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◎ピケティに次ぐ欧州の新しい知性の誕生◎
オランダの29歳の新星ブレグマンが、「デ・コレスポンデント」という
広告を一切とらない先鋭的なウェブメディアで描いた
新しい時代への処方箋は、大きな共感を呼び、全世界に広がりつつある。
最大の問題は、人間がAIとロボットとの競争に負けつつあること。
その結果「中流」は崩壊し、貧富の差は有史上、もっとも広がる。
それに対する処方箋は、人々にただでお金を配ること、週の労働時間を15時間にすること、
そして国境線を開放することである。
それこそが、機械への『隷属なき道』となる。
【目次】
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
第8章 AIとの競争には勝てない
第9章 国境を開くことで富は増大する
第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
解説 欧州の新しい知性の登場 日本語版編集部
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
「AI」「ベーシックインカム」という単語ばかりが横行していて、労働時間は減るどころか増えているのは何も日本だけではなく、むしろアメリカをはじめとする"上流階級"の人々が感情的に受け入れられないからこそ未だにベーシックインカムは施行されず、「くだらない仕事」がはびこっている。
私は最近日本では底辺職と呼ばれる仕事から転職したが、PCの各企業のソフトウェアを「操作」しているだけで、何も生み出しているわけではない。もしAIが代行するようになれば、一瞬でクビである。まあ、「ワークシェアリング」であり「週20時間」であるから、悪くはない仕事であり、業種としては当分無くなることはないのだが、今後も続けられる仕事か?というとさらにアップグレードが必要であり、考えさせられる。
配偶者は文中にもあるような典型的な貧困労働者であるが、ベーシックインカムがまだ実行されぬうちは、このような本ばかり読んで実際にほぼ働かない私とある意味バランスが取れているのかもしれない。実際ポケットにお金は入るのだし、私は知識でその穴を塞ぐのだ。
安楽死も大麻も同性婚もダメな我が国でベーシックインカムはまだまだ先であろうが、まずはこの年百十数万円を無理なく生み出せる思考と行動が身につけばと考える。
Posted by ブクログ
【目次】
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
産業革命以降の2世紀で、長く停滞していた世界経済は250倍、1人当たりの実質所得は10倍に増えた。これは中世の人々が夢見た「ユートピア」なのか?
ではなぜ、うつ病が歴史上かつてないほどの健康問題になっているのか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
生活保護や母子家庭手当て、就学援助、幾多ある福祉プログラムを全てやめる。
そのかわりに全ての国民に、例えば一律年間150万円の金を与える。それがベーシックインカム。ニクソン大統領はその実施をもくろんでいた
p38
ハイエクやフリードマンも支持したベーシックインカム
その考えは、まさに時宜を得ている。
p40
ミンカムとは、カナダで行われた初の大規模な社会実験で、世界最大規模のベーシックインカム実験である。
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
ベーシックインカムがなぜ有効なのかは、貧困がもたらす欠乏の害を調査するとわかる。
貧困はIQを13ポイントも下げる。奨学金や有効な教育プログラムにいくら投資しても、そもそも貧困層にいる人は申し込まないのだ
p61
欠乏感を抱いている人間は、短期的な問題を処理するのがうまいのだ。貧しい人々は、短期的には、収入の範囲内でやりくりするのが極めて上手だ。働きすぎのCEOが、取引を巧みにまとめられるのと同じである。
欠乏はあなたの気持ちを、差し迫った不足に集中させる。五分後に始まる打ち合わせとか、翌日に迫った支払いとか。そうなると、長期的な視野は完全に失われる。
「欠乏は人間を消耗させる」
第4章 ニクソンの大いなる撤退
60年代初頭、ベーシックインカムは、フリードマンのような右派からガルブレイスのような左派まで大きな支持を得ていた。
それを潰したのは一部の保守派が持ち出してきた19世紀英国での失敗だった。
ニクソンに渡された報告書
p84
世界初の社会保障制度の一つである十九世紀のスピーナムランド制度
第5章 GDPの大いなる詐術
ロシア人教授クズネッツが80年前に基礎を築いたGDPは進歩を表す神聖なる指標だ。
だがGDPは多くの労働を見逃し、医療や教育のサービス分野でも効率と収益に目を向ける。
人生を価値あるものにする新しい計器盤を検討する
p110
「GDPの観点からいえば、アメリカで最悪の家庭は、家族として機能している家庭だ。すなわち、自分たちで料理し、夕食後にみんなで散歩したり、話したりして、子供たちを商業文化に任せっきりにしない家庭である」
p112
