萩尾望都のレビュー一覧
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高いプライドと野心に嫉妬心が加わり、哀れなほど空回りしているマリオ。育ての母の死をきっかけに打ち明けられた家族の秘密が、スランプへ入り口となりマリオを苦しめる。
押さえられない衝動として恋人のラエラに手を上げるシーンが何度も出てきて、マリオのメンタルの弱さが執拗に描かれる。そうしてターニングポイントとなる「愛を学ばなかった」という台詞。
満を持して登場したマリオの実母に驚いたのは私だけじゃないと思う。老人ホームにいるって言葉から、白髪の老婆かと思えばこざっぱりとした性格のオバサンで。
実の母との再会で愛を知るって、育ての両親の存在ってなんだったんだろう。義両親だって愛情をもって接してきたのに、 -
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短編四作品を収録しています。
「訪問者」は、『トーマの心臓』の番外編で、シュロッターベッツにやってくる前のオスカー・ライザーとその父親の物語です。写真家の父のグスタフ・ライザーは、オスカーが自分の息子ではないという事実に感づきながらも、そのことに向きあう勇気のない男としてえがかれています。彼は、妻とのあいだにその件をもち出すことを避けつづけ、最後には妻を殺害してしまいます。やがて刑事が彼に疑いの目を向けはじめます。しかし、グスタフ以上に心に大きな負担をあたえられることになったのはオスカーでした。オスカーは、父と母と自分の関係が家族というまとまりをうしなってしまっていることに気づきながらも、家 -
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ドイツのシュロッターベッツというギムナジウムを舞台に、少年たちの繊細な心をえがいた作品です。著者の初期の代表作のひとつとされています。
13歳のトーマ・ヴェルナーは、ユーリことユリスモール・バイハンという少年に一通の遺書を残して自殺します。かねてからトーマは、ユーリに好意を伝えていたのですが、ユーリはトーマの好意を拒みつづけていました。そこへ、トーマにうり二つのエーリク・フリューリンクという少年がやってきます。破天荒なエーリクの登場によってギムナジウムは騒々しくなりますが、そんな彼に対してユーリはいつまでも冷たい態度をとりつづけます。最初は、ユーリのことを疎んじていたエーリクですが、ユーリと -
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宇宙大学入学をかけた最終試験。10人一組のはずが1人多い。閉ざされた宇宙空間と爆発物の仕掛けられた試験会場である宇宙船の中で11人の53日間にも及ぶ共同生活がはじまった。
さまざまな星から集まった受験生ということがあり、鱗に肌が覆われていたり、王様だったり、両生体だったりと個性的。
2度の爆発によるタンクの故障、軌道から外れた宇宙船、船内気温の上昇による伝染病と古典的かつ、正統派SF作品に仕上がっている。
続編は大学入学後のタダとフロルのカップルメインと見せかけて試験で同じグループだった王様のマヤ王。
王という地位を賭けた陰謀にはめられ逃亡の身となったマヤ王と彼を守るタダとフロル。宇宙規模の -
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主人公のタダトス・レーンは、宇宙大学への入学をめざす少年です。最終試験は10人で一組のチームを組んで宇宙船白号に乗り込み、たがいに協力しあって53日間を過ごすことが求められます。ところが、タダのチームのメンバーが11人いることが明らかになります。だれが、いったいなんの目的で、最終試験にもぐり込んだのか、メンバーたちのあいだに疑心暗鬼が芽生え、追い討ちをかけるようにさまざまな事件が生じていきます。事件が進展するに連れて、タダが幼少期に、この宇宙船白号にかかわっていたことが明らかになります。
タダは「11人目」ではないかという疑いをかけられながらも、フロルベリチェリ・フロルというメンバーと交流を -
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ネタバレさすが……さすが萩尾望都先生です。しっとりした雰囲気がブラッドベリにピッタリじゃないですか! しかもこんなにページ数が少ないのに原作の雰囲気壊さないまままとめてるー!! すげえよ! これが職人技か!!
「みずうみ」の奇麗さがたまらーん。
「びっくり箱」はたしか原作は男の子だったはず。でもドーナ可愛いしいいや!
「万聖節」10月のじっとりした霧の匂いが漂ってくる!!
小説の漫画化としてはすごい再現度じゃないでしょうか。ブラッドベリの文章と、萩尾先生の童話的な絵の相性があやしすぎて頭グラグラする。そのグラグラに酔っていたい、と思えるような短篇集です。 -
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「おじさまはアブサント酒がお好み いつも作って差し上げる」
ピカデリー7時のお嬢様が作っていたのはまさかの芋焼酎。。
イメージーー!萩尾さーーん!
笑ってしまった。
台詞は確認してないので違うかも。
人の名前が覚えられないという。でもキャラクターの名前の付け方、いつもぴったりじゃないですか、、と思ったら、やっぱり言葉には敏感なのだ。「サーボ」という名前の、音の響きに恍惚となってしまう敏感さ。小鳥の巣のテオは、やっぱりテオでしかない。脇ながら見逃せない、重要な立ち位置となったのは、名前のおかげだったりするのだろうか。
名は体を表す。
実在の名前でなくたって、トーマスでなく「トーマ」になって本