返していた姿こそ、本書でもトランプ自身が言っている「ドナルド・
トランプは負けたことがない」との現れなんだ。
でも、実際はいっぱい負けているんだけどね。憧れのニューヨークのプラザ
ホテルを買収したはいいが結局は手放す羽目になっているし、手掛けた
カジノは倒産している。自分のことが書かれた記事が気に入らないから
と高額の賠償請求訴訟を起こしても判事に却下されてるし。
でも、本人にしたら「負け」ではないらしい。誰かに似ていると思って考えた
ら、子ブッシュ政権時代の国防長官ラムズフェルドだった。ラムズフェルド
の自伝の感想に「究極のポジティブシンキング」と書いたけれど、トランプ
もまさしくそれ。
あ、偶然にもラムズフェルドのファーストネームも「ドナルド」だったわ。
ラムズフェルドは戦争屋だったけれど、トランプはアジテーターであり、
ショーマンである。
選挙戦では一貫して「ブルーカラーに共感する大富豪」として、国民の
不満のはけ口になるような言葉を連発し共感を呼んでいるものね。
大衆が何を求めているのか。それを嗅ぎ付ける嗅覚は非常に鋭いの
ではないかと思うわ。
しかも、既存の政治家が使う分かり難い言葉ではなく、感情に直接訴え
る分かりやすい言葉ばかりなんだよね。だから、他の候補者の誰よりも
一般の支持を得たのだろうな。
「俺はドナルド・トランプをやっている」
本人にとっては「ドナルド・トランプ」自身が既にブランドなのである。だから、
メディアを批判しながらもメディアに出続け、詐欺まがいの行為と恫喝で
イメージを守り抜く。
実際、トランプの純資産がどれくらいあるのかは不明だそうだ。本人のその
時々の「感覚」で資産額が変動するらしい。純資産は本当のところ、どれ
くらいあるんだろうな。
「アメリカは選挙を注視して私を大統領にするべきだ」なんて発言もあった
けれど、もし、まかり間違ってトランプが大統領になったら大統領専用機で
あるエアフォース・ワンの尾翼に「T」とか書いちゃうんじゃないのか。ホワ
イトハウスは「トランプハウス」に名称変更して、挙句には国名まで「ユナ
イテッド・ステイツ・オブ・アメリカ」から「ユナイテッド・ステイツ・オブ・トラ
ンプ」にして国からライセンス料を踏んだくろうとするかもしれん。
アメリカ大統領候補を様々な方面から描いた優れた評伝である。この膨大
な仕事を僅か3か月で仕上げた「ワシントン・ポスト」取材班に敬意を。
そして、間近に迫った大統領選挙の結果が楽しみである。トランプが負け
たらきっと「不正選挙だ」ってまたひと騒動なんだろうけれどね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[監督,脚本,主演,大統領]先日のアメリカ大統領選で革命的とも言える勝利を収めたドナルド・トランプ次期大統領。その生い立ちから,共和党全国大会における大統領選候補の指名受諾までを追ったワシントン・ポスト取材班による力作です。計20人以上の記者を投入し,謎とブランドによるヴェールに包まれた次期米国大統領の生涯と世界観を明らかにしていきます。訳者は,野中香方子,池村千秋ら5名の翻訳家。原題は,『Trump Revealed: An American Journey of Ambition, Ego, Money and Power』。
2016年を飾る人物を評した2016年を飾る1冊。「不動産王」と紹介されることの多いトランプ氏ですが,本書を読むとそれは一側面に過ぎず,捉えきれないほど多様な顔を有することがわかります。語弊を恐れずに本書から浮かび上がってくるトランプ氏を簡潔に表現しようとすれば,「自ら暴風を起こすことのできる目利き風見白頭鷲」といったところでしょうか。
〜自分の職業について,彼はぶっきらぼうにこう述べている。「俺はドナルド・トランプをやっている」〜
トランプ氏自身は本書を「退屈だ」と(高く?)評価したようです☆5つ -
Posted by ブクログ
中国の野望について警告する書。書いてある内容はにわかには信じられないものだ。中国共産党による国家樹立から100年、2049年に中国が世界の覇権を握る計画があるというものだ。確かに、最近の中国の言動を鑑みると、米国と伍するような状況になりつつあるようにも思える。本書は米国が引き続き覇権を握るためにどのようなことに気を付けるべきか警鐘を鳴らしている。では、日本はどうするべきなのかは書かれていない。米国の同盟国として、フィリピンやベトナム、モンゴルと協調することくらいしか書かれていない。米国が持つ駒のひとつという扱いだ。まあ、そこは軍隊を持たない日本なので、仕方ないかもしれない。ただし、日本が集団的自衛権の行使をできることを確認した昨今の動きは、むしろ、それらを含めて米国の対中国政策の一貫ではないかと訝ってしまう。本書を読んで、日本がCIAのような本格的な諜報機関を持っていないことが悔やまれる。このままでは、気がつかないうちに、中国の戦略にはまってしまう危険がある。なんとかした方がいいのではと危機感を持たざるをえない。