「コミュニティの中で唯一、ある階層だけが、金のことを金持ちよりもよく考える」とオスカー・ワイルドは言った。「それは貧困層だ」
p125
数字による統治は、もはや自分が何を求めているのかわからない国、ユートピアのビジョンを持たない国が、最後にすがる手段なのだ。
p126
GDPの考案者であるクズネッツは、その算定に軍事、広告、金融部門の支出を含めることを戒めた。しかし、彼の助言は聞き流された。
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
ケインズは1930年の講演で、「2030年には人々の労働時間は週15時間になる」と予測した。
ところが、産業革命以来続いていた労働時間の短縮は70年代に突然ストップした。
借金によって消費を拡大させる資本主義の登場
p133
カール・マルクスも、いずれ誰もが、「狩人や漁師や牧夫や批評家でなくとも、朝には狩りをし、午後には釣りをし、夕方には家畜の世話をし、夕食後には批評しあえるようになる」と未来を楽観した。
p137
人類は、余暇革命を迎えるはずだった。
p152
死の床にあって、「あともう少し会社にいたかった。もう少しテレビの前に座っていたかった」と考える人はいない。
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
「空飛ぶ車が欲しかったのに、得たのは140文字」とピーター・ティールは揶揄する。
過去30年の革新は富の移動に投資されてきた。
優秀な頭脳が銀行員や会計士よりも研究者や技術者を選べば、才能はより社会に還元されるのだ
p156
仕事とは他になすべきことを持たない人々の逃げ場である。———オスカー・ワイルド
p167
グレーバーの分析によると、数えきれないほど多くの人々が、仕事人生のすべてを、自ら無意味と思う仕事に費やしている。
p168
いくつかの研究は、管理職が多い国ほど、生産性と革新性が低いことを示している。
第8章 AIとの競争には勝てない
産業革命時代、織物工は蒸気機関に仕事を奪われた。
そして今、AIとロボットが「中流」と呼ばれる人々の仕事を奪う。
その結果、富の不均衡は極大化する。
今こそ、時間と富の再分配、労働時間短縮とベーシックインカムが必要だ
p182
まず奪われたのは、私たちの給料だ。アメリカでは、平均的なサラリーマンの実質給与が1969年から2009年までの間に、14%下がった。ドイツから日本に至るほかの先進諸国でも、生産性は伸び続けたにもかかわらず、何年にもわたってほとんどの職種で賃金は上がっていない。最大の理由はシンプルで、仕事がどんどん減ってきているのだ。テクノロジーが進歩したせいで、豊穣の地の住人は、世界の数十億の労働者とだけではなく、機械とも競わなければならなくなったのだ。
p202
教育と福祉の革命によって第一次機械化時代を乗り切ったように、第二次機械化時代を乗り切るにも、抜本的な対策が必要だ。例えば、労働時間の短縮と、ユニバーサル・ベーシックインカムである。
p207
不平等は広がり続け、機械にはできない技術を習得しなかった人は、わきに追いやられる。一方で、裕福で高学歴の人々は結束を固めていく。ヨーロッパではすでに、アムステルダム、シュトゥットガルトやミュンヘンなどにコンピュータ技術者が集まっている。
第9章 国境を開くことで富は増大する
西側世界は途上国支援のために50年で5兆ドルを投じてきた。
だが国境を開けば世界総生産は67~147%成長し、65兆ドルの富が生み出される。
わずか62人が35億人の総資産より多い富を所有する偏在の要因は国境にある
p221
「グローバリゼーション」のこの時代に、母国外で暮らす人は、世界人口のわずか3%だ。
p257
新自由主義思想を世に広めたハイエクとフリードマン
第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます
1954年12月21日に洪水が来て世界は滅亡する。
そう予言した主婦とそれに付き従った人々。
その予言が外れても信者たちは信念を変えない。
だが、一人の真実を見抜く人の勇気ある声が幻想を崩し、現実を変えることもある
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
この本で提案したのは、大きな路線変更だ。奴隷制度の廃止、女性の解放も、唱えられた当初は、正気の沙汰とは考えられていなかった。
そうした「大きな政治」を左派は思い出し、右派も同調する変革へと進むべきだ
p268
スイスの国民投票によってベーシックインカムの議論は終わったのではなく、始まったのだ。
解説 欧州の新しい知性の登場 日本語版編集部
p306
ベーシックインカム制度が導入されれば、日本の生活保護をめぐる様々な問題は一挙に解決するだろう。(中略)小田原市の職員が「保護舐めんな!」とプリントされたジャンパーを揃いで作って、生活保護過程を訪問していたような問題もなくなる。
Posted by ブクログ
隷属なき道 ルトガーブレグマン 文藝春秋
AIとの競争に勝つベーシックインカムと1日3時間労働
原題を「UTOPIA FOR REALISTS」と言う
この本でグレグマンが主張することを一言で表せば
