あらすじ
本書は、ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者が、自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の知られざる秘密戦略「100年マラソン(The Hundred-Year Marathon)」の全貌を描いたものだ。日本に関する言及も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係、そしてビジネスや日常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。
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CIAの職員として、中国と友好関係を結ぶために長く働いてきた著者の自伝のようなもの。
悔恨の書というか懺悔の書というか、個人としてはそのような趣きがあるとしても、政府が発刊を許したのは、ここから反撃を始めるぞ、という狼煙の役割もありそう。
米中の橋渡しが著者の仕事だったとは言え、日本の姿がまったく見えないこの半世紀の記述である。
せいぜい尖閣でのせめぎあいなど、チャイナが牙を見せ始めてからの一例として登場するくらい。
この存在感のなさが「戦後レジーム」なのだな、とつくづく。
また、チャイナの側も日本のことなどまったく歯牙にもかけていないのが伺い知れる。
それは、別にチャイナのGDPが膨張したここ十数年とかの話ではなく、中ソ関係が険悪だった1960年代であってもそうなのだ。
日本が、世界第二位の経済大国とか威張っていた時代にあっても、チャイナは日本を都合よく搾取する対象としてしか扱っていない。
そのために工作に勤しみましょう、というわけで、日本の地位を奪うとかそういう意識はない。
今、結果として日本を抜いた状況にあるだけ。
当たり前だが、目線は米の覇権にのみ向いていて、そのための100年なのである。
さて、そのチャイナの100年の戦略を知ってしまった今、我々はどうすべきか。
チャイナの膨張はどうやら習近平だからどうという問題でも無いとなれば・・・。
その答えも春秋時代の戦略に学べ、というのが著者の結論。
やっぱり、古典は大事ですね、と。
以下、読んでいて驚いた点。
ソ連の高官たちが、割と早い時期に自国の没落を覚悟していたこと。
チャイナに気をつけろと米国人である著者に忠告していたこと。
天安門後も米の対中政策に変更はなかったこと。
リー・クアンユーについて紙幅を割く著者だが、マハティールについての記述は無し。
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親中派の著者(マイケル・ピルズベリー)が、中国の軍事戦略研究の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになるまでの記録。
以下、本書より元防衛大臣・森本敏氏の解説。
本書は米国における中国専門家として著名であるばかりでなく、米国政府の対中政策に最も深く関わってきたマイケル・ピルズベリー博士の中国論。
ピルズベリー博士は実際、本書の中で「ニクソン政権以来、30年に渡って政府機関で働いていた中国の専門家として誰よりも中国の軍部や諜報機関に通じていると断言できる」と自負している。
その本人が本書の冒頭で、米国は中国の国家戦略の根底にある意図を見抜く事ができず、騙され続けてきたと告白する。
この告白は衝撃的である。
我々はこれほど中国に精通し、中国要人と交流のあった同博士でさえ中国に欺かれ続け、それを知らずに歴代米国政権が対中政策をピルズベリー博士の助言や勧告に基づいて進めてきた事実を知って今更の如く愕然とする。
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原題はthe hundred marathons 100年マラソン。
アメリカのインテリジェンスに籍を置いていた中国専門家による中国の戦略に警鐘を鳴らす一冊。
はっきり言って、翻訳がイケてなく読みづらい。だがそれも、中国文化・歴史観に全く馴染みのない欧米人が読んだときの「捉えどころのなさ感」を共有する舞台装置、ともとれる。
三国志など色々な中国歴史古典に親しみ、文化的にも近い我々からすると然もありなん、なところもあるが、全く文化的親和性のない、歴史の浅い、欧米人には、きちんと言葉で説明されてもなかなか理解しづらいのではないだろうか。
著書自身が中国に対する評価の転換、自らの分析や判断の誤りを認めるまでそれなりの時間と判断の紆余曲折を経ていることからもそれは想像に難くない。
思うに彼の国は、表面の事実だけでは判断がつかない。1949年の建国で政体こそ変わったが、それ以前から脈々と続く(ほぼ)単一民族の営みと歴史を踏まえて、現在の情報を判断する必要がある。日本人なら彼らの近いところでそれができるかもしれないが、もう日本の知中派はパンダハガーとして取り込まれてるのかもしれない。