-
Posted by ブクログ
『China 2049』
・中国(共産党)はいずれ崩壊する
・文革以降、中国は伝統を顧みない別の国となった
といった認識をひっくり返す一冊。
10年以上、関連書籍が散々煽るも全く崩壊せずに成長を続ける中国。何かおかしい、騙されているのでは、という漠然とした感覚への解答。
プロパガンダと切り捨てるには腑に落ちすぎる。
アメリカは中国の姿を冷静に捉えていると思っていたが、日本と同様、いいように操られていたとは。
著者がアメリカの無謬性を何の疑問もなく展開しているのには引っかかる。日本から見ればアメリカも同じようなところはある。しかし、ニュースを見ていればどちらの脅威が大きいかは自ずと見えてくるだろう。
春秋戦国時代、囲碁。
超大国に囲まれた島国日本の処世術は実に難しい。 -
Posted by ブクログ
中国が虎視眈々と世界の覇者たる地位を築こうとしていることを教えてくれる本。過去(中国の歴史)の例に倣い、野望は表に出さず、2049年を目途に米国をしのぐ国づくりをしているのだそうです。
とはいえ、なぜ著者はこのことを、わざわざ本にしようと思ったのか。あえて口外しないという選択肢もあっただろうに、なぜ?というのが素朴な疑問。本にすることのメリットとは何か。
国レベルではなく、個々人レベルで中国(人)に気を付けろということなのか。
そうこうしている間に、北朝鮮は核実験を実施。中国はこれに遺憾の意をしめしているが、果たして本音は?
ニュースを見る目が変わる、秀逸な本だと思います。 -
Posted by ブクログ
まず、この本は非常に面白い。『イヴの7人の娘たち』や『アダムの呪い』のように、遺伝子解析によって人類の歴史をたどる話は、自分にとってはほぼ外れなく面白いのだけれど、この本は特に研究界の競争の実情がよく伝わる内容になっていて興味深い。
本書では、著者のスヴァンテ・ペーボが、古代生物のゲノム解析の研究者として成功し、マックスプランク進化人類学研究所を率い、その分野の第一人者となる物語が自身の手で描かれている。その過程では、古代生物解析におけるDNA汚染の回避に向けた地道な闘いや、他研究機関との協力や競争の内実、研究者としてのテーマ選択やキャリア形成、メディアとのやりとりなどが描かれていて実に面白い。熾烈で情け容赦がない先陣争いやそれにまつわるどろどろとした感情も伝わってくる。
著者の研究対象は、古代生物のDNAであり、タイトルにあるネアンデルタール人だけではないのだが、やはり著者を一躍有名にしたネアンデルタール人DNA解析の話のインパクトが大きい。さらに驚くべきことは、かつてアフリカから出たわれわれの遠い祖先は、約三万年前にすでに欧州にいたネアンデルタール人と出会い、そして交配したという事実の発見だ。その交配の痕跡がわれわれのDNAに刻まれているという。驚いたことに、アフリカを除く現生人類の遺伝子の約2%がネアンデルタール人由来のものであるという。この割合はヨーロッパ人でもアジア人でも大きくは変わらないことから、現生人類とネアンデールタール人がいつどのように出会ったのかまで推定できる。残されたDNAの分析からそこまでわかるのか、とまさに科学の力を見せつけた事例だと思う。今後、遺伝子学によって、人類についてますます多くのことがわかり、ますます多くのことができるようになるだろう。
科学研究の話だけでなく、著者がバイセクシャルであることや、研究者仲間の妻となっていた昔の同僚の女性を略奪する形で結婚したことまで赤裸々というよりも淡々とした調子で書かれている。こういった自伝的要素も含まれているのも単なる科学解説書にはないこの本の特徴である。
それはともかく、面白いので読んでもらいたい。 -
Posted by ブクログ
『私の予測は当たるのだろうか?世界は本当に、その気になればやれることをしないほど愚かなのだろうか?
すなわち、今後数十年間に発生する気候変動の問題に備えて、資金と人的資源を事前に投入することはできないのだろうか?残念ながら、私の答えは「できない」だ。
世界は愚かにも、意義のある行動を先延ばしにしてしまう。理由は単純で、世界を動かしている民主主義と資本主義が短期志向だからだ。
私がこの本を書いたのは、最も可能性の高い世界の未来像を知りたいからだった。そして正確な答えを得るために、極めて精緻に、矛盾のないように予測を組み立てた。したがって、残念ながら私の答えは正しいのだろう。』
40年前の警告を振り返り、現状から組み立てられる予測を元に40年後のありうる未来を論じているので、非常に説得力がある。
確信の根拠は40年前から分かっていた環境破壊がもたらす持続不可能な世界に、世界はスピードをさほどゆるめることなく進んできたからだ。
皮肉にも、持続不可能な世界は持続しないので、やってこない。やってくるのは、絶望的な状況の中でも持続していこうとする世界なんだとさ。
まぁ、もう、無理だな。行くとこまで行くしかないんだな!