野中香方子のレビュー一覧
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『Humankind』上下巻を通して読んで、最後に強く残ったのは、「人の本性は善か悪か」という根源的な問いである。著者のルトガー・ブレグマンは、歴史や心理学の通説に疑問を投げかけ、人間は本来善であるという立場から議論を展開してきた人物だ。本書でも、スタンフォード監獄実験やミルグラム実験といった、「人間の本性は悪である」ことの根拠としてしばしば語られてきた研究を再検証し、その解釈や広まり方に大きな問題があった可能性を示していく。
この本を読む前の自分なら、「人の本性は悪か」と問われれば、おそらく悪だと答えていたと思う。人類の歴史を振り返れば、争いや戦争の記録があまりにも目立つからだ。人は互いに -
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斎藤幸平氏と同じ主張で目新しさはないが、ここまで地球環境の悪化が進んでくるともうこの道しかないと言う気もするし、一方で脱成長の世界がディストピアにも見えてくる。
著者が描く「バラ色の」世界を読んで思い出したのが、共産主義末期の1989年に旅行した旧ソ連の世界。メガネメーカーが一社しかないのか誰もが揃いも揃って同じ古臭い額縁メガネをかけ、商店に行ってもモノがない。車もモデルチェンジがないから年代物が幅を利かせている。確かに資源の浪費は減るだろうが、この世界には選択する自由も楽しみもない。日本は恵まれていると思ったものだ。ただここまでしないと地球を守れなくなっているのかも知れない。
先進国で人口が -
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Posted by ブクログ
人間本性の性悪説を支持する研究や言説を叩き潰す。著者のブレグマンはオランダのジャーナリスト・歴史研究者。
上巻で印象的だったのは、ゴールディングの『蠅の王』の章。彼がノーベル文学賞をとった時、私の反応は「えっー」だった。この反応の理由をブレグマンが明快に説明してくれている。
アメリカで行なわれた悪名高い社会心理学的研究をめぐる章も印象的。彼によれば、ジンバルドーのスタンフォード監獄実験は、やらせと演技と演出。ミルグラムの電気ショック実験(別名アイヒマン実験)は、「権威への服従」という無理筋の解釈。「冷淡な傍観者」研究の発端となったキティ殺人事件は、マスメディアの脚色と歪曲(だとすると、研究その -
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ゲノム編集技術CRISPR-Cas9システムの発明者の1人であるジェニファー・A・ダウドナを中心とした物語。
共同研究者のエマニュエル・シャルパンティエと共に2020年にノーベル化学賞を受賞しており、世界的に注目を集める研究者である。
そんな彼女が、そもそもなぜRNAの研究に足を踏み入れたのか、というところから序盤は始まる。
体裁は第三者的な目線で書かれているが、内容が細部にわたり、ダウドナの伝記を読んでいるようであった。
ダウドナの研究の基礎には、指導教官のジャック・W・ショスタクの影響が強い。
ショスタクがダウドナに残した以下の教訓は全ての研究者に刺さるのでは。
「リスクを恐れず新たな分 -
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