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是非読んでほしい。特に政治に関わる人には。
中国とアメリカの力関係を冷静に分析した本。
今後、中国がどこに向かうのかを踏まえ、しっかり処方箋を提示している。
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中国の国家戦略の実像と、それをアメリカを始めとする西側諸国(日本などその同盟国・友好国も含む)が致命的なまでに見落としてきたことを明らかにする。
「勢」を読むこと、すなわち①他人をだまして思いどおりに動かし、そして②最大の好機をじっと待つことが、中国の戦略観の核をなしている。
著者が鳴らす警鐘を真摯に受け止め、各国が毅然として行動しなければ、遠からず、情報統制・言論弾圧、兵器の拡散、深刻な環境汚染etc.が蔓延した、中国を覇権国とする世界秩序が現出しかねない。
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政治的な話題はさておき、これはこれで参考になった。
中国に対しては、大きく二つの切り口がある。
・経済が成長し続けるのか崩壊に向かっているのか。
・共産主義が続いていくのか資本主義化していくのか。
本作は、経済は成長し続け共産主義が永続する、というシナリオで論じられている。
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中国の野望について警告する書。書いてある内容はにわかには信じられないものだ。中国共産党による国家樹立から100年、2049年に中国が世界の覇権を握る計画があるというものだ。確かに、最近の中国の言動を鑑みると、米国と伍するような状況になりつつあるようにも思える。本書は米国が引き続き覇権を握るためにどのようなことに気を付けるべきか警鐘を鳴らしている。では、日本はどうするべきなのかは書かれていない。米国の同盟国として、フィリピンやベトナム、モンゴルと協調することくらいしか書かれていない。米国が持つ駒のひとつという扱いだ。まあ、そこは軍隊を持たない日本なので、仕方ないかもしれない。ただし、日本が集団的自衛権の行使をできることを確認した昨今の動きは、むしろ、それらを含めて米国の対中国政策の一貫ではないかと訝ってしまう。本書を読んで、日本がCIAのような本格的な諜報機関を持っていないことが悔やまれる。このままでは、気がつかないうちに、中国の戦略にはまってしまう危険がある。なんとかした方がいいのではと危機感を持たざるをえない。
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『China 2049』
・中国(共産党)はいずれ崩壊する
・文革以降、中国は伝統を顧みない別の国となった
といった認識をひっくり返す一冊。
10年以上、関連書籍が散々煽るも全く崩壊せずに成長を続ける中国。何かおかしい、騙されているのでは、という漠然とした感覚への解答。
プロパガンダと切り捨てるには腑に落ちすぎる。
アメリカは中国の姿を冷静に捉えていると思っていたが、日本と同様、いいように操られていたとは。
著者がアメリカの無謬性を何の疑問もなく展開しているのには引っかかる。日本から見ればアメリカも同じようなところはある。しかし、ニュースを見ていればどちらの脅威が大きいかは自ずと見えてくるだろう。
春秋戦国時代、囲碁。
超大国に囲まれた島国日本の処世術は実に難しい。
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中国が空母を持ったのは、カモフラージュが目的のようにも思えてくる。
共産党政府が一枚板ではないが、タカ派が多数なのは確かだと言う。周辺に改革や自由化を純粋に擁護する人がいるので、それが誰かを突き止め支援するのが、情報機関の課題だというのが、著者の主張。
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中国が虎視眈々と世界の覇者たる地位を築こうとしていることを教えてくれる本。過去(中国の歴史)の例に倣い、野望は表に出さず、2049年を目途に米国をしのぐ国づくりをしているのだそうです。
とはいえ、なぜ著者はこのことを、わざわざ本にしようと思ったのか。あえて口外しないという選択肢もあっただろうに、なぜ?というのが素朴な疑問。本にすることのメリットとは何か。
国レベルではなく、個々人レベルで中国(人)に気を付けろということなのか。
そうこうしている間に、北朝鮮は核実験を実施。中国はこれに遺憾の意をしめしているが、果たして本音は?