狩猟採集時代の自在性と対等性を取り戻すということだ
個々がそれぞれに中心となって手段として自主的に集う
全体観である
嘘と秘密を無くして透明度の高い再分配の徹底を目指し
押し付けられた社会的価値観による労働環境を必要最小限にし
権力による縄張りの理不尽な国境線を取り払うことによって
個々の自由な裁量と切磋琢磨によって競争世界を卒業し
個性という凸凹を補い合う相乗効果をもたらすと言うものだ
縄文時代と違いA I とロボットによる客観的な判断で戦争を無くし
過不足のない技術力と生産性で飛躍的な自由自在性を得た人類は
奴隷なしの直接民主主義を手にするチャンスを勝ち取り
形を持たない意識の成長を目指す創造の世界に向かって
丸腰で歩む喜びと冒険を可能にしたことを
この本によって証明したのである
生産性の向上と分配制度の確立で得た具象的な生命維持の安定は
人生の大半を占めてきた手段である限りない所有欲と権力の獲得を
限りなく薄めてくれる
それは人生の目的である抽象的な精神性の探求と表現に
打ち込む事を可能にする新たな次元へのアプローチとなる
すべての人に理解してもらいたい本である
中でも官僚を始めホワイトカラーに読んでもらいたい
客観性と具体性に満ちた説得力のある内容で歴史を紐解き
近未来を想定する有史以来の対立関係から
共生関係に社会を脱皮させるための手続きが示されている
洗脳されてきた競争原理を卒業して
切磋琢磨の共生関係を目指す事を可能にする
広告のないWEBメディアで描き出す次の時代の処方箋である
AIとロボットの出現で社会の主流をなしてきた中間層が無くなり
貧富の差が限りなく広がり続けているこの時代に必要なのは
余暇を十分に活用できる意識改革であり
それを支えるユニバーサルベーシックインカムと
社会的な生産に関わる労働を減らすことであると言う
コレが機械への隷属を卒業して
対等性と自在性を生み出す意識革命の道である
貧困は人間個々のIQを13ポイントも下げる
貧困家庭の子は見栄とプライドで奨学金を避ける
差別的で損得の福祉だと依存してしまうが
安心と信頼を生み出すBI制度ならば自主的に選択して行動しだす
BIはジョンソンやニクソン政権下で実現寸前まで行ったが
ニセの統計に騙されてツマズク
ケインズが2030年までに週15時間労働になると
1930年に予言した
1960年まで減り続けた労働時間が
80年代から女性の参加もあって増え始めた
現在62人の大富豪が持つ富が
底辺の35億人の総資産よりも多い
国境の開放で労働力が移動し世界の総生産は67%以上増える
米人の仕事の47%と欧州人の仕事の54%が
20年以内にAIに奪われる
余剰生産物が多くなるほど再分配を掠め取る経済システムが作られ
ホワイトカラーという生産に関わらない無味乾燥な仕事が
利益の多くを吸い取るようになる
生産に注ぎ込まれるはずの株はデイトレーダーによって利権に利用され
社会の手段であった経済を目的にお仕上げる
人間本来の目的であった出合いの選択と
切磋琢磨による意識の向上と言う日々の冒険を失い
生き甲斐もやり甲斐も無くしてしまう
嘘をつき相手をだまして奪い殺すという所有欲を満たすだけのために
不安恐怖の中で過去の権利と暴力に依存する無味乾燥な人生に
落ち込む情けない生き様になる
そこに登場するのが完全無条件のベーシックインカムなのである
Posted by ブクログ
表紙では、ベーシックインカムの導入、一日3時間労働の主張が強調されているが、多数の統計・実証的研究に基づいている地に足の着いた本。貧困が人の長期的な視野・冷静な判断力を奪うという分析は衝撃的だった。
著者の支持するハイエクの新自由主義がどこまで正しいかはわからないが、福祉をやめベーシックインカムを平等に分配することが、むしろ自立につながる、という主張はよく理解できる。ベーシックインカム導入はともあれ、平等な負担で貧困を解消しないと、既得権益(?)を受けている高齢者の福祉制度を維持することも困難となり、共倒れになる。そこでま現状が来ていることを再認識させてくれる一冊。
Posted by ブクログ
「ベーシックインカムなんて幻想だ!」という幻想をどうやって私たちが抱かされてきたのか、という幻想解体新書として面白く読んだ。筆者のポジティブさには玄田侑士さん『希望のつくり方』に通じるものがある。できるかどうか、ではなく、どうやって実現させるか、そこが問題だと。
なるほど。
では、ベーシックインカムの金額はどう決めるんだろう?国境をなくすことが前提だから、全世界一律?
ベーシックインカムを導入したとして、解決されない介護、保育のニーズの問題は?
1日3時間労働に絶対ならないエッセンシャルワーカーの存在はどう考えるの?
うーん。
解除しなければならないバリアはいっぱいあるらしい。けれど、富の偏在ありきで発想して仕事を続けることに、ここ数年、本当に限界を感じている。椅子取りゲームの非倫理性にもうんざり。
けど、人口の3%が本気出すと社会は変わるらしい。
いつ変わるかは分からないけど、変える方に一票。
そう思える本だった。
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ビジネス・実用
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