前作に引き続き、興味深く読み終わったした。
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ひとりのこどもをちゃんとした人間に育てるには、四人の大人が必要とされるのだ。
糖尿病は糖分と精製炭水化物のとりすぎがもたらした生活習慣病なのだ。これは最初に文明病として記録された病気のひとつであり
...続きを読む、生活に砂糖と小麦が登場した時期と重なる。
重要なこととして、塊茎(ジャガイモ)を含めこれらの作物はすべて、高密度の炭水化物、すなわちデンプンの塊だった。これが文明だ。
(「共進化」)それが意味するのは、二つの種が長年にわたってともに影響しあいながら進化してきた場合、(略 感染性細菌と人間)敵同士であったとしても、一方を排除するともう一方もダメージを被るということだ。
数々の証拠が、心臓病はトリグリセリド値から予測できることを語っている。そしてトリグリセリド値は、盗った脂肪の量でなく糖の量に比例して増える。トリグリセド値が高く、HDLが低いプロフィールは、心臓病との関連が非常に強い。
「私たちが思考と呼ぶものは、進化の過程で動作が内在化したものである」
長い進化の鎖のどこにおいても、脳の動きとの間にはこのようなつながりが見られる。その相関は明らかで、多くの動きが求められるほど脳波大きくなっていく。
瞑想はある意味で狩猟採取時の心の状態とよく似ているというものだ。(略)瞑想とは、「今、ここ」に注意や意識を向けることであり、それはまさに野生の人々が自然環境で生き延びるために必要なことなのだ。
「いつでも反応できるよう注意し、警戒する」とはまさに狩猟採取民の性新常態だ。進化の導きにより、わたしたちは注意・警戒することで報酬が得られるようになっていることがわかってきた。
進化が狩猟採取民に与えた生き残るための方策も「新しい変化に着目すること」だった。
バソプレシンであれ、「社会性分子」オキシトシンであれ、わざわざ鼻からスプレーしたりしなくても、運動すれば自然に放出される。
オキシトシンは諸刃の剣なのだ。
(略)(信頼、共感、忠誠といった望ましい性質を促進する一方で、同胞への偏愛を強め、それ以外への偏見を強める。)
よそ者への不信は、自分にもっとも近い人々を信頼する社会的結び付きの裏返しなのだ。
人が仲間と協力するだけでなく、(捕食者に対し)抵抗し防御するという点でも適応を助けているのだ。
ヒト科が大きな脳を進化させるには、保育と食料供給における協力が欠かせなかった。はじめに共同保育ありき、なのである。
事実、自律神経系を軸とするこの(呼吸を調整する)システムには音楽ーとくに、ポーガスが「韻律」と呼ぶものーが深く絡んでいる。韻律とは、音楽、過小、氏、詠唱のリズムや抑揚のことだ。(略)人間の発達においては音楽は言語より前から存在したと述べている。それは、音楽のほうがより重要であり、鳥や鯨といったほかの動物の進化においてもすでに音楽は存在していたからだ。
迷走神経と繋がる器官や部位の多様さを見れば、それが作用するのが精神面の健康だけでないことが容易に理解できる。じつのところ、現代の身体疾患の多くは、迷走神経と腸神経系が関わる領域で起きているのだ。
リラックスと覚醒はおもっているほど対立しているわけではない。(略)最たる例はセックスで、もっとも基本的な心臓のポンプ活動という意味では完全な覚醒が求められるのと同時に、リラックスして完全に心を開き、相手と繋がることを求められる。