ニュースを見る目が変わる、秀逸な本だと思います。
Posted by ブクログ
【中国、世界の頂点に向けて…?】
筆者はアメリカの元政府関係者でもあった外交戦略家。書かれたのは2015年、原書タイトルは中国の100年マラソン。
2049年は、共産党成立から100周年のとして、その年を目指した中国の長期的な世界の覇権獲得へ考え方、アプローチが書かれている。
中国のナショナリスト・タカ派の理論こそが、中国の外交アプローチを真に決定づけているものである、とし、中国の歴史を遡って戦国時代の思想家・戦略家の考え方を理解することで、現代中国の世界派遣に向けた長期戦アプローチが見えてくるとする。孫氏や三国志のエピソードが引用されている。
全力でアメリカの視点から書かれた本であること、また10年近く前に書かれた本であり、彼の打ち出した出版当時の新規性は、現在ではより普及しているように思う。だからこそ、彼の著作は的を得ていただけではなく、思考枠組みを提供し、議論をさらに活発化した意義のある著作であったのかと思う。
日本では、中国の王朝の歴史や、国語・漢文などでも習う言い伝えや思想、日本の文化にもある程度共通する部分もある考え方などは馴染みのあるものが多いけれど、アメリカとしては、まったく遠いものであったりするのかな、と読んでて感じた。
大学で中国の政治について学んだ時も、中国は過去の屈辱を根に持っていて、世界の覇権の復興のために進めているといったことを学んだけれど、まさにそのアプローチが、日米関係の近代史と共に論じられていた。
もう一点思ったことは、中国語は翻訳が難しい、と書いていたけれど、一つの言葉や漢字について、エピソードを含めた深い意味を持っている言語である点、漢字は非常に含蓄のある言語であると改めて思った。
Posted by ブクログ
拡張の論理、成長軌道の必要性について考える。
脱成長、資本主義の限界、持続社会というようなキーワードが散見され始める中、国家はGDP成長率を求め、株主に対し企業は利益拡大を約束し続ける。人間社会のレースは、相手が成長する限り、立ち止まったものは相対的弱者となり、組織は支配欲を根底に持つから、この防衛本能において成長志向は止まらない。
防衛のための競争。それゆえの成長。だから、競争の構図を読み解く事が人間社会においては、原理原則の出発点となる。国家として、一時的にもこの覇者となり得たのがアメリカ。しかし、圧倒的なはずの覇権国家に対して、二番手以下の利害思惑がバグのように溜まり、トゥキディデスの罠が進む。つまり、覇権国の移り変わりだ。
中国人は馬鹿ではないので、自国に自由な報道が無いことや、国策逮捕が横行し司法が成立していない事、自分たちの財産や人命の不安定さをよく理解している。その上で、民主主義に強く憧れている訳ではなく、大多数は、大胆な事は望まず、平穏無事に家族が健康で飯が食えれば、現状維持で構わないと考えている。大衆の無気力化だ。民主主義を剥奪された香港とは経験が違う。
ならば、完全に大衆をコントロールしている中国が敢えて更なる拡張を望むのは何故か。覇権国からの支配に怯え、備えているという理屈だ。それを韜光養晦という言葉が象徴するように、極力下心を目立たせずに戦略的に力を備えてきた中国に騙されるなよ、と警鐘したのがこの本だ。今や、中国を弱者扱いする識者は減ったが、日本でも、つい最近まで中国を下に見る論説は存在したし、それがナショナリズムを活気づけ、本屋は右傾化したタイトルで溢れていた。
本著の2049とは。中国共産党革命100周年の年、2049年までに、世界の経済軍事政治のリーダーの地位をアメリカから奪取すると言う計画の事だ。100年マラソンなのだと。太子党やらの派閥争いは最早方がついたのだと思うが、独裁を誤魔化す詭弁だろう。個人ではなく、民族のため、寿命を超えた年数の計を装う。派閥争いに対し、長期計画こそ超党派を導く事を熟知している。株主に迫られ中期計画を策定するお遊びとは違う。スローガンの本当の意味は、正当化にある。
覇権国家の暴走を止めるのも、二番手以下の役割。アメリカならば国民の内なる正義により制御もできそうだが、その声を統制した国ならば、歯止めが効かない。大衆は愚かかも知れないが、一般意志では自分たちの安全を第一に考えるから、それが抑止力となるのが、民主主義の少ない利点であるはず。この防波堤がない国家が覇権国となり、新秩序を形成するのは、極めて危険だ。支配者階級の都合によるジェノサイドが進む。
Posted by ブクログ
今後の数十年間に延々とつづくのは、戦争や領土侵略ではなく、経済、貿易条件、通貨、資源、
地政学的協力をめぐる攻防だろう
①勢をうまく利用する
②無為をなす
③他国の力を借りる
態勢を整えておいて、好機が訪れたらそれを逃さない。
肝に命じておこう
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China 2049というタイトルのとおり、2049年に向けての百年マラソンを含めた、中国共産党や中国人(のタカ派)の真意、行動のとり方の話がメインの本である。
ただ、それらの話は参考にはなるものの、大部分の日本人としては目新しい話ではないと思う。
それよりも、中国に対する米国の関わり方の歴史や、それに対する中国の反応の仕方の変化(本質的には何も変化はなく、表面的な態度の変化があっただけかもしれないが)、相互の(というよりはほぼ米国側のかもしれないが)ミスコミュニケーション、こういった話の方が興味深かった。
日本より格段にレベルが高い米国のインテリジェンス能力も、中国に対してはあまり機能していなかったことがよくわかる。
これはやはり言葉の違いが大きいからか。
細部の誇張や信頼性についてどうかと思う情報源の引用等はあるものの、著者が米国の当局者の一人であったため、米側の中国との関わりの部分については、公開できる真実が語られていると考えられ、その部分だけでも読む価値は十分あると思う。
Posted by ブクログ
中国の恐ろしさがアメリカの中国戦略専門家の、目線で描かれてる。
100年マラソンの先のデイズトピアが隣国としてあまりに恐ろしい。90%が日本人を嫌っていて、日本大丈夫だろうか?
