野中香方子のレビュー一覧
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138億年前の宇宙の誕生から私たちが生きている現代までを一続きの物語として描く。今の自分が138億年のあいだに起きた出来事と確かにつながって生きていることがよく理解できるようになった。
「宇宙や生命がどのように生まれ」「生物はどのように進化し」「私たちの先祖はどんな暮らしをして」「科学は私たちの生活をどう変えたのか」「戦争はなぜ起き」「私たちは今どんな世界に生きているのか」そして、「私たちはこれからどう歩むべきなのか」。この本を読むと、こうしたことを理解し、考えていくことができる。
「本が必要だ。シンプルでわかりやすく、しかも1冊でこの地球で起きたことをすべてつなげられるような本が。」そんな本はこれまでなかった。だから、著者は自分でこの本を書いたんだと述べている。
138億年の物語を味わうスリリングで知的な旅を味わうことができた。1冊まるごと通読せずとも、興味のある章だけ読んでみるのもおすすめ。宇宙が好きな子、生物が好きな子、歴史が好きな子、宗教に興味がある子、戦争について知りたい子、発明に興味がある子、いろんな子に響く章がある。
もう一度読んで理解を深めたい。 -
Posted by ブクログ
様々な資源や物が浪費される現代社会において、最も浪費されているものは何か。それは人間の才能であると著者は言う。世界をよりよくする能力を持ちながら、その才能を社会の課題の解決ではなく、必ずしも大きな社会的価値を生まない仕事に費やしている人が少なくないというのだ。「最高の頭脳の持ち主は、どうすれば広告のクリック数を増やせるかということばかり考えている」と嘆き、フェイスブックに投稿した人物もいたという。
こうした才能の浪費を克服するために、著者は「倫理的野心」を持つことを提唱する。それは、社会が抱える困難な問題の解決に自らの職業人生を捧げ、よりよい社会を次世代に引き継ごうとする意志である。確かに、そうした仕事は、インフルエンサーやマーケティング担当者、ロビイスト、経営者、コンサルタント、企業弁護士など、社会的地位や報酬の高い職業に比べ、必ずしも高い給与を得られるとは限らない。しかし著者は、人間の善性や可能性を信じ、何らかの契機を得て、こうした生き方を選ぶ人々が現れることに未来への希望を見いだそうとする。
本書では、実際に「倫理的野心」を抱き、様々な社会問題に立ち向かった人々の足跡が紹介されている。
個人的に興味を持ったのは、著者が倫理的野心を実現するうえで、戦略性を重視している点である。善意にあふれ、高い理想を掲げていても、何の成果も上げられない人を「ノーブル・ルーザー(誇り高い敗者)」と呼び、否定的に捉える。理想を掲げるだけでなく、それを現実の成果につなげることが重要だというのだ。また、「倫理的野心」の実現には、資金的な裏付けやテクノロジーの活用も必要だとするなど、現実的な側面を重視していることも興味深い。
さらに、道徳的な配慮を向ける対象の範囲、すなわち「モラル・サークル」を広げていくことを重視し、その外側に動物の権利を位置づけている点も印象的だった。工場式畜産を否定する著者の主張には賛否が分かれるだろうが、必ずしも社会で広く共有されていない問題についても、自信を持って自らの立場を主張する姿勢が貫かれている。
現在では当たり前とされる考え方も、かつてはそうではなかった。例えば、奴隷制の廃止を主張することは、18世紀には命を落とす危険さえ伴ったという。著者の言う「勇気とは常に相対的なものなのだ」という言葉は、時代や社会の価値観によって、何が勇気ある行為とされるかが変わることを示している。
人間の打算的な側面や社会の将来に対する悲観的な見方が目立つ現代にあって、人間の善き可能性を信じ、よりよい未来を切り拓こうとする著者の楽観主義は好感が持てる。本書は、社会を変える力が人間にはあるという希望を与えてくれる一冊である。
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Posted by ブクログ
著者がスモール・トラウマと呼ぶごく小さな心の傷について扱った本。それは多岐・多数にわたるもので、実は人生に大きな影響を与えています、という内容。そのことを自覚するとともにどう対処するとよいのかまでを、さまざまなケースを見ていきながら自らの中に落としこんでいくような読書体験が得られます。
一度読み通してなお、また読み返したくなる本でした。難しいから再度理解したいからなのではなく、滋味あふれる中身とその情報量そして、それらを合わせて感じられる癒しのような感覚を再び得たくなったからです。内面の感覚や経験したモノのなかには言語化がうまくいかないモノはけっこうあるものですが、そこに無理なく意味というものを感じることができるようになります。それはときに、「そうか、そうだったか…!」という、地に足がつくような気づきになるのでした。着地できた感覚が得られることにより、自分が少しばかり浮遊していたことがわかるのです。
表そでに書かれた文章と、最終章の最後の箇所を引用すると、本書の方向性がお分かりいただけそうです。
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もしあなたが、「何が悪いのかわからないけれどなんとなく充たされない」と感じているなら、この本はあなたのためのものです。(表そで<表紙カバーを折った内側の部分>より>)
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続いて、本書末尾の文章↓
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最後に、メンタルヘルスについて無視され、汚名を着せられ、阻害されたことのあるすべての人へ。あなたの生活体験とスモール・トラウマは、あなたと同じように、あなた独自のものですが、あなたは一人ぼっちではありません。スモール・トラウマについて語り合い、それをカーペットの下から引っ張り出して、メンタルヘルスというスペクトラムについて、より良い理解と治療への道を開きましょう。(p296-297)
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人の内面を扱うので、内省に慣れていない人は読んでいると時折こころに重い負荷を感じたりするかもしれません。それでも、じっくり読んでそこで書かれている内容を頭で考えながらこころでも感じてみれば、内容や文章には優しさがあふれていることがわかります。読み手を突き放すタイプではなく、寄り添うタイプの本であることを基本として踏まえておくと、おそらく気持ちを開いた状態でいろいろな知見を頭の表層より深いところで得られると同時に、ごく軽い治療のような効果も感じられるでしょうし、気持ちは前向きにもなれそうです。
内容は各章ごとにそれぞれ違いますし、金言と言えるような鋭いセンテンスにも頻繁に出会えます。今回は以下で、そうした中身を味わいながら感じたこと・考えたことを箇条書き的に記していき、終わりにします。
◆心理療法を受けられなくとも、読書をすることが読書療法になることが知られている、と本書のはじめの方に書いてある。読書量が減っていると言われる昨今はまた精神疾患が増えてきてもいる。少し関係があったりするのかもと思った。
◆何かを諦めるときに、受容の気持ちもセットでそこにあったほうがいい。失敗や挫折から立ち上がるというのは受容があってこそでしょう。そして、受容は自分を責めることとはまたちょっと別。たしかに心の痛みやきしみは感じるかもしれないけれど、それは副次的なものですよね。
◆役人は無神経と言われたりする。何事も知性的にこなすきらいがあり、感情を働かせずに頭で何事も処理するよう要求されるシステムの中に埋没するからかもしれない。その無神経さは、麻痺と言い換えることができるのではないか。うつの人がじぶんの状態を麻痺と表現することがある。麻痺は鬱病を誘うのかもしれない。
地方公務員だった僕の父は、職場の同僚達がメンタルヘルスを失調した話をよく聞いてきた。その頻度は高いのか低いのかよくわからないけれど、ごく少数とは言えない数という印象を僕は持った。無神経であることへと無意識に自己変化を遂げさせてしまう場(職場環境)が、うつを作り上げていやしなかっただろうか。
無神経さとそこから繋がる麻痺感覚。本来、注意をはらって言葉にしていくべきことをしない、あるいはできないことで、無神経になったり麻痺したりする。そういった、意識が取り逃したものは無意識のなかに溜まっていき、コンプレックス(心理複合体)になってメンタルに影響する、とは考えられないか。
公務員の誰それが自死した、なんていう表沙汰にはならない話が耳に飛び込んでくることだって、なにも起きなそうな、僕の住む小さな町であってもたまにありますから。場、システムが悪く作用しているんじゃないか、とうっすら考えたりしました。
◆人はみな思いたいように思うからステレオタイプに考えたりしてしまう。ステレオタイプはマイクロアグレッションにつながり、マイクロアグレッションにさらされた人はインポスター症候群への扉が開かれてしまったりする。それは生きづらくなるということ。自分の持つバイアスを自覚できるかどうかだ。
◆「ダイエットする」「運動する」「早寝早起きをする」など、そういった決意をして今からがんばろうとするのはすばらしい。僕にもそういうときがあるし、決意を口にしたりSNSに書いたりしてがんばろうとする。でも現実にはなかなか毎日続かなかったりする。断続的になるのはまだいいほうだ。
こういった決意に基づいた行動を続けていくための心理テクニックを知った。それは「ダイエットする」だとしたら、「ダイエットする人になる」と言い換えて決意するのです。同様に、「運動する」ではなく「運動する人になる」とする。これで継続率が変ってくるようです。
◆コロナ禍の時期、トリアージ(命の選別)という考え方が広く知られたと思うのだけれど、そこには従事者の心理的苦痛がやっぱりあったわけです。モラル・インジャリーというそうで、これもトラウマの一種なのかな。社会的なドライさが標準、みたいに思いがちだけど、人間性を忘れちゃならない。
◆高収入を得るには自らの倫理観を犠牲にしなければならない、っていうのは世の中あるわなあ。
◆<この大変な世界では、きっとだれもが同等に、傷ものなんだ。(森絵都『カラフル』p228)>を思い出しました。
誰もが傷を抱えている。そう知り、認めることができたなら、生き方は変わっていく――、回復というものはこういった段階を踏むものなのではないのでしょうか。スモール・トラウマの本(本書)を読んでいると一層そう思いました。 -
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まだ読み始めたばかりなので、評価や感想を書く段階にはありません。
しかし、『福田村事件』を読んで、ギュスターブ・ル・ボンの『群衆心理』を、読後の感想の引き合いに出したので、書いておかずにはいられない。
確かに関東大震災時の際に流言蜚語により、多くの朝鮮人の方々や誤解されて悲惨な目に遭った方が多くいたことは間違い無い。
しかし、一方で、この『Humankind 希望の歴史』の冒頭を読めば…
《『群衆心理』は誤りだ》
それは、上流階級の人々が“でっち上げた“民衆の愚かさ。であることも分かる。
【ほとんどの人は本質的にかなり善良だ】
まだまだ上巻の30ページまで読み進めただけだが、タイトル通り《希望の歴史》がこの後語られていくのであろう。
人間。捨てたもんじゃ無い。
どうしても書いておきたかったので、本来は読後に書くべき所を先に書いてしまった。
上巻、下巻と読み進めるうちに…そして完読した際に再び、この『評価と感想』に追加で書かせて貰おうと思う。
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Posted by ブクログ
これも読書メモを再掲。
34 よりよい世界は共感から始まるのではない。共感は寛大さを損なう。選ばれた少数にスポットを当てることで敵の視点に立つことができなくなる
44 権力は麻酔薬のような働きをして人を他者に対して鈍感にするらしい
58 私たちは良いリーダーを持ちたいと願うが、その望みが打ち砕かれる事があまりに多い。ゲルトナーによると、それは優しく親切な人だからとリーダーに選ばれても権力のせいでそれらの失うか、あるいは本来そうした美徳を備えていないかのどちらかだ。階層的な社会ではマキャベリ主義者が勝つ。なぜなれ、彼らはライバルを打ち負かす究極の秘密兵器を持ってるからだ。これは恥を知らないことだ
71 都市や国家が、最悪な人間ではなく、最良な人間を想定していたらどうなるだろう、ノセボ
75 真実だと証明できなくても信じるしかないものがある、友情や愛や信頼
79 ピグマリオン効果⇔ゴーレム効果
126 7つの治療薬(ベネズエラ)、コモンズ
83 憎しみと同じく信頼も伝染する
214 エピローグ
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Posted by ブクログ
話題のファージ医療について知りたくて、読んでみた。
まずバクテリアファージとは何なのか。
本書によると細菌(バクテリア)を殺すウィルスであり、基本的に人間には無害で、細菌の細胞に自らの遺伝子を注入する、とのことだ。なるほど。
著者の住むイギリスでは、市民が簡易キットで身近な場所の水を採取し、研究所に郵送するファージ・ハンティングというのを実施しているそうだ。
この取り組みで実際に大いに期待できるファージが数百も発見されているというのはすごい。
ページ数としてはファージの歴史について書かれている部分が多かった。
最後にイラスト付きでいくつかのファージを紹介してくれているのだけど、エイリアンかと思うようなヤツがいた。面白かった。