萩尾望都のレビュー一覧
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西暦30世紀目前の地球、環境問題の悪化の果てに女性が絶滅し男性だけが残った。滅亡の一途を辿る地球人の中でただ一人、出産の役目を授かった聖母(ホーリー・マザ)が暗殺される事件から、物語は幕を開ける。
古くは手塚治虫の「ふしぎなメルモ」のように「性」をストレートに扱ったマンガは少なくない。その中でも萩尾氏は、一貫して「性」を扱ってきた方である。そんな氏の長編作品の中で、おそらく最も性を鋭く突いた作品の一つと言えるだろう。さらに今回は「受胎」まで射程に捉えていた。
近年、小説家の桐野夏生氏は「東京島」を通じて偶発的に生じた原始的な小集団生活の中の「現代的な」女性性を丹念な描写で描いた。この作品は -
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おお、はぎおもとだ、となんとなく購入。なんでしょうね、この方の独特の世界観とかセリフまわしとか…と今更語るのもあれなんですが。やっぱり面白いし、すげえ。
最後の話の海岸で男の子とばあちゃんがおどるところで号泣したのですが、貸したほかの人とかは「???」って感じだったみたい。男の人には伝わりにくいのかな。
しかしああいうばあちゃんいるよな、ぼけてるまではいかないけど話してるとなかなか要領えない人っつうか。そこんとこも「ああー、いるいるこういうばあちゃんwwwwww」っておもってすげえと思ってしまいました。そんなばあちゃんの着飾ったかんじとか。はでなおばさんとか。ちょっと難しいじいさまとか。な -
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「トーマの心臓」の原型で、短編なのでストーリーがわかりやすかった。他の話の一つに、自分の家にある塔の妖精たちと仲良しで幸せだったのに両親を失ったばかりか恋人の心も失った少女の話があった。彼女は街に出て数年を暮らすうちふとしたことから虚しさを嘆く。モノローグはほんとに小さなコマなんだけど(文庫なので)、現実から逃げるように故郷を離れたときのまま、何ら変わるところのなかった自分に気づいてつらかったのだと思う。ここは電車の中だったのにもらい泣きしてしまった。お話は家のあった村に帰って幼なじみと再会するというハッピーエンドで、やきもきしていた妖精たちもほっとしたことだろう。