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チャイナの「世界覇権100年戦略」について、元CIA長官で親中派であったマイケル・ピルズベリーが詳しく語っている。
チャイナが世界の覇権を握るべく何か長期的戦略を持っているのは漠然と知っていたが、その戦略は孫子の兵法など古典的なものに沿っているといった細かいことまでは知らなかった。
アメリカはチャイナの野望に気付きいてそれまでの宥和的態度を一変させ、現在ではトランプ大統領が対中制裁などを行なっている。日本はアメリカと協力して対中政策をしっかり取ることができるのか、安倍政権以後の日本政府の動きに注目しなければならないと思った。
Posted by ブクログ
覚えているだろうか?
ほんの10年前までは、日本は世界第2位の経済大国だった。今や中国は日本をはるかに追い越し、世界一の座を耽々と狙っている。
この躍進は、世界の工場として海外からの設備投資が集中し、その後、豊かになった国民による内需が拡大したため、といった経済的な説明もできるのだが、実は、中国政府の長期的な戦略に基づく周到な計画のたまものである。
100年マラソンといわれるこの戦略は、西欧により中国は搾取されてきた雪辱を果たすため、毛沢東時代から秘密裡に実行されてきた。
「孫子」「戦国策」といった中国古典においては、謀略を使い、戦わずして勝つことが美徳とされる。100年マラソンにも、この思想がしっかり息づいている。
私たちは、だまされているのだ。
民主化、自由経済を目指していると信じさせ、技術情報を盗み、着々と武力を整え、気づいたときにはもう手遅れ…
本書はCIA諜報員として長年中国を研究してきた著者による、スパイ小説さながらの見聞録である。本書を読めば、国と国の競争とはどういうことなのか、民主化・自由経済の理想がいかに脆弱なものか、思い知らされる。
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中国共産党が中国を支配してから100年越しでどんな計画を持って世界をリードする大国になろうとしているかというのが米国の専門家によって語られている。中国は皆が信じ込まされているように弱く儚くもないし、民主化へ進むこともないし、タカ派も強いし、中国古典からの教訓に基づき淡々と世界の覇者への地位を狙っている。この現実は西側諸国の指導的地位にある人間は認識しとかなければならんな。
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かの国は怖い。
それを改めて印象付ける。
市井の個人でなく、米国の対中国情報分析の重要人物による分析で、過去、自分たちがうまく踊らされて来たことへの反省にも言及。
日本人が読めば、さもありなんと思える。
これに比べれば、米国なんぞ子供。日本に至っては人が良すぎて話にもならない。
この先、本当にどうなるんだろうね。
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現代中国を支える基盤となる同国の長期戦略について良く理解する事が出来た。日本は地理的に非常に厳しい位置にいる事を忘れてはならないとあらためて気付かされた。
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著者はアメリカの政策に大きな影響を影響を与える人で、元々は親中派だったのが、現在は中国に大きな懸念を持っている人です。要旨は、中国は共産党設立100年となる2049年に世界を制覇するという超長期な目標を持ち(中国にはそのために100年マラソンという言葉があるそうです)、それを実現するためにはアメリカを追い越さなければならない、そのために世界(特に西側)の常識では考えられないやり方でその実現に向けて着実に進んでいるということです。本当だろうかと思いましたが、現在の中国を見ているとたしかにその通りかなという気がして恐ろしくなります。中国は現在南シナ海を軍事拠点化しつつありますが、その後には東シナ海に大きな行動を仕掛けてくるでしょう。
Posted by ブクログ
米国の対中国外交の中枢に長くいた重鎮が、中国語の原典資料を直接読む、中国要人と会話する等で得た情報に基づいて考察した結果至った、中国の行動原理なので、説得力がある。我々がニュース等で知る事実のバックグランドにこの原理を仮定するとよく当てはまる。我々日本人の感覚でも中国人の上層部が考えそうなことのように思える。
それにしても、このまま中国を放置しておくと20年もしないうちに、その経済力は米国の倍以上になって、全世界は自由を許さない「悪の思考」の中国が牛耳るダークサイドになってしまうのかと思うと、なんともやりきれない。
でも、バブル以降の日本以上に「(特に中国は盗んだ情報で)ものまねはできても新しいことができない」人々で成り立っているので、一時トップになれたとしてもそれ以上、経済力を継続することはできないのではないかと思う。
