あらすじ
西暦2999年。人々は生殖能力を失い、世界はただ1人の聖母マザによって形づくられていた。そのマザ暗殺から始まる傑作SF!
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萩尾望都の最高傑作。
男しか残っていない汚染された未来の地球が舞台。
メイヤードのキャラがいい。一見、冷酷そうな地球管理人、「市長、あなたにだって胸ぐらいつくれるんですから」と薄ら笑いを浮かべて、市長の不興を買うシーン、あの不適切発言、物語の最後で、自分のことだったのか自分を蔑んでいたからこその発言だったのか、と了解できる。そしてなんか泣いてしまう。
「マージナル」のプロトタイプといえる「スターレッド」にも、火星管理人の敵キャラがでてくるけど、本作のメイヤードはなんともいえないふくざつな翳りを帯びたキャラに仕上がっていて、萩尾作品のキャラのなかでも屈指の出来。
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あかほりさとる『セイバーマリオネットJ』よろしく、男だらけの地球が舞台。星間規模のスケールと、未来へのひとひらの希望を感じさせる結末がいかにも作者らしい。
遺伝子操作によって生み出された主人公と、彼の素体となった、星間企業から地球に遣わされた男性(いわばラスボス)との関係が、某TVアニメのそれを彷彿とさせた。
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マージナルは、所々読んだところもあるけれど、どうも全編通して読んだことはないようだ。この終末が近づいている世界とか閉塞状態にある世界とかってテーマが萩尾作品には良く出てくるけれど、その中で人々がどう行動していくかってのが、それぞれ違っていてすごいな、と思う。
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面白かった!!凄いわこの人。
これだけのストーリーを、様々な糸を紡ぐように見事にまとめあげる手腕に感服。
ラスト、ナースタースの「愛のほかは…」のセリフに泣いた。
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全3巻。
とにかくいろいろつめこんで収拾がついているのがすごい。女性キャラがほぼいないのに、華やかなこと。メイヤードだけでスピンオフがつくれそう。
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初期萩尾望都の傑作……と言うか、初期の作品はほとんど傑作です。その中でも偏愛して止まないのが、こちら。
ファンタジーというか、SFというべきか悩みますがものの見事に融合してます。男だけしかいない星で繰り広げられる壮大な、或いは、ミクロな物語。何度も読み返し、その度に愛を確認する作品です。
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レビューを書くのに10年以上もためらってしまったのは、言葉で表現すると薄っぺらい評価しかできないから。これは一遍の文学作品。マンガを超えた精神性の高さと壮大なスケール。登場人物が体を重ねあう場面でも品を失わないのは萩尾先生ならでは。
不毛な地で繰り広げられる不可解な出来事は、時空を超えて、登場人物たちに降りかかる。たくさんのミステリアスを残して2巻に続く。
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このテの萩尾さんのSFは私の大好物。SFを描く作家さんは皆、これくらいの世界観を構築してから描いてね。と、お手本にしてもらいたいくらいにすごい。
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例えるならピカソの「ゲルニカ」
もしくはロダンの「地獄の門」
萩尾望都の作品は全体を飲み込んで答えを明確に出さずに物思うもの。だと思っている。
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女性だけが死に絶えた未来の地球で、生まれた夢の子供、キラ。キラをめぐる男性たちと、ひとりの母親(マザ)から形成されるドーム型の都市、そしてその裏にあるさまざまな思惑、伝説…
これがまんがなのかっていうくらいです。動くわけでもなく音声付きでもない、まんがという媒体でここまで表現できちゃうのかと。もう好き好き萩尾望都先生なのです。
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実は「トーマ」より「ポー」よりこれが最も好きなのです。萩尾望都はやっぱりSFだ! そしてキャラではアシジンが好き。「残酷〜」ではイアンが好き。解り易いですね。
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女性が生まれない世界の壮大なファンタジー。こんな凄い物語を描ける日本人がいるなんてって、感嘆せずにはいられません。萩尾望都先生の世界観にただただ圧倒されます。
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「昔はウーマンはたくさんいました」「マザがたくさん・・・? たくさん・・・・・・て・・・ じゃ・・・よ・・・4人ぐらい?」「もっと」「50人ぐらい!?」「人口の半分はウーマンでした」「半分!!」
