萩尾望都のレビュー一覧
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ネタバレ大傑作「イグアナの娘」は、決して奇蹟のようにポツンと存在を始めた作品ではない、ということが解る一冊。
親子に生じるあれやこれやを、母視点、娘視点、さらに母と子に挟まれた世代視点、きょうだいの存在、男視点、女視点、老若男女なるべく多くの方角から多層的に描き・重ねている。
ピンク・フロイドの「狂気 DARK SIDE OF THE MOON」のジャケ写よりももっと多方面から、ブラックボックスに光を当てて、当て直して、当て直し続けて、毎回どういうプリズムが出るか吟味している、という感じ。
で、たぶん結論としては地味なところに落ち着く。
歳を重ねたからこそ判ることがある・見えるものがある、と。
あるい -
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ネタバレ最近まとめて萩尾望都短編集を読んでいて感じるのは、一冊の中が統一されていないというか、バラエティがあるというか。
いや萩尾望都は似たテーマや似たモチーフを深化させる人だろうから、発表年が一冊の中でバラバラなので絵柄も語り口も様々に見える、ということなのだろうか。
しかしたとえば「半神」を読んで感銘を受けた入門期の人が、いい意味でも悪い意味でも玉石混淆の本を通読して、どう感じるんだろうか。
と要らぬ想像をしてしまう。
■半神 16p
若いころに衛星放送で野田秀樹が深津絵里主演で舞台化していて、漫画が至高なのに何で、と意地を張って見なかったのを思い出すが、頑なだったなあ。
今回集中的に読んでいて -
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ベリンモンを盗んで逃げだしたアリアドを追って、仁木次郎(にき・じろう)と名乗る調査員が地球にやってきます。アリアドは、アベルのなかに入り込んだベリンモンが奏者である自分と共振すると主張します。アベルは否定しますが、共振の事実が明らかになり、やがてアリアドとともに宇宙へ帰ると仲間たちに告げます。
ところが、アリアドとともに無人の惑星へ向かい命を落としたダリダンの妹リリドが地球へとやってきたことで、アリアドの過去の秘密にアベルの目が向けられるようになります。
前巻では、ややストーリーの中心的なテーマが前面に出てくるまで若干の助走があったように感じましたが、後半ではアベルとアリアドの関係がストー -
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光をうしなったグリンジャは、ふたたび都市をめざします。キラもアシジンのもとから抜け出し、その後センターのメイヤードに身柄を確保されることになります。一方で、地球へやってきたゴー博士は、かつての親友だったイワンが地球でおこなっていた実験についての情報をメイヤードにもたらし、キラがどのようにして生まれたのかが明らかになります。
また、シティの市長の息子であるミカルは、図書でこれまで知らなかった多くの情報に触れることになり、彼らの暮らす世界の仕組みに対する疑問にさいなまれます。
メイヤードのバックに控える「カンパニー」の存在と、彼自身の置かれている立場がすこしずつ見えてきたことで、第一巻よりもは -
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男性ばかりが暮らす世界となった2999年の地球を舞台にしたSF長編作品です。
ただ一人の女性である「聖母」(ホウリ・マザ)が人びとの前にすがたを現わす日に、目もとに青い刺青をもつ青年グリンジャが「都市」(シティ)を訪れ、マザの暗殺計画を実行に移します。都市を抜け出し砂漠を旅する途中で、グリンジャは行き倒れになっていたキラという少年を救います。その後、死にぞこないのアシジンと名乗る青年にキラの身柄を売りわたしたグリンジャでしたが、キラが盗賊にさらわれ、アシジンとともにキラの救出に向かいます。
『スター・レッド』と同様に、特殊な来歴と能力をもつ登場人物がその来歴ゆえに過酷な運命に翻弄されるとい -
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短編作品10編を収録しています。
表題作「半神」は、腰のところでつながった状態で生まれてきた双子の少女ユージ―とユーシーの物語です。美しいけれどもなにもできないユーシーをうしなったことがきっかけで、ユージーのアイデンティティが揺らぎ出します。
「偽王」は、旅をつづける青年エジカが、国を追放され「贖罪者」となった、かつて王だった男と出会う物語です。狂気のなかにあった彼は、エジカについて旅をつづけるなかで、辛い過去の記憶を呼び覚まされてしまいます。
「真夏の夜の惑星」は、SFものの短編です。舞台は異なるものの、『ゴールデンライラック』に収録されている「ばらの花びん」を思い起こさせる内容ですが -
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23世紀のニュー・トーキョー・シティで生活をしているレッド・星(せい)は、火星に移住したあと見捨てられた人びとの子孫です。赤い瞳に白い髪をもつ火星人たちは、超能力をつかうことができ、その力を怖れる地球人たちに迫害されていました。
正体をかくして生活していた星でしたが、エルグという青年に赤い瞳を見られてしまいます。しかし、彼女が火星人であることを見抜いたエルグは、星に協力して火星に潜入しますが、彼女に不審をおぼえた情報局のペーブマンがそのあとを追います。やがて星は、火星に暮らしている火星人たちに出会いますが、彼らが未来を占ったところ、星は災いをもたらすというお告げが示され、星は彼らのもとからも -
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■少女マンガの岸辺で――まえがきにかえて 矢内裕子
■Ⅰ章 イタリアでの少女マンガ講義録
・少女マンガの歴史
・自作についての解説「半神」「柳の木」「ローマへの道」「イグアナの娘」
・質疑応答――イタリア人聴講者からの質問
・ドナテッラ・トロッタ氏によるインタビュー
■Ⅱ章 少女マンガの魅力を語る
・少女マンガは生きている
・私の創作作法
■Ⅲ章 自作を語る 『なのはな』から『春の夢』へ
□萩尾望都氏との初対面 ジョルジョ・アミトラーノ
□イタリアの秋 矢内裕子
□著者あとがき
□解説 中条省平
この数年萩尾望都界隈が滾っている。
個人的には「残酷な神が支配する」で凄まじい漫画に対面させて -
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萩尾氏のナポリ大学での講義内容他。
テーマは 日本における少女漫画史。
漫画については私もあれこれ考察することはあるけれど、「日本における女の子の社会的在り方」に対しての自由への渇望であるとの見方は、「なるほどーーーー」と感じ入りました。
なぜ我々はあらゆるジャンルを漫画に求めるのか。コマの間に何を探って読んでいるのか。なぜBLが確固たるジャンルとして座を占めているのか。
窮屈な日本においてなんだって許される世界が少女漫画!
すごいなー、この「みんなと同じ形」を重んじる日本において、よくこのジャンルが存在を許されたなと感動すら覚える。
ある意味「少女漫画」は少女にしか理解できない謎世界だが、 -
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ネタバレ「トーマの心臓」の前日譚。9歳のオスカーのパパ、グスタフは売れない写真家でママ、ヘラとはケンカばかりだった。ある雪の日グスタフは夫婦喧嘩の末ヘラを射殺する。オスカーがグスタフの本当の子ではないと打ち明け離婚を切り出したからだ。真実を悟ったオスカーは警察に疑いの目を向けられるグスタフをかばい、グスタフはオスカーと犬のシュミットを連れて旅に出発する。グスタフの精神が不安定な中オスカーは必死で旅を続けるが、シュミットの死によりグスタフはオスカーの本当の父親が校長を務めるギムナジウムに彼を残し南米へ旅立つ。
「たとえあなたが裁きをおこなえる神様でも子どものいる家にきてはいけないんだよ」「ぼくは悪い子だ -