むしろAIの活用程度のほうが各国の経済力の勝敗を分けるのではないかと。
Posted by ブクログ
中国への間違っていた前提
1、完全な協力が得られる
2、中国は民主化への道を歩んでいる
3、中国経済は崩壊する
4、中国はアメリカのように成りたがっている
5、中国は世界の覇権を狙っていない(実際は、中国共産党の100周年である2049年までに、世界最強国家の座を握ろうとしている。)
中国ならではの戦略思考→戦国時代の思想・策略を、そのまま現代の指導者が踏襲している
その策略とは
①敵の自己満足を引き出し、警戒態勢を取らせない
②敵の助言者をうまく利用する
③とにかく待つ。数十年以上待つ。
④戦略目的のために敵の考えや技術を盗む
⑤長期の競争においては、軍事力は決定的要因ではない
⑥覇権国は極端で無謀な行動を取る
⑦勢を見失わない
⑧自国とライバルの相対的な力を測る尺度を確立し、利用する
⑨常に警戒し、他国に包囲されないようにする
中国の歴史を要約すると、「外では温厚に(儒教的)、内では容赦なく(戦国的)」
中国の策略家は「勢」という概念を理解し、活用している。これは状況を読み・形成し相手を囲い込むための創造性だ。
中国は、対ソ連のためにアメリカと協力すると見せかけ、アメリカの力とテクノロジーを利用し、自国を増強していた。レーガンが中国を戦略上の対等なパートナーとして扱った。
鄧小平は天安門事件を、中国のアメリカ化による結果だと信じた。中国の安定を揺るがすものだった。国のイデオロギーと教育カリキュラムからマルクス主義を外し、強大なナショナリズムを掲げようとしていた。
中国大使館誤爆事件を受け、対反米感情が露出し始めた。
アメリカは、天安門事件は中国の一時的な事件に過ぎず、いずれ民主化が進むと考えた。この期に及んでも鄧小平はハト派だと思っており、噴出する対米感情は年寄りの過激なタカ派の仕業と信じていた。いずれ死に絶えて中国はハト派になるだろうと思っていた。
ここから中国の誤った歴史教育が始まる。具体的には、世界大戦から現代に至るまで、アメリカは中国を侵略するため悪辣な対中政策を繰り返し、中国がそれを退けているというもの。多くの中国人が、このプロパガンダを真実だと信じている。
100年マラソンの勝敗は、中国のイメージを形作るプロパガンダが、外国のメディアを利用して上手く行くかどうかにかかっている。
中国の指導者は、外国の中国に対する見方を操るため、国内に流れるメッセージを管理している。そして、外国に流れる情報を内からコントロールしている。
孔子学院という中国語と中国文化を教える学校を外国に建て、プロパガンダのPR活動をしている。
中国上層部は、アメリカが中国を封鎖し分断しようとしている、と「本気で」思っている。そのために軍備増強をしている。
殺手カンというものは、自国より強い国の急所をついて勝つための非対称兵器である。それが破壊する兵器よりはるかに安価で、敵の軍事行動開始を遅らせ混乱させる意図を持つもの。EMP兵器のような、電子機器の無力化を狙ったもの。米軍は軍の兵器のほとんどを人工衛星に頼っているため、これを無力化するのに役立つ。
敵の情報システムや最新システム、兵站システムを無力化するための設備を、中国は持っている。
人民解放軍のある部隊が、企業や国際組織や外国政府を含む141以上のネットワークに侵入している。
【経済発展】
中国の成長を促進しているのは、中国のGDPの40パーを占める国有企業に、国から政策的に与えている助成金である。中国は国有企業の数が多く、民主主義とは程遠い状態にある。中国の指導者たちは、中国の経済と安全保障に必要な主要産業を正しい方向に向かわせるためには、政府の支配が必要であると考えている。
【中国が覇権を取った2050年の世界では】
・ネットの検閲が進み、他国の国民が見るものにも検閲が及ぶ
・アフリカの途上国への支援を通じて、現地に独裁政権を強化していく
・アメリカの敵と同盟を結ぶ
・水質汚染と大気汚染が深刻化する
・外国企業の自国からの締め出しと、IP窃盗
・国連とWTOの弱体化、中国主導の新たな貿易圏の拡大
・大量破壊兵器の輸出
今後は、戦争や領土侵略ではなく、経済・貿易・通貨・資源・地政学的協力をめぐる攻防が起こる。
中国を止めるためには、中国国内の民主的で文明化された社会集団を支援し、中国流プロパガンダを切り崩していくことが効果的。また、同盟諸国やパートナー諸国と連携を結び、法に違反する行為をした際には、世界から孤立することを「分からせる」のがよい。
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アメリカの親中派だった著者が、中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになったという趣旨の本。
ようやくアメリカも気づいたか !!
韜晦 (とうかい)=自分の才能・地位などをつつみかくすこと。形跡をくらましかくすこと【広辞苑】
という言葉が東洋にはあるんだが、
和英辞典で引いても出てこない。
毛沢東の愛読書は『資治通鑑』(中国の歴史書)であった。
欧米(最近は日本も)は、ユダヤ人的の短期的金儲けの視点から四半期決算などと、あまり意味があるとは言えない行為にふけっているが、中国は100年単位で考えている。
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中国が1949年から100年かけて世界の勢力のトップになる計画がある事、著者の元アメリカの対中国の防衛政策担当が親中派だったせいか読みが甘かった事など過去の中国に対する政策失敗例など盛り沢山。孫子の兵法の教えは今も生き続ける。ここからは自分の考えだが、中国の総人口を考えてみても、民主主義に変えてしまうのは、自己中な気質からして国をまとめる立場の人間からすると上手くいかないのを知っている気がする。だから永遠に中国共産党のまま、民衆を政府の監視を置いておき政府は尖閣諸島や日本の西側を好き勝手にやり続ける。これは日本やアメリカの国力を見越しての行動とは思う。習近平の言動は奥に秘めた本質を見抜かないといけない。
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【188冊目】元々はpanda huggerと呼ばれる親中派だったという著者。しかし今は、彼の国が、100年マラソンと呼ばれる計画を密かに抱え、アメリカに自らの覇権国家への志向を悟られないように、か弱き国を装って色々な支援を引き出していると認識している。そして、そのときに利用されたのがpanda huggersだという。だから著者は、まずは彼の国がアメリカを倒して覇権国家になろうとしているという正しい認識を持つことから始めよと提案する。
翻訳が上手で読みやすかったよ……
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すべてのアメリカ人に読んで欲しい本。日本人には、今さら何を? という内容。中国の野望なんて、南シナ海で行われていることを見るだけでもわかると思うが。
Posted by ブクログ
巻末の森本氏の解説にある通り、米国はその大国意識の故に、中国の意図を長年に亘り見誤ってきた。
共産中国であろうとなかろうと、中国は権謀術数にまみれた国なのだ。
この本は現代中国について書かれているが、半面米国の思考様式をよく浮き彫りにした本でもある。
Posted by ブクログ
・勝利を手にするまで、数十年あるいはそれ以上、忍耐する。
・「鼎の軽重を問うな」十分な力を備え、敵に対峙できるようになるまでは、自分が敵であることを悟られてはならない。
・挑戦者によって最悪の間違いは、好機が訪れる前に、覇権を握る強国と対立すること。皇帝が力を失い、同盟国に見捨てられた段階になって初めて、挑戦者はその真の目的をむき出しにする。
・皇帝を操って、そうと気づかれないように自らの成長を後押しさせる。
・皇帝を促して、挑戦者の野心を疑う皇帝の側近を処罰させ、利用できそうな側近を重用させた。
・趙紫陽や胡耀邦が真の改革者であることをしらずに、鄧小平や江沢民が真の改革者と思っていた。アメリカにとって取返しのつかない過ちだった。
・中国の国家戦略は中国人の歴史的知恵の産物。孫子の兵法や戦国策から導かれる「勢」という思想に基づく。
・この論理を活用して、米国を操作し共産党革命100周年にあたる2049年までに世界の経済・軍事・政治のリーダの地位を米国から奪うことを狙っている。
・胡錦濤は、台湾を征服するより「買収」するほうが楽で金がかからない。