箱庭計画
てっきりファンタジーだと思っていたら、舞台は滅亡間近の未来の地球でした。
地球という箱庭に閉じ込められて、外界がある事も知らされず(意図的な情報遮断)地球が終焉に向かっている事も隠された隔絶世界。
人々はまさに閉じ込められた実験マウスのようです。
マザの交代システムは華不魅先生の『鉄錆廃園』の玉座システムを思い出しました。
引っ掛かったのがレミングの引用。篠原烏童先生の『セフィロト』にも同様の引用があり、現在では否定されている説なので盛大にモヤりました。
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男性ばかりが暮らす世界となった2999年の地球を舞台にしたSF長編作品です。
ただ一人の女性である「聖母」(ホウリ・マザ)が人びとの前にすがたを現わす日に、目もとに青い刺青をもつ青年グリンジャが「都市」(シティ)を訪れ、マザの暗殺計画を実行に移します。都市を抜け出し砂漠を旅する途中で、グリンジャは行き倒れになっていたキラという少年を救います。その後、死にぞこないのアシジンと名乗る青年にキラの身柄を売りわたしたグリンジャでしたが、キラが盗賊にさらわれ、アシジンとともにキラの救出に向かいます。
『スター・レッド』と同様に、特殊な来歴と能力をもつ登場人物がその来歴ゆえに過酷な運命に翻弄されるという物語です。生殖の管理という、現在では相当にあつかいのむずかしくなっているテーマに挑戦した作品ですが、少女マンガの表現の可能性を大きく切り開いてきたキャリアをもつ著者の先駆性には目をみはらされました。
SF
めっちゃSFでした。
子供を産めるのはマザーと呼ばれる女性一人だけ。
このままでは世界が滅びてしまうという恐怖に包まれた世界なのですが…
実は大どんでん返しあり。
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O竹さんに借りる。2999年の地球、遺伝子の損傷により男しか生まれない世で、人工的に女性(マザ)を創り何人もの子どもを産み与える。しかし、マザの暗殺によって全てが狂い始める。クローン人間の是非、愛することの意味など深いテーマを盛り込みつつも、BLっぽいドキドキ?感もあって話に入り込みやすい。あぁ、本当に昔の少女?漫画は骨太だなあ。
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西暦30世紀目前の地球、環境問題の悪化の果てに女性が絶滅し男性だけが残った。滅亡の一途を辿る地球人の中でただ一人、出産の役目を授かった聖母(ホーリー・マザ)が暗殺される事件から、物語は幕を開ける。
古くは手塚治虫の「ふしぎなメルモ」のように「性」をストレートに扱ったマンガは少なくない。その中でも萩尾氏は、一貫して「性」を扱ってきた方である。そんな氏の長編作品の中で、おそらく最も性を鋭く突いた作品の一つと言えるだろう。さらに今回は「受胎」まで射程に捉えていた。
近年、小説家の桐野夏生氏は「東京島」を通じて偶発的に生じた原始的な小集団生活の中の「現代的な」女性性を丹念な描写で描いた。この作品は「根源的な女性性」を表すという点で共通する部分が少なくないが、描き方としては真逆である。すなわち、運命的に生じた近未来的な大規模集団の中での「詩的な」女性性を抉りだしているからだ。
Marginal の登場人物の一人は次のように語る。「母体は子宮とは別の人格だ」と。それを象徴するかのように、物語の主役の一人であるキラは操作不能な暴力性を持ち、と同時に生命を宿す特殊能力を備える。
物語を読み進めるにつれて「孕む」こと、「産む」ことの果てしない暴力性にときに呆然とし、ときに安堵した。そうした激しい海練と潮の緩急の中でのみ<命>は生まれ、脈打ち続け、その運命に僕らは一向に抗えないという気持ちを抱いた。
変わらず萩尾先生のメッセージは軟弱者の自分にはかなり手厳しいものだった。
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SFの天才。
テーマとしてはよくあるものだけど、続きが気になる。
今まで読んできた数々のSFは萩尾作品の影響を多かれ少なかれ受けてきたんだろうということが想像できる。
2,3巻も素晴らしい。
Posted by ブクログ
西暦2999年、消滅に向かう世界では海は赤くなり、ウイルスにより生殖能力をうしなっていく。世界にはただ一人の聖母マザ。彼女唯一人が世界の子供を産む。。。。。
世界は男性のみ。
こんな感じのくだりを読んで、興味がわかないなけがありません。
世界観を読み込むのにちょっと頭をつかいますが、
この世界観半端ないです。
文庫3冊でかなりの充実感。
萩尾さんの作品をちゃんと買ったのはこれがはじめてですが、
これから没頭して読みたいと思います。
Posted by ブクログ
マージナル=境界の、辺境の、不十分な、わずかな、ほんの少しの
こんな題名をつけるところがすごい。
「マザ」唯一の女性。この国は、マザ以外は男性ばかりだ。
そこへ、「キラ」という、この国にとって異性人とも言える青年(?)がやってくる。
キラを巡り、いろいろな人間(マージナル人、センターの人、キラの産みの両親、別の国のESPなど)が交叉する。
私だったら絶対に思いつかない国、マージナル。
先が見えない面白さ。
いつしか私もマージナル国に魅入られる。
そして、まさかこんなクライマックスを迎えるとは。
予想を裏切るというより前に、予想がつかない。