野中香方子のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
共感はブラインドスポットを作り出し、それは即ち悪を生み出す。
繋がりが多様になった現代。自分ではない存在を知ることは容易で、自他の境界が数多存在する。それは自分にスポッとを、他者がブラインドスポットになることにも繋がり、また、繋がりがある者同士でしか共感しないことに拍車をかける。
そうして悪が加速した。
そして、共感しない人がトップに躍り立つ。
ブラインドスポットに共感しない者が、ブラインドスポットを敵とみなし、そこに共感力が高い人がフォローし付いて行く構図になる。
それで正しいのだろうか?
そうして起きた戦争、迫害、犯罪…はこれらの延長線上にある。
しかし気付いた。私たちには理性がある、 -
Posted by ブクログ
『ほとんどの人は、本質的にかなり善良だ』
この本は、この一文に向き合い、世界中の事例から証明しようとする本だ。
上巻では、無人島に残された少年たちは争い、ホッブズの「万人の万人に対する闘争状態」に陥ることを小説にした『蠅の王』を覆す『本当の蠅の王』の話から、
ジャレド・ダイアモンドが証明したイースター島の歴史を覆す話、
ミルグラムの電気ショック実験の真実、
キティ(スーザンジェノヴィーズ)の死で有名になった「傍観者効果」の真意、
そして、報道による読者への方向付けの注意喚起までを著している。
導入であり問である『人は本質的に善良だ』に対し、日本で生まれ、26年間生きた僕は、「そう思う。」と -
Posted by ブクログ
メンタル関係で、どのように対応したらいいか?の処方箋、
そしてこんな時はこんなことを試してみよう、という項目や
心理的パターン(不安や自信をなくしているとき)に沿ったツールボックス群が
豊富に記載されている。
個人的にメンタル関係の書籍は何冊か読んできたものもあるが、それらを包括するような内容で今後もその都度参照する1冊だと思えた。
終章には人間関係にまつわる根本が愛着スタイルと関連している記載があるが、やや記載が浅い部分もあるため、別の専門書籍で補足が必要かもしれない。
巻末には各章で記載されいたツールボックスをまとめているため、一覧性としても活用出来そう。 -
Posted by ブクログ
コロナウイルスのワクチンの仕組みと既存のものとの違いについて、かなり詳しく理解できた。本書のテーマは専門的で難しいかもしれないと思っていたが、RNAとその役割について分かりやすく説明してくれており、素人でも読みやすかった。
以下、本書よりメモ書き
コロナウイルスの特徴として、その形状が挙げられる。コロナウイルスの殻の外側にあるタンパク質はスパイクのような形をしていて、スパイクタンパク質と呼ばれる。電子顕微鏡で見ると王冠のように見えることからコロナと名付けられたことは周知の事実。
下記のシノバック、ジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカは伝統的な手法で作られたワクチンで、ビオンテック、ファイ -
Posted by ブクログ
科学の世界で繰り広げられるドロドロの人間ドラマ。特許権や論文を巡る争い、研究室同士の確執…どのような業界でも争いは存在するのである。自身の名誉と利権のためにあらゆる手を使って相手を出し抜く大人たち。笑顔の裏に潜む相手の本心は誰にも分からない。ノンフィクションだが、まるで上質なサイエンスミステリー小説のようでおもしろく読める。
以下、本書より抜粋。
「偉大な科学者だけが持つ特別なスキル。それは、緻密な実験を重ねることと、スケールの大きな問いをすることだ。神は細部と、そして全体にも宿る。」
「科学のブレイクスルーが一瞬のひらめきで起きることはめったにない。それらは総じて10年以上にわたって演じ -
Posted by ブクログ
私たちは経済成長をいいものだと思っているが、必ずしもそうではないのかもしれない。
この本は今まで当たり前に思ってきた価値観が、資本主義によるものであり、それが環境問題や労働の搾取にもつながるもので、あらためて考え直してみる機会をくれた。
資本主義は、限りなく成長を求めさせ続けるもので、財やサービスの生産は、それがどのように役にたつかという使用価値でなく、より利益になるようにと交換価値に重きをおくものになっている。
そして、人為的に希少性をつくることで、あふれるほどの富がありながら、満たされることなく、より成長を求めて、自然や労働が搾取されていくような状況をつくっている。
資本主義は、いい面も -
Posted by ブクログ
資本主義が略奪、搾取を繰り返し、一部の富裕層の懐を過剰に満たす結果となった歴史を丁寧に解説し、これから目指していく世界の在り方を提起している。成長し続けることが必ずしも人間の性質ではなく、資本主義の成長も自然界や弱者から奪わなければ為し得なかったとわかった。成長を目指し続けることが当然の様な現代社会の実態は、過剰な利潤追求であり、本当の幸せを掴めていない。人間は地球上の生命体の一つに過ぎず、他の全てと互いに手を繋ぎ生きていきたいと思った。これまで当然とされていた資本主義や常識に対して本書のような意見を述べる研究者が最近増えており、地球上の全てと共存していける世界に変わっていくといいなと思う。自
-
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
【中国、世界の頂点に向けて…?】
筆者はアメリカの元政府関係者でもあった外交戦略家。書かれたのは2015年、原書タイトルは中国の100年マラソン。
2049年は、共産党成立から100周年のとして、その年を目指した中国の長期的な世界の覇権獲得へ考え方、アプローチが書かれている。
中国のナショナリスト・タカ派の理論こそが、中国の外交アプローチを真に決定づけているものである、とし、中国の歴史を遡って戦国時代の思想家・戦略家の考え方を理解することで、現代中国の世界派遣に向けた長期戦アプローチが見えてくるとする。孫氏や三国志のエピソードが引用されている。
全力でアメリカの視点から書かれた本であること、 -
Posted by ブクログ
人間のそもそもの本性が利己的でも暴力的でもない。自然や植民地を搾取しても良いと捉えた二分論が(GDPの増大という意味の)成長し続けることを強いる資本主義を成立させた。
なので、経営者が強欲なのではなく、投資家、融資先からの成長圧力で必要以上に成長を求めさせられる。
しかし、ケインズが100年ほど前に予想したように、人間の労働時間を下げ、ワークシェアし、健康と生態系に配慮した生活をすればより幸せになる。
GDPが一定以上成長せずとも、公共福祉に投資すれば、収入をあげなくても幸せに暮らせる。
そういったことをネイチャーネガティブと気候変動リスクという背景や、歴史的経緯と合わせて解説してくれる本 -
-
-
Posted by ブクログ
これは希望に満ちた本である。
そして、真実というのはとても見えにくい事がある
・ほとんどの人は本質的にかなり善良だ
・ルソーの思想が正しいのでは?
・過酷な環境になると人は善良に動く
・本当の「蝿の王」はびっくり、本と真逆であり、とても心暖まる話だった。
・協調が重要
・「利己的な遺伝子」はホッブズ流
・アーレントの重厚な哲学(人間は善を装う悪に惹かれる)
・コミュニケーション、対決、共感、抵抗が重要
・人間の本性についてのわたしたちの見方が間違った方向に進みがち
・ジャーナリストは、扇情的な話を売るために容易に世論を操る
・緊急事態において、いかにわたしたちは互いを頼りにできるか -