あらすじ
対中半導体輸出規制など、ますます進む「経済の武器化」の行方は?
本書が明らかにしているのは、国際社会における「パワー」とは、単に軍事力や経済力といった目に見えるものだけでなく、通信ネットワークを管理する力、規制を他国に押し付ける力、通貨をコントロールする力である。こうした目に見えない権力は、ともすれば見落とされがちだが、本書は、そうした目に見えない力こそが地政学・地経学的なパワーとなっていることを余すところなく示している。グローバルな文脈では、米中対立が取りざたされ、中国の追い上げによって米国の圧倒的な軍事力や経済力が失われつつあるが、それでもなお米国がグローバルな超大国として君臨し続けられるのはなぜなのか、ということを本書はつまびらかにしている。その意味で、本書は、現代における米国の地経学的パワーを再確認し、それを高く評価しつつ、そのパワーを永続的に発揮するための国際秩序のあり方を示している。(日本語版解説「『武器化した経済』での戦いの勝者は誰か?」より)
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Posted by ブクログ
米国の覇権体制は経済・軍事に加え「金融」が大きな役割を果たしてきている。
米ドル通貨体制から排除、スイフトの金融ネットワークからの情報収集などマネーの支配が強化されている。
Posted by ブクログ
政府による支配を回避しようとしたグローバリゼーションが、実際は政府の介入を受け易い世界を作ってしまったのだ。ファーウェイやTSMCを巡るアメリカの嫌がらせについても詳しく説明されている。
情報と金融のネットワークを使ったアメリカによる脅しは中国よりも日本に効くし、我々銀行員に日々負荷を掛けているよ。きぇー
Posted by ブクログ
中国やロシア等に対し米国が繰り出す経済的制裁の、力の力の源について大変理解できた。チョークポイントを押さえる手段をここまで見事に活用していた事に驚かされる。
とはいえ、大国となった中国とロシアが結託している現状では、その威力は大きく削がれている。このままいけば、隙間をついて自力での技術開発等で制裁の効果が更に効かなくなるが懸念される。
Posted by ブクログ
地経学パワーとして、
金融
クラウド(通信網、データ)
知財
があり、これらから締め出すことで
他国に対して、自国に従わせる。
今のアメリカは、同盟国にさえ、この力を使ってくる。
Posted by ブクログ
脅しというか、戦争の道具だな。
ただ経済力というより、インターネットなどの情報が集中するハブになっており、それを極めて有効に利用できることに気がついた。
ネットは、政府や既存の規制からの独立を期待していたのだが、結局のところ、さまざまな効率、費用、利益の点から結局一極集中になり、一旦集中すると動かすことが物理的に困難になり、結局、首根っこを、米国という既存の権力に握られてしまった。
ところがこれが狙ってやったわけでなく、個別対応でこれいいじゃん、が積み重なって来たところもあって色々な思惑、力学が錯綜している。
その舞台には、国家と同じレベルで企業が対等して来たりしたんだが、結局「権力」「規制」からは逃れられない。
その一方で、Chinaという、米国に取ってかわろうというか、多分、取って代わるのではなく、本来天下の正当な支配者である自我の果てしない拡大を目指している異形の文明があって、まあ、大変なんですわ。
それにしても、なんでこう、世の中の誰かのために働くのではなく、いかに金を儲けるか、権力を手に入れるかという動機が赤裸々な行動原理になるのかが、根本のところで理解できないのも、またボク自